未來みらい)” の例文
新字:未来
懷姙くわいにんこときまつたとき、御米およねこのあたらしい經驗けいけんたいして、おそろしい未來みらいと、うれしい未來みらい一度いちどゆめやう心持こゝろもちいだいてごした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
痴人ちじんゆめく、されどゆめみづかさとるはかならずしも痴人ちじんにあらざるし。現今げんこんおいても、未來みらいおいても、七福しちふくきたきをしんずるあたはず。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
さうでせう。』と、かれほそめてふた。『貴方あなただの、貴方あなた補助者ほじよしやのニキタなどのやうな、然云さうい人間にんげんには、未來みらいなどはなんえうわけです。 ...
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
本當ほんたうかんがへてれば、一寸ちよつとした機會チヤンス、また一秒間びやうかんときめに、未來みらいのどんな運命うんめいないともかぎらないのだ。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
早くまぬかれたくいつ未來みらいへ參りなば此苦しみも有まじと存じ斷念あきらめて罪を身に引請ひきうけ白状はくじやう仕つり候なり其實は人を殺し金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
石鹸しやぼん氣取きどりたるもふめり、おぬひは桂次けいじ未來みらいつまにとおくりもの〻中なか薄藤色うすふぢいろ繻袢じゆばんゑりしろぬきの牡丹花ぼたんくわかたあるをやりけるに、これをながめしとき桂次けいじかほ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あいそのものであり、そのどもがあるから、どんな暗黒あんこく時代じだいでも、未來みらいにひかりをるのです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
へびかへる蟲類むしるゐ假死かし状態じやうたいあひだ彼等かれら目前もくぜんせまつて未來みらいくるしみをまねために、過去くわこくるしかつた記念きねんである缺乏けつばふしたこめむぎごと消耗せうまうしてくのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あへ未來みらいのことはいはず、現在げんざいすで姿すがたになつてるのではないか、した或者あるものは、き、び、或者あるものは、はしり、くらふ、けれどもきぬいでへびは、のこしたからより
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
戀とは言はず、情とも謂はず、ふや柳因りういんわかるゝや絮果ぢよくわ、いづれ迷は同じ流轉るてん世事せじ、今は言ふべきことありとも覺えず。只〻此上は夜毎よごと松風まつかぜ御魂みたますまされて、未來みらい解脱げだつこそ肝要かんえうなれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
今日は御葬り下され御回向ゑかうあづかりしことの有難く御かげにて未來みらいを助かりますによりはゞかりながら是より其報恩はうおんに御前樣の蔭身かげみに添て何卒御立身出世りつしんしゆつせ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さうして、透明とうめいこゑが、二人ふたり未來みらいを、うしてあゝ眞赤まつかに、けたかを不思議ふしぎおもつた。いまではあかいろむかしあざやかさをうしなつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そして、あのぞろ/\とあるいてゐるひと一人一人ひとりひとり過去くわこ現在げんざい、また未來みらいのことをかんがへたらきつとおたがひになにかのつながりをつてるにちがいないといふやうながした。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
さとしわれながらあきれるばかり、天晴あつぱ未來みらい文學者ぶんがくしや此樣このやうのことにて如何どうなるものぞと、しかりつけるあとよりこヽろふらふらとるに、是非ぜひもなし是上このうへはと下宿げしゆく世帶しよたい一切いつさいたヽみて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
感覺かんかくうちおい人生じんせい全體ぜんたいふくまつてゐるのです。これにすることにくこと出來できます。が、これ輕蔑けいべつすること出來できんです。でるから、ストア哲學者てつがくしや未來みらいこと出來できんのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
此處こゝぬものか、なないものか、自分じぶん判斷はんだんをして、きるとおもへば平氣へいきし、ぬとおもしづか未來みらいかんがへて、念佛ねんぶつひとつもとなへたらうぢや、何方どつちにしたところが、わい/\さわぐことはない。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
立て是を仕置しおきす然れば及ずながら未來みらいは救ひも遣さうが現世の罪人を救う事は協はずと申さるれば三五郎は猶もかうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はなし題目だいもくで、やゝともすると小六ころくくち宿やどりたがるものは、かれ未來みらいうしたらからうと心配しんぱいであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まちは、そのときそのあしめに未來みらいがどうなるかともかんがへなかつた。自分じぶんがそのあしめになかにどんな心持こゝろもちきなければならないかと、いふことかんがへなかつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
今世こんせ主君きみにも未來みらい主君きみにも、忠節ちうせつのほどあらはしたし、かはあれど氣遣きづかはしきは言葉ことばたくみにまことくなきがいまつねく、誰人たれびと至信ししん誠實せいじつに、愛敬けいあいする主君きみ半身はんしんとなりて
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まあおちなさい、左樣さやういまはるとほ未來みらいに、監獄かんごくだの、瘋癲病院ふうてんびやうゐん全廢ぜんぱいされたあかつきには、すなはまど鐵格子てつがうしも、病院服びやうゐんふくも、まつた無用むようになつてしまひませう、無論むろん然云さういとき早晩さうばんませう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)