)” の例文
旧字:
正二しょうじ、きょうは日曜日にちようびだろう。おかあさんをゆっくりかしておいてあげな。おとをたてると、おかあさんが、をおさましになるよ。」
お母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうなると、もうなんでもつよい人に加勢かせいたのむよりしかたがないとおもいまして、このあいだからはしの上にっていたのでございます。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
要するに東京が日々攻め寄せる。以前聞かなかった工場こうばの汽笛なぞが、近来きんらい明け方の夢を驚かす様になった。村人もては居られぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ひるすこしまえにはもう二人ふたりにいさんが前後ぜんごして威勢いせいよくかえってた。一人ひとりにいさんのほう袖子そでこているのをるとだまっていなかった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そうするとその矢は、若日子がちょうど下界であおむきにていた胸のまん中を、ぷすりと突きして一ぺんで殺してしまいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
りませんよ。おっかさんが風邪かぜいて、ひとりでててござんすから、ちっともはやかえらないと、あたしゃ心配しんぱいでなりませんのさ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
もうじっとしてていられないような気持ちになりました。でも、しばらくじっと我慢がまんしていますと、また同じ子供の声がするのです。
神様の布団 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
そのうちにあまがえるは、だんだんよいがまわって来て、あっちでもこっちでも、キーイキーイといびきをかいててしまいました。
カイロ団長 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
このとき早く富田六段は、ごろりところんでしまった。まるで昼寝でもするように板の間にあおむけに寝てにこにこわらっている。
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
吃驚びつくりして、つて、すつとうへくと、かれた友染いうぜんは、のまゝ、仰向あふむけに、えりしろさをおほあまるやうに、がつくりとせきた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「もしおゆるしくださいますなら、わたくしはその魔法まほうのかけられているお城で、三日三晩みっかみばんずのばんをいたしとうございます。」
そんなに毎晩かしてろくもしないじゃないか。何の事だ。風邪かぜでも引くとくない。勉強にも程のあったものだとやかましく云う。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それからところとな——ほかにもいろいろやってもらいたいことはあるが、とりあえずそれだけを、おまえの力でぜひなんとかしてくれ
るや否や眼についた木瓜は二十年来の旧知己である。見詰めているとしだいに気が遠くなって、いい心持ちになる。また詩興が浮ぶ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
伊部熊蔵いのべくまぞう山掘夫やまほりどもや、あとからくりこんだ大久保おおくぼ手勢てぜいは、みな、貝殻虫かいがらむしのように、砦の建物たてものにもぐりこんでているようす。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ある日も、王子は芝生しばふの上にころんで、むこうの高いかべをぼんやりながめていました。かべむこうには、青々とした山のいただきのぞいていました。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
鹿しかがひどくくのを聞いていて、「われ劣らめや」(秋なれば山とよむまで啼く鹿にわれ劣らめやひとる夜は)と吐息といきをついたあとで
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それから手酌てじゃくで、一ぱい二はいと重ねているうちに、いい心持になって、そのまま、うとうとといどをはじめてしまいました。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
高い、青い山々のいただきには、ちょうど、ハクチョウがているようなかっこうで、まっ白い雪がキラキラ光っていました。
その時一はとが森のおくから飛んで来て、ついたなりで日をくらす九十に余るおばあさんの家のまど近く羽を休めました。
そうしたらぼくのそばにているはずのおばあさまが何か黒いきれのようなもので、夢中むちゅうになって戸だなの火をたたいていた。
火事とポチ (新字新仮名) / 有島武郎(著)
雨風にさらされ、黒くなった小さな板屋根の下に、やはり黒っぽくよごれた小さな位牌いはいが一つ、まるで横になってているようにたおれていた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ロックはすぐに、そばにていた大きな黒いものの方へとびかかってゆきました。そして、それを口ばしでくわえて、とび上ってしまいました。
復員の兵隊を見るたびに、千穂子も与平も罪のむくいを感じないではいられなかった。姑のまつは中風症ちゅうぶうしょうで、もう五年ばかりもたきりである。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
醜男ぶおとこのニルマーツキイを選び出して、うつせにるように命じたばかりか、顔を胸へたくしませさえしたものである。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
「まがなしみらくはしけらくさらくは伊豆の高嶺たかね鳴沢なるさはなすよ」(三三五八或本歌)などでも東歌的動律だが、この方には繰返しが目立つのに
