“場所(ばしょ)” の例文
ある日(ひ)、おじさんは、いつもの場所(ばしょ)へきて、年(とし)ちゃんや、義(よっ)ちゃんや、とめ子(こ)さんのいる前(まえ)で、ひばりをかごからはなしたのでした。
ひばりのおじさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
右(みぎ)も左(ひだり)も削(けず)ったような高(たか)い崖(がけ)、そこら中(じゅう)には見上(みあ)げるような常盤木(ときわぎ)が茂(しげ)って居(お)り、いかにもしっとりと気分(きぶん)の落(お)ちついた場所(ばしょ)でした。
そこで、仕立屋さんは、安楽(あんらく)いすからそっとすべりおりて、門のうしろのもとの場所(ばしょ)にかえって、すました顔をしてすわっていました。
わたしは一生のうちで、あの森くらい好きだった場所(ばしょ)はありません。きのこがある、野いちごがある、かぶと虫もいれば、小鳥もいる。
井戸(いど)のことは、もうお願(ねが)いしません。またどこか、ほかの場所(ばしょ)をさがすとします。ですから、あなたはどうぞ、死(し)なないで下(くだ)さい。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「この国(くに)はわたしの治(おさ)めている土地(とち)で、あなたに貸(か)して上(あ)げる場所(ばしょ)といって、ほかにありません。では海(うみ)の中を貸(か)しましょう。」
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
沼にはあしやよしの黄色い茎(くき)が枯(か)れてかさなりあっているところや、青黒い水が、どんよりと深くよどんでいるような場所(ばしょ)がありました。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
とうとうそれは固(かた)く固(かた)く凍(こお)ってきて、子家鴨(こあひる)が動(うご)くと水(みず)の中(なか)の氷(こおり)がめりめり割(わ)れる様(よう)になったので、子家鴨(こあひる)は、すっかりその場所(ばしょ)が氷(こおり)で
しかも、浅くて長くつづいているこのトーケルン湖の岸べと、泥の小島のまわりぐらい、アシが生(は)えるのにもってこいの場所(ばしょ)はないのです。
しめたと思って、物かげにかくれ、足のどろをすっかりはらい落として、ゆっくりと休(やす)み場所(ばしょ)をさがして歩きだしたんだ。
「いやいや、とってしまっちゃいけない、ただある場所(ばしょ)をさがして教えてさえくれればいいんだ。さがしてごらん。」
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
甚兵衛は、都(みやこ)の一番賑(にぎ)やかな場所(ばしょ)に、直(ただ)ちに小屋(こや)がけをしまして、「世界一の人形使い、独(ひと)りで踊(おど)るひょっとこ人形」という例(れい)の看板(かんばん)をだしました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そして、鉢(はち)の下(した)は、みかん箱(ばこ)の大(おお)きさの空洞(くうどう)で、つまり、鉢(はち)の下(した)に何(なに)かをかくしておく場所(ばしょ)ができているのであつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
貴方(あなた)は思想家(しそうか)で考深(かんがえぶか)い方(かた)です。貴方(あなた)のような人(ひと)はどんな場所(ばしょ)にいても、自身(じしん)において安心(あんしん)を求(もと)めることが出来(でき)ます。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しかも三十六人のとんぼ組(ぐみ)の小姓(こしょう)たちが八門(もん)の陣(じん)を組(く)んでまもっている鞠(まり)を、どうして、気づかれずに自分の手へとってもとの場所(ばしょ)へかえるだろうか。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何事(なにごと)ぢゃ此(この)血汐(ちしほ)は、これ、此(この)廟舍(たまや)の入口(いりくち)の石(いし)を染(そ)めた此(この)血汐(ちしほ)は? 主(ぬし)もない此(この)劍(つるぎ)は? 此樣(このやう)な平和(へいわ)の場所(ばしょ)に血(ち)まぶれにして棄(す)てゝあるは、こりゃ何(なん)としたことであらう?
