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なお
ふりがな文庫
“
直
(
なお
)” の例文
すなわち人のためにする仕事の分量は
取
(
と
)
りも
直
(
なお
)
さず己のためにする仕事の分量という方程式がちゃんと数字の上に現われて参ります。
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また、ひとかごの
橘
(
たちばな
)
の実をひざにかかえ、しょんぼりと、市場の日陰にひさいでいる小娘もある。
下駄
(
げた
)
売り、
沓
(
くつ
)
直
(
なお
)
しの
父子
(
おやこ
)
も見える。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あざみは、なまずの
苦
(
くる
)
しみつづけた
最後
(
さいご
)
を
見守
(
みまも
)
りました。その
日
(
ひ
)
の
晩方
(
ばんがた
)
、なまずは、
白
(
しろ
)
い
腹
(
はら
)
を
出
(
だ
)
したきり、もう
起
(
お
)
き
直
(
なお
)
りませんでした。
なまずとあざみの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「おお、そのことだ。……いや、心配をかけたが、わしの目も今はすっかり
直
(
なお
)
って、よく見えるようになった。安心してください」
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そのすぐ近所に甲州屋という
生薬屋
(
きぐすりや
)
があって、そこのお
直
(
なお
)
という娘がお粂のところへ稽古に通っているのを、半七も知っていた。
半七捕物帳:35 半七先生
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
一
(
ひ
)
トしきり重吉の
膝
(
ひざ
)
にもたれて笑っていたお千代は坐り
直
(
なお
)
って、「それさえ大丈夫なら安心だわ。楽しみ半分にいいじゃありませんか。」
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そして読みながら
上着
(
うわぎ
)
のぼたんやなんかしきりに
直
(
なお
)
したりしていましたし
燈台看守
(
とうだいかんしゅ
)
も下からそれを
熱心
(
ねっしん
)
にのぞいていましたから
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
孔子曰く、吾が党の
直
(
なお
)
きは是に異なり、父は子のために隠し、子は父のために隠して、直きことその中にあり。(子路、一八)
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
『さァ
人間界
(
にんげんかい
)
の
年数
(
ねんすう
)
に
直
(
なお
)
したら
何年位
(
なんねんぐらい
)
になろうかな……。』と
老竜神
(
ろうりゅうじん
)
はにこにこし
乍
(
なが
)
ら『
少
(
すくな
)
く
見積
(
みつも
)
っても三
万年位
(
まんねんぐらい
)
にはなるであろうかな。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
酒は固く禁じてありましたけれども、それとても小使に頼めば薬を買うというなだいで、
焼酎
(
しょうちゅう
)
や
直
(
なお
)
しを買って来てくれます。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
中番頭
(
ちゅうばんとう
)
から
小僧達
(
こぞうたち
)
まで、一
同
(
どう
)
の
顔
(
かお
)
が一
齊
(
せい
)
に
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
方
(
ほう
)
へ
向
(
む
)
き
直
(
なお
)
った。が、
徳太郎
(
とくたろう
)
は
暖簾口
(
のれんぐち
)
から
見世
(
みせ
)
の
方
(
ほう
)
を
睨
(
にら
)
みつけたまま、
返事
(
へんじ
)
もしなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
中隊長は、近づき来る約一個中隊ばかりの
黒影
(
こくえい
)
を
見遣
(
みや
)
りながら、決心したらしく、「
伏射
(
ふせうち
)
の構え」を命じて、自分も指揮刀を握り
直
(
なお
)
して伏した。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
たとえば式子内親王などは、女流作家の中ばかりでなく、す
直
(
なお
)
な詠歎調の上では当時第一等のお方であるが、そのお歌にはつぎのようなのがある。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
それほどに
好
(
す
)
きで、
抱
(
だ
)
き、
擁
(
かか
)
え、
撫
(
な
)
で、
持
(
も
)
ち
歩
(
ある
)
き、
毎日
(
まいにち
)
のように
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
せ
直
(
なお
)
しなどして、あの
人形
(
にんぎょう
)
のためには
小
(
ちい
)
さな
蒲団
(
ふとん
)
や
小
(
ちい
)
さな
枕
(
まくら
)
までも
造
(
つく
)
った。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
次の「
荒野
(
あらの
)
に呼ばわる者の声す、『主の道を備えその道筋を
直
(
なお
)
くせよ』」というのがイザヤ書四十章三節の言葉です。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
が、また
直
(
ただち
)
に
自分
(
じぶん
)
の
云
(
い
)
うことを
聴
(
き
)
く
者
(
もの
)
は
無
(
な
)
い、その
云
(
い
)
うことが
解
(
わか
)
るものは
無
(
な
)
いとでも
考
(
かんが
)
え
直
(
なお
)
したかのように
燥立
(
いらだ
)
って、
頭
(
あたま
)
を
振
(
ふ
)
りながらまた
歩
(
ある
)
き
出
(
だ
)
す。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
兼吉
