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唄
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うた
ふりがな文庫
“
唄
(
うた
)” の例文
その
唄
(
うた
)
はなんのうたであるか
知
(
し
)
らなかったけれど、きいていると
楽
(
たの
)
しくうきたつうちにも、どこか
悲
(
かな
)
しいところがこもっていました。
灰色の姉と桃色の妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そこまでがほんとの話で、
突然
(
いきなり
)
、まつは
愁
(
つら
)
いとみな
仰
(
おし
)
ゃんすけれどもなア——とケロケロと
唄
(
うた
)
いだすのだった。そして小首を
傾
(
かし
)
げて
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
われわれの子供の時分の唱歌にも「蝶々蝶々、菜の葉にとまれ」というのがあったが、昔にも何かそういう
唄
(
うた
)
がありそうな気がする。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
唄
(
うた
)
わないのではありませんが、まるで
内所話
(
ないしょばなし
)
でもするように小さな声しか出さないのです。しかも
叱
(
しか
)
られると全く出なくなるのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一人二人代ってから出て来たのは、
打見
(
うちみ
)
は特色のない中年の男でしたが、何か少し話してから居ずまいを直して、
唄
(
うた
)
い出しました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
▼ もっと見る
昨夜、おばさん
三味線
(
しゃみせん
)
を持って東京へ帰り(私に
唄
(
うた
)
をうたわせ発声運動の目的で来たが私が避暑地の人達に聞かれるのを嫌がるので、)
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
熊
(
くま
)
さん、どうです、
今日
(
けふ
)
あたりは。
雪
(
ゆき
)
の
唄
(
うた
)
でもうたつておくれ。わしあ、
氷
(
こほり
)
の
塊
(
かたまり
)
にでもならなけりやいいがと
心配
(
しんぱい
)
でなんねえだ」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
寒い広場に、子守が四、五人集まって、哀れな調子の
唄
(
うた
)
を
謳
(
うた
)
っているのを聞くと、自分が田舎で貧しく育った昔のことが想い出される。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その婦人は母ではなく、琴もこの琴ではなかったかも知れぬけれども、大方母もこれを
掻
(
か
)
き
鳴
(
な
)
らしつつ幾度かあの曲を
唄
(
うた
)
ったであろう。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その
中
(
なか
)
にもなおわずかにわが曲りし
杖
(
つえ
)
を
留
(
とど
)
め、疲れたる歩みを休めさせた処はやはりいにしえの
唄
(
うた
)
に残った
隅田川
(
すみだがわ
)
の両岸であった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
馬籠
(
まごめ
)
の宿場の中央にある高札場の前あたりでは、諸国流行の
唄
(
うた
)
のふしにつれて、調練のまねをする子供らの声が毎日のように起こった。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
四部合唱の——四脚の——
唄
(
うた
)
で、彼らにそっくり似寄っていて、馬鹿げた崇厳さと平板な和声とをもって重々しく進んでいった。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そして右手には大きな人間の
腿
(
もも
)
の骨を持っていて、
唄
(
うた
)
を歌えと言ってそいつで一座の誰か一人の者をたたいたところらしかった。
ペスト王:寓意を含める物語
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
いま非常に調子のたかい、こんど出来たという第××団の軍歌を
唄
(
うた
)
ってるかと思うと、非常にハッキリした階級的なことを話す。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
そして黒眼鏡の四肢を、ぎりぎりと隅へしばりつけるとボートは、オールの
唄
(
うた
)
のどかに、鉄の橋の下を
辷
(
すべ
)
るように潜って行く——
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
踊
(
をど
)
つて
唄
(
うた
)
うて
渇
(
かつ
)
した
喉
(
のど
)
に
其處
(
そこ
)
に
瓜
(
うり
)
が
作
(
つく
)
つてあるのを
知
(
し
)
れば
竊
(
ひそか
)
に
瓜
(
うり
)
や
西瓜
(
すゐくわ
)
を
盗
(
ぬす
)
んで
路傍
(
みちばた
)
の
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
に
打
(
う
)
ち
割
(
わ
)
つた
皮
(
かは
)
を
投
(
な
)
げ
棄
(
す
)
てゝ
行
(
ゆ
)
くのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
一町
(
いつちやう
)
ばかり、
麹町
(
かうぢまち
)
の
電車通
(
でんしやどほ
)
りの
方
(
はう
)
へ
寄
(
よ
)
つた
立派
(
りつぱ
)
な
角邸
(
かどやしき
)
を
横町
(
よこちやう
)
へ
曲
(
まが
)
ると、
其處
(
そこ
)
の
大溝
(
おほどぶ
)
では、くわツ、くわツ、ころ/\ころ/\と
唄
(
うた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
