)” の例文
旧字:
読んでゐるなんて、とんでもない話だ、る事は後から/\と、いくらでもありますつて坊やそうお云ひ。あんまりお呑気がすぎますよ
惑ひ (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
『前後の思慮もなく、御在庫の現金を、みな払い出すのが、殿のお心をもてる事だなどとは、頭が、ちと何うかして居られはせぬか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幸作は自分の席から、不平らしい番頭の後姿を見送って、「るだけのことを為れば、それで可いじゃないか」という眼付をした。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
このくらい静かに物事をるのが法だとか云った。口をかず、音を立てないのは、考えの邪魔になると云う精神からだそうであった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『あのひとにはあのひととしての仕事しごとがあり、めいめいることがちがいます。良人おっとぶのは海辺うみべ修行場しゅぎょうばうつってからのことじゃ……。』
最早もう死んだかも知れない」と誰かが気の無い返事をる。「全くあの男ほど気の毒な人はないよ」と老人は例の哀れっぽい声。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
学校でするが好いという意見もある。とにかくるが好い、出来ると決している。教える時期はもとより物心が附いてからである。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そうしてこれが解からぬ内は、何をしても張り合いがないような気がして、誰に何と云われても何もる気になりませんでした。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
に顔の色はみづからすごしと見るまでに変れるを、庭の内をば幾周いくめぐりして我はこの色を隠さんとらんと、彼は心陰こころひそかおのれあざけるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
堪へがたい不快にも、余り眠かつたから手で払ふこともず、顔を横にすると、蠅はすべつて、頬のあたりを下から上へぢむとる。
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
土地とちが狭いだけに反響が早い、る事成す事直ぐ目に付く。私が編輯の方針を改めてから、間もなく「日報」の評判が急によくなつて来た。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
一時は腸に収まつて居ても、又何かの拍子で忽地たちまち元に復して了ふので、いくら可愛想に思つても、る事も出来なかつた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
その金を銀行に預けて如何どうすれば便利だとうことを知るまい事か、百も承知で心にしって居ながら、手でることが出来ない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
私は何でも内所のいうなりにお成りとは言わないよ、海上さんの身請がいやなら、否のようにまたる仕方もあるだろうからね
一寸ちょっと首を傾げた。これが何を聞く時でも雪江さんのる癖で、看慣みなれては居るけれど、私はいつも可愛らしいと思う。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
拙者は拙者だけの成敗、るだけの事は為る。廻国中の話の種。黒姫山の裾野にて、若衆の叩き払い致して遣わすぞ
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
須貝 君、オレンヂ・ジュースにウイスキーを入れたりするのは婦人のることだ。止したまえ。酒なら灘の生一本、これがいい。それからウイスキー。
華々しき一族 (新字新仮名) / 森本薫(著)
「ハ、夜中に長い電報が参りましたので、印刷が大層遅くなりました——先生、到頭たうとう戦争をるのでせうか——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
名物にうまき物ありて、空腹すきはら須原すはらのとろゝ汁殊のほか妙なるにめし幾杯か滑り込ませたる身体からだ此尽このまま寝さするも毒とは思えどる事なく、道中日記しまいて
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そんなことをる奴もあるが、俺の方ではチャンと見張りしていて、そんな奴あほうり出してしまうんだ。それにそう無暗むやみに連れて来るって訳でもないんだ。
淫売婦 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
ナオミはる事成す事が活溌かっぱつの域を通り越して、乱暴過ぎます。口のき方もつんけんしていて女としての優しみに欠け、ややともすると下品になります。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼が不得要領ふとくようりょう申立もうしたてをすればるほど、疑惑うたがいの眼はいよいよ彼の上にそそがれて、係官は厳重に取調とりしらべを続行した。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
どうで幾代もの恨みを背負せおうて出た私なればるだけの事はしなければ死んでも死なれぬのであらう、情ないとてもれも哀れと思ふてくれる人はあるまじく
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お前が想像していた事はみな幻影まぼろしだ——死んだ人の訪れて来た事の外は。で、一度死んだ人の云う事を聴いた上は、身をそのるがままに任したというものだ。
耳無芳一の話 (新字新仮名) / 小泉八雲(著)
遂々とうとう塾は廃止になり佐藤は全くの浪人となった。で、百姓家の二階を借り、ることもなく日を暮らした。
其身そのみが世の名利みやうりかゝはらねばなり、此日このひるものみなうれしく、人のわざ有難ありがたおもひしは、朝の心の快濶くわいくわつなりしうつりか、その飛々とび/\ひとり隅田すみだ春光しゆんくわう今日けふあたらし。
