トップ
>
偖
>
さて
ふりがな文庫
“
偖
(
さて
)” の例文
源右衞門を始め、同行は皆どうも怪しいと思つたけれど、
偖
(
さて
)
文吾がどうして金と玉とを手に入れたか、見當の附けやうもなかつた。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
持つ
意
(
つも
)
りでございますが、
偖
(
さて
)
故郷というところは案外予言者を入れぬもので、
襤褸
(
ぼろ
)
を纏った私などはさぞ虐待されることでございましょう
国事犯の行方:―破獄の志士赤井景韶―
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
書終り
偖
(
さて
)
いかに酒は來りしや
大膳太夫
(
だいぜんのたいふ
)
殿と云へば露伴子ヂレ込み
先刻
(
さつき
)
聞合せると云たばかりに沙汰なしとは
酷
(
ひど
)
い奴だと烈しく手を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
偖
(
さて
)
も従来の劇作家を数ふれば、故黙翁あり。学海、桜癡の二家あり、其他小説家中にて劇詩を試みたるものゝ数も
尠
(
すく
)
なからず。
劇詩の前途如何
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
起
(
おこ
)
しけるは
怖
(
おそ
)
ろしとも又
類
(
たぐ
)
ひなし寶澤は此事を心中に深く
祕
(
ひ
)
し其時は
然氣
(
さりげ
)
なく感應院へぞ歸りける
偖
(
さて
)
翌
(
よく
)
年は寶澤十二歳なり。
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
訳が有って三藏どんが
己
(
おら
)
が
処
(
とけ
)
え頭を下げて来て、
偖
(
さて
)
作右衞門どん、
何
(
ど
)
うも
他
(
た
)
の者に話をしては
迚
(
とて
)
も
埓
(
らち
)
が明かねえ、人一人は大事な者なれども
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
偖
(
さて
)
は穴倉へでも通じて居るのかそれとも下の室へ出られるのかと、下へ下へと降りて行くと突き当たる所に又戸がある。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
偖
(
さて
)
はと梅子の胸
轟
(
とどろ
)
くを、松島は
先
(
ま
)
づ口を開きつ「我輩が松島と云ふ
無骨漢
(
ぶこつもの
)
です——御芳名は兼ねて承知致し居ります」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
三四郎は此説を聞いて、大いに尤もな様な、又
何所
(
どこ
)
か
抜
(
ぬ
)
けてゐる様な気がしたが、
偖
(
さて
)
何所
(
どこ
)
が
抜
(
ぬ
)
けてゐるんだか、
頭
(
あたま
)
がぼんやりして、
一寸
(
ちよつと
)
分
(
わか
)
らなかつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
偖
(
さて
)
、
斯
(
こ
)
うして家庭が貧困の
裡
(
うち
)
に
喘
(
あえ
)
いで居乍らも、金さえ這入れば私は酒と女に耽溺する事を忘れませんでした。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
偖
(
さて
)
、毒蛇に噛まれたら、身体はどんな状態を呈するかを事の
序
(
つひで
)
に述べて見よう。毒蛇に噛まれたとき其の歯の痕は正確に認めることの
殆
(
ほとん
)
ど出来ない程小さい。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
這麼事
(
こんなこと
)
を
恐
(
おそ
)
れるのは
精神病
(
せいしんびやう
)
に
相違
(
さうゐ
)
なき
事
(
こと
)
、と、
彼
(
かれ
)
も
自
(
みづか
)
ら
思
(
おも
)
ふて
是
(
こゝ
)
に
至
(
いた
)
らぬのでも
無
(
な
)
いが、
偖
(
さて
)
又
(
また
)
考
(
かんが
)
へれば
考
(
かんが
)
ふる
程
(
ほど
)
迷
(
まよ
)
つて、
心中
(
しんちゆう
)
は
愈々
(
いよ/\
)
苦悶
(
くもん
)
と、
恐怖
(
きようふ
)
とに
壓
(
あつ
)
しられる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「まアどうしたと云うのだろう」お清は
呆
(
あき
)
れて了った。老母と細君は顔見合して黙っている。真蔵は
偖
(
さて
)
は
愈々
(
いよいよ
)
と思ったが今日見た事を打明けるだけは
矢張
(
やはり
)
見合わした。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
愉快そうに一笑を放ってから、
偖
(
さて
)
とばかり郎党のひとりひとりへ、迅速に
且
(
か
)
つ明快な指揮をさずけてから、自分はすぐ身を
翻
(
ひるがえ
)
して、主人小寺
政職
(
まさもと
)
の
居室
(
きょしつ
)
へ駆けて行った。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……
偖
(
さて
)
は今見たのは狐の
嫁入
(
よめいり
)
でなかったろうか?
