年寄としよ)” の例文
垂木たるきは、年寄としよりのおもみさえささえかねたとみえて、メリメリというおととともに、伯父おじさんのからだ地上ちじょうっさかさまに墜落ついらくしたのでした。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
為義ためよしはもう七十の上を出た年寄としよりのことでもあり、天子てんしさま同士どうしのおあらそいでは、どちらのお身方みかたをしてもぐあいがわるいとおもって
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
じゅうぶんに日本の子どもを楽しませることができないから、だれかが取りかえてこれを年寄としよりの考え深かった例にもちいたものと思う。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おいらのふのはよめさんのことさ、年寄としよりはどうでもいとあるに、れは大失敗おほしくじりだねとふでやの女房にようぼうおもしろづくに御機嫌ごきげんりぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「はあ、お年寄としよりのリヴァズさまが此處に住んでゐらつしやいました。それから祖父おぢいさまも曾祖父ひいおぢいさまもその前にね。」
それにしても、あの年寄としよった魔女まじょは、どうなったでしょう? それはたれったものはありません。
おきなはりきみました。ひめも、年寄としよつた方々かた/″\老先おいさき見屆みとゞけずにわかれるのかとおもへば、おいとかかなしみとかのないあのくにかへるのも、一向いつこううれしくないといつてまたなげきます。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
この寺には年寄としよった住職じゅうしょく小坊主こぼうず一人が住んでいたが、住職はついに死んでしまい、小坊主はそんなところに一人では住んでいられないと言って、村へげて来てしまった。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
留守るすには、年寄としよつたこしたない與吉よきち爺々ちやん一人ひとりるが、老後らうごやまひ次第しだいよわるのであるから、きふ容體ようだいかはるといふ憂慮きづかひはないけれども、與吉よきちやとはれさき晝飯ひるめしをまかなはれては
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
年寄としよりたちはみなしわくちゃのわせた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
このひとは、もうだいぶの年寄としよりでありましたから、それらのものを、二人ふたり息子むすこたちにけてやって、自分じぶん隠居いんきょをしたいとおもいました。
星と柱を数えたら (新字新仮名) / 小川未明(著)
これも年寄としよりの智恵によって、まぐさをあたえて見て、まず食べるほうが子馬の大きくなったのであり、それを見ていてゆっくりあとから食べにかかるのが親だと教えられ
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あゝ一昨年おととしかられもがけのあつめにまわるさ、祖母おばあさんは年寄としよりだからそのうちにもるはあぶないし、るいから印形いんげうおしたりなにかに不自由ふじゆうだからね、いままで幾人いくたりをとこ使つかつたけれど
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すると、ほかのものもひとしくまって、みんなからおくれがちになって、とぼとぼとあるいていた年寄としよりをつのでありました。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうして以前の日本人の仕事は、屋外のものがもっとも多く、日中にっちゅうも家にいてぜんで食事のできるような人は、男はもとより女や年寄としよりにも、ほんのわずかな数だけであった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おいらは痘痕あばたしつつかきは大嫌だいきらひとちかられるに、主人あるじをんな吹出ふきだして、れでもしようさんわたしみせくださるの、伯母おばさんの痘痕あばたえぬかえとわらふに、れでもおまへ年寄としよりだもの
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ここに、こういうこころ愉快ゆかいにする、オルガンがありますよ。」と、おじょうさんは、雑誌ざっし広告こうこくを、まだそう年寄としよりでない医者いしゃせました。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、もはや、おにのような心持こころもちになってしまった年寄としよ夫婦ふうふは、なんといっても、むすめのいうことをれませんでした。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、いいお天気てんきだから、おまえだけいってみておいでなさい。わたし年寄としよりだから、あるくのがたいそうです。」と、おばあさんはこたえました。
海からきた使い (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、このころから、小父おじさんは、からだがだんだんよわってきて、彼女かのじょは、年寄としよりたちをひとのこして、とおたびにもることはできなかったのです。
二番めの娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
平常ふだんから、達者たっしゃだったおじいさんは、まだ、そんなに年寄としよりでもなかったのに、とつぜん、中風ちゅうふうにかかってにました。
おばあさんとツェッペリン (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで、わしは、この年寄としよりになっても、西にし夕空ゆうぞらるたびに、なつかしいおかあさんのかおおもかべるのです。
お母さまは太陽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こっそりと年寄としよ夫婦ふうふのところへやってきて、むすめにはわからないように、大金たいきんすから、その人魚にんぎょってはくれないかともうしたのであります。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
年寄としよりのいうことですが、なんでもしずかな真昼まひるごろ、足音あしおとをたてずに、いけちかよると、金銀きんぎんの二ひきのへびが、たわむれながら、水面すいめんおよいで、おやしろのほうへ
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんといっても、おばあさんは、しまのすみから、すみまでらないところはなく、それに年寄としよりにず、さとりがはやいから、ないものでもないとおもわれました。
雪の上の舞踏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
真夜中まよなかごろでありました。トン、トン、と、だれかをたたくものがありました。年寄としよりのものですからみみさとく、そのおときつけて、だれだろうとおもいました。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、三にんは、くわしく物語ものがたりました。みんなは、年寄としよりの物知ものしりにあざむかれたことをいきどおりました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それが、こんなにひとのよさそうな年寄としよりであったので、きゅうに、いいれぬなつかしみをかんじました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
人間にんげんだっておなじじゃないか、毎日まいにちのように、わかいもの、年寄としよりの区別くべつなくんではかへゆくのに、自分じぶんだけは、いつまでもきているとおもって、欲深よくふかくしているのだ。」
あらしの前の木と鳥の会話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むらじゅうが、大騒おおさわぎをして、長吉ちょうきちをさがしたけれど、ついにむだでありました。年寄としよりたちは
谷にうたう女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なんといういいかえでのだろう。」と、子供こども年寄としよりも、みなほめたのであります。
葉と幹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このとき、ここにあわれな旅楽師たびがくしれがありました。それは年寄としよりのおとこと、わか二人ふたりおとこと、一人ひとりわかおんならでありました。この人々ひとびとは、たびから、たびわたってあるいているのです。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
運動うんどうするといいましても、なにぶん、この年寄としよりひとりではどこへもられません。」と、おじいさんは、かしこまってすわり、ひざのうえで、しなびたをこすっていました。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
母親ははおやは、年寄としよりになり、あねや、おとうとも、おおきくなり、あねは、ちかくのむらよめにゆきました。そして、むすめいえまえには、毎年まいねんなつになるとたかい、ひまわりのはながみごとにきました。
二番めの娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちに、この時分じぶん年寄としよりたちは、みんなんでしまいました。そして、わかひとたちの時代じだいになったとき、かねつきどう修繕しゅうぜんして、供養くようをし、おおぜいの人々ひとびとかねうごかしました。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうど、年寄としよりのまいのように、おじいさんはうろうろしていたのであります。
雪の上のおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
だれか一人ひとりわかいもののなかにいなければならなかったのは、ちょうど、人間にんげん社会しゃかいばかりでなく、獣物けものあつまりのなかでも、経験けいけんんだ、年寄としよりがいて、野原のはらから、野原のはらへ、やまから
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
っています。年寄としよりで、眼鏡めがねをかけて、ひげのしろかたです……。」
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)