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差覗
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さしのぞ
ふりがな文庫
“
差覗
(
さしのぞ
)” の例文
北原はそれを受取って、燈火の方に手をかざして封を切りながら、自分も読み、人も
差覗
(
さしのぞ
)
くことを
厭
(
いと
)
わぬ形で読んでしまいましたが
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
此方
(
こなた
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
くような気がして、
筋骨
(
すじぼね
)
も、ひしひしとしめつけられるばかり身に染みた、女の事が……こうした人懐しさにいや
増
(
まさ
)
る。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引寄せられし宮はほとほと
仆
(
たふ
)
れんとして椅子に支へられたるを、唯継は鼻も
摩
(
す
)
るばかりにその顔を
差覗
(
さしのぞ
)
きて余念も無く見入りつつ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
古井戸の真暗な底を
差覗
(
さしのぞ
)
く時も、自分は同じやうな「死」の催眠術に引きかゝる。山の頂から谷底を望んだり滝壼を見たりしても同じである。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
差覗
(
さしのぞ
)
きしと/\とまた
歩行出
(
あゆみだす
)
折柄
(
をりから
)
ばた/\
駈來
(
かけく
)
る
足音
(
あしおと
)
に夫と見る間も有ばこそ聲をば
懸
(
かけ
)
ず
拔打
(
ぬきうち
)
に
振向
(
ふりむく
)
笠
(
かさ
)
の
眞向
(
まつかう
)
より
頬
(
ほゝ
)
の
外
(
はづ
)
れを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
そっと蚊帳の
中
(
うち
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
くと、伴藏が
起上
(
おきあが
)
り、ちゃんと坐り、両手を膝についていて、蚊帳の外には
誰
(
だれ
)
か来て話をしている様子は、
何
(
なん
)
だかはっきり分りませんが
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
娘のお代は満に逢うが何よりの
楽
(
たのし
)
みなり「来ているといいだねー」と窓より顔を出してキョロキョロと
差覗
(
さしのぞ
)
く。満の父のみ何事を考えてや
独
(
ひと
)
り少し浮かぬ色あり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
二人の官兵を片付けた欽之丞は、芳年の側に寄って、夕闇の中からその顔を
差覗
(
さしのぞ
)
きました。
芳年写生帖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
店の中は——白い布を、扉の半開きだけあげた店の中は、幕開き前とでもいうように
混沌
(
こんとん
)
としている。睡眠気分三、夜明け気分七——昼間がちらと、
差覗
(
さしのぞ
)
いているといった光景であった。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
中に入ると人々の混雜が、雨の
軒端
(
のきば
)
に陰にしめつたどよみを響かしてゐた。表から
差覗
(
さしのぞ
)
かれる障子は何所も
彼所
(
かしこ
)
も開け放されて、人の着物の黒や縞が
塊
(
かた
)
まり合つて椽の外にその端を垂らしてゐた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
トその垣根へ乗越して、今フト
差覗
(
さしのぞ
)
いた女の鼻筋の通った横顔を
斜違
(
はすっか
)
いに、月影に映す梅の
楚
(
ずわえ
)
のごとく、
大
(
おおい
)
なる船の
舳
(
へさき
)
がぬっと見える。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と枕の
端
(
はし
)
を指もて音なへど、眠れるにもあらぬ貫一は何の答をも与へず、満枝は起ちてベッドの
彼方
(
あなた
)
へ廻り行きて、彼の
寐顔
(
ねがほ
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
きつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
しかしその
後
(
うしろ
)
に立てた
六枚屏風
(
ろくまいびょうぶ
)
の
裾
(
すそ
)
からは、
紐
(
ひも
)
で
束
(
たば
)
ねた西洋の新聞か雑誌のようなものの
片端
(
かたはし
)
が見えたので、私はそっと首を延して
差覗
(
さしのぞ
)
くと
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
耐忍
(
たへしの
)
びて田原町に到りけるに見世には客有りて
混雜
(
こんざつ
)
の樣子なれば裏へ廻りて勝手口より
密
(
ひそか
)
に
差覗
(
さしのぞ
)
くに今日は
餅搗
(
もちつき
)
と見えて
備
(
そなへ
)
を取もあれば
熨斗
(
のし
)
を延もあり或は
鱠
(
なます
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と云いながら、床の内を
差覗
(
さしのぞ
)
き、白翁堂はわな/\と
慄
(
ふる
)
えながら思わず
後
(
あと
)
へ
下
(
さが
)
りました。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
差覗
(
さしのぞ
)
くまでもありません。女の使ふ
笹紅
(
さゝべに
)
を、筆に
含
(
ふく
)
ませて書いた文字が二十五。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
蒲団の上から
差覗
(
さしのぞ
)
いていたのはお絹でありました。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
差覗
(
さしのぞ
)
いてすっと身を引き、しばらく物音もさせなかったが、やがてばったり、抱えてたものを畳に落して、陰々として
忍泣
(
しのびなき
)
の声がした。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人は蒲田が案外の物持てるに
