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いん
ふりがな文庫
“
印
(
いん
)” の例文
そしてようやく、復職のめどもつき、あとは
殿帥府
(
でんすいふ
)
最高の大官、
高
(
こう
)
大将の一
印
(
いん
)
が書類に
捺
(
お
)
されれば……というところまで
漕
(
こ
)
ぎつけて
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其
(
そ
)
の
鐵
(
てつ
)
の
如
(
ごと
)
き
健脚
(
けんきやく
)
も、
雪
(
ゆき
)
を
踏
(
ふ
)
んではとぼ/\しながら、
前
(
まへ
)
へ
立
(
た
)
つて
足
(
あし
)
あとを
印
(
いん
)
して
上
(
のぼ
)
る、
民子
(
たみこ
)
はあとから
傍目
(
わきめ
)
も
觸
(
ふ
)
らず、
攀
(
よ
)
ぢ
上
(
のぼ
)
る
心細
(
こゝろぼそ
)
さ。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは
南画
(
なんぐわ
)
だ。
蕭々
(
せうせう
)
と
靡
(
なび
)
いた竹の上に、消えさうなお前が
揚
(
あが
)
つてゐる。黒ずんだ
印
(
いん
)
の字を読んだら、
大明方外之人
(
たいみんはうぐわいのひと
)
としてあつた。
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
印
(
いん
)
丈
(
だ
)
けは首にかけて持っていたから、こゝへ何うぞと言ったら、『こゝか?』と見当をつけて、スポンと掛け声をして
捺
(
お
)
した。皆笑ったぜ
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
石段の下を南へ、弁天の方へ向いて歩く二人の心には、とにかく雁の死が暗い影を
印
(
いん
)
していて、話がきれぎれになり勝であった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
「よし!」と八戒は眼を閉じ、
印
(
いん
)
を結んだ。八戒の姿が消え、五尺ばかりの
青大将
(
あおだいしょう
)
が現われた。そばで見ていた
俺
(
おれ
)
は思わず吹出してしまった。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
長い廊下の果に、主人の
花紋
(
くわもん
)
を
印
(
いん
)
した
上衣
(
うはぎ
)
の後影が隠れた。上衣の裾は
軽
(
かろ
)
く廊下の大理石の上を曳いて、跡には
麝香
(
じやかう
)
と
竜涎香
(
りうえんかう
)
との匂を残した。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
そして、何とマア刑事にとって幸運であったことには、轢死のあった前夜まで雨降り続きで、地面に色々の足跡がクッキリと
印
(
いん
)
せられていた。
一枚の切符
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
短躯肥満、童顔豊頬にして眉間に
小豆
(
あずき
)
大の
疣
(
いぼ
)
を
印
(
いん
)
したミナト屋の大将は快然として鉢巻を取りつつ、
魚鱗
(
うろこ
)
の散乱した
糶台
(
ばんだい
)
に
胡座
(
あぐら
)
を掻き直した。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私が
流浪
(
るらう
)
した土地には悉くあなたも行くのです。私の馬蹄の印されたところには何處にもあなたの輕やかな足跡が同じやうに
印
(
いん
)
されるのです。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
印
(
いん
)
の痕もまだあざやかで、李和子の姓名も分明にしるしてあった。彼に殺された犬猫四百六十頭の訴えに因って、その罪を論ずるというのである。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
四十年来の経験を刻んでなお余りあると見えた余の頭脳は、ただこの
截然
(
せつぜん
)
たる一苦痛を秒ごとに深く
印
(
いん
)
し
来
(
く
)
るばかりを能事とするように思われた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんなことを言って、かれはわたしたちに
例
(
れい
)
の
印
(
いん
)
をおした紙を、お友だちのような顔をしてにこにこしながらわたした。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
闇に
四隣寂寥
(
しりんせきりょう
)
として
手燭
(
てしょく
)
の弱い
燈
(
ひ
)
に照らされた木立の影が長く地に
印
(
いん
)
せられて時々桐の葉の落ちる音がサラサラとするばかり、別に何物も見えない。
暗夜の白髪
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
しかし
心
(
こころ
)
の
苦痛
(
くつう
)
にて
彼
(
かれ
)
の
顔
(
かお
)
に
印
(
いん
)
せられた
緻密
(
ちみつ
)
な
徴候
(
ちょうこう
)
は、一
見
(
けん
)
して
智慧
(
ちえ
)
ありそうな、
教育
(
きょういく
)
ありそうな
風
(
ふう
)
に
思
(
おも
)
わしめた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
これは、お寺の床の間には似つかわしからぬもので、今までお銀様が気がつかなかったのは、
燈火
(
あかり
)
の具合で、隅の柱に
隠形
(
おんぎょう
)
の
印
(
いん
)
をむすんでいたからです。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
白髯をはやして、人差指に
印
(
いん
)
つきの指環をはめ、禿げ頭に団子のような腫れ物——こぶといってもいい——を頂いた一人の老紳士は、ひそかにこう考える。
神童
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