全線中で一ばん危険(きけん)な場所(ばしょ)になっている急勾配(きゅうこうばい)のカーブにさしかかるにはまだだいぶ間(ま)があるので、わたしは安心(あんしん)してまた腰をおろすと、いろいろと内地の家のことなどを思いだして
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
くしんしてやくした場所(ばしょ)なのでした。
「ただいま!」と、いつものごとく、外(そと)から声(こえ)をかけました。はたして、お母(かあ)さんは、いつもの場所(ばしょ)にすわっていらっしゃいました。
さびしいお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
使いのものはその手紙をもってひきかえしましたが、まえとおなじ場所(ばしょ)でやすみますと、またまたそのままねこんでしまいました。
前(まえ)にものべた通(とお)り、こちらの世界(せかい)は造(つく)りつけの現界(げんかい)とは異(ことな)り、場所(ばしょ)も、家屋(かおく)も、又(また)姿(すがた)も、皆(みな)意思(おもい)のままにどのようにもかえられる。
身分(みぶん)の高い人もひくい人も、みんなそこへお参(まい)りにやってきて、そのような神聖(しんせい)な場所(ばしょ)のあるこの地方を、ほめたたえることになるでしょう。
とすぐに上(かみ)の句(く)をつけました。これは戦(いくさ)の場所(ばしょ)がちょうど衣川(ころもがわ)のそばの「衣(ころも)の館(たて)」という所(ところ)でしたから、義家(よしいえ)が貞任(さだとう)に
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
刀のぬけない場所(ばしょ)だけに、いたずらに声ばかり高く、理非(りひ)もめちゃくちゃにののしる声が、一火(いっか)と龍太郎以下(りゅうたろういか)の者を取りまいて、身うごきもさせない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
場所(ばしょ)は、岡山市(おかやまし)の郊外(こうがい)に近(ちか)いM町(まち)で、被害者(ひがいしゃ)は、四年(ねん)ほど前(まえ)まで質屋(しちや)をやつていて、かたわら高利貸(こうりか)しでもあつたそうだが、目下(もっか)は表向(おもてむ)き無職(むしょく)であつて
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
このようにしてお釈迦さまがまことのために身(み)をすてた場所(ばしょ)はいまは世界中のあらゆるところをみたしました。
手紙 一 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたしは、人をかきわけて、鉄格子(てつごうし)のはまった窓(まど)に向かった自分の場所(ばしょ)へたどりつくと、両手(りょうて)を頭(あたま)の下へあてがってあおむけにごろりと寝(ね)て、目をつぶりました。
その中(なか)でも殊(こと)に日当(ひあた)りのいい場所(ばしょ)に、川(かわ)近(ちか)く、気持(きもち)のいい古(ふる)い百姓家(ひゃくしょうや)が立(た)っていました。そしてその家(いえ)からずっと水際(みずぎわ)の辺(あた)りまで、大(おお)きな牛蒡(ごぼう)の葉(は)が茂(しげ)っているのです。
今日(きょう)この町(まち)を何(なに)かの用(よう)でちょっと通掛(とおりかか)ったので、この場所(ばしょ)へ立寄(たちよ)ったとのことで。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
次(つぎ)の日(ひ)、大野(おおの)の町(まち)へ客(きゃく)を送(おく)ってきた海蔵(かいぞう)さんが、村(むら)の茶店(ちゃみせ)にはいっていきました。そこは、村(むら)の人力曳(じんりきひ)きたちが一仕事(ひとしごと)して来(く)ると、次(つぎ)のお客(きゃく)を待(ま)ちながら、憩(やす)んでいる場所(ばしょ)になっていたのでした。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
昼間(ひるま)がそうあったばかりでなしに、夜(よる)になって寝(ね)るときも、みんなは、お母(かあ)さんのそばに寝(ね)たいといって、その場所(ばしょ)を争(あらそ)いました。
お母さまは太陽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
答『竜神(りゅうじん)にとりて、一緒(いっしょ)に棲(す)む、棲(す)まぬは問題(もんだい)でない。竜神(りゅうじん)の生活(せいかつ)は自由自在(じゆうじざい)、人間(にんげん)のように少(すこ)しも場所(ばしょ)などには縛(しば)られない。』
