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始
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はじめ
ふりがな文庫
“
始
(
はじめ
)” の例文
私
(
わたくし
)
は
漸
(
やうや
)
くほつとした
心
(
こころ
)
もちになつて、
卷煙草
(
まきたばこ
)
に
火
(
ひ
)
をつけながら、
始
(
はじめ
)
て
懶
(
ものう
)
い
睚
(
まぶた
)
をあげて、
前
(
まへ
)
の
席
(
せき
)
に
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
してゐた
小娘
(
こむすめ
)
の
顏
(
かほ
)
を一
瞥
(
べつ
)
した。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一ツの羽子を
並
(
なら
)
びたちてつくゆゑに、あやまちて
取落
(
とりおと
)
したるものは
始
(
はじめ
)
に定ありて、あるひは雪をうちかけ、又は
頭
(
かしら
)
より雪をあぶする。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
格之助
始
(
はじめ
)
、人々もこれに従つて刀を投げて、皆
脇差
(
わきざし
)
ばかりになつた。それから平八郎の黙つて歩く
跡
(
あと
)
に附いて、一同
下寺町
(
したでらまち
)
まで出た。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それで螢の光で
其處
(
そこ
)
らが薄月夜のやうに明いのであツた。餘り其處らが明いので、自分は
始
(
はじめ
)
、夢を見てゐるのでは無いかと思ツた。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
御覽
(
ごらん
)
なさい、
世界
(
せかい
)
の
始
(
はじめ
)
から、
今日
(
こんにち
)
に
至
(
いた
)
るまで、
益〻
(
ます/\
)
進歩
(
しんぽ
)
して
行
(
ゆ
)
くものは
生存競爭
(
せいぞんきやうさう
)
、
疼痛
(
とうつう
)
の
感覺
(
かんかく
)
、
刺戟
(
しげき
)
に
對
(
たい
)
する
反應
(
はんおう
)
の
力
(
ちから
)
などでせう。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
重吉は種子の語ったことを冷静に考えて見た時、
始
(
はじめ
)
て自分は
淫蕩
(
いんとう
)
な
妾上
(
めかけあが
)
りの女に金で買われている男妾も同様なものである事に心づいた。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
馬酔木
(
あしび
)
をベリベリ柴と呼び、
松毬
(
まつかさ
)
をチチリという類は、
始
(
はじめ
)
は幼い者を喜ばせるためとしても、今は既に親々の方言になっている。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
さるは
独
(
ひと
)
り夫のみならず、本家の両親を
始
(
はじめ
)
親属
知辺
(
しるべ
)
に至るまで一般に彼の病身を
憫
(
あはれ
)
みて、おとなしき嫁よと
賞
(
ほ
)
め
揚
(
そや
)
さぬはあらず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
この書、はじめをその地勢に起し、神の
始
(
はじめ
)
、里の神、家の神等より、
天狗
(
てんぐ
)
、山男、山女、塚と森、魂の行方、まぼろし、雪女。
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かるが故に
始
(
はじめ
)
に過重なる希望を以て入りたる婚姻は、後に比較的の失望を招かしめ、惨として夫婦相対するが如き事起るなり。
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
漢語は
延宝
(
えんぽう
)
、
天和
(
てんな
)
の間
其角
(
きかく
)
一派が濫用して
終
(
つい
)
にその調和を得ず、其角すらこれより後、
復
(
また
)
用ゐざりしもの、蕪村に至りて
始
(
はじめ
)
て成功を得たり。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「俺は今、貴様の見た山本の息子、
始
(
はじめ
)
というものだ。貴様の一家を根絶やしにする事を、一生の事業として生きている山本始というものだ」
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それも
始
(
はじめ
)
から
宿
(
やど
)
る
種
(
たね
)
がなかつたのなら、まだしもだが、
育
(
そだ
)
つべきものを
中途
(
ちゆうと
)
で
取
(
と
)
り
落
(
おと
)
したのだから、
更
(
さら
)
に
不幸
(
ふかう
)
の
感
(
かん
)
が
深
(
ふか
)
かつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
始
(
はじめ
)
は一山を上下して更に一山を登る方法を取っていたが、それでは一夏に登り得る山は多くも二、三に過ぎない
憾
(
うらみ
)
があるので、之に満足せず
山の今昔
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
『
始
(
はじめ
)
から
終
(
しまひ
)
まで
間違
(
まちが
)
つてる』と
斷乎
(
きつぱり
)
芋蟲
(
いもむし
)
が
云
(
い
)
ひました。それから
双方
(
さうはう
)
とも
口
(
くち
)
を
噤
(
つぐ
)
んで
了
(
しま
)
つたので、
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
又
(
また
)
森
(
しん
)
としました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
こうなるってことは、
始
(
はじめ
)