後
(
あと
)
に
黄
(
き
)
な菜の花が
芬々
(
ぷんぷん
)
と烈しく匂うていた。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
偖
(
さて
)
其容れ物なる籠も、時には形代なる観念の媒介を得て、神格を附与せられて依代となるので、粉河の髯籠・木津のひげこ、或は幟竿の先に附けられる籠玉は、此意味に於て
髯籠の話
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
逾越
(
すぎこし
)
と云へる「
種
(
たね
)
入れぬ
麺包
(
パン
)
の
祭
(
まつり
)
」近づけり。
祭司
(
さいし
)
の
長
(
をさ
)
学者たち、
如何
(
いか
)
にしてかイエスを殺さんと
窺
(
うかが
)
ふ。
但
(
ただ
)
民を
畏
(
おそ
)
れたり。
偖
(
さて
)
悪魔十二の
中
(
うち
)
のイスカリオテと
称
(
とな
)
ふるユダに
憑
(
つ
)
きぬ。
LOS CAPRICHOS
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
偖
(
さて
)
この噉蓄の事たるや、
夫々
(
それぞれ
)
宗旨社会に仏の制度、祖師の厳規のある有れば、元来政府より出令すべき事柄にあらざるに、遂に出令ありしは、その意旨を察するに、只僧侶に対し
洪川禅師のことども
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
当家
(
こちら
)
のお弟子さんが危篤ゆえ
知
(
しら
)
せると
云
(
いわ
)
れ、妻女は
偖
(
さて
)
はそれ
故
(
ゆえ
)
姿を
現
(
あらわ
)
したかと
一層
(
いっそう
)
不便
(
ふびん
)
に思い、その
使
(
つかい
)
と
倶
(
とも
)
に病院へ車を
飛
(
とば
)
したが
最
(
も
)
う間に
合
(
あわ
)
ず、彼は死んで
横倒
(
よこたわ
)
っていたのである
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
一同
(
いちどう
)
は
飛立
(
とびた
)
つて、
四方
(
しほう
)
を
見廻
(
みまわ
)
したが、
何
(
なに
)
も
見
(
み
)
えない。
偖
(
さて
)
は
心
(
こゝろ
)
の
迷
(
まよひ
)
であつたらうかと、
互
(
たがひ
)
に
顏
(
かほ
)
を
見合
(
みあは
)
す
時
(
とき
)
、またも
一發
(
いつぱつ
)
ドガン! ふと、
大空
(
おほぞら
)
を
仰
(
あほ
)
いだ
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は、
破鐘
(
われがね
)
のやうに
叫
(
さけ
)
んだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
偖
(
さて
)
先年来、御尽力被
レ
下候段、
忝
(
かたじけなく
)
存候。則吾ガ為メニ尽候所、則、国家ニ尽ス所タルヤ明カナリ。
仍而何歟
(
よつてなにか
)
為
レ
酬
レ
之、吾所蔵致候、旧赤穂ノ家臣神崎則休遺刀無銘一口貴兄進上致候。
手紙:038 慶応二年十月五日 吉井友実あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
衣川
(
ころもがは
)
は
和泉
(
いづみ
)
ヶ
城
(
じやう
)
をめぐりて、高館の下にて大河に落入る。
康衡
(
やすひら
)
が旧跡は衣ヶ関を隔てて、南部口をさし堅め
夷
(
えびす
)
をふせぐと見えたり。
偖
(
さて
)
も義臣すぐつて此城にこもり、功名一時の
叢
(
くさむら
)
となる。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
(以上北越奇談の説)
偖
(
さて
)
茲
(
こゝ
)
に
夜光珠
(
やくわうのたま
)
の
実事
(
じつじ
)
あり。
我
(
われ
)
文政二年卯の春
下
(
しも
)
越後を
歴遊
(
れきいう
)
せしをり、三嶋郡に入り
伊弥彦
(
やひこ
)
明神を
拝
(
をがみ
)
、
旧知識
(
きうちき
)
なれば高橋
光則翁
(
みつのりをう
)
を
尋
(
たづね
)
しに、翁大によろこびて
一宿
(
いつしゆく
)
を
許
(
ゆる
)
しぬ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
西鶴も「
偖
(
さて
)
も
此所
(
ここ
)
の私雨、恋をふらすかと袖ぬれて行ば」(『三代男』)「軒端はもろ/\のかづらはひかゝりてをのづからの滴こゝのわたくし雨とや申すべき」(『五人女』)などと使っている。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
「一昨夜
者
(
は
)
大酔、久々にて
散鬱候
(
うつをさんじそろ
)
。
偖
(
さて
)
三木三郎君事、昼後は日々あとくり有之候様、公より御加鞭被下候様奉希候。後室よりは被申候ても不聞者に御坐候。此義乍御面倒奉煩候。不一。三郎。五郎様。」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
