まわ)” の例文
そこで信田しのだもりへ大ぜい家来けらいれて狐狩きつねがりにたのでした。けれども運悪うんわるく、一にちもりの中をまわっても一ぴき獲物えものもありません。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
所名ところな辻占つじうらも悪い。一条戻り橋まで来たときだった。供奉ぐぶの面々は急にながえを抑えて立ちどまった。いやしゃ二、み車をまわし初めた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
毎日馴染なじみの家をぐるぐるまわって歩いているうちには、背中の荷がだんだんかろくなって、しまいにこん風呂敷ふろしき真田紐さなだひもだけが残る。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
犬たちはうれしがって、元気よく先に立ってかけこんだ、ほえながらたびたびかわいた土の上をほこりを立ててころまわっていた。
そしてその訪問者は蝶々ちょうちょうである。花の上を飛びまわっている蝶々は、ときどき花に止まって仲人なこうどとなっているのである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
おっかさんのおさとを出てから、水一てき飲まずに五里ちかくの道を歩きつづけ、この町へきてもなにひとつたべずに、あっちこっちの病院をたずねまわったので
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
一週間を一まわりといい、二週間を二回りといい、既に温泉場へゆく以上は、少くも一回りは滞在して来なければ、何のために行ったのだか判らないということになる。
温泉雑記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ただし、右はおまわきんとして、その利息にて年々各宿の不足を補うように心得よともある。別に、三人は請書うけしょを出せと言わるる三通の書付をも公用人から受け取った。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これを持ちて沼に行き教えのごとく手を叩きしに、果して若き女いでて手紙を受け取り、その礼なりとてきわめて小さき石臼いしうすをくれたり。米を一粒入れてまわせば下より黄金づ。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あっしがむこうへいたのは、まだ六つをちっとまわったばかりでげすのに、もうおまえさん、かぎまえにゃ、ひとたばンなってるじゃござんせんか。それも、おんな一人ひとりいるんじゃねえ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
これらのむすめたちは、としごろになると、たいていは近傍きんぼうむらへ、もしくは、おなむらうち嫁入よめいりをしましたのに、どうしたまわわせであるか、おせんは、とおいところへゆくようになったのです。
北の不思議な話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分はようやく追懐ついかいの念にとらわれて、お宮の中をまわりあるいた。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ひっきりなし、川のみずはくるくるまわるようなはやさで、うずをまいて、ふくれがり、ものすごいおとててわきかえっていました。
鬼六 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
宗助はもう少しいっしょに歩いて、屏風びょうぶの事を聞きたかったが、わざわざまわみちをするのも変だと心づいて、それなり分れた。分れる時
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見て、たれが、貧乏でないといおうか。……ああ、なんぼ、くるくる廻っても、貧乏車は、ぼろ車。世の中がまわらぬうちは、どうもならん
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先年私が初めてこれを看破かんぱし、「日まわり日にまわらず」と題して当時の新聞や雑誌などに書いたことがあった。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
おかあさんのお里の村までは、おかづたいに入江いりえをぐるりとまわっていけば、二あまりありましたが、舟でまっすぐに入江を横ぎっていけば、十四、五ちょうしかありません。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
と言って、半蔵は寿平次と一緒に、その荒いしままわ合羽がっぱを着た牛行司の後ろ姿を見送った。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一週間をひとまわりといい、二週間をふた回りといい、既に温泉場へゆく以上は少なくともひと回りは滞在して来なければ、何のために行ったのだか判らないということになる。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これはかみなりがあんまり調子ちょうしって、くもの上をまわるひょうしに、あしみはずして、の上にちて、目をまわしたのでした。お百姓ひゃくしょう
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
彼は何をする目的めあてもなくへやの中に立ち上がった。障子しょうじを明けて表へ出て、門前をぐるぐるまわって歩きたくなった。夜はしんとしていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
秀吉は、翌日、軍をまわして、北ノ庄に到り、五月一日には、北陸の諸将にたいして、新領地の加封所属を発表した。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世人せじんは一般に、ヒマワリの花が日に向こうてまわるということを信じているが、それはまったく誤りであった。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
さてその日、林太郎はしろ公をつれて、土浦の病院までおっかさんをたずねていこうと決心けっしんしました。土浦までは霞ガ浦のふちをぐるりとまわって、五里ちかくあります。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
かたないておどしますと、いぬはなおなおはげしくくるまわって、りょうしのげるかたなの下をくぐって、いきなりそのむねびつきました。
忠義な犬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