っからわかってたんです、何かしら、僕にはね。なんだかそれを待ってたような気もするんです。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
ある人はヨブ記の
始
(
はじめ
)
と
終
(
おわり
)
のみを読みて物的恩恵は必ず悔改に伴うべきものとなし、前者において足らざるは後者において足らざるによると考う。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
日本に於ても既に
素盞嗚尊
(
すさのをのみこと
)
の時に酒があり、
少彦名神
(
すくなひこのみこと
)
は造酒の神なりと言はれ、支那に於ても酒を
以
(
もつ
)
て薬物の
始
(
はじめ
)
とした。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
怖い
紛
(
まぎ
)
れにお累は新吉に
縋
(
すが
)
り付く、その手を取って
新枕
(
にいまくら
)
、悪縁とは云いながら、たった一晩でお累が身重になります。これが怪談の
始
(
はじめ
)
でございます。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
たとえば明治になって新に士籍とはいわれまいが、広い意味に於ける士の族に昇格したものが沢山ある。学士を
始
(
はじめ
)
として代議士もあれば弁護士もある。
平民道
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
これを御本家
始
(
はじめ
)
御親類の御女中に言わせると折角
花車
(
きゃしゃ
)
な当世の流行を
捨
(
すて
)
て、娘にまで手織縞で得心させている中へ、奥様という他所者が舞込で来たのは
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ご退位後の諸社への御幸
始
(
はじめ
)
は、八幡、賀茂、春日などであるから、先例を破られてのご決意だったわけである。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
始
(
はじめ
)
て私は幾十尺上って来たかと驚いた。右を見るとまたしても、太い、高い、黒い二本の烟突が目につく。私は
飽迄
(
あくまで
)
この烟突に圧迫せられている
感
(
かんじ
)
がする。
暗い空
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
多くの人が原始社会を唯団体的と考えるのに反し、私はマリノースキイなどの如く
始
(
はじめ
)
から個人というものを含んでいるという考に同意したいと思うのである。
絶対矛盾的自己同一
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
卑賤
(
ひせん
)
にそだちたる
我身
(
わがみ
)
なれば、
始
(
はじめ
)
よりこの
以上
(
うへ
)
を見も知らで、世間は裏屋に限れる物と
定
(
さだ
)
め、
我家
(
わがや
)
のほかに天地のなしと思はゞ、はかなき思ひに胸も燃えじを
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
この『俳諧須菩提経』というのは明治の末か大正の
始
(
はじめ
)
に書いたもののように思う。今でも同じ考えである。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
即
(
すなは
)
ち
之
(
これ
)
を
實行
(
じつかう
)
せんとすれば
現在
(
げんざい
)
の
國民
(
こくみん
)
の
消費
(
せうひ
)
を
相當
(
さうたう
)
の
程度
(
ていど
)
に
節約
(
せつやく
)
せしむるより
外
(
ほか
)
にないのである。
斯
(
か
)
くして
始
(
はじめ
)
て
冗費
(
じようひ
)
を
節
(
せつ
)
し
無駄
(
むだ
)
を
省
(
はぶ
)
かしむることが
出來
(
でき
)
るのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
私はたまたま家主の子であり藩地へ来て
始
(
はじめ
)
ての友達であったので唯一の友としていた。しかしなるほど他の藩士の子弟と交るようになってからは、疎遠になってしまった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
凡
(
およ
)
そ銅鉄の腐るはじめは虫が生ずるためで、「
錆
(
さびる
)
は
腐
(
くさる
)
の
始
(
はじめ
)
、
錆
(
さび
)
の中かならず虫あり、肉眼に及ばざるゆゑ」人が知らないのであるが、これは
蘭人
(
らんじん
)
の説であるという説明があって
語呂の論理
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
新
(
あらた
)
しき
年
(
とし
)
の
始
(
はじめ
)
に
思
(
おも
)
ふどちい
群
(
む
)
れて
居
(
を
)
れば
嬉
(
うれ
)
しくもあるか 〔巻十九・四二八四〕 道祖王
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
何でも朋友に相談をして見ようと
斯
(
こ
)
う思うたが、この事も中々
易
(
やす
)
くないと
云
(
い
)
うのは、その時の蘭学者全体の
考
(
かんがえ
)
は、私を
始
(
はじめ
)
として皆、
数年
(
すねん
)
の
間
(
あいだ
)
刻苦
(
こっく
)
勉強した蘭学が役に立たないから
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
王こゝに
於
(
おい
)
て杖を投じて
起
(
た
)
って曰く、我何ぞ病まん、
奸臣
(
かんしん
)
に迫らるゝ
耳
(
のみ
)
、とて遂に昺貴等を
斬
(
き
)
る。昺貴等の将士、二人が時を移して
還
(
かえ
)
らざるを見、
始
(
はじめ
)
は疑い、
後
(
のち
)
は
覚
(
さと
)
りて、
各
(
おのおの
)
散じ去る。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
天智
(
てんじ
)
天皇のみ代だけについて見ても「
是
(
この
)
歳
(
とし
)
水
(
みず
