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さしつかへ
ふりがな文庫
“
差支
(
さしつかへ
)” の例文
とかういふ順に
杯
(
さかづき
)
を
煽飲
(
あふ
)
つたといふから、朝から晩まで酒に
浸
(
ひた
)
つてゐたものと見て
差支
(
さしつかへ
)
なからう。道理で自分の選んだ墓の銘には
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
日本人
(
にほんじん
)
が
歐文
(
おうぶん
)
を
書
(
か
)
く
場合
(
ばあひ
)
、この
慣例
(
くわんれい
)
を
尊重
(
そんちよう
)
して、
小
(
せう
)
より
大
(
だい
)
に
入
(
い
)
るのは
差支
(
さしつかへ
)
ないが、その
内
(
うち
)
の
固有名
(
こいうめい
)
は
斷然
(
だんぜん
)
いぢくられてはならぬ。
誤まれる姓名の逆列
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
自分は熊五郎に斬られて死んだと見ても
差支
(
さしつかへ
)
が無いわけで、駒吉が熊井熊五郎であることは何んの
支障
(
ししやう
)
もなく説明されるのです。
銭形平次捕物控:157 娘の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「では
寐
(
ね
)
られる
丈
(
だけ
)
寐
(
ね
)
かして
置
(
お
)
いても
差支
(
さしつかへ
)
ありませんか」と
聞
(
き
)
いたら、
醫者
(
いしや
)
は
用
(
よう
)
さへなければ
別
(
べつ
)
に
起
(
おこ
)
す
必要
(
ひつえう
)
もあるまいと
答
(
こた
)
へた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
本人
(
ほんにん
)
に
自營獨立
(
じえいどくりつ
)
の
心
(
こゝろ
)
さへ
定
(
さだま
)
つて
居
(
を
)
れば、どんな
塲所
(
ばしよ
)
へ
出
(
だ
)
しても、
又
(
また
)
どんな
境遇
(
きやうぐう
)
に
處
(
しよ
)
しても
差支
(
さしつかへ
)
なく、
變通自在
(
へんつうじざい
)
でありませう。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
▼ もっと見る
併
(
しかし
)
ながら
金解禁
(
きんかいきん
)
の
準備
(
じゆんび
)
としては
在外正貨
(
ざいぐわいせいくわ
)
を
潤澤
(
じゆんたく
)
に
持
(
も
)
ち
得
(
え
)
たことはその
準備
(
じゆんび
)
の
大半
(
たいはん
)
の
目的
(
もくてき
)
を
達
(
たつ
)
したと
云
(
い
)
つて
差支
(
さしつかへ
)
ないのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
帰途
(
かへり
)
に芝居の前の
其
(
その
)
家へ寄ると、ピニヨレ夫人は僕等にカンキナ酒を
注
(
つ
)
いで出し
乍
(
なが
)
ら「今夜お
差支
(
さしつかへ
)
が無いなら山荘の方へ馬車で
御
(
ご
)
案内したい」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
誠
(
まこと
)
に世の中は不幸なる人の
集合
(
あつまり
)
と云うても
差支
(
さしつかへ
)
ない程です、現に今ま
爰
(
こゝ
)
へ
団欒
(
よつ
)
てる五人を御覧なさい、皆な
社会
(
よのなか
)
の
不具者
(
かたは
)
です、渡辺の老女さんは
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
して見れば鑑定家なるものは、或種類の書画に限り、我々同様更に真贋の判別は出来ないと云つても
差支
(
さしつかへ
)
ない。
鑑定
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
どちらにしても強くは言張り難いが、「然而将門尚与
二
伯父
一
為
二
宿世之讐
一
」といふ句によつて、何にせよ此事が深い
怨恨
(
ゑんこん
)
になつた事と見て
差支
(
さしつかへ
)
は無い。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
翁さん姨さんの頼と有つて見れば、僕は不承知を言ふことの出来ない身分だから、
唯々
(
はいはい
)
と言つて聞いてゐたけれど、
宮
(
みい
)
さんは
幾多
(
いくら
)
でも剛情を張つて
差支
(
さしつかへ
)
無いのだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
と謂ツて、自分でも出来るといふ程出來はしないと謂ツてゐる位だから、大した腕は無い、長唄の地に、
歌澤
(
うたさは