それには明らかに、所長殺害事件のあの時刻に佐和山女史の一種特別な
跫音波形
(
きょうおんはけい
)
が
印
(
いん
)
せられていたのであった。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼
(
かれ
)
は
庭
(
には
)
に
立
(
た
)
つて
泣
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
る
與吉
(
よきち
)
を
見
(
み
)
た。
與吉
(
よきち
)
の
横頬
(
よこほゝ
)
に
印
(
いん
)
した
火傷
(
やけど
)
が
彼
(
かれ
)
の
惑亂
(
わくらん
)
した
心
(
こゝろ
)
を
騷
(
さわ
)
がせた。
勘次
(
かんじ
)
は
又
(
また
)
其
(
そ
)
の
側
(
そば
)
に
目
(
め
)
を
瞑
(
つぶ
)
つて
後向
(
うしろむき
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
る
卯平
(
うへい
)
を
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
かれはいまさらに美穂子の姿のいっそう強い影をその心に
印
(
いん
)
しているのを予想外に思った。こういう
道行
(
みちゆ
)
きになるのはかれもかねてよく知っていたことである。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「石ころに向って
印
(
いん
)
を結ぶと、それが
黄金
(
こがね
)
になったり、
杖
(
つえ
)
を立てると、それに枝が出、葉ができて、みるみる大木になると云うし、恐ろしい妖術ではありませんか」
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
少しは
印
(
いん
)
を結び
咒
(
じゅ
)
を持する
真言宗様
(
しんごんしゅうよう
)
の事をも用いたにもせよ、
兵家
(
へいか
)
の事であるのがその本来である。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
坊さん見たいに、大
胡坐
(
あぐら
)
を
掻
(
か
)
いてよ、お
臍
(
へそ
)
のあたりに
印
(
いん
)
を結ぶと、親分の胸は地獄の繪の中にある、
閻魔大王
(
えんまだいわう
)
の照魔鏡見たいに、惡い野郎のしたことは、何んでも映る
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして終りに××県知事
従
(
じゅ
)
五位勲四等△△△△と、その下に大きな四角な
印
(
いん
)
を押してありました。
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
お俊は
鋏
(
はさみ
)
の尻でトントン
叩
(
たた
)
いた。お延の新しいハンケチの上には、荵の葉の形が
鮮明
(
あざやか
)
に
印
(
いん
)
された。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
昔の
画家
(
えかき
)
が聖母を乗せる雲をあんな風にえがいたものだ。山の
裾
(
すそ
)
には雲の青い影が
印
(
いん
)
せられている。山の影は広い谷間に
充
(
み
)
ちて、
広野
(
ひろの
)
の
草木
(
くさき
)
の緑に灰色を帯びさせている。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
この一切の
景物
(
けいぶつ
)
は皆黄いろい蝋燭の火で照し出されてゐる。大きい影を天井に
印
(
いん
)
してゐる蝋燭の火である。併しこんな物よりは若いよめのリイケの方が余程目を悦ばせる。
聖ニコラウスの夜
(新字旧仮名)
/
カミーユ・ルモンニエー
(著)
あの
何
(
なん
)
とか云ったっけ
巴
(
ともえ
)
の紋じゃアねえ、三星とか何とか云う
印
(
いん
)
が押して有る
古金
(
かね
)
を八百両
何家
(
どこ
)
かで家尻を切って盗んだ泥坊が廻り廻って来てそれでまア、
彼
(
あ
)
の親孝行な…
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すなわち賢人君子の
眼
(
まなこ
)
よりせばあるいは
児戯
(
じぎ
)
に等しいかは知らんが、青年時代の希望の実状を
印
(
いん
)
してこれを現今の実際と照合し、もって理想の
規矩
(
きく
)
にあててみるのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
されどもこは
謂
(
い
)
ふべからざる事情の下に連帯の
印
(
いん
)
を
仮
(
か
)
せしが、
形
(
かた
)
の如く腐れ込みて、義理の余毒の苦を
受
(
うく
)
ると知りて、彼の不幸を悲むものは、交際官試補なる法学士
蒲田
(
かまだ
)
鉄弥と
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
玄竹
(
げんちく
)
は
町醫
(
まちい
)
であるけれども、
夙
(
つと
)
に
京都
(
きやうと
)
の
方
(
はう
)
へ
手
(
て
)
を
廻
(
まは
)
して、
嵯峨御所
(
さがごしよ
)
御抱
(
おかゝ
)
への
資格
(
しかく
)
を
取
(
と
)
り、
醫道修業
(
いだうしゆげふ
)
の
爲
(
た
)
めに
其
(
そ
)
の
地
(
ち
)
に
遣
(
つか
)
はすといふ
書付
(
かきつけ
)
に、
御所
(
ごしよ
)
の
印
(
いん
)
の
据
(
す
)
わつたのを
持
(
も
)
つてゐるから
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
去年私たちの五年の記念にあなたが書いて下すった字で私の本のための
印
(
いん
)
をこしらえた。一つ
捺
(
お
)
してあげたの御覧になったでしょう? はじめての印は父がこしらえて呉れた、水晶。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
篠田は
例
(
いつも
)
の如く早く起き出でて、一大
象牙盤
(
ざうげばん
)
とも見るべき
後圃
(
こうほ
)
の雪、いと惜しげに下駄を
