“土間:どま” の例文
“土間:どま”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花20
泉鏡太郎8
吉川英治5
田中貢太郎4
海野十三4
“土間:どま”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 演劇史 各国の演劇4.9%
文学 > 日本文学 > 日本文学1.4%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)1.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
礼に往って見ると、おくは正月前らしく奇麗にかれて、土間どまにはちゃんと塩鮭しおざけの二枚もつるしてある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
かすり衣服きものの、あの弟御おとうとごが、廂帽子ひさしばうしよこツちよに、土間どま駈足かけあし
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
健三は時々薄暗い土間どまへ下りて、其所そこからすぐ向側むこうがわの石段を下りるために、馬の通る往来を横切った。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大変寒いので気がついてみますと、もう夜は明けかかり、わしは元の室の土間どまの上にころがっているという始末しまつ
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
土間どまつて與吉よきちはそつと草履ざうりいで危險相あぶなさうしてとつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
一足飛びに走り出てみると、果たして台所の土間どまが雪に汚れて、何ものかの忍びこんだ形跡ぎょうせき歴然れきぜん
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
丹治は老人の傍にあるわら打ち台の石の上に腰をかけた。息子の嫁らしい小柄な女が盆へ茶碗を載せて土間どまの口から出て来た。
怪人の眼 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
おもてには村落むらものやうやえて土間どまから座敷ざしきあがものもあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おほき塗下駄ぬりげたつけるやうに、トンと土間どまはひつてて、七輪しちりんよこつた
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
土間どま一面いちめんあたりで、盤臺はんだいをけ布巾ふきんなど、ありつたけのものみなれたのに
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
百姓屋ひやくしやうや土間どまゑてある粉挽臼こなひきうすも、みなもつて、じろじろめるやうで
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と、土間どまぎれをけずっている諭吉ゆきちこえをかけました。諭吉ゆきちは、すぐにでてきましたが、
近所の店屋とちがい、家は、土間どま暖簾のれんのうちもんやりとうす暗く、柳斎はつねに、裏二階に、起きししていた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
焼山やけやまの一けん茶屋ちやや旅籠はたごに、雑貨荒物屋ざつくわあらものやねた——土間どま
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
車を引き込むので土間どまは広いのですが、ただ二間のようですから、引子はどこへ寝かすのかと聞きましたら、「二階です」といいます。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
ちょうどそのころ、サーカスの中では、まんなかの丸い土間どまに、はなやかな曲馬きょくばがおこなわれていました。
サーカスの怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
土間どまはしまでゐざりでて、ひざをついて、あはすのを、振返ふりかへつて、母衣ほろりた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
室内しつない一部分には土間どま有りて此所ここは火をき、水瓶みづがめを置く爲に用ゐられたるならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
と、なにげなく立ちよって、なかのおい床几しょうぎの上へ安置あんちすると、土間どまのうちで荒々あらあらしい人声。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
広い土間どまの上に、薄い板が張ってあって、その一隅いちぐうに、この風船作業が四組固まって毎日のように、風船を貼っているのだった。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あにのこして、克明こくめい父親てゝおや股引もゝひきひざでずつて、あとさがりに玄関げんくわんから土間どま
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「あすこから来るよ」と、小供は何時いつも空車を引込んで置く狭い土間どま敷居しきいの下に指をさした。
車屋の小供 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
人もない部落がある。有市ありちの部落だ。——陶山と小見山は一軒のやや大きなワラ屋根の土間どまへ入った。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小作人たちはあわてて立ち上がるなり、草鞋わらじのままの足を炉ばたから抜いて土間どまに下り立つと、うやうやしく彼に向かって腰を曲げた。
親子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
その横町よこちょう居酒屋いざかや川越屋かわごえや土間どまへとびこんだチョビ安は、威勢よく、