聞
(
きゝ
)
上州より
誰
(
たれ
)
も來る
筈
(
はず
)
なし
偖
(
さて
)
は吉三郎
尋
(
たづ
)
ね來りしならん
此方
(
こなた
)
へ
通
(
とほ
)
せとて吉三郎に
對面
(
たいめん
)
し其方は
何用
(
なによう
)
有
(
あ
)
りて來りしやと云に吉三郎は
叮寧
(
ていねい
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
偖
(
さて
)
、斯うして巨財を贈わった。本条純八は、是迄の貧しい生活を捨てて、栄誉栄華に日を送る事を、何より先に心掛けた。
高島異誌
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
グツト睨み置き
偖
(
さて
)
風呂に
入
(
い
)
りて銘々
一閑張
(
いつかんばり
)
の机を借り受け
駄洒
(
だじや
)
中止紀行に取りかゝる宿の人
此体
(
このてい
)
を見て不審がる二時間ほどにして露伴子
先
(
ま
)
づ筆を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
偖
(
さて
)
、足利の町から三十一町、
行道山
(
ぎょうどうざん
)
の
方
(
かた
)
へ参ります道に
江川
(
えがわ
)
村と云う所が有ります。此処に
奧木佐十郎
(
おくのぎさじゅうろう
)
と云って
年齢
(
とし
)
六十に成る極く
堅人
(
かたじん
)
がございます。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
偖
(
さて
)
こそと私は折り返へして、「何か喰べたいものでもあれば、遠慮なく言つて來て下さい。直ぐ送ります」
ごりがん
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
偖
(
さて
)
は秀子の服と思われる彼の日影色の被物から出た名刺に大場連斎とあったのが全く此の悪医者だなと
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
是は
屹度
(
きつと
)
別の音が
大根卸
(
だいこおろし
)
の樣に自分に聞えるのに極つてゐると、すぐ心の
裡
(
うち
)
で覺つたやうなものゝ、
偖
(
さて
)
それなら果して何處から何うして出るのだらうと考へると
矢
(
や
)
ツ
張
(
ぱり
)
分らない。
変な音
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『申し上ぐるも背汗の至りに存じますが、本所林町に
店借
(
たながり
)
して、
侘
(
わび
)
しく浪人暮しをいたしておりまするが、
偖
(
さて
)
、仕官の口も見あたらず、ただ無為な日を過して居りまするばかりで』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
偖
(
さて
)
其次席に
列
(
つら
)
なれる山木梅子が例の質素の
容子
(
ようす
)
を見て、
暫
(
しば
)
し
躊躇
(
ためら
)
ひつ「山木様は独立で、婦人社会の為に
御働
(
おはたらき
)
なさらうと云ふ御志願で、
特
(
こと
)
に
阿父
(
おとつさん
)
は屈指の紳商で
在
(
いら
)
つしやるのですから」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
アンドレイ、エヒミチはイワン、デミトリチの
顏付
(
かほつき
)
、
眼色
(
めいろ
)
抔
(
など
)
を
酷
(
ひど
)
く
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
つて、
如何
(
どう
)
かして
此
(
こ
)
の
若者
(
わかもの
)
を
手懷
(
てなづ
)
けて、
落着
(
おちつ
)
かせやうと
思
(
おも
)
ふたので、
其寐臺
(
そのねだい
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
し、
些
(
ちよつ
)
と
考
(
かんが
)
へて、
偖
(
さて
)
言出
(
いひだ
)
す。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
(以上北越奇談の説)
偖
(
さて
)
茲
(
こゝ
)
に
夜光珠
(
やくわうのたま
)
の
実事
(
じつじ
)
あり。
我
(
われ
)
文政二年卯の春
下
(
しも
)
越後を
歴遊
(
れきいう
)
せしをり、三嶋郡に入り
伊弥彦
(
やひこ
)
明神を
拝
(
をがみ
)
、
旧知識
(
きうちき
)
なれば高橋
光則翁
(
みつのりをう
)
を
尋
(
たづね
)
しに、翁大によろこびて
一宿
(
いつしゆく
)
を
許
(
ゆる
)
しぬ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
偖
(
さて
)
