)” の例文
旧字:
彼がいかる時はわにのごとく、った時は河童かっぱのごとく、しかしてねむった時は仏顔ほとけがおであったかも知れぬ。また半耳君はんじくんにしても然りである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
さかずきかずがだんだんかさなるうちに、おかしららしいおには、だれよりもよけいにって、さもおもしろそうにわらいくずれていました。
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
若者わかものは、さけっていませんから、よくおじいさんのいうことがわかりました。自分じぶんわるかったとおもいました。若者わかものあたまをかきながら
いいおじいさんの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
初恋にう少年少女のたわいのない睦言むつごとりに過ぎないけれども、たがいに人目をしのんでは首尾していたらしい様子合いも見え
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
さらに下のほうでは、ぱらったキャベツが、驢馬ろばの耳を打ち振り、上気のぼせたねぎが、互いに鉢合せをして、種でふくらんだ丸い実を砕く。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
ひどく口ぎたなかったり、いつもっぱらっていた。わたしはそういうおそろしい人間の一人に使われなければならないのであろうか。
いたすわけがありません。あなたはお酒にっておやすみになったので、おおかた、そういうゆめでもごらんになったのでしょう。
神様の布団 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
私のおやじは紫紺の根を掘って来てお酒ととりかえましたが私は紫紺のはなしを一寸ちょっとすればこんなにうくらいまでお酒がめるのです。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
万一射ちころされたとしても散々さんざん甘味うまみな酒にれたあとの僕にとって『死』はなんの苦痛でもなければ、制裁とも感じない。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、ミサ子がもじもじしたので、そこで笑いがうずまいた。だいぶってきたマスノは、磯吉のそばによってきて、コップを手ににぎらせ
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
紅い庚申薔薇こうしんばらの花びらは、やがて蜜にった蜂の後へ、おもむろに雌蜘蛛の姿をいた。と思うと蜘蛛は猛然と、蜂の首もとへおどりかかった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
人々は、その歌を聞くと、まるで、お茶にったように、とても楽しくなりました。この、お茶に酔うというのは、まったく中国式なのです。
くもうごいて、薄日うすびして、らしたむねと、あふいだひたひかすかにらすと、ほつとつたやうないろをしたが、くちびるしろく、血走ちばしるのである。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その夜は、いくら飲んでも、いがまわらず、むなしい興奮と、練習づかれからでしょう、頭はうつろ、ひとみはかすみ、まぶたはおもく時々痙攣けいれんしていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
声を聞いたばかりでもいきいきした思いに満たされた。たまにはうまく出合ってことばをかわすことができれば、あまい気持ちにうのであった。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そのご即位そくいのお祝いのときに、天皇はお酒をどっさりしあがって、ひどくおいになったままおやすみになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
三四郎は少しつた様な心持である。くちすと、つる/\とる。与次郎は手をして、三四郎のひたひを抑へた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
飛躍する気持になりい。何物かにうて恍惚こうこつとした情熱にわれを忘れたい。大体だいたいこういう気風である。だが、世上一般の実状はその反対をしいている。
饗宴は酒甕みわから酒の減るにつれて乱れて来た。鹿はつぶれた若者たちの間を漫歩しながら酢漿草かたばみそうの葉を食べた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
二合になり三合になり、相手があると一しょうの酒を飲む。それだけでやまずにおりおり外へでて喧嘩をする、かれはうとかならず喧嘩をするのであった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
フィアレンサイドは、いのまわってきたビールのいきおいもあって、テーブルをたたきながら、がんとして言いはった。ヘンフリイはまだ半信半疑はんしんはんぎ
「そりゃあ、そうだとも、気ちげえだって普通ただの女だって、恋に狂えば紙一重——どうせ、おら達だって、食いや、気ちげえだでなあ——へ、へ、へ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
酒にって帰った与平に対して、千穂子がおこってぷりぷりしていると、しきりに頭をこすりつけてあやまるのだ。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
本堂ほんどうの中には蝋燭そうそくが明るくともっていましたが、盗賊とうぞくどもはさけぱらって、そこにごろごろねむっていました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
