)” の例文
忍熊王おしくまのみこは、その中の喪船もふねには、兵たいたちが乗っていないはずなので、まずまっ先にその船を目がけておちかからせになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
宍戸備前守ししどびぜんのかみは、わずかに八人に守られて、もうにの覚悟かくごで戦っている。そこへ、かけつけたのは清兵衛せいべえで、大声にさけんだ。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
しかるに非徳の自分が京都にあるためその禍根をかもしたとは思わずに、かえって干戈かんかを動かし、自分を敵視するものをつとあっては
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お姫さまのあだをたなければならない。その二つのことが、一つにむすびついて、この宝石につきまとうのろいとなったのだ。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
保名やすな家来けらいのこらずたれて、保名やすな体中からだじゅう刀傷かたなきず矢傷やきずった上に、大ぜいに手足てあしをつかまえられて、とりこにされてしまいました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これがむくい一一三虎狼こらうの心に障化しやうげして、信頼のぶより隠謀いんぼうにかたらはせしかば、一一四地祇くにつがみさかふ罪、さとからぬ清盛きよもりたる。
と言ひさして、浜子を見やれば、浜子はなまめかしく仰ぎ見つ、「御前ごぜん、あのわたしのこと悪口書いた新聞でせう、御前、何卒どうぞかたきつて下ださいな」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
むウ、ではなにか、武田伊那丸のやつらが、穴山梅雪あなやまばいせつちとり、また湖水の底から宝物ほうもつ石櫃いしびつを取りだしたというのか。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわゆる江戸の姑のそのかたきを長崎の嫁でって、知らず知らず平均をわが一代のうちに求むるもの少なからぬが世の中。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
過日かじつかたきったつもりなのであろう。まつろうはこういって、ひげあとのあおあごを、ぐっと徳太郎とくたろうほうきだした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
しかも、一人の人造人間は生きた人間の兵士の百人に匹敵ひってきし、五十万の英兵えいへいを迎えつに充分であるというのだ。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかしその文によると、この家の祖先は奈良朝以前からこの地に住し、壬申じんしんの乱には村国庄司男依むらくにのしょうじおよりなる者天武帝のお味方を申して大友皇子おおとものみこたてまつった。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「だめだなあ、かたきつとき、かわいそうもなんにもないだろう。」と、正二しょうじがいいました。正二しょうじのいったことは、たしかに、新吉しんきちふかかんがえさせました。
はととりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
「皆んな逃げましたよ、錢形の親分。殘つて居るのは、足の惡い私と、死ぬ氣になつた娘だけだ。——三軒長屋の狂言きやうげんも大竹孫右衞門をてばお仕舞ひだ」
ヂュリ あい、さうぢゃ、わたしのこのとゞかぬとほところに。わたしのひとつで從兄いとこどのゝかたきちたい。
このうまりしが大將たいしやう説明はなせば、雀躍こをどりしてよろこび、ぼく成長おほきくならば素晴すばらしき大將たいしやうり、ぞくなどはなんでもなくち、そして此樣このやう書物ほんかれるひとりて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこでその樊於期の首をって、その首と燕の国の地図とを持って、それを始皇帝に献上すると見せかけて、暗殺しようとしたのが燕の国の壮士の荊軻であった。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
「役に立たぬものはち棄てい」と云ふことばがはつきり聞えた。岡田は怜悧れいりな、思慮のある少年であつたが、余り思ひ掛けぬ事なので、一旦夢ではないかと思つた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「大手、搦手からめてだな」と栄二は呟いた、「はさちとこられてはかなわねえ、これじゃあ息が詰っちまう」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
またしばしば叛乱将校の個人に関する噂話うわさばなしなどを、何かにつけやりだしたり、口ぎたなくかれらの罪状に追いちをかけたりして、心ある塾生たちの反感を買った。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
臺所だいどころ豪傑儕がうけつばら座敷方ざしきがた僭上せんじやう榮耀榮華えいえうえいぐわいきどほりはつし、しやて、緋縮緬小褄ひぢりめんこづままへ奪取ばひとれとて、竈將軍かまどしやうぐん押取おつとつた柄杓ひしやく采配さいはい火吹竹ひふきだけかひいて、鍋釜なべかま鎧武者よろひむしや
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
月の光で、白く見える河原をなア。背後うしろから何んと声をかけても、もう返辞をしないのだ。……そこで私は、……背後から只一刀で……首を!……綺麗にたれてくれたよ
甲州鎮撫隊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
六郎はその家来を率いてと渡りあったが、またたく間にたれて枕を並べて死んだ。
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
はじまりはかたきとうと思いましたけれども、誰が敵だか分らぬじゃアありませんか、善々よく/\考えて見ますと、富五郎を押えて白状さして、愈々いよ/\一角が殺したと決ったら討とうというのだが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