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
「我が国家開闢かいびやくより以来このかた、君臣の分定まりぬ。臣を以て君とることいまらざるなり。あまツ日嗣は必ず皇緒を立てよ。無道の人は宜しく早く掃除はらひのぞくべし。」
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
併し代々だい/″\学者で法談はふだん上手じやうず和上わじやうが来て住職に成り、とし何度なんどか諸国を巡回して、法談でめた布施ふせを持帰つては、其れで生活くらしを立て、御堂みだう庫裡くりの普請をもる。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
「だってるにも事欠いて唄うたいなんですからね。」と言いながら、軽く思い上ったような調子で
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
世帯崩しょたいくずしの年増女としまおんなを勝手元に働かせて、独身で暮している川西のために、時々上さんのるような家事向の用事に、器用ではないが、しかし活溌かっぱつな働き振を見せていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
左伝さでんに平地尺にみつるを大雪とと見えたるはその国暖地なればなり。唐の韓愈かんゆが雪を豊年の嘉瑞かずいといひしも暖国の論なり。されど唐土もろこしにも寒国は八月雪ふる五雑俎ござっそに見えたり。
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
帰って何をるのか分からぬが、かく田舎住居をしようと思って帰って来た。先輩の牧師に其事を話したら、玉川の附近に教会の伝道地がある、ったら如何だと云う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
消極的に出ることは自己以外の威力に強制されてるので、独立自由の人格の好まないところ、甘んじないところ、止むを得ざること、わば恐迫されしいられてる如きものである。
デモクラシーの要素 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
おばこ昼寝したば(したれば)若いかりゆめ(猟師)が来て小槍つん出したね、コバエテ/\、かりゆめ何をる、かりゆめは熊を突くしよべゑ(商売)だもの、コバエテ/\。
春雪の出羽路の三日 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
すぐに家人は勿論もちろん、門弟一同に深く注意を与えて、ぜんもっ種々いろいろ予防をる、幸いそれで何も起らない場合もあるが、多くは何処どこか眼の届かなかったところとか、如何どうしても避けられぬ事
頭上の響 (新字新仮名) / 北村四海(著)
左伝に(隠公八年)平地へいちしやくみつるを大雪とえたるは其国そのくに暖地だんちなれば也。たう韓愈かんゆが雪を豊年ほうねん嘉瑞かずゐといひしも暖国だんこくろん也。されど唐土もろこしにも寒国は八月雪ふる五雑組ござつそに見えたり。
同じ画家ゑかき仲間のなにがしがどんな婦人をんなでもたつた十ヶ月でる仕事を、画家ゑかきともいはれるものが物の十三年もかゝつて、やつと仕上げるなんて、そんな間抜まぬけな事があるものかと、きつい抗議を申込んだのが
みんなが大根を味噌みそで煮たり、鮭の卵の汁などをこしらへて食べてゐるのに、父はただ飯に白砂糖をかけて食べることなどもあつた。併し僕には何のために父がそんな真似をるかが分からなかつた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
みづからは隙なく君を恋ふる間に老いてし髪と誇りもべき
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
なにぁ、ひとの傘ぶっかして。」
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
長命ながいきまいぞ地獄の夕焼。
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
出来ないことをる。
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
る丈の事をたら
自分の学ぶこと、ること、考えることは父と何の交渉があるだろう、もしあの父が生きながらえていたらどんなことに成ったろうと。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
宮はいささかもこれもとがめず、出づるもるも唯彼のすに任せて、あだかも旅館のあるじらんやうに、かたばかりの送迎を怠らざるとふのみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
又「お前はさぞ怖かったで有ろうのう、斯様かような奴を助けて置くと村方を騒がしてようなる事をるかも知れぬから、土地の助けに殺したのだ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わしこさへものとおもひながら、不気味ぶきみがつて、なにひと仕掛しかけてく、おとりのやうに間違まちがへての。谿河たにがはながいかだはしからすまつてもるだよ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
といいながら、ついったから、何をるのかと思ったら、ツカツカと私の前へ来てひたと向合った。前髪があごに触れそうだ。ぷんにおいが鼻を衝く。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あとに残った藍丸王は、どっちとも解らず、只その声のる方に迷い迷うて、いつの間にかある谷の奥深く、真暗な杉の木立の中へ這入って仕舞った。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
すると、不意に、この音も無くしんとした天地を破つて、銅鑼どらを叩いたなら、かういふいやな音がるであらうと思はれる間の抜けたしかも急な鐘の乱打の響!
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)