尋常の大津絵ぶしと異なり、人々民権論に
狂
(
きょう
)
せる時なりければ、
妾
(
しょう
)
の
月琴
(
げっきん
)
に和してこれを
唄
(
うた
)
うを喜び、その演奏を望まるる事しばしばなりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
その時もその花畑の中にラジオの車が
据
(
す
)
えてあって
盛
(
さかん
)
に
唄
(
うた
)
を歌うていた以外には少しも感興を
唆
(
そそ
)
るものはありませんでした。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「なかなか冷えるね」と、西宮は小声に言いながら後向きになり、
背
(
せなか
)
を
欄干
(
てすり
)
にもたせ変えた時、
二上
(
にあが
)
り新内を
唄
(
うた
)
うのが
対面
(
むこう
)
の座敷から聞えた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
富士の山ほどお金をためて毎日五十銭ずつ使うつもりだとか、
馬鹿々々
(
ばかばか
)
しい、なんの意味もないような
唄
(
うた
)
ばかりなので、全く閉口のほかは無い。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
『
何
(
なん
)
の
審問
(
しんもん
)
?』
愛
(
あい
)
ちやんは
喘
(
あへ
)
ぎ/\
駈
(
か
)
けました、グリフォンは
只
(
たゞ
)
『それッ!』と
叫
(
さけ
)
んだのみで、
益々
(
ます/\
)
速
(
はや
)
く
走
(
はし
)
りました、
風
(
かぜ
)
が
持
(
も
)
て
行
(
ゆ
)
く
唄
(
うた
)
の
節
(
ふし
)
、——
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
泰軒先生
濁
(
だ
)
み声をはりあげて、お美夜ちゃんに、チョビ安の
唄
(
うた
)
を習いながら、ブラリ、ブラリ、
大道
(
だいどう
)
せましとやって来る。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
誰
(
だれ
)
も私ほど坊ちゃんを知ってる者はありませんよ。私ゃね、これで坊ちゃんに大変
御贔屓
(
ごひいき
)
になってるんでさあ。どりゃひとつ
夜明
(
よあけ
)
の
唄
(
うた
)
を歌おう」
朝
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
江戸の御家人にはこういう芸欲や道楽があって、大抵な無器用なものでも
清元
(
きよもと
)
や常磐津の一とくさり位は
唄
(
うた
)
ったもんだ。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
通
(
とほ
)
り
懸
(
かゝ
)
りしに
深編笠
(
ふかあみがさ
)
を
被
(
かぶ
)
りて
黒絽
(
くろろ
)
の
羽織
(
はおり
)
のぼろ/\したるを
着
(
き
)
如何にも
見寥
(
みすぼら
)
しき
容體
(
なり
)
をして
謠
(
うた
)
ひを
唄
(
うた
)
ひながら
御憐愍々々
(
ごれんみん/\
)
と云つゝ往來に
立
(
たつ
)
て袖乞を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
吾輩幼時和歌山で小児を
睡
(
ねむ
)
らせる
唄
(
うた
)
にかちかち山の兎は
笹
(
ささ
)
の葉を食う故耳が長いというたが、まんざら
舎々迦
(
ささか
)
てふ梵語に
拠
(
よ
)
って作ったのであるまい。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
馬鹿七は余り面白かつたものですから、いつの間にか、自分もその仔狸の群へ交つて、平生から好んでゐた歌を
唄
(
うた
)
ひながら夢中になつて踊りました。
馬鹿七
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
ある朝、食を済ましてゐると媼は小ごゑに
唄
(
うた
)
を教へて呉れた。『けふはヨハナ。あすはスサナ。恋が年ぢゆう新しい。これが
正銘
(
しやうみやう
)
、
実
(
じつ
)
ある学生さん』
日本媼
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
異なものと土地に名を
唄
(
うた
)
われわれより男は年下なれば色にはままになるが冬吉は面白く今夜はわたしが
奢
(
おご
)
りますると銭金を帳面のほかなる隠れ遊び
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
冗談を云われたり、躯に触られたりしても怒らないばかりでなく、すすめられると酒でもビールでもかなり飲み、少し酔うといい声で
唄
(
うた
)
もうたった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すると、その声に答えるかのように、この劇しい風雨の中で、さも
暢気
(
のんき
)
そうに歌
唄
(
うた
)
う声が手近の所から聞こえて来た。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は
窃
(
そっ
)
とぬき足して母屋に帰った。
唄
(
うた
)
はまだつゞいて、(ウーイ、ウーイ)が Refrain の様に響いて来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
資本主
(
しほんぬし
)
と
機械
(
きかい
)
と
勞働
(
らうどう
)
とに
壓迫
(
あつぱく
)
されながらも、
社會
(
しやくわい
)
の
泥土
(
でいど
)
と
暗黒
(
あんこく
)
との
底
(
そこ
)
の底に、
僅
(
わづか
)
に其の
儚
(
はかな
)
い
生存
(
せいぞん
)
を
保
(
たも
)
ツてゐるといふ
表象
(
シンボル
)
でゞもあるやうな
此
(
こ
)
の
唄
(
うた
)
には
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
川尻
(
かわじり
)
が近づいたと聞いた時に船中の人ははじめてほっとした。例の
船子
(
かこ