そこで、女の子は、この三人のきみょうな女たちをなかにいれて、さいしょのへやにすこしばかり場所(ばしょ)をつくってやりました。
ニールスとガチョウのモルテンと灰色(はいいろ)ガンのダンフィンは、疲(つか)れきったからだで、日が暮(く)れてからも、まだ夜のかくれ場所(ばしょ)をさがしあるいていました。
「おまえさんこそ、きょうはだいぶ歩きましたから定(さだ)めしつかれたであろうと、さっきから休(やす)み場所(ばしょ)をさがしているが、どうも、たいへんなこんざつで……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鳥は、ゆかや棚(たな)や机(つくえ)や、うちじゅうのあらゆる場所(ばしょ)をふさぎました。梟(ふくろう)が目玉を途方(とほう)もない方に向(む)けながら、しきりに「オホン、オホン」とせきばらいをします。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
宿(やど)なしや、貧乏人(びんぼうにん)の集まる場所(ばしょ)なのだ。少年のはく息(いき)が、まっ白な湯気(ゆげ)になって見える。
けれども夜毎々々(よごとよごと)に、それが泳(およ)げる場所(ばしょ)は狭(せま)くなる一方(いっぽう)でした。
こうしておけば、どこかいい場所(ばしょ)がないかと探(さが)しているつばめが見(み)つけて、きっとここに巣(す)を造(つく)るにちがいないからであります。
つばめの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むこうへついてみますと、たしかに、つぼはもとのままの場所(ばしょ)においてありました。ところが、その中身(なかみ)がからっぽです。
其処(そこ)は多分は、野馬の集(あつ)まり場所(ばしょ)であったでしょう、霧(きり)の中に円い広場のように見えたのです。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
美(うつく)しい女(め)ちょうは、自分(じぶん)の卵(たまご)をどこに産(う)んだらいいかと惑(まど)っているふうでありました。なるたけ暖(あたた)かな、安全(あんぜん)な場所(ばしょ)を探(さが)していたのでした。
冬のちょう (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんなとき、墓地(ぼち)とか、あるいはどこかおそろしい場所(ばしょ)をとおっていかなければならないようなばあいには、にいさんはいつもこうこたえました。
実(じつ)にこの高原の続(つづ)きこそは、東の海の側(がわ)からと、西の方からとの風や湿気(しっき)のお定(さだ)まりのぶっつかり場所(ばしょ)でしたから、雲や雨や雷(かみなり)や霧は、いつでももうすぐ起(おこ)ってくるのでした。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
もっと、もっと、氷山(ひょうざん)のおく深(ふか)く、安全(あんぜん)な場所(ばしょ)をさがして、はいりこむだろう。いや、それもだめだ、どんなかくれ場(ば)でも、人間(にんげん)はさぐる。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
四ひきの音楽師(おんがくし)はごちそうを食べおわりますと、あかりをけして、めいめいの生まれつきにしたがって、それぞれ寝(ね)ぐあいのいい場所(ばしょ)をさがしました。
私はたいへんいい実験(じっけん)をした。私はこんなしずかな場所(ばしょ)で遠くから私の考えを人に伝(つた)える実験(じっけん)をしたいとさっき考えていた。お前の言(い)った語はみんな私の手帳(てちょう)にとってある。さあ帰っておやすみ。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
からすは、山(やま)へ帰(かえ)ると、すぐに、うさぎのいる場所(ばしょ)へやってきました。そこは、林(はやし)の中(なか)の大(おお)きな木(き)の根(ね)で、そこだけは雪(ゆき)が薄(うす)かったのでした。
からすとうさぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
みんなそろったところで、粉(こな)ひきは、ひとつ場所(ばしょ)をあけてください、といいました。それから、そこに布をひろげて、ロバをへやのなかへつれこみました。
先生はその場所(ばしょ)では誰(だれ)のもいいとも悪(わる)いとも云わなかった。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)