股野はその間をまわって、おい誰さんはいないかねと、しきりに技師を探していた。技師は股野につらまるほどひまでなかったと見えて、とうとう見当らなかった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、ついに駒をまわして、敗走する味方のあとから、共に、逃げ落ちて行った。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さんざんまわりをこぎまわりますと、やっとたいらなのようなところがあって、しまの中からちいさな川がそこにながしていました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
下女は、高々水の中で家がぐるぐるまわるくらいなもので、海まで持って行かれる心配はまずあるまいと答えた。この呑気のんきな答えが心配の中にも自分を失笑せしめた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただし、これだけのお立会い残らずへはまわりかねる、おぼしめしでいい、前芸の見料として寸志のご喜捨を下された方々へ膏薬こうやくちょう、いやお志の多寡たかによっては、何十貼でもさしあげる。よろしいか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殿様とのさまはおこまりになって、また家来けらいたちに御相談ごそうだんをなさいました。それでもだめなので、また国中くにじゅうにおふれをまわしまして
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
小羊ラムの皮を柔らかになめして、木賊色とくさいろの濃き真中に、水蓮すいれんを細く金にえがいて、はなびらの尽くるうてなのあたりから、直なる線を底まで通して、ぐるりと表紙の周囲をまわらしたのがある。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
水車のまわるような単調な音がくり返されていた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれどそこのうみからは、どうしても日本にっぽんくにはいのぞみがないので、ぐるりとそとまわって、但馬国たじまのくにからがりました。
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
といって、こしにつるしたつるぎいて、うみみずをかきまわしますと、みるみるそこへりっぱな御殿ごてん出来上できあがりました。大国主命おおくにぬしのみことはそれをごらんになると
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
もうこれはんでもうしわけをするよりほかはないとおもって、つぼの中の毒薬どくやくして、のこらずべました。もうどく体中からだじゅうまわって、もなくぬでしょう。
和尚さんと小僧 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ところがあんまりおかあさんをにらみつけていたものですから、いつのにか目がだんだんうしろにんで、とうとう背中せなかほうまわってしまいました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
はいるとおなかの中をやたらにかけずりまわりながら、ちくりちくりとかたなでついてまわりました。おにくるしがって
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
むかし、尾張国おわりのくに一人ひとりのお百姓ひゃくしょうがありました。あるあつなつの日にお百姓ひゃくしょうは田のみずまわっていますと、きゅうにそこらがくらくなって、くろくもが出てきました。
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あなたは方々ほうぼう国々くにぐにをおまわりですから、たぶん御存ごぞんじでしょうが、このむらでも年々ねんねん、それ、あそこにちょっとたかい山がございましょう、あの山の上のかみさまに
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しばらく行くと、どこからかあぶが一ぴきんできて、ぶんぶんうるさくかおのまわりをまわりました。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そしていきなり保名やすなまくの中にばらばらとんでて、ものもいわずにそこらをさがまわりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
うちじゅうたずねまわっても、うらからおもてへとさがまわっても、もうどこにもくず姿すがたえませんでした。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
さくらいたか、まだかぬ、はなより団子だんごでおちゃがれ、おちゃがすんだら三べんまわって煙草たばこ庄助しょうすけ
長い名 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
がすっかりけはなれると、みんなが心配しんぱいしてました。そして子供こどもがとくいらしく、かみのついたおにあたまかわまわすのをて、ますますびっくりしました。
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あたりまえの人なら、ただけで目をまわしてしまうところでしょうが、藤太とうだ平気へいきかおをして、大蛇おろち背中せなかの上をんであるいて行きました。しばらく行くと、うしろでだしぬけに
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
夕飯ゆうはんがすむと、ぼうさんは炉端ろばたすわって、たきにあたりながら、いろいろたびはなしをしますと、おばあさんはいちいちうなずいてきながら、せっせと糸車いとぐるままわしていました。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おじいさんはもうすましたもので、一生懸命いっしょうけんめい、のびたり、ちぢんだり、たてになり、よこになり、ひだりへ行き、みぎへ行き、くるりくるりとねずみのように、元気げんきよくはねまわりながら
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
といって、はねまわっていました。するとおとうさんは、また一つひらたいはこして
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そのまたこうのあの山えて、この山えて、さくらいて、お山のからすが団子だんごほしいとないた、ではない、はなより団子だんごでおちゃがれ、おちゃがすんだら三べんまわって煙草たばこ庄助しょうすけさんが
長い名 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)