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妙
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みょう
ふりがな文庫
“
妙
(
みょう
)” の例文
一
羽
(
わ
)
の
見慣
(
みな
)
れない
小鳥
(
ことり
)
が
妙
(
みょう
)
な
節
(
ふし
)
で
木
(
き
)
に
止
(
と
)
まって
歌
(
うた
)
をうたっていました。
娘
(
むすめ
)
は、いままでこんな
不思議
(
ふしぎ
)
な
歌
(
うた
)
をきいたことがありません。
ふるさとの林の歌
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
聞えないかい?……時々、あちこちから、かさかさ、かさかさって
妙
(
みょう
)
な音が、まるで神秘な息づかいのように聞えて来るんだ。………
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
斯
(
こ
)
うした
時
(
とき
)
には
又
(
また
)
妙
(
みょう
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
な
現象
(
こと
)
が
重
(
かさ
)
なるものと
見
(
み
)
えまして、
私
(
わたくし
)
の
姿
(
すがた
)
がその
夜
(
よ
)
右
(
みぎ
)
の
漁師
(
りょうし
)
の
妻
(
つま
)
の
夢枕
(
ゆめまくら
)
に
立
(
た
)
ったのだそうでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「うそでしょう。……おやおや、
妙
(
みょう
)
な
塔
(
とう
)
がある。それから
土
(
ど
)
まんじゅうみたいなものが、あちこちにありますね。あれは何ですか」
三十年後の東京
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
うんと云ったが、うんだけでは気が済まなかったから、この学校の生徒は分らずやだなと云ってやった。山嵐は
妙
(
みょう
)
な顔をしていた。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
助手格の貝原が平気な顔で見張船の用意に出かけたりする働き振りに
妙
(
みょう
)
な
抵抗
(
ていこう
)
するような気持が出て、不自然なほど快活になった。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
村長
(
むらおさ
)
の話をきけば、数日前に、この
家
(
うち
)
へとまって
飄然
(
ひょうぜん
)
と
去
(
さ
)
ったという
妙
(
みょう
)
な老人というのこそ、どうやら果心居士であるような気がする。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しばらく
妙
(
みょう
)
な顔をして、それに聞入っていた後、彼は、何だか彼
等
(
ら
)
の言葉の意味が
分
(
わか
)
るような気がする、と、傍の者に言った。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「ああ、お
許
(
ゆる
)
しがでないとあたしたちもいただけやしないからね。それに、」と、女中は
妙
(
みょう
)
な顔をして笑いながらいいました。
水菓子屋の要吉
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
その僧侶は
直
(
ただ
)
ちに退寺を命ぜられるのに、とにかくこういう場合に限り、二度取っても三度取っても擲ぐられる位の事にて済むのは
妙
(
みょう
)
です。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その
頃
(
ころ
)
、僕
達
(
たち
)
は
郊外
(
こうがい
)
の墓場の裏に居を定めていたので、初めの程は二人共
妙
(
みょう
)
に
森閑
(
しんかん
)
とした気持ちになって、よく
幽霊
(
ゆうれい
)
の
夢
(
ゆめ
)
か何かを見たものだ。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「パーヴェル・パーヴロヴィチ、本當にどうしていらっしゃらないのよ。あなたこそ驚くに堪えたる
妙
(
みょう
)
なかたじゃなくて!」
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
それとも
又
(
また
)
、その裏の林のなかで
山鳩
(
やまばと
)
でも
啼
(
な
)
いたのだろうか? ともかくも、その
得体
(
えたい
)
の知れぬアクセントだけが
妙
(
みょう
)
に私の耳にこびりついた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
あなたはまだ、あたしという女を御存じないけれど、あたし、とっても
妙
(
みょう
)
な女なのよ。あたしはね、いつも本当のことだけ言ってもらいたいの。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
おばあさんは、きっとあのリスは
妙
(
みょう
)
に気が立っているにちがいない、光が強いために眠れないんだろう、と、思いました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
けれども緒方の書生は原書の写本に慣れて
妙
(
みょう
)
を得て居るから、
一人
(
ひとり
)
が原書を読むと一人は
之
(
これ
)
を耳に
聞
(
きい
)
て写すことが出末る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
目
(
め
)
がさめて
後
(
のち
)
お
妃
(
きさき
)
は、
喉
(
のど
)
の中に
何
(
なに
)
か
固
(
かた
)
くしこるような、
玉
(
たま
)
でもくくんでいるような、
妙
(
みょう
)
なお
気持
(
きも
)
ちでしたが、やがてお
身重
(
みおも
)
におなりになりました。
夢殿