康頼 西光殿さいこうどのが横合いから口を入れて言った。あまりに瓶子へいし(平氏)が多いのでってしまった。この目ざわりな瓶子(平氏)をどうしたものだろう、と。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
ただ二ヶげつに一だけ、理髪師とこやのセミョン、ラザリチばかりここへる、そのおとこはいつもってニコニコしながらってて、ニキタに手伝てつだわせてかみ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこに生ずる悲哀よりも歓喜よりも、何よりもそこに存する真実のうたをこそ尊ぶべきだ、と僕は思う。……清原、恋をしたまえ。一切を捨てて恋にいたまえ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
彼はくらふことかたはらに人無きごとし。満枝のおもて薄紅うすくれなゐになほゑひは有りながら、へるていも無くて、唯打案じたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
朝のが、ゆらゆらとかいのあいだからしてくると、つよい気高けだか香気こうき水蒸気すいじょうきのようにのぼって、ソヨとでも風があれば、恍惚こうこつうばかりな芳香ほうこうはなをうつ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
へば蒼白あをじろくなる顔は益々ます/\蒼白あをじろひいでたまゆを寄せて口を一文字に結んだのを見るとふさ可恐こはいと思つた。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ぐせ浄瑠璃じょうるりのサワリで泣声をうなる、そのときの柳吉の顔を、人々は正当に判断づけていたのだ。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
いもしない中からひどいくだだねエ、バアジンへ押込んで煙草三本拾う方じゃあ無いかエ、ホホホホ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この新しい、ついぞ味わったこともない感覚は、わたしをわせたばかりか、陽気にさえしたので、肝心かんじんのジナイーダのことは、ほとんど考えに上らないほどだった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
アヽ杉山君すぎやまくんうか過日くわじつうもぼくえらうた、前後忘却ぜんごばうきやくといふのはの事かい、下宿げしゆくかへつて翌日の十時すぎまで熟睡じゆくすゐをしてしまうたがアノやうた事はあまり無いよ
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
だから今度はなるべく長くくわしく話してもらおうと思って、ぱらいのあとから通りかかったお婆さんの傍へ寄って、事情わけを話して身の上話しを聞かしてくれと頼んだ。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
こういう話を聴きながら、僕はいつの間にか寝入ってしまったが、いの覚めて行くに従って、目も覚めて来て、再び眠られなくなった。神経が段々冴えて行くのであった。
戦話 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
伝平はどうかすると、無理にぱらって、高木の家へそんなことを言って行くことがあった。
(新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
実際此処ではさかなと云えば已に馳走で、鮮否は大した問題では無い。近所の子供などが時々真赤な顔をして居る。酒を飲まされたのでは無い。ふるいさばや鮪にうたのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
はじかれた煎豆いりまめのように、雨戸あまどそとしたまつろうは、いも一てて、一寸先すんさきえなかったが、それでも溝板どぶいたうえけだして、かど煙草屋たばこやまえまでると
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
街灯のともつてゐない真ツ暗がりに、Kは自分の鼻先にのひよろ高い男が立塞たちふさがつてゐるのを見たので、ぱらひがよくするやうにKは丁寧に帽子を取つてお辞儀をしたが
少々せう/\のおまじないが御座ございましても、つてれば気のく事ではございませぬ。
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
そのくせ毎晩小田原の町を彷徨ほうこうしていたのだ。れていたのである。
流浪の追憶 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
壁塗りの手間賃てまちんのことで、壁辰さんに話すのを忘れたことがあるのだ。ちょっと誰かに使いに行って、呼んで来てもらいたいと思うのだが、どいつもこいつもらいっていて、てんで家にいません。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
どろのやうにぱらはせた兵士へいしらを御用船ごようせんみ込んでおくさうと
君不酔作麼生 君とたいしてわずんば作麼生いかんせん〕
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
つて、つて、つぱらつてさ、ひよろひよろと
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
もう新しい酒にったような気がする。
その香にれて倒れるほど
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
ひたはれ握る冷たき老の手よ
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
「それじゃうぜ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)