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
たとえば野獣やじゅう盗賊とうぞくもない国で、安心して野天のてんや明けはなしの家でると、風邪かぜを引いてはらをこわすかもしれない。○をさえると△があばれだす。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
娘が疲れてんやりした顔付きで次の間で帯を解いてゐると、弟共が物音で寝床から起きて来た。ぼけまなこで姉を取囲みながら、何か尋ねてゐる。
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
チチアネルロ うに、夜明前に——その時君等はまだていたが——そっと門の外へ出て往った。青いひたいへ愛の接吻、その脣へ悋気りんきの言葉……。
老人はなぜてしまったか、源四郎はどう思ってるのか。使いの人らは帰るにも帰れず、ぼんやりたばこをうている。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
船室では、同室の沢村さん松山さんが、いないときが多かったので、いつでも、自分の上段の寝室しんしつにあがり、そべって、日記をつけていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
ニールスは、きのうのたびのために、からだじゅうがいたくてたまりませんでした。ですから、じっとているのが、なによりもたのしく思われました。
あのうたた気持きもち——正気せいきのあるような、またいような、んともえぬうつらうつらした気分きぶんなのでございます。
要吉は、夢の中で、そういいながら、ごろんとひとつがえりをうつと、昼間ひるまのつかれで、今度は夢もなんにも見ない、深いねむりにおちていきました。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
それから新聞の拾ひ読みをしてゐる間に昼間の疲れが襲うて、其のまゝうたをしさうになると二階へ上つて床を敷いて直ぐ寝込んでしまふのが例だ。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
みせにはいって海蔵かいぞうさんは、いつものように、駄菓子箱だがしばこのならんだだいのうしろに仰向あおむけにころがってうっかり油菓子あぶらがしをひとつつまんでしまいました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
それがまたつけられるようで快い。今眼が覚めたかと思うと、また生体しょうたいを失う。繃帯をしてから傷のいたみも止んで、何とも云えぬ愉快こころよきに節々もゆるむよう。
始めには婿が浜の方へ駄賃附だちんづけに行きたる留守るすをのみうかがいたりしが、のちには婿むこたるよるさえくるようになれり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それからている我が子に名残なごりをしみつつ「いしくば訪ね来てみよ和泉いずみなる———」と障子へ記すあの歌。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
おふざけでないよ、ているかとおもえばめていて、出しぬけにとこん中からお酒を買えたあ何のこったえ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
なくてはいけないなんの病中びやうちう失礼しつれいなにもあつたものぢやアないそれともすこきてならぼくりかゝつてるがいゝといだおこせば居直ゐなほつて。
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かりそめに敷いた蒲団ふとんの上、箱枕と小掻巻こがいまきだけのうたの姿のまま、主人の白石屋半兵衛は死んでいたのです。
添乳をしたままうたしたので、おふじの胸がすっかりはだかっていた。半鐘はとぎれとぎれに鳴り続けた。
鋳物工場 (新字新仮名) / 戸田豊子(著)
大至急の手紙には如何いかなる事を言来いいきたりけん、大原はその夜終宵よもすがら懊悩おうのうしてもやらず、翌日も心のくるしみに堪え難くてや起きも上らで昼過ぐるまで床の内にあり。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
わたしは、人をかきわけて、鉄格子てつごうしのはまったまどに向かった自分の場所ばしょへたどりつくと、両手りょうてあたまの下へあてがってあおむけにごろりとて、目をつぶりました。
アヽ杉山君すぎやまくんうか過日くわじつうもぼくえらうた、前後忘却ぜんごばうきやくといふのはの事かい、下宿げしゆくかへつて翌日の十時すぎまで熟睡じゆくすゐをしてしまうたがアノやうた事はあまり無いよ
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
かれは患者に対して、非常に親切でして、重病患者などは、その家にとまりして診療しんりょう従事じゅうじするという風でしたから、またたくまに四、五年の月日を送ってしまいました。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
次郎は、いつになくつかれていたが、とこについてからも、なかなかつかれなかった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
持って来た手燭てしょくは便所の外に置いて、内へ入った、便所の内というのも、例の上方式の前に円窓まるまどがあって、それにすだれかかっている、蹲踞しゃがんでいながらむいので何を考えるでもなく
暗夜の白髪 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)
化粧室へ行つて顔を洗つて来て髪を結つて着物を着へても、二度をした上の客はまだ起きさうにない。私は書物を持つて廊下へ出た。汽車は渓川たにがはに添つて走つて居るのであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)