、それからの私は、妻の日常生活——些細な外出先から其の一挙手一投足に至る迄、萬遺漏無き注視の眼を向ける事を怠りませんでした。問題の眼鏡に就いて確めた事は云う迄もありません。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
ははァ
偖
(
さて
)
は神田の半七、ドイルの探偵物でも読んだかな? などと疑問点を打ち
度
(
た
)
くなる。だが十九歳の
初
(
うい
)
働きだ。そうそう突っ込むにも及ぶまい。
半七雑感
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
能々
拜見
(
はいけん
)
して
偖
(
さて
)
申やう此御短刀は私し
望
(
のぞみ
)
御座なく候何卒君の
常々
(
つね/″\
)
御
手馴
(
てなれ
)
し方を
戴
(
いたゞ
)
き度
旨
(
むね
)
願ひければ君も
御祕藏
(
ごひざう
)
の短刀を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
踏み出し足溜りをこしらへてはまた踏み固め二間餘のところ道をつけ
偖
(
さて
)
立戻り
蝙蝠傘
(
かふもりがさ
)
の
柄
(
え
)
の先を女に
確
(
しか
)
と掴ませ危うくも渡り越して互にホト息して無事を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
偖
(
さて
)
、お話も次第に申し尽し、種切れに相成りましたから、何か
好
(
よ
)
い種を買出したいと存じまして、或お方のお供を幸い
磯部
(
いそべ
)
へ参り、それから
伊香保
(
いかほ
)
の方へまわり
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
武器、
装束
(
しょうぞく
)
、一切はすでに安兵衛の浪宅まで密かに船上げしてあるし、こうすべての準備は、
何日
(
いつ
)
でもというように出来たが、
偖
(
さて
)
、最後のたった一つの探りだけが何うしても掴めない。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上の境内には待合や料理屋の如きものは在る筈はありません。
偖
(
さて
)
は暖かいので散歩と
洒落
(
しゃれ
)
るのか、と思いつつ、私も急ぎ車を捨てて二人が上り切った頃を見計って石段を駈け上って行きました。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
日曜
(
にちえう
)
になつたら、
朝
(
あさ
)
早
(
はや
)
く
起
(
お
)
きて
何
(
なに
)
よりも
第
(
だい
)
一に
奇麗
(
きれい
)
な
湯
(
ゆ
)
に
首丈
(
くびたけ
)
浸
(
つか
)
つて
見樣
(
みやう
)
と、
常
(
つね
)
は
考
(
かんが
)
へてゐるが、
偖
(
さて
)
其
(
その
)
日曜
(
にちえう
)
が
來
(
き
)
て
見
(
み
)
ると、たまに
悠
(
ゆつ
)
くり
寐
(
ね
)
られるのは、
今日
(
けふ
)
ばかりぢやないかと
云
(
い
)
ふ
氣
(
き
)
になつて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
旦那の泊りに來なかつたことが、
切
(
せ
)
めてもの有り難さであつたけれど、
偖
(
さて
)
今こゝで旦那に棄てられたら、この家は何うなるであらうかと、二番鷄の歌ふ頃には、そんなことをもちら/\考へて來た。
兵隊の宿
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
偖
(
さて
)
自身
(
じしん
)
には
未
(
いま
)
だ一
度
(
ど
)
も
戀愛
(
れんあい
)
てふものを
味
(
あぢは
)
ふた
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
いので。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
○
偖
(
さて
)
同行十二人、まづ草に
坐
(
ざ
)
して
憇
(
いこ
)
ふ時、
已
(
すで
)
に
下晡
(
なゝつさがり
)
なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「
偖
(
さて
)
はそういう幽霊であったか。杖を遺したのが誤りであったが、夫れも止むを得ない因縁なのであろう」
稚子法師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
偖
(
さて
)
其の次の日は、吉田監物家来下河原園八郎がお呼出しに相成り、縁側の処へ
上下
(
かみしも
)
無刀で出て居ります。
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
偖
(
さて
)
は、遊学かな。いい事じゃ。若い者はどしどしと、中央へ行って、日本が今、世界の中でどう動いているか、又いかに我が国が今——又将来、多事多難な時代の潮に向いかけておるか。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
偖
漢検1級
部首:⼈
11画
“偖”を含む語句
偖置
偖々
偖愈
偖措