)
碓
(
うす
)
を造り
而
(
て
)
冶
(
かね
)
※
(
わかす
)
」とか「
始
(
はじめ
)
て
漏剋
(
ろうこく
)
を用う」とか貯水池を築いて「
水城
(
みずき
)
」と名づけたとか、「指南車」「
水臬
(
みずばかり
)
」のような器械の献上を受けたり
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
正月は明けましてで始まり、演説は満堂の紳士淑女諸君で始まり、手紙は拝啓
陳者
(
のぶれば
)
で始まる。しかし日記は何で始まるものか、
始
(
はじめ
)
からして分らないのだから、
全然
(
てんで
)
見当がつかない。弱っちまう。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
始
(
はじめ
)
には越後の
諸勝
(
しよしよう
)
を
尽
(
つく
)
さんと思ひしが、
越地
(
ゑつち
)
に入し
後
(
のち
)
、
年
(
とし
)
稍
(
やゝ
)
侵
(
しん
)
して
穀価
(
こくか
)
貴踊
(
きよう
)
し人心
穏
(
おだやか
)
ならず、ゆゑに越地を
践
(
ふむ
)
こと
僅
(
わづか
)
に十が一なり。しかれども
旅中
(
りよちゆう
)
に於て
耳目
(
じもく
)
を
新
(
あらた
)
にせし事を
挙
(
あげ
)
て此書に
増修
(
そうしう
)
す。
北越雪譜:05 北越雪譜二編凡例
(新字旧仮名)
/
山東京山
(著)
始
(
はじめ
)
から
牢
(
ろう
)
やへはいらない様にしてやれませう。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
犢鼻褌
(
ふんどし
)
を
腮
(
あご
)
にはさむや
著
(
き
)
そ
始
(
はじめ
)
汶村
(
ぶんそん
)
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
早くお
始
(
はじめ
)
なさい。殿様がお待兼だ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
始
(
はじめ
)
ある物は
終
(
をはり
)
あり。
カンタタ
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
始
(
はじめ
)
なり、
終
(
をはり
)
なり。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
一ツの羽子を
並
(
なら
)
びたちてつくゆゑに、あやまちて
取落
(
とりおと
)
したるものは
始
(
はじめ
)
に定ありて、あるひは雪をうちかけ、又は
頭
(
かしら
)
より雪をあぶする。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
わたくしは洞雲寺の移転地を尋ねて得ず、これを
大槻文彦
(
おおつきふみひこ
)
さんに問うて
始
(
はじめ
)
て知った。この寺には枳園六世の祖からの墓が並んでいる。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
御覧
(
ごらん
)
なさい、
世界
(
せかい
)
の
始
(
はじめ
)
から、
今日
(
こんにち
)
に
至
(
いた
)
るまで、ますます
進歩
(
しんぽ
)
して
行
(
ゆ
)
くものは
生存競争
(
せいぞんきょうそう
)
、
疼痛
(
とうつう
)
の
感覚
(
かんかく
)
、
刺戟
(
しげき
)
に
対
(
たい
)
する
反応
(
はんのう
)
の
力
(
ちから
)
などでしょう。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「ハハワルシ、スグカエレ」——彼は
始
(
はじめ
)
こう書いたが、すぐにまた紙を
裂
(
さ
)
いて、「ハハビョウキ、スグカエレ」と書き直した。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
始
(
はじめ
)
余ノ昌平黌ニアルヤ
寺門静軒
(
てらかどせいけん
)
マサニ
駒籠
(
こまごめ
)
ヲ去ラントシ、余ニ
講帷
(
こうい
)
ヲ
嗣
(
つ
)
ガンコトヲ勧ム。時ニ余一貧洗フガ如シ。コレヲ大沼竹渓翁ニ
謀
(
はか
)
ル。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
次に第二句の
始
(
はじめ
)
に「底」といふ字ありて結句に「加茂の河水」と順序を顛倒したるは前の雪の歌と全く同一の
覆轍
(
ふくてつ
)
に落ちたり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
始
(
はじめ
)
から
何故
(
なぜ
)
自然に抵抗したのかと思つた。彼は
雨
(
あめ
)
の
中
(
なか
)
に、
百合
(
ゆり
)
の
中
(
なか
)
に、
再現
(
さいげん
)
の
昔
(
むかし
)
のなかに、純一無雑に平和な生命を見出した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
同じ相性でも、
始
(
はじめ
)
わるし、中程宜しからず、末
覚束
(
おぼつか
)
なしと云う縁なら、いくらか破談の方に頼みはあるが……衣食満ち満ち富貴……は弱った。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
始
(
はじめ
)
は木立のまばらな笹の深い山ひらを急に登って、中房川と北中川とを分つ尾根の上に出ると、
其処
(
そこ
)
は濁ノ頭の三角点に至る距離の
略
(
ほ
)
ぼ中央あたりで
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
彼はアルバであり又オメガである、
始
(
はじめ
)
であり又
終
(
おわり
)
である、今あり昔あり後ある全能者である(黙示録一章八節)
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
始
常用漢字
小3
部首:⼥
8画
“始”を含む語句
始終
終始
始中終
始末
末始終
原始的
最始
元始
一部始終
始皇
手始
不始末
始皇帝
開始
原始人
始終中
始祖鳥
原始人文篇
事始
原始
...