)
も少し
彈
(
ひ
)
けて、先づモグリをしてゐるには
差支
(
さしつかへ
)
のない分のことだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
見習
(
みなら
)
ひしなるべし
不埓
(
ふらち
)
至極
(
しごく
)
の
奴
(
やつ
)
ぢや九郎兵衞申開きありやと云れしかばグツと
差支
(
さしつかへ
)
一言もなく
尻込
(
しりごみ
)
なすにより追々吟味に及ぶ下れと云るゝ時下役の者立ませいと
聲
(
こゑ
)
掛
(
かけ
)
一同
白洲
(
しらす
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
然
(
しか
)
るに
此一廻
(
このひとまはり
)
の
間
(
あひだ
)
、
丁度
(
ちやうど
)
三百六十五日ならば千年も万年も
同
(
おな
)
じ暦にて
差支
(
さしつかへ
)
なき
筈
(
はづ
)
なれども、六十五日の
上端
(
うわは
)
に六
時
(
とき
)
といふものありて
毎年
(
まいねん
)
六
時
(
とき
)
づ〻
後
(
おく
)
れ、四年
目
(
め
)
には四六二十四
時
(
とき
)
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
だから日本のエスペラントは日本語の臭味があつたとて一向
差支
(
さしつかへ
)
ないと思ふ。
エスペラントの話
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
何
(
なん
)
のあとへ
鼠
(
ねずみ
)
が
出
(
で
)
ても、ちつとも
差支
(
さしつかへ
)
はないのであるが、そのみゝづくが
窓
(
まど
)
を
離
(
はな
)
れて、
第一
(
だいいち
)
のいてふへ
飛移
(
とびうつ
)
つたと
思
(
おも
)
ふ
頃
(
ころ
)
、おなじガラス
窓
(
まど
)
の
上
(
うへ
)
の、
眞片隅
(
まかたすみ
)
、ほとんど
鋭角
(
えいかく
)
をなした
所
(
ところ
)
で、トン
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
毒は凡ての科学の開祖と
見做
(
みな
)
しても
差支
(
さしつかへ
)
ないのである。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
之を認めて置いて一向
差支
(
さしつかへ
)
ない。
仮名遣意見
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「あ、お孃さん、
差支
(
さしつかへ
)
が無かつたら、もう暫らく立ち會つて下さい、私は大變なものを見落して居るやうな氣がするのです」
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
栗鼠
(
りす
)
は
胡桃
(
くるみ
)
を勘定するのに、自分一流の数へ方を知つてゐる。池田氏がそんな方法を知つてゐたところで少しの
差支
(
さしつかへ
)
もない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
醫者
(
いしや
)
へ
行
(
い
)
つてね。
昨夜
(
ゆうべ
)
の
藥
(
くすり
)
を
戴
(
いたゞ
)
いてから
寐出
(
ねだ
)
して、
今
(
いま
)
になつても
眼
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めませんが
差支
(
さしつかへ
)
ないでせうかつて
聞
(
き
)
いて
來
(
き
)
て
呉
(
く
)
れ」
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
體
(
たい
)
この
規則
(
きそく
)
でさせる
事
(
こと
)
は
規則
(
きそく
)
其物
(
そのもの
)
の
存
(
そん
)
してゐる
間
(
あひだ
)
、
即
(
すなは
)
ち
規則
(
きそく
)
にはまつて
居
(
ゐ
)
る
間
(
あひだ
)
はよろしいが、
他日
(
たじつ
)
境遇
(
きやうぐう
)
が
變
(
か
)
はると、
一方
(
ひとかた
)
ならぬ
差支
(
さしつかへ
)
を
生
(
しやう
)
ずる
事
(
こと
)
がありませう。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
が事実は彼がその為に、生きてゐると云つても、
差支
(
さしつかへ
)
ない程であつた。——人間は、時として、充されるか充されないか、わからない欲望の為に、一生を捧げてしまふ。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さうですから、自分の好いた
方
(
かた
)
に
惚
(
ほ
)
れて騒ぐ分は、一向
差支
(
さしつかへ
)
の無い
独身
(
ひとりみ