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
老と病とは人生に
倦
(
う
)
みつかれた卑怯者を徐々に死の門に至らしめる平坦なる道であろう。天地自然の理法は
頗
(
すこぶる
)
妙
(
みょう
)
である。
正宗谷崎両氏の批評に答う
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
乳母のお
浜
(
はま
)
には、郷里では久しく文通を
怠
(
おこた
)
っていたが、いざ上京というときになって、ふと
彼女
(
かのじょ
)
のことを思いおこし、
妙
(
みょう
)
に感傷的な気分になった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
奥の壁つきには六字
名号
(
みょうごう
)
の
幅
(
ふく
)
をかけ、
御燈明
(
おとうみょう
)
の光ちら/\、
真鍮
(
しんちゅう
)
の
金具
(
かなぐ
)
がほのかに光って居る。
妙
(
みょう
)
に
胸
(
むね
)
が
迫
(
せま
)
って来た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
さて
朝
(
あさ
)
になって、ゆうべ
入
(
はい
)
って
来
(
き
)
た
妙
(
みょう
)
な
訪問者
(
ほうもんしゃ
)
はすぐ
猫達
(
ねこたち
)
に
見
(
み
)
つけられてしまいました。
猫
(
ねこ
)
はごろごろ
喉
(
のど
)
を
鳴
(
な
)
らし、
牝鶏
(
めんどり
)
はクックッ
鳴
(
な
)
きたてはじめました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
今は
昔
(
むかし
)
、もうずっとの昔のことですが、北海道にコロボックンクルという、
妙
(
みょう
)
な神様が住んでおられました。
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
二十七日正午、
舟
(
ふね
)
岩内を発し、午後五時
寿都
(
すっつ
)
という港に着きぬ。
此地
(
ここ
)
はこのあたりにての
泊舟
(
はくしゅう
)
の地なれど、地形
妙
(
みょう
)
ならず、市街も
物淋
(
ものさび
)
しく見ゆ。また
夜泊
(
やはく
)
す。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
『運が好かつたんですよ。』と
鸚鵡
(
おうむ
)
がへしに答へながら、主人はすこし真面目になつた。『それがねえ、旦那。なんだか
妙
(
みょう
)
なんですよ。まあ、お聴きください。 ...
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
柘榴口
(
ざくろぐち
)
から
流
(
なが
)
しへ
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
春重
(
はるしげ
)
の
様子
(
ようす
)
には、いつも
通
(
とお
)
りの、
妙
(
みょう
)
な
粘
(
ねば
)
りッ
気
(
け
)
が
絡
(
から
)
みついていて、
傘屋
(
かさや
)
の
金蔵
(
きんぞう
)
の
心持
(
こころもち
)
を、ぞッとする
程
(
ほど
)
暗
(
くら
)
くさせずにはおかなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
掛引
(
かけひき
)
の
妙
(
みょう
)
を得たるものなれども、政府にてはかかる
企
(
たくら
)
みと知るや知らずや、財政
窮迫
(
きゅうはく
)
の
折柄
(
おりから
)
、この
申出
(
もうしいで
)
に逢うて
恰
(
あたか
)
も
渡
(
わた
)
りに
舟
(
ふね
)
の
思
(
おもい
)
をなし、
直
(
ただち
)
にこれを
承諾
(
しょうだく
)
したるに
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
『
病院
(
びょういん
)
です、もう
疾
(
と
)
うから
貴方
(
あなた
)
にも
見
(
み
)
て
頂
(
いただ
)
きたいと
思
(
おも
)
っていましたのですが……
妙
(
みょう
)
な
病人
(
びょうにん
)
なのです。』
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
蝶
(
ちょう
)
の目からも、余りふわふわして見えたでござろう。小松の中をふらつく自分も、何んだかその、肩から上ばかりに、
裾
(
すそ
)
も足もなくなった心地、
日中
(
ひなか
)
の
妙
(
みょう
)
な
蝙蝠
(
こうもり
)
じゃて。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
文句は
薩張
(
さっぱり
)
分らぬが、如何にも深い思いがあるらしく、誰かをさして訴うるらしく、銀の様な声をあげては延ばし、延ばしては収め、誰教うるともない
節奏
(
せっそう
)
自然
(
しぜん
)
妙
(
みょう
)
に
入
(
い
)
って
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
大小二人の変物が、
妙
(
みょう
)
ちきりんな生活をこの家に送っている……蒲生泰軒とチョビ安
兄哥
(
あにい
)
と。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そのラッカア
塗
(
ぬ
)
りの船腹が、
仄暗
(
ほのぐら
)
い電燈に、丸味をおび、つやつやしく光っているのも、
妙
(
みょう
)
に心ぼそい感じで、ベランダに出ました。遥か、
浅草
(
あさくさ
)
の
装飾燈
(
そうしょくとう
)
が赤く
輝
(
かがや
)
いています。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
最初にひと
眼
(
め
)
水の中に漬かっている赤い手を見た時から、
妙
(
みょう
)
にその娘が気に入ったんだ。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二日そうして
経
(
た
)
ち、
午頃
(
ひるごろ
)