驚
(
おどろか
)
されて、
各
(
おのおの
)
息を
凝
(
こら
)
して
瞪
(
みは
)
れる
眼
(
まなこ
)
を動さず。蒲田も無言の
間
(
うち
)
に他の一通を取りて
披
(
ひら
)
けば、妻はいよいよ
近
(
ちかづ
)
きて
差覗
(
さしのぞ
)
きつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
山三郎は米藏の
後
(
うしろ
)
からそうっと葢を押えながら
差覗
(
さしのぞ
)
くと、少々
夜
(
よ
)
がしらんで明るくなりましたから、見ると仏は十七八の娘で、合掌は組んで居るが、変死と見えて
上歯
(
うわば
)
で下唇を噛みまして
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
重吉はしなだれ
掛
(
かか
)
るお千代の肩を抱くようにして上からその顔を
差覗
(
さしのぞ
)
いた。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
平次はその手許を
差覗
(
さしのぞ
)
きました。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
濟
(
すま
)
し窺ふに聲は聞えねども
足摺
(
あしずり
)
して苦しむ樣子の一しほ始めに
彌増
(
いやまし
)
ければ何共
合點
(
がてん
)
行ず心成ずも
密
(
そつ
)
と立上り襖の透間より
差覗
(
さしのぞ
)
くに納戸の中には灯りもなく小さき火鉢に
蚊遣
(
かやり
)
の
仕掛
(
しかけ
)
有しが
燃落
(
もえおち
)
て薄暗き側に聢とは見えねども細引にて縛られたる一人の女居たり友次郎は
發
(
はつ
)
と思ひ能々見るに此は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と
親
(
した
)
しげに
身
(
み
)
を
寄
(
よ
)
せて、
顔
(
かほ
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
いて、いそ/\していふと、
白痴
(
ばか
)
はふら/\と
両手
(
りやうて
)
をついて、ぜんまいが
切
(
き
)
れたやうにがつくり一
礼
(
れい
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と云いながら床の内を
差覗
(
さしのぞ
)
き、伴藏はキャッと声を上げ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
後から
差覗
(
さしのぞ
)
くガラツ八。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と額を暗く
俯向
(
うつむ
)
いた。が、
煙管
(
きせる
)
を落して、門——いや、門も何もない、前通りの草の
径
(
こみち
)
を、向うの原越しに、
差覗
(
さしのぞ
)
くがごとく、指をさし
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
向
(
むき
)
を
替
(
か
)
へて、
團扇
(
うちは
)
を
提
(
さ
)
げて、すらりと
立
(
た
)
つた。
美人
(
びじん
)
は
庭
(
には
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
く……
横顏
(
よこがほ
)
は
尚
(
な
)
ほ、くつきりと、
鬢
(
びん
)
の
毛
(
け
)
は
艷増
(
つやま
)
したが、
生憎
(
あいにく
)
草
(
くさ
)
は
暗
(
くら
)
かつた。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
呼吸
(
いき
)
を吹いて
正面
(
まとも
)
に門の処に並んでいるので、お夏は日傘を
楯
(
たて
)
にしてあなたこなた
隙間
(
すきま
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
くがごとくにしたが進みかねた。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
境が、上から
伸懸
(
のしかか
)
るようにして
差覗
(
さしのぞ
)
くと、下で枯枝のような手を出した。婆がその手を、上に向けて、横ざまに振って見せた。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
纖
(
ほそ
)
きこと
縷
(
る
)
の
如
(
ごと
)
し
玉蜻
(
かげろふ
)
と
言
(
い
)
ふ。
彼
(
か
)
の
女
(
をんな
)
、
幽
(
かすか
)
に
青
(
あを
)
き
瓔珞
(
やうらく
)
を
輝
(
かゞや
)
かして
舞
(
ま
)
へば、
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
の
薄
(
すゝき
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
きつゝ、やがて
月
(
つき
)
明
(
あきら
)
かに
出
(
い
)
づ。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
こんなにも、清らかなものかと思う、お米の
頸
(
えり
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
くようにしながら、盆に渋茶は出したが、火を置かぬ火鉢越しにかの机の上の提灯を
視
(
み
)
た。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
件
(
くだん
)
の
垣根
(
かきね
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
きて、をぢさん
居
(
ゐ
)
るか、と
聲
(
こゑ
)
を
懸
(
か
)
ける。
黄菊
(
きぎく
)
を
活
(
い
)
けたる
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
の
見透
(
みとほ
)
さるゝ
書齋
(
しよさい
)
に
聲
(
こゑ
)
あり、
居
(
ゐ
)
る/\と。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうかすると、青い顔が幾つも
重
(
かさな
)
って、隙間から
差覗
(
さしのぞ
)
いて、ベソを
掻
(
か
)
いたり、ニタニタと笑ったり、キキと鳴声を立てたり、その中には鼠も居る。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここに休んでから、それとなく、五人目の姫の顔を