)
も同じので御座います。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
仰付
(
おほせつけ
)
られ下さるべしと申故米屋へも出入となり
其上
(
そのうへ
)
急
(
きふ
)
に出物などにて金子に
差支
(
さしつかへ
)
る節其は二三十兩又は五十兩と
時借
(
ときがり
)
も致し尤も
其都度々々
(
そのつど/\
)
速
(
すみや
)
かに
返濟
(
へんさい
)
なす故隱居も彦兵衞が
堅
(
かた
)
き事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さう
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
ると
我國
(
わがくに
)
の
商賣
(
しやうばい
)
は
以前
(
いぜん
)
と
比較
(
ひかく
)
して
非常
(
ひじやう
)
に
仕好
(
しよ
)
くなることは
確
(
たしか
)
である、それであるから
金解禁
(
きんかいきん
)
の
出來
(
でき
)
た
後
(
のち
)
に
於
(
お
)
ける
經濟界
(
けいざいかい
)
は
以前
(
いぜん
)
よりも
安定
(
あんてい
)
したと
言
(
い
)
つて
差支
(
さしつかへ
)
ない
譯
(
わけ
)
である。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
麦酒
(
ビエエル
)
を飲んで居ると約束の午後四時に
其
(
その
)
お嬢さんが遣つて来た。
併
(
しか
)
し
今日
(
けふ
)
は
俄
(
にはか
)
に
差支
(
さしつかへ
)
が起つて
行
(
ゆ
)
かれない、只
其
(
その
)
断りに来たのだと言ふ。目附の
憂鬱
(
メランコリツク
)
な、首筋の
細
(
ほつそ
)
りとした、小柄な女である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
處
(
ところ
)
で、その、お
差支
(
さしつかへ
)
のなさを
裏
(
うら
)
がきするため、
豫
(
かね
)
て
知合
(
しりあひ
)
ではあるし、
綴蓋
(
とぢぶた
)
の
喜多
(
きた
)
の
家内
(
かない
)
が、
折
(
をり
)
からきれめの
鰹節
(
かつをぶし
)
を
亻
(
にんべん
)
へ
買出
(
かひだ
)
しに
行
(
ゆ
)
くついでに、その
姉
(
ねえ
)
さんの
家
(
うち
)
へ
立寄
(
たちよ
)
つて、
同行三人
(
どうかうさんにん
)
の
日取
(
ひどり
)
をきめた。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
併し其様なことはモデルに
使
(
つか
)
ふに何んの
故障
(
こしやう
)
も
差支
(
さしつかへ
)
も無い。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
少
(
すこ
)
しも
差支
(
さしつかへ
)
はないのである。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
所
(
ところ
)
が
叔父
(
をぢ
)
の
意見
(
いけん
)
によると、あの
屋敷
(
やしき
)
は
宗助
(
そうすけ
)
が
自分
(
じぶん
)
に
提供
(
ていきよう
)
して
行
(
い
)
つたのだから、たとひ
幾何
(
いくら
)
餘
(
あま
)
らうと、
餘
(
あま
)
つた
分
(
ぶん
)
は
自分
(
じぶん
)
の
所得
(
しよとく
)
と
見傚
(
みな
)
して
差支
(
さしつかへ
)
ない。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その事を思ふと、クロムヱルの
髑髏
(
しやれかうべ
)
が二つ出たところで格別
差支
(
さしつかへ
)
はない。
或
(
あるひ
)
はもつと捜したら、もつと出るかも知れない。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
世界は
不朽
(
ふきう
)
の傑作にうんざりするほど充満してゐる。が、或作家の死んだ後、三十年の月日を経ても、なほ僕等の読むに足る十篇の短篇を残したものは大家と呼んでも
差支
(
さしつかへ
)
ない。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
折が有つたら又お目に掛ります。は、僕の
居住
(
すまひ
)
? 居住は、まあ言はん方が可い、
蜑
(
あま
)
が
子
(
こ
)
なれば宿も定めずじや。言うても
差支
(
さしつかへ
)
は無いけれど、貴方に押掛けらるると困るから、まあ言はん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
其
(
その
)
剛愎執拗な方面
等
(
とう
)
を没了し、必ずしもモリエエルと限らず