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
夜中にふと眼がさめると台所の土間どまの井戸端で虫の声が恐ろしく高く響いているが、傍には母も父も居ない。
追憶の冬夜 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
藪入り小僧たちの扇の音のざわついている土間どまのまん中で、わたしはいよいよ劇作家たるべき決心を固めた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
どうかすると紅葉や露伴や文壇人の噂をする事も時偶ときたまはあったが、舞台の役者を土間どま桟敷さじきから見物するような心持でいた。
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
駄菓子屋だぐわしや縁臺えんだいにも、船宿ふなやど軒下のきしたにも、蒲燒屋かばやきや土間どまにも成程なるほどたが。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ハツと顔を上げると、坊主は既に敷居を越えて、目前めさき土間どまに、両膝りょうひざを折つて居た。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
云いたいことを云ってしまった女房は、やっと体が軽くなったので、土間どまへおりて微暗うすぐらい処で、かたかたと音をさしはじめた。
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その時男は細君と女の子を連れて、土間どまの何列目か知らないが、かねて注文しておいた席に並んでいた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しばらくするとドカドカと二、三人の人が、入りのすくない土間どまの、私のすぐ後へ来た様子だったが、その折は貞奴の出場でばになっていた。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
一座の俳優は団十郎、菊五郎、左団次、仲蔵、半四郎、宗十郎、家橘かきつ、小団次、小紫などで、観客は桟敷にも土間どまにも一杯に詰まっていた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
うぞ此方こつちへお上りやはつとくれやす。』と、土間どま床几しやうぎに腰をかけてゐる二人をひて、奧まつた一室に案内した。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
妻は台所の土間どま藁火わらびいて、裸体らたい死児しじをあたためようとしている。
奈々子 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
今晩も電燈が点いたので、鶴見は出居でいから土間どまに降りて、定めの椅子を引き出して腰をおろす。
母屋おもや入口いりくちはレールにちかはうにあつて人車じんしやからると土間どま半分はんぶんほどはすかひにえる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
あがり口のあさ土間どまにあるげたばこが、門外もんがい往来おうらいから見えてる。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
——其ののき土間どまに、背後うしろむきにしゃがんだ僧形そうぎょうのものがある。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
土間どまのすみのべっついのまえには、ひとりの男がうしろ向きにしゃがんで、スパリ、スパリ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土間どまから眼を放したお延は、ついに谷をへだてた向う側を吟味ぎんみし始めた。するとちょうどその時うしろをふり向いた百合子が不意に云った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
室へ帰る時、二階へ通う梯子段はしごだんの下の土間どまを通ったら、鳥屋とやの中で鶏がカサコソとまだ寝付かれぬらしく、ククーと淋しげに鳴いていた。
(新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
婦人をんなげるやうにいつて草履ざうりつツかけて土間どまへついとる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
家来けらいの一ぴき土間どまへもんどり打って転げ落ちこしってしまった。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
と女たちは、はいりもやらず、土間どまからかまちへ、せな、肩を橋にひれ伏した。
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
葡萄酒ぶだうしゆ、ラムネ、麦酒ビールなどのびん幾本いくほんも並んでて、中々なか/\とゞいたもので、土間どまひろく取つて
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
こしぬけの活地いくぢなしめ、かへりには待伏まちぶせする、横町よこてうやみをつけろと三五らう土間どま投出なげだせば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
床屋は土間どまで、穴の明いた腰かけの板に客が掛け、床屋は後にまわって仕事をする。
おどろきと、土間どまりたのが、ほとん同時どうじであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
長火鉢に寄っかかッて胸算用むなさんように余念もなかった主人あるじが驚いてこちらを向く暇もなく、広い土間どま三歩みあしばかりに大股おおまたに歩いて
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あしかず、土間どま大竈おほへツつひまへとほつて
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すると、さっきのしろ公が、いつのまにかそこの土間どまへきていて、みんながごはんをたべているのを、さもうらやましそうに、しっぽをふりながら見上げていました。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