差覗
(
さしのぞ
)
くものもあった。けれども端然としていた。
黛
(
まゆずみ
)
の他に
玲瓏
(
れいろう
)
として顔に一点の雲もなかった。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
沢は
此方
(
こなた
)
の
側伝
(
かわづた
)
ひ、鍵屋の店を
謎
(
なぞ
)
を見る
心持
(
ここち
)
で
差覗
(
さしのぞ
)
きながら、一度
素通
(
すどお
)
りに、霧の中を、
翌日
(
あす
)
行く方へ
歩行
(
ある
)
いて見た。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
高信
(
たかのぶ
)
さんは、
南祖坊
(
なんそばう
)
の
壇
(
だん
)
の
端
(
はし
)
に一
息
(
いき
)
して
向
(
むか
)
うむきに
煙草
(
たばこ
)
を
吸
(
す
)
つた。
私
(
わたし
)
は、
龍神
(
りうじん
)
に
謝
(
しや
)
しつゝも、
大白樺
(
おほしらかば
)
の
幹
(
みき
)
に
縋
(
すが
)
つて、
東
(
ひがし
)
が
恋
(
こひ
)
しい、
東
(
ひがし
)
に
湖
(
みづうみ
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
いた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
梅と柳の間を
潜
(
くぐ
)
って、酒井はその竹垣について曲ると、処がら何となく羽織の背の
婀娜
(
あだ
)
めくのを、
隣家
(
となり
)
の背戸の、低い石燈籠がト
踞
(
しゃが
)
んだ形で
差覗
(
さしのぞ
)
く。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「歩きますわ、御覧なさいな。」と沈んだ声でいいながら、お雪は打動かす団扇の蔭から、
儚
(
はか
)
ない一点の青い
灯
(
ともし
)
で、しばしば男の顔を透かして
差覗
(
さしのぞ
)
く。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「君、君、その
異形
(
いぎょう
)
なのを空中へ
顕
(
あらわ
)
すと、
可哀相
(
かわいそう
)
に目を廻すよ。」と言いながら、一人が、下からまた
差覗
(
さしのぞ
)
いた。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「はやい方が
可
(
い
)
い、聞くのに——」けれども山吹と藤のほか、
村路
(
むらみち
)
の
午
(
ひる
)
静
(
しずか
)
に、
渠等
(
かれら
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
く鳥の影もなかった。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
美女
(
たおやめ
)
はその顔を
差覗
(
さしのぞ
)
く
風情
(
ふぜい
)
して、
瞳
(
ひとみ
)
を斜めに
衝
(
つ
)
と流しながら、
華奢
(
きゃしゃ
)
な
掌
(
たなそこ
)
を
軽
(
かろ
)
く頬に当てると、
紅
(
くれない
)
がひらりと
搦
(
から
)
む、
腕
(
かいな
)
の雪を払う音、さらさらと
衣摺
(
きぬず
)
れして
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
恰
(
あたか
)
も
可
(
よ
)
し、
中形
(
ちゅうがた
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
、
繻子
(
しゅす
)
の帯、雪の如き手に
団扇
(
うちわ
)
を提げて、
店口
(
みせぐち
)
の
暖簾
(
のれん
)
を分け、月の
眉
(
まゆ
)
、
先
(
ま
)
づ
差覗
(
さしのぞ
)
いて
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
屈
(
かゞ
)
みかゝつて、
上
(
うへ
)
から
差覗
(
さしのぞ
)
く、
目
(
め
)
に
涙
(
なみだ
)
の
婿君
(
むこぎみ
)
と、
微
(
かすか
)
に
仰
(
あふ
)
いだ
衣絵
(
きぬゑ
)
さんの
顔
(
かほ
)
と、
世
(
よ
)
に
唯
(
たゞ
)
、
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
三
人
(
にん
)
であつた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二人は右の
舷
(
ふなばた
)
に、一人は左の舷に、その苫船に身を寄せて、
互
(
たがい
)
に苫を取って分けて、船の中を
差覗
(
さしのぞ
)
いた。淡きいろいろの
衣
(
きぬ
)
の裳は、長く渚へ引いたのである。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これが為に、護送の警官の足が留って、お孝は旅僧と二人、
可懐
(
なつか
)
しそうに、葉が
差覗
(
さしのぞ
)
く柳の
下
(
もと
)
の我家に帰る。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
暁かけて、院長が一度、河野の母親大夫人が一度、前後して、この病室を
差覗
(
さしのぞ
)
いて、人知れず……立去った。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云って、め組の蓋を払った盤台を
差覗
(
さしのぞ
)
くと、
鯛
(
たい
)
の濡色輝いて、広重の絵を見る風情、柳の影は映らぬが、河岸の朝の月影は、まだその
鱗
(
うろこ
)
に消えないのである。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婀娜
(
あだ
)
にもの優しい姿は、コオトも着ないで、襟に深く、黒に紫の裏すいた襟巻をまいたまま、むくんだ小按摩の前に立って、そと
差覗
(
さしのぞ
)
きながら言ったのである。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お兼は抱着くがごとくにして、山腹の土に手をかけながら、体を横たえ、顔を
斜
(
ななめ
)
にして
差覗
(
さしのぞ
)
いて
猶予
(
ためら
)
った。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
差
常用漢字
小4
部首:⼯
10画
覗
漢検準1級
部首:⾒
12画
“差”で始まる語句
差支
差
差向
差出
差俯向
差別
差当
差置
差配
差上