何
(
ど
)
の芸術家を
仮
(
か
)
り
来
(
きた
)
つて主人公としても
差支
(
さしつかへ
)
の無い様な憾みはあるが、第一の夫人マドレエヌの聡明貞淑な性格が善く活躍して居るのと
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
待合所
(
まちあひじよ
)
の
硝子戸
(
がらすど
)
へ
入
(
はひ
)
るまで、
其
(
そ
)
の
割
(
わり
)
に
急
(
いそ
)
がないで
差支
(
さしつかへ
)
ぬ。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
する身の上なれば
在
(
あり
)
とあらゆる
品物
(
しなもの
)
は大小までも
質
(
しち
)
に入たるは
道理
(
もつとも
)
なり其日々々にさへ
差支
(
さしつかへ
)
る有樣ゆゑ如何に大切の品なり共
今
(
いま
)
は
勿々
(
なか/\
)
受出
(
うけだ
)
す事も成まじ
質屋
(
しちや
)
よりは流れの
催促
(
さいそく
)
嘸
(
さぞ
)
かし
難澁
(
なんじふ
)
の事ならんと己れが身分にも
競
(
くら
)
べて考へしが長八は
爰
(
こゝ
)
ぞと思ひて廿五兩の金子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その中のどれでも
差支
(
さしつかへ
)
がなく、二つ一緒なら
猶
(
なほ
)
好
(
い
)
いとさへ思つてゐるらしかつたが、桂田氏の電報には思ひがけなく「文部ときめよ」と書いてあつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
夫
(
それ
)
で
差支
(
さしつかへ
)
ないんですよ。喧嘩も
何
(
なに
)
も
起
(
おこ
)
らないんだから。けれどもね、そんなに
偉
(
えら
)
い
貴方
(
あなた
)
が、
何故
(
なぜ
)
私
(
わたし
)
なんぞから
御金
(
おかね
)
を
借
(
か
)
りる必要があるの。
可笑
(
おか
)
しいぢやありませんか。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
血脈といふものは、手つ取り早く言つたら、女学校の卒業証書みたいなもので、これが
失
(
な
)
くなつてゐたからといつて、お嫁入には少しも
差支
(
さしつかへ
)
ない筈だ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
軍国主義の精神には一時的以上の真理が
何処
(
どこ
)
かに
伏在
(
ふくざい
)
してゐると認めても
差支
(
さしつかへ
)
ないかも知れない。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
珈琲店
(
カフエー
)
や歯医者を忘れる分には
差支
(
さしつかへ
)
ないが、細君と丸善とだけは何時迄も覚えてゐて貰ひたい。彼等は学校教師にとつての二大人格だから。そして
尋
(
つい
)
でに蚤もまた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
今の人の手にする文學書にはヸーナスとかバツカスとかいふ
呑氣
(
のんき
)
な名前は
餘
(
あま
)
り出て來ないやうです。
希臘
(
ギリシア
)
のミソロジーを知らなくても、イブセンを讀むには
殆
(
ほと
)
んど
差支
(
さしつかへ
)
ないでせう。
『伝説の時代』序
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
落すにはそれ/″\自分が手に
入
(
い
)
つた方法を
択
(
えら
)
んで
差支
(
さしつかへ
)
ないが、
唯
(
たゞ
)
落すその一瞬間は鶏に
気取
(
けど
)
られぬ程の
微妙
(
デリケート
)
な
点
(
ところ
)
が無くてはならぬ。気取られたが最後肉の味はまづくなる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
著者の選択した部分は、煤煙の骨子でない所から云へば、著者に取つて遺憾かも知れないが、安全と云ふ点から見れば
是程
(
これほど
)
安全な章はない。誰が読んだつて
差支
(
さしつかへ
)
ないんだから大丈夫である。
『煤煙』の序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
鶴笑の積りではそれでも大分見切つた上の
申出
(
まをしで
)
らしかつた。何故といつて阿波の国は半分
割
(
さ
)
いた処で、別段
差支
(
さしつかへ
)
もなかつたが、硯だけは半分に割つては
何
(
ど
)
うする事も出来なかつた。
硯と殿様
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
差
常用漢字
小4
部首:⼯
10画
支
常用漢字
小5
部首:⽀
4画
“差支”で始まる語句
差支無