勘太郎かんたろうはそうひとりごとを言って、それから土間どまの柱をよじ上って、ちょうど炉端ろばたがぐあいよく見えるあなのあいている天井の上に隠れた。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
そういうと、おかあさんはいきなり土間どまへおり、裏庭うらにわへでていきました。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
土間どまはしめつて、鍛冶屋かぢや驟雨ゆふだち豆府屋とうふや煤拂すゝはきをするやうな、せはしくくらく、わびしいのもすくなくない。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
船玉祀ふなだままつりの御幣柱ごへいばしらが、ひさしの裏に掛けわたしてあり、荒格子に三げん土間どま、雑多な履物が上げ潮でよせられたほど脱いである。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まあ! ひさしも、屋根も、居酒屋ののきにかかった杉の葉も、百姓屋の土間どまえてある粉挽臼こなひきうすも、皆目を以て、じろじろめるようで
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
突如とつじょ、はでな色彩いろどりが格子さきにひらめいたかと思うと、山の手のお姫様ふうの若いひとが、吹きこむ雨とともに髪を振り乱して三尺の土間どまに立った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「おお、ここのにわとりは、ねこをいかけるな。」と、土間どまほうて、おしょうさんは、さもおどろいたように、おおきなこえでいいました。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
最も普通の形は畠の片端かたはしに、または家の土間どまの隅に、小さな鼠の穴があって、爺が誤って一粒ひとつぶ団子だんごを、その穴へ転がし落してしまうのである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
はだしで土間どまに飛びおりて、かけがねをはずして戸をあけることができた。
火事とポチ (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ころがきのやうなかみつたしもげた女中ぢよちうが、雜炊ざふすゐでもするのでせう——土間どま大釜おほがましたいてました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そこの角は河合という土蔵造りの立派な酒屋で、突当りが帳場で、土間どまの両側には薦被こもかぶりの酒樽さかだる飲口のみぐちを附けたのが、ずらりと並んでいました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
真下ました土間どま金魚きんぎよがひらひらとれておよぐ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
家の中を見ると、土間どまに栗が、かためておいてあるのが目につきました。
ごん狐 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
蝋燭をかざして根太板ねだいたの落ちた土間どまを見下すと、竹の皮の草履が一足いつそくあるので、其れを穿いて、竹の葉をけて前に進むと、蜘蛛の巣が顔に引掛る。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
と、蜂谷学士はロケットの胴中どうなかを出て、土間どまに下り立った。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
顔容かおかたちすぐれて清らかな少年で、土間どま草鞋穿わらじばきあしを投げて、英国政府が王冠章の刻印ごくいん打つたる、ポネヒル二連発銃の、銃身は月の如く
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
土間どまにずらりと祝い酒の鏡を抜いて、柄杓ひしゃくが添えてある。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しかし、昼飯ひるめしもまだなのを思うと、少し心配になった。心配しいしい土間どまでぞうりを作っていると、川本大工だいくのおかみさんが、気ぜわしそうな足どりでやってきた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
のきから直ぐに土間どまへ入って、横向きに店の戸を開けながら、
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ごめんやす」とほっぽこ頭巾をぬいで木之助は土間どまにはいった。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
また土間どまには、つけものおけや、みそだるが、ならべていてあり、なかすみのほうには、まだどろのついたままのいもや、にんじんが、ころがっていました。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
僕は土間どまのまん中に立ち、機械的に巻煙草に火をつけたりした。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
入口の障子しょうじをがたがたとけて、学生マントを着た小兵こがらな学生が、雨水の光る蛇目傘じゃのめがさ半畳はんだたみにして、微暗うすくら土間どまへ入って来た。
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
不思議に、蛍火ほたるびの消えないやうに、小さなかんざしのほのめくのを、雨と風と、人と水のと、入乱いりみだれた、真暗まっくら土間どまかすかに認めたのである。
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
土間どまがあって、家の内の座敷にはもうランプがついている。
雪の日 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