(
けんきち
)
も
五郎
(
ごろう
)
も主人に、おれがあやまるからといわれては口はあけない。
酒代
(
さかだい
)
一
枚
(
まい
)
でかれらはむぞうさにきげんを
直
(
なお
)
した。水車の
回転
(
かいてん
)
も
止
(
と
)
めずにすんだ。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
雷にうたれて
死
(
し
)
ぬ運命の人間が、地の此部分にあるなら、其は取りも
直
(
なお
)
さず彼でなくてはならぬ。彼は是非なく死を覚期した。彼は生命が惜しくなった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あの
白衣
(
びゃくえ
)
の浪人が暴れこんで、道場の跡目に
直
(
なお
)
ろうとしていたまぎわの、峰丹波にじゃまを入れ、多くの門弟を斬ったのみか、萩乃をつれて消えうせた。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
敵
(
てき
)
の
大将
(
たいしょう
)
の
高丸
(
たかまる
)
はくやしがって、
味方
(
みかた
)
をしかりつけては、どこまでも
踏
(
ふ
)
み
止
(
とど
)
まろうとしましたけれど、一
度
(
ど
)
崩
(
くず
)
れかかった
勢
(
いきお
)
いはどうしても
立
(
た
)
ち
直
(
なお
)
りません。
田村将軍
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
私
(
わたし
)
もいつか
頼
(
たの
)
まれてそんなのをかえした
事
(
こと
)
があるけど、
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
子達
(
こたち
)
はみんな、どんなに
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
んで
直
(
なお
)
そうとしても、どうしても
水
(
みず
)
を
恐
(
こわ
)
がって
仕方
(
しかた
)
がなかった。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
鶴見はそれが夏時分であったということを先ず
憶
(
おも
)
い
起
(
おこ
)
す。自家用の
風呂桶
(
ふろおけ
)
が損じたので、
直
(
なお
)
しに出しているあいだ、汗を流しにちょくちょく町の
銭湯
(
せんとう
)
に行った。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
いずれも
程好
(
ほどよ
)
き
中
(
ちゅう
)
を得ざるゆえ、これを
矯
(
た
)
め
直
(
なお
)
さんとして、ひたすらその低きものを助け、いかようにもしてこれを高くせんとて、ただ一方に苦心するのみにして
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
美佐子は
急
(
せ
)
きたてるようにして言った。そして、彼女は大急ぎで顔の
白粉
(
おしろい
)
を
掃
(
は
)
き
直
(
なお
)
しにかかった。
秘密の風景画
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
明る日——というと今日です、
何時
(
いつ
)
も十時頃に起きる糸子が十一時過ぎても顔を見せなかったので、廊下を隔てた女中部屋に居る、女中のお
直
(
なお
)
が
先
(
ま
)
ず心配し出しました。
踊る美人像
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
小花様へ兼吉よりとはさてさて珍しき一通、
何処
(
どこ
)
が嬉しくてか小花身に添へて離さず、中屋の家督に
松太郎
(
まつたろう
)
が
直
(
なお
)
りし時、得意先多き清二郎は本所辺に
別宅
(
べったく
)
を設けての
通
(
かよ
)
ひ
勤
(
づとめ
)
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
米「お
直
(
なお
)
やお目にかゝったよ、ソラいつぞや
私
(
わし
)
を助けて下すった旦那様にお目にかゝったよ」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
人々、さまざまに計らいて
精系
(
せいけい
)
を糸にて結びたるときは、命の限りとばかりにて、腹の中の物を差入れらるる心地ぞせられける。ほどなく切捨てたるにや、その心地も
直
(
なお
)
りぬ。
玉取物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
この二神は、あの穢い國においでになつた時の
汚垢
(
けがれ
)
によつてあらわれた神です。次にその
禍
(
わざわい
)
を
直
(
なお
)
そうとしてあらわれた神は、カムナホビの神とオホナホビの神とイヅノメです。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
織次は飛んで獅子の座へ
直
(
なお
)
った
勢
(
いきおい
)
。上から新撰に
飛付
(
とびつ
)
く、と
突
(
つん
)
のめったようになって見た。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
厨口
(
くりやぐち
)
から
燈火
(
とうか
)
の光がちらちらと見え、人の声が聞こえたから……家には母親のげんと妻のお
直
(
なお
)
しかいないはずだ、しかしいまそこから聞こえてくるのはどちらの声でもなかった。
蜆谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「曲る」は
禍津日
(
まがつひ
)
、
曲事
(
まがこと
)
などのマガで、
直
(
なお
)
きに反し、普通には避けらるべき行為である。
八坂瓊之曲玉考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
「人形が壊れた、人形が壊れた。
直
(
なお
)
してお母ちゃま。直してよ、お母ちゃま!」
子を奪う
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
清盛が
厳島
(
いつくしま
)
に
参詣
(
さんけい
)
する道を
直
(
なお
)
くするために切り開かした
音戸
(
おんど
)
の
瀬戸
(
せと
)
で、傾く日をも呼び返したと人は申しまする。法皇は清盛の