男盛りの若者ども血気にはやりて、これ位の男何ほどの事かあらんといきなりに取てかかれば無造作にぞ投げられける。次なる若者かたきたんと組みつけばこれも物の見事にぞ投げられける。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
その歌を謡う調子の活発さは人をして知らず知らずいかなる曠原こうげん漠野ばくやの中へも、またいかなる高山積雪の中へも敵をつ為には一身をなげうって進もうという勇気を喚発かんぱつせしむるに足るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
朝ざくら討たばたれむその時のほぞかためけりこの朝のさくら
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
うしろからだまちに×(2)たおされた
ひたにち、しかもやはせや。
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
天に代りて不義を
といって、しましたがえてしまいました。そのうち方々ほうぼうにかくれていた為朝ためとも家来けらいが、一人ひとり二人ふたりとだんだんあつまって為朝ためともにつきました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
敵はまんまと不意をたれて、総くずれになってにげ出しました。建振熊命たけふるくまのみことは勝に乗じてどんどんと追いまくって行きました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
新府城しんぷじょうから天目山てんもくざんへ追いつめて、ひとりのこさずちとってしまえと、きびしい軍令ぐんれいのもとに、残党ざんとうりたてていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
めいめいの領分はもとより、付近までも手はずをして置いて、怪しい者は見かけ次第すみやかにち取れと言いつけた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
敵一万の大将たいしょうち取ったとは、あっぱれな働きである。いそぎ軍奉行いくさぶぎょう太田飛騨守おおたひだのかみへ、このむねをとどけ出せ。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
「それは相手が手ごわいから、準備のためにそうとう日がかかるんだろう。君たちがでかけていってもだめさ。相手が強すぎるからね。かえちになるよ」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「嬉しいわねえ、それもこれも八さんのお蔭よ。父さんの。仇がてたら、私きつとお禮をするわ」
それが赤松家の遺臣にあざむかれて、お二方の宮はたれ給い、ついに全く大覚寺統のおんすえの絶えさせられたのが長禄ちょうろく元年十二月であるから、もしそれまでを通算すると
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もしたましひ拔出ぬけいでたらんか、これ一顆いつくわ碧眞珠へきしんじゆに、露草つゆくされるなるべし。ひともしあだあらば、みなやいばつてかたきたん。靈山れいざん汽車きしやせまれり。——山北やまきた——山北やまきた——
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして実はつものと討たれるものであった。それが双方ともほとんど同時に去って行くのだ。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
時々書斎の入口まで来て、今宇津木をはたしたとか、今奥庭おくにはに積み上げた家財に火を掛けたとか、知らせるものがあるが、其度毎そのたびごとに平八郎はただ一目ひとめそつちを見るだけである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
てんわりて不義ふぎつ、忠勇無双ちゅうゆうむそうへいは……。」と、まるはたった、子供こどもがうたっていました。きっと、さっきった兵士へいし見送みおくった子供こどもたちでありましょう。
昼のお月さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
燈火ともしびもと書物しよもつらき、ひざいだきてせ、これは何時何時いつ/\むか何處どこくにに、甚樣じんさまのやうなつよひとありて、其時代そのときみかどそむきしぞくち、大功たいこうをなして此畫このゑ引上ひきあげところ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一角は横堀の阿弥陀堂のうしろの林の中へ来ているというから、亭主のかたきちぶっ切るべえと思って林の中へ這入へえったが、先方むこうんてッても剣術の先生だ女ぐれえに切られる事はねえから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
江戸のかたきを長崎でつということあり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ひたにち、しかもやはせや。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
おやたれれば子がすすみ、子がたれればおやがつづくというふうに、味方みかた死骸しがいえ、え、どこまでも、どこまでもすすんでます。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
大国主神おおくにぬしのかみはおおせのとおりに、改めていただいた、大神おおかみ太刀たち弓矢ゆみやを持って、八十神やそがみたちをちにいらっしゃいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
武者はどうでもよいが、とうの敵たる穴山入道あなやまにゅうどうちもらしたのは、かえすがえすもざんねんであった。いったいきゃつはどこにうせたか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
万一朝廷の命令に抵抗するものがあるならち取るはずで、諸藩の兵隊はその時刻前に西丸の城下に整列することになった。いよいよその朝が来た。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)