、ごおッーと
妙
(
みょう
)
な音がして来た途端に、
激
(
はげ
)
しく
揺
(
ゆ
)
れ出した。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
と
心附
(
こころづ
)
けたが、その婦人はさもそのへんのことは承知のごとく、
妙
(
みょう
)
な顔をして
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
しかし何となく陰気に
薄暗
(
うすぐら
)
くじめじめして、
妙
(
みょう
)
に気味の悪い
厭
(
いや
)
な感じがしたので、夫人が直覚的に反対したにもかかわらず、ヘルンは一見して大いに気に入り、『面白いの家』『面白いの家』と
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
同時に後ろの方で
照常
(
てるつね
)
様の英語訳解が読みのところを
妙
(
みょう
)
にせきこんだ。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
妙
(
みょう
)
な事をするな——と思って、赤とんぼはその指先を見ていました。
赤とんぼ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
芭蕉は間もなくいくつかの森を形取って植えられ、彼はその下をくぐりぬけ生々しい緑を見上げたが、その緑がペンキのようになま新しくて、
妙
(
みょう
)
に落ちつきがなくそわそわしたものばかりであった。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「だけどね、私、
妙
(
みょう
)
な夢を見ちゃったの」
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
独り
妙
(
みょう
)
と
隈
(
くま
)
なく八方を見廻しぬ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
「
仰
(
おお
)
せまでもなく、
機
(
き
)
に応じ、変にのぞんで、
昌仙
(
しょうせん
)
が
軍配
(
ぐんばい
)
の
妙
(
みょう
)
をごらんにいれますゆえ、かならずごしんぱいにはおよびませぬ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど、
学校
(
がっこう
)
のお
習字
(
しゅうじ
)
は、どうしても
右手
(
みぎて
)
でなくてはいけませんので、お
習字
(
しゅうじ
)
のときは
妙
(
みょう
)
な
手
(
て
)
つきをして、
筆
(
ふで
)
を
持
(
も
)
ちました。
左ぎっちょの正ちゃん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「何と何だって、たしかにあるんだよ。第一爪をはがす
鑿
(
のみ
)
と、鑿を
敲
(
たた
)
く
槌
(
つち
)
と、それから爪を
削
(
けず
)
る小刀と、爪を
刳
(
えぐ
)
る
妙
(
みょう
)
なものと、それから……」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その後間もなくシャクは
妙
(
みょう
)
な
譫言
(
うわごと
)
をいうようになった。何がこの男にのり移って
奇怪
(
きかい
)
な言葉を吐かせるのか、初め近処の人々には
判
(
わか
)
らなかった。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
妙
(
みょう
)
なところから、地下を
経
(
へ
)
て送りこまれたのだ。これも時計屋敷の最初の主人公ヤリウスの秘密の設計なのであろうか。
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
宗十郎夫婦はその前は
荻江節
(
おぎえぶし
)
の
流行
(
はや
)
らない
師匠
(
ししょう
)
だった。何しろ始めは生きものをいじるということが
妙
(
みょう
)
に
怖
(
おそろ
)
しくって、と宗十郎は正直に白状した。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
に幕府が最後の死力を張らずしてその政府を
解
(
と
)
きたるは時勢に応じて
好
(
よ
)
き
手際
(
てぎわ
)
なりとて、
妙
(
みょう
)
に説を
作
(
な
)
すものあれども、
一場
(
いちじょう
)
の
遁辞
(
とんじ
)
口実
(
こうじつ
)
たるに過ぎず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それに
四辺
(
あたり
)
が
妙
(
みょう
)
に
薄暗
(
うすくら
)
くて
気
(
き
)
が
滅入
(
めい
)
るようで、
誰
(
だれ
)
しもあんな
境遇
(
きょうぐう
)
に
置
(
お
)
かれたら、
恐
(
おそ
)
らくあまり
朗
(
ほがら
)
かな
気分
(
きぶん
)
にはなれそうもないかと
考
(
かんが
)
えられるのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ちょっとほのめかしてみたことがあるにはあるんですが、……何だか
妙
(
みょう
)
な
工合
(
ぐあい
)
になってしまいましてねえ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
いつも自分で
行李
(
こうり
)
を
締
(
し
)
めていた一人の時の
味気
(
あじけ
)
なさが思い出されてきて、「とにかく二人で長くやって行きたい」とこんなところで、——
妙
(
みょう
)
にあまくなってゆく。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
“妙”の意味
《形容動詞》
(みょう)普通でない。道理に合わない。不思議だ。奇妙だ。
《名詞》
(みょう)巧みであること。優れていること。
(出典:Wiktionary)
妙
常用漢字
中学
部首:⼥
7画
“妙”を含む語句
巧妙
微妙
神妙
美妙
白妙
奇妙
端厳微妙
妙手
妙義山
妙齢
妙諦
玄妙
霊妙
妙機
妙子
妙見
妙義
南無妙法蓮華経
敷妙
妙音
...