)
は「
唐泊
(
からどまり
)
より川尻押すほどは」と
唄
(
うた
)
っていた。荒々しい彼らの声も身に
沁
(
し
)
んだ。
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
女
(
おんな
)
ならでは
夜
(
よ
)
のあけぬ、その
大江戸
(
おおえど
)
の
隅々
(
すみずみ
)
まで、
子供
(
こども
)
が
唄
(
うた
)
う
毬唄
(
まりうた
)
といえば、
近頃
(
ちかごろ
)
「おせんの
茶屋
(
ちゃや
)
」にきまっていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「はたちやそこらでペンカンさげて、マストにのぼるも——親のばちかね」西沢は坑夫の
唄
(
うた
)
をもじって、怒鳴った。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
民謡に至ってはことのほか
秀
(
ひい
)
で、八重山の如きは
唄
(
うた
)
の国とでもいいましょうか。唄に生れて唄に死す島であります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
眼
(
まなこ
)
閉づれば速く近く、
何処
(
いづこ
)
なるらん
琴
(
こと
)
の音聴こゆ
頭
(
かしら
)
揚ぐれば氷の上に 冷えたる
躯
(
からだ
)
、一ツ坐せり
両手
(
もろて
)
振
(
ふる
)
つて歌
唄
(
うた
)
へば
山彦
(
こだま
)
の末見ゆ、高きみそら
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
乙女
(
おとめ
)
たちの一団は
水甕
(
みずがめ
)
を頭に
載
(
の
)
せて、
小丘
(
こやま
)
の中腹にある泉の傍から、
唄
(
うた
)
いながら
合歓木
(
ねむ
)
の林の中に隠れて行った。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
大寒小寒
(
おほさむこさむ
)
の
唄
(
うた
)
は、さういふさむい晩など、おばあさんが口癖のやうに、三郎にうたつてきかせる
唄
(
うた
)
でありました。
大寒小寒
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
例の
椀大
(
わんだい
)
のブリキ製の
杯
(
さかずき
)
、というよりか常は
汁椀
(
しるわん
)
に使用されているやつで、グイグイあおりながら、ある者は
月琴
(
げっきん
)
を取り出して俗歌の曲を
唄
(
うた
)
いかつ
弾
(
ひ
)
き
遺言
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
父親は乏しい
質草
(
しちぐさ
)
を次から次へと飲みあげ、
濁声
(
だみごえ
)
で歌を
唄
(
うた
)
ひ、
稀
(
まれ
)
には「女」といぎたなく船底にもぐつて眠つた。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
4 山の朱い寺の
塔
(
とう
)
に灯がとぼった。島の背中から
鰯雲
(
いわしぐも
)
が
湧
(
わ
)
いて、私は
唄
(
うた
)
をうたいながら、波止場の方へ歩いた。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
イヤ寝るにも
毛布
(
けっと
)
も蒲団も無いので、一同は焚火を取囲み、
付元気
(
つけげんき
)
に詩吟するもあり、ズボンボ
歌
(
うた
)
を
唄
(
うた
)
うもあり。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
時には高台の空き地に小屋をたてて、踊ったり、跳ねたり、
弾
(
ひ
)
いたり、
唄
(
うた
)
ったり、芝居や
狂言
(
きょうげん
)
の
真似
(
まね
)
までもした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
その座敷の中で、
俄
(
にわ
)
かに
唄
(
うた
)
をうたい出したものがあるのです。多分それは寝床の中にいて、宿酔のまださめやらない御苦労なしの
出放題
(
でほうだい
)
だと思われますが
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
月琴
(
げっきん
)
の師匠の家へ石が投げられた、
明笛
(
みんてき
)
を吹く青年等は非国民として
擲
(
なぐ
)
られた。改良剣舞の娘たちは、赤き
襷
(
たすき
)
に
鉢巻
(
はちまき
)
をして、「品川乗出す
吾妻艦
(
あずまかん
)
」と
唄
(
うた
)
った。
日清戦争異聞:(原田重吉の夢)
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
そのうちにおきまりの三味線と
唄
(
うた
)
と舞踊とが、何の感興もなく初まって何の感興もなく終った。それだのにそれが済むと、席は待ち構えていて拍手
喝采
(
かっさい
)
した。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
彼女はしずしずと、コーラス・ガールの列を離れ、舞台の中央に進みいで、手に持つ
花籠
(
はなかご
)
を軽く揺り動かしながら、呼びものの「花売娘の
唄
(
うた
)
」を歌いはじめた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“唄(
歌
)”の解説
歌、唄(うた)とは、声によって音楽的な音を生み出す行為のことであり、リズムや節(旋律)をつけて歌詞などを連続発声する音楽、娯楽・芸術のひとつである。歌謡(かよう)、歌唱(かしょう)とも言う。その起源は旧石器時代にまで遡るとする見解もある。
また歌・歌謡は、文学における用語でもあり、詩の一形式または韻律文芸の総称で、和歌などを指す。これについても本項で述べる。
(出典:Wikipedia)
唄
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
“唄”を含む語句
小唄
唄女
鼻唄
子守唄
地唄
遊戯唄
唄三味線
唄本
流行唄
端唄
長唄
唄声
鄙唄
手毬唄
船唄
馬子唄
鞠唄
上方唄
美唄
立唄
...