中/\なかなか土間どまにすわればのみもなし 水
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
とつぜんハルクは、半身はんしんをおこすと、竹見の手から、ナイフをうばった。が、ナイフをうばったというだけのことだ。そのまま、また土間どまにかおを伏せて、うんうんと、高くうなりだした。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
暮合くれあひ土間どま下駄げたえぬ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いや、話していないどころか、あたかも蟹は穴の中に、臼は台所の土間どまの隅に、蜂は軒先のきさきの蜂の巣に、卵は籾殻もみがらの箱の中に、太平無事な生涯でも送ったかのようによそおっている。
猿蟹合戦 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
前に申す如く、西町の三番地の小さな家の、一間は土間どま、一間は仕事場で、橋を渡って這入はいれば竹の格子こうしがあって、その中で私はコツコツと仕事をやっていた(通りからは仕事場が見えた)。
讓は何時いつの間にか土間どまへ立っていた。
蟇の血 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして足音もなく土間どまへおりて戸をあけた。
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
芝居しばゐ土間どま煙草たばこつて、他人たにんたもとがしたものも、打首うちくびになるといふうはさつたはつたときは、皆々みな/\あをくなつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
劇場内に運動場を持たないその頃の観客は、窮屈な土間どまに行儀好くかしこまっているか、茶屋へ戻って休息するか、往来をあるいているかのほかはないので、天気のよい日にはぞろぞろとつながって往来に出る。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
やがて奥から、色の白い、眼の細い、意地いじの悪そうな女中じょちゅうが、手に大きいさらを持って出て来たが、その時もまだ二人は、どうしたものかと思案しあんにくれて土間どまにつったっていた。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
いまとほつてた。あの土間どまところこしけてな、草鞋わらぢ一飯したくをしたものよ。爐端ろばた挨拶あいさつをした、面長おもながばあさんをたか。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
細工場はいちだん低い土間どまになっている。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
広間に沿うた土間どまも長方形であった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そこで土間どまつかへて、「ういふ御修行ごしゆぎやうんで、あのやうに生死しやうじ場合ばあひ平氣へいきでおいでなされた」と、恐入おそれいつてたづねました。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
もっとも入口は小さなもので、中へ入るとその二間四面の漆喰しっくいで固めてある土間どまに、深さ一じょう、長さ六尺、幅六寸ほどの穴が穿うがたれてありまして、その穴の両側に四角な大きな柱が置かれてあります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
なんたらこと面白おもしろくもないと肝癪かんしやくまぎれに店前みせさきこしをかけて駒下駄こまげたのうしろでとん/\と土間どまるは二十のうへを七つか十か引眉毛ひきまゆげつく生際はへぎは
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
半分はんぶんえる土間どまでは二十四五のをんな手拭てぬぐひ姉樣ねえさまかぶりにしてあがりがまちに大盥おほだらひほどをけひか何物なにものかをふるひにかけて專念せんねんてい
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
もうそろそろ夜風の寒くなりかけた頃の晦日みそかであったが、日が暮れたばかりのせいか、格子戸内の土間どまには客は一人もいず、鉄の棒で境をした畳の上には、いつも見馴れた三十前後の顔色のわるい病身らしい番頭が小僧に衣類をたたませていた。
梅雨晴 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
母が毎度の事で天気のい日などには、おチエ此方こっち這入はいって来いと云て、表の庭に呼込よびこんで土間どまの草の上に坐らせて、自分は襷掛たすきがけに身構えをして乞食の虱狩しらみがりを始めて、私は加勢に呼出よびだされる。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
土間どまは一面の日あたりで、盤台はんだいおけ布巾ふきんなど、ありったけのもの皆濡れたのに、薄く陽炎かげろうのようなのが立籠たちこめて、豆腐がどんよりとして沈んだ、新木あらきの大桶の水の色は、うすあおく、柳の影が映って居る。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
下は物置で、土間どまからすぐ梯子段はしごだんが付いている、八畳一間ぎり、食事は運んで上げましょというのを、それには及ばないと、母屋おもやに食べにく、大概はみんなと一同いっしょぜんを並べて食うので、何を食べささりょうと頓着とんちゃくしない。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
愛知県北設楽きたしだら段嶺だみね村大字豊邦字笠井島の某という十歳ばかりの少年が、明治四十年ごろの旧九月三十日、すなわち神送かみおくりの日の夕方に、家の者が白餅しろもちを造るのに忙しい最中、今まで土間どまにいたと思ったのが、わずかの間に見えなくなった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)