印
(
いん
)
しつゝ
逍遙
(
せうえう
)
す、日の光は
尚
(
な
)
ほ
遙
(
はる
)
か地平線下に
憩
(
いこ
)
ひぬれど、夜の神が
漉
(
こ
)
し成せる清新の空気は
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
『奥でお
寝
(
やす
)
みな。』半ばしかるように言った。お梅は泣き出しそうな顔をして頭を振って
外面
(
そと
)
へ出た。月は
冴
(
さ
)
えに冴え、まるで秋かとも思われるよう。庭木の影がはっきりと地に
印
(
いん
)
している。
郊外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その光線の落ちた
處
(
ところ
)
には、水を盛つた硝子器があつた。そしてその水面に落ちた光線の反射はちようどピストルの載せてあつた小卓の上に強い
焦點
(
せうてん
)
を
印
(
いん
)
してゐた。事件は解決されたのである。
探偵小説の魅力
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
余計な心配だが、これから五年あるいは十年の
後
(
のち
)
、工事
了
(
おわ
)
りて元の閑寂なる山村に帰った時、初めて
眼醒
(
めざ
)
むる彼等の苦痛は、
一旦
(
いったん
)
心に
印
(
いん
)
せられた惰弱の
風
(
ふう
)
と共に永久に消ゆるの時がなかろう。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
大仏の姿が屋根にも
囲
(
かこい
)
にもなるが、内側では胎内
潜
(
くぐ
)
りの仕掛けにして
膝
(
ひざ
)
の方から登って行くと、左右の
脇
(
わき
)
の下が
瓦燈口
(
かとうぐち
)
になっていて
此所
(
ここ
)
から一度外に出て、
印
(
いん
)
を結んでいる仏様の手の上に人間が出る。
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
尊意が
灑水
(
しゃすい
)
の
印
(
いん
)
を結ぶと、たちどころにその火が消えた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その指先の向かった所に、雪に
人形
(
ひとがた
)
が
印
(
いん
)
せられていた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
黄金
(
こがね
)
の
印
(
いん
)
をあまた
佩
(
お
)
び
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
十一月二日
周藏
(
しうざう
)
印
(
いん
)
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
やき
印
(
いん
)
がある
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
誦経
(
ずきょう
)
がすむと尊氏は
半跏趺坐
(
はんかふざ
)
(片あぐら)のかたちをとり、
丹田
(
たんでん
)
(下腹)に
印
(
いん
)
をむすび、呼吸をひそめて、いつもの坐禅に入ったまま
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
印
(
いん
)
一
顆
(
くわ
)
があつて、文に「菅氏」と
曰
(
い
)
つてあつた。若江氏は菅原姓であつたと見える。是は倉知氏の写して寄せたものである。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
手で叩く真似をすると、えへへ、と権ちゃんの
引込
(
ひっこ
)
んだ
工合
(
ぐあい
)
が、
印
(
いん
)
は結ばないが、姉さんの
妖術
(
ようじゅつ
)
に
魅
(
かか
)
ったようであった。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それをあえてしない私に利害の打算があるはずはありません。私はただ妻の記憶に暗黒な一点を
印
(
いん
)
するに忍びなかったから打ち明けなかったのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しか
)
し
心
(
こゝろ
)
の
苦痛
(
くつう
)
にて
彼
(
かれ
)
の
顏
(
かほ
)
に
印
(
いん
)
せられた
緻密
(
ちみつ
)
な
徴候
(
ちようこう
)
は、一
見
(
けん
)
して
智慧
(
ちゑ
)
ありさうな、
教育
(
けういく
)
ありさうな
風
(
ふう
)
に
思
(
おも
)
はしめた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
云う
中
(
うち
)
に、彼は雪に
印
(
いん
)
せる人の足跡を見付けた。
確
(
たしか
)
に人の足である。
加之
(
しか
)
も入口の
方
(
ほう
)
から庭伝いに縁先へ来て消えている。何者か忍び込んだに相違ない。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼に
印
(
いん
)
せられた印象は、すべて、苦痛にせよ歡喜にせよ、深く
刻
(
きざ
)
まれて永久的なものであつた。私は承諾した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
首筋
(
くびすぢ
)
の
皮
(
かは
)
が
擦
(
す
)
り
剥
(
む
)
けて
戸口
(
とぐち
)
に
夥
(
したゝ
)
か
血
(
ち
)
の
趾
(
あと
)
を
印
(
いん
)
しても
執念
(
しふね
)
く
餌料
(
ゑさ
)
を
求
(
もと
)
めて
止
(
や
)
まぬやうな
形
(
かたち
)
でなければならぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
印
常用漢字
小4
部首:⼙
6画
“印”を含む語句
印象
印形
印南野
消印
印度人
印南
印度
烙印
印度洋
印行
印判
印刷物
御印
刻印
印南郡
印籠
極印
捺印
封印
拇印
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