女
(
むすめ
)
の
胎
(
はら
)
から生まれた
皇子
(
おうじ
)
に位を
譲
(
ゆず
)
られる、と聞いております。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
レミイは、声を張り上げて、もう一度いい
直
(
なお
)
す。ルピック夫人は、わかった。口を動かしているのが見える。こっちの二人には、なんにも聞こえない。で、顔を見合わせて、もじもじする。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
この感覚鋭敏のときにあたり
染習
(
せんしゅう
)
せし者は、長ずるに及んでこれを
改
(
あらため
)
んと
欲
(
ほっ
)
するも
得
(
う
)
べからざる、なお樹木の
稚嫩
(
ちどん
)
なるとき、これを
撓屈
(
とうくつ
)
すれば、長ずるに
及
(
およん
)
でついにこれを
直
(
なお
)
くすべからざるがごとし。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
下女が三人前の膳を
持出
(
もちだ
)
し、二人分をやや
上座
(
かみくら
)
へ
据
(
す
)
え、残りの膳をその男の前へ
直
(
なお
)
した、男も不思議に思い、一人の客に三人前の膳を出すのは
如何
(
どう
)
いう訳だと聞くと、下女は
訝
(
いぶかし
)
げに三人のお客様ゆえ
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
常に
直
(
なお
)
り
世
(
よ
)
とか神の世とかいう語を
対句
(
ついく
)
にして歌われている。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
其の仁蔵には
直
(
なお
)
と云う近隣で
評番
(
ひょうばん
)
の美しい女房があった。
狸と同棲する人妻
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「私が持とう。もう肩が
直
(
なお
)
ったえ。」
蠅
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「
直
(
なお
)
さんは?」
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
お貞さんは生れつきからして
直
(
なお
)
とはまるで違ってるんだから、こっちでもそのつもりで注意して取り扱ってやらないといけません……
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし、
時計屋
(
とけいや
)
へ
直
(
なお
)
しにやると、あとでほかに
時計
(
とけい
)
がないので
不自由
(
ふじゆう
)
なものですから、一
日
(
にち
)
、一
日
(
にち
)
延
(
の
)
びてしまうのでありました。
時計とよっちゃん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
哀公問いて曰く、
何為
(
いかんせ
)
ば則ち
民
(
たみ
)
服せん。孔子
対
(
こた
)
えて曰く、
直
(
なお
)
きを挙げて、これを
枉
(
まが
)
れる(人の上)に
錯
(
お
)
けば、則ち民服せん。(
為政
(
いせい
)
、一九)
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
つまり
病気
(
びょうき
)
には
病気
(
びょうき
)
直
(
なお
)
しの
神様
(
かみさま
)
、
武芸
(
ぶげい
)
には
武芸専門
(
ぶげいせんもん
)
の
神様
(
かみさま
)
、その
外
(
ほか
)
世界中
(
せかいじゅう
)
のありとあらゆる
仕事
(
しごと
)
は、それぞれ
皆
(
みな
)
受持
(
うけもち
)
の
神様
(
かみさま
)
があるのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
エエ、やり
直
(
なお
)
しの
魔独楽
(
まごま
)
は
天津風
(
あまつかぜ
)
吹上
(
ふきあ
)
げまわし、
村雨下
(
むらさめさ
)
がりとなって
虹渡
(
にじわた
)
りの
曲独楽
(
きょくごま
)
、
首尾
(
しゅび
)
よくまわりましたらご
喝采
(
かっさい
)
!
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
シグナルは、やっと元気を取り
直
(
なお
)
しました。そしてどうせ風のために何を
言
(
い
)
っても同じことなのをいいことにして
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『きっと
間
(
ま
)
もなくお
直
(
なお
)
りでしょう。』と、ニキタはまた
云
(
い
)
うてアンドレイ、エヒミチの
脱捨
(
ぬぎすて
)
た
服
(
ふく
)
を
一纏
(
ひとまと
)
めにして、
小腋
(
こわき
)
に
抱
(
かか
)
えたまま、
戸
(
と
)
を
閉
(
た
)
てて
行
(
ゆ
)
く。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「大分降りやした——気違え雨——四つ半から八つ時まで——どっと落ちて——思い
直
(
なお
)
したように止みやがった。へん、お蔭で
泥路
(
しるこ
)
だ——勘弁ならねえ。」
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お浜の家では四年ほど前に主人をうしなって、今では後家のお
直
(
なお
)
と娘との二人暮らしである。そこへ転がり込んだ紋作は年も若い、芸人だけに垢抜けもしている。
半七捕物帳:38 人形使い
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“直”の意味
《名詞》
(じき)
(じか)
(あたい/あたえ 歴史的仮名遣い:あたひ/あたへ)古代日本において、県主等に与えられた姓。
(すぐ)将棋の棋譜での用語で、駒をまっすぐ前に進めること。
《形容動詞》
(じき)短い期間のうちに、すぐにと言うわけではないが、そうなるまでに大きな変化はなく。
(出典:Wiktionary)
直
常用漢字
小2
部首:⽬
8画
“直”を含む語句
正直
直接
直下
素直
真直
直道
直立
驀直
強直
直衣
眞直
立直
硬直
直角
御直
直後
直面
宿直
直々
直截
...