まさ)” の例文
新字:
讀者どくしや諸君しよくん御記臆ごきおくだらう。弦月丸げんげつまるまさに子ープルスかう出發しゆつぱつせんとしたとき何故なにゆゑともなくふかわたくしまなことゞまつた一隻いつさうあやしふねを。
キケロ身を以て逃れ、まさにブルツスの陣に投ぜんとして、遂に刺客の及ぶところとなりぬ。時に西暦前四十三年十二月七日なり。
その枝も葉も今まさに水に入らんとするほど重げに撓々たわ/\に湖面に蔽ひかぶさつてゐるところや、藻の花が處々にれ咲いたり
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
そして、義雄、氷峰、勇が三人で撮影した寫眞が挿んであつて、義雄の見出しには「まさに實業家とならんとする田村義雄氏」
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
あいちやんは其扇子そのせんす手套てぶくろとを取上とりあげ、まさ其處そこ立去たちさらうとして、姿見鏡すがたみそばにあつたちひさなびんまりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かのうづたかめるくちなはしかばねも、彼等かれらまさらむとするにさいしては、あな穿うがちてこと/″\うづむるなり。さても清風せいふうきて不淨ふじやうはらへば、山野さんや一點いつてん妖氛えうふんをもとゞめず。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此年月は壽阿彌が剃髮する二月前である。これにつて觀れば、壽阿彌がまさに出家せむとして、戸主たる姪清常のために此文を作つたことは明である。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
老子らうし苦縣こけん厲郷らいきやう曲仁里きよくじんりひとなりせい李氏りしあざな伯陽はくやうおくりなたんふ。しう(一)守藏室しゆざうしつなり孔子こうししうき、まされい老子らうしはんとす。
春は去つてまさに夏ならんとする市井しせちの情調のなほ掬すべきものあるを思ひ、却て愁思を動した事があつた。
十年振:一名京都紀行 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
しかし汽車きしやいままさ隧道トンネルくちへさしかからうとしてゐることは、暮色ぼしよくなか枯草かれくさばかりあかる兩側りやうがは山腹さんぷくが、間近まぢか窓側まどがはせまつてたのでも、すぐに合點がてんことであつた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ぼく此小學校このせうがくかうはひわづ四年前よねんぜん此學校このがくかう創立さうりつされたので、それよりさら十年前じふねんぜんのこと、正月元日しやうぐわつぐわんじつあさでした、新年しんねん初光しよくわういままさ青海原あをうなばらはてより其第一線そのだいゝつせんげ、東雲しのゝめ横雲よこぐも黄金色こんじきそま
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
やが今度こんどは、あいちやんがあたましたへやり、ふたゝはじめやうとすると針鼠はりねずみが、自分じぶん仲間外なかまはづれにしたとつておほいいかり、まさらうとする素振そぶりえました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
處々にけ出でたる截石きりいしまさおちんとして僅に懸りたるさま、唯だ蔓草にのみ支へられたるかと疑はる。
そして、その結果が、出來ることなら、そこにこの冬を通して立て籠り、アイノ語を習得し、まさに滅亡せんとするアイノ人種の古來有してゐた文學を收集したくなつた。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
ひとはれたあはれなものの、まさなんとするみゝに、與吉よきち福音ふくいんつたへたのである、この與吉よきちのやうなものでなければ、實際じつさいまたかゝ福音ふくいんつたへられなかつたのであらう。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大佐たいさこうまさ朝日島あさひじま出發しゆつぱつせんとする瞬時わづかまへ震天動地しんてんどうち大海嘯おほつなみために、秘密造船所ひみつざうせんじよ倉庫さうこくだけて、十二のたる流失りうしつしたことから、つひ今回こんくわい大使命だいしめい立到たちいたつたまで大略あらまし
(二)がく載籍さいせききはめてひろけれども、しん六蓺りくげいかんがふ。(三)詩書ししよ(四)けたりといへども、しかれども(五)虞夏ぐかぶんなりげうまさくらゐ(六)のがれんとするや、虞舜ぐしゆんゆづる。
わたくしは壽阿彌の手紙と題する此文を草してまさに稿ををはらむとした。然るに何となく心にあきたらふしがあつた。何事かは知らぬが、まさすべくして做さざる所のものがあつて存する如くであつた。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼等かれらまさにこれを石盤せきばんきつけんとしたときに、白兎しろうさぎくちれて、『不必要ふひつえう御座ございます、陛下へいかよ、まをまでもなく』とはなはうや/\しく、しかまゆひそめてまをげました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
われは身の既に死して無際空間の氣海に漂へるを覺えたり。我身はまさに昇りて天にせる父のもとに往かんとす。然るに一物の重く我頭上を壓するあり。是れ我罪障なるべし。
れは海上法かいじやうほふしたがつて、ふねまさ他船たせん追越おひこされんとするとき表示へうしする夜間信號やかんしんがうである。
(一三)關令くわんれい尹喜ゐんきいはく、『まさかくれんとす、ひてめにしよあらはせ』と。ここおい老子らうしすなは書上下篇しよしやうかへんあらはし、道徳だうとくふこと五千餘言よげんにしてれり。をはところし。
劉填りうてんひそかはかりごとあんじ、せんめいじて鏡中きやうちう雙鸞さうらんつくらしむ、するところは、陽王やうわう寵姫ちようひかたいだき、ほゝ相合あひあはせて、二人ふたりニヤ/\としてまさねんとほつするがごときもの。したたるくしておもてくべからず。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)