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角
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かど
ふりがな文庫
“
角
(
かど
)” の例文
そして、あたりは
静
(
しず
)
かであって、ただ、
遠
(
とお
)
い
街
(
まち
)
の
角
(
かど
)
を
曲
(
ま
)
がる
荷車
(
にぐるま
)
のわだちの
音
(
おと
)
が、
夢
(
ゆめ
)
のように
流
(
なが
)
れて
聞
(
き
)
こえてくるばかりであります。
花と人の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
右へ曲る
角
(
かど
)
にバーがあって、入口に立てた
衝立
(
ついたて
)
の横から
浅黄
(
あさぎ
)
の洋服の胴体が一つ見えていたが、中はひっそりとして声はしなかった。
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そうした嘘つきの、不信用の半九郎が、今更何を言っても相手にはならぬというように、源三郎は眼に
角
(
かど
)
を立てて
罵
(
ののし
)
るように答えた。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
老時計商は先刻
歓
(
よろこ
)
ばしい笑顔をして、その楽曲のことを言った。「実にいい。荒っぽいところがない。どの
角
(
かど
)
も丸くなってる……。」
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼は念のためこの
角
(
かど
)
に立って、二三台の電車を待ち合わせた。すると最初には青山というのが来た。次には九段新宿というのが来た。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
次の横町の
角
(
かど
)
には、うすぐらい灯明がひとつ、聖母のお像のまえにさがっていましたが、そのあかりはまるでないのも同様でした。
幸福のうわおいぐつ
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
いや、
何
(
なに
)
か
申
(
まを
)
す
内
(
うち
)
に、ハヤこれは
笹
(
さゝ
)
の
雪
(
ゆき
)
に
着
(
つ
)
いて
候
(
さふらふ
)
が、
三時
(
さんじ
)
すぎにて
店
(
みせ
)
はしまひ、
交番
(
かうばん
)
の
角
(
かど
)
について
曲
(
まが
)
る。この
流
(
ながれ
)
に
人
(
ひと
)
集
(
つど
)
ひ
葱
(
ねぎ
)
を
洗
(
あら
)
へり。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
金
(
きん
)
と
黝朱
(
うるみ
)
の羽根の色をした
鳶
(
とび
)
の子が、ちょうどこの
対
(
むか
)
いの
角
(
かど
)
の
棒杭
(
ぼうぐい
)
に
止
(
とま
)
っていたのを
観
(
み
)
た七、八年前のことを
憶
(
おも
)
い出したのである。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
凩
(
こがらし
)
の吹く町の
角
(
かど
)
には、
青銅
(
からかね
)
のお前に
跨
(
またが
)
つた、やはり
青銅
(
からかね
)
の宮殿下が、寒むさうな
往来
(
わうらい
)
の
老若男女
(
らうにやくなんによ
)
を、揚々と見
下
(
おろ
)
して
御出
(
おい
)
でになる。
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人が附いてゐても、何かの
角
(
かど
)
に撲つつかりでもしさうな、上から何か落ちかゝつて來でもするやうな、不安な心持が離れなかつた。
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
一日の朝、おほ雪を冒して、義雄は、陸軍演習參觀から歸つて來た北海メールの社長、
昇
(
のぼり
)
敏郎を大通り一丁目の
角
(
かど
)
なる本宅に訪問した。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
事務長テイイは、ともかくもへんじだけをして椅子からとびあがったが、よろよろとよろけて足を机の
角
(
かど
)
でうって、ひっくりかえった。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
最初此家に来た頃は、ほんの物置のやうな所ではあるが、
角
(
かど
)
の一間だけ自分の居間にして置いた。併しそれも後に娘に遣つてしまつた。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
源水横町の提燈やのまえに焼鳥の露店も見出せなければ、大風呂横町の、宿屋の
角
(
かど
)
の空にそそり立った
火
(
ひ
)
の
見
(
み
)
梯子
(
ばしご
)
も見出せなくなった。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「何んやこんなもん、こんなとこへ持つて來るんやない。
彼方
(
あつち
)
へ置いといで、
阿呆
(
あほ
)
んだら。」と
稀
(
めづ
)
らしくお駒を叱つて、眼に
角
(
かど
)
立
(
た
)
てた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
そのうちに、プティー・バンキエ街の
角
(
かど
)
で出会った先刻の婆さんが、叫び声を立て大層な身振りをして、後ろから駆けつけてきた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
曹
(
そう
)
旦那も自身、中廊下の
角
(
かど
)
まで、世話を焼き焼きついて来たが、そこから奥は召使いたちの手にまかせ、あとはただ見送っていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右側には、階段扇形に後方なる
角
(
かど
)
を充し、一つの望楼にと通じている。そこから
帷幔
(
たれまく
)
の掛った扉を通じて家の裡に入るようになっている。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
豊吉は物に襲われたように
四辺
(
あたり
)
をきょろきょろと見まわして、急いで
煉塀
(
ねりべい
)
の
角
(
かど
)
を曲がった。
四辺
(
あたり
)
には人らしき者の影も見えない。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
なれども仔馬はぐんぐん
連
(
つ
)
れて行かれまする。向うの
角
(
かど
)
を
曲
(
まが
)
ろうとして、仔馬は
急
(
いそ
)
いで
後肢
(
あとあし
)
を一方あげて、
腹
(
はら
)
の
蠅
(
はえ
)
を
叩
(
たた
)
きました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
上の棚の裏側の
桟
(
さん
)
で手の甲を擦る様になる、それが桟の
角
(
かど
)
だったりすると、そこに溜った煤のために、こんな跡がつく訳なんです
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
けれど路の
角
(
かど
)
で郁治と別れると、急に、ここにいるのがたまらなくいやになって、足元から鳥の立つように母親を驚かして帰途についた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
さばけた調子なのですが、どこか
角
(
かど
)
があるようなんです。骨の堅そうな額と口髭とが、そんな感じを与えるのかも知れません。
白い朝:――「正夫の童話」――
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
大きな、笑うと目元に
小皺
(
こじわ
)
の寄る、
豊頬
(
ふっくり
)
した
如何
(
いか
)
にも愛嬌のある円顔で、
形
(
なり
)
も大柄だったが、何処か円味が有り、心も其通り
角
(
かど
)
が無かった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そして頭の方の
角
(
かど
)
を〓(こんな形に)した方が、そして今よりすこし幅をせまくした方が(普通に)便利ではないのでしょうか、
丈
(
たけ
)
の点で。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
昔の
煉瓦建
(
れんがだ
)
てをそのまま改造したと思われる
漆喰
(
しっくい
)
塗りの
頑丈
(
がんじょう
)
な、
角
(
かど
)
地面の一構えに来て、
煌々
(
こうこう
)
と明るい入り口の前に車夫が
梶棒
(
かじぼう
)
を降ろすと
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
堀木は、堀木の家の品物なら、座蒲団の糸一本でも惜しいらしく、恥じる色も無く、それこそ、眼に
角
(
かど
)
を立てて、自分をとがめるのでした。
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
坂の下へいったり、邸の裏へ廻ったり、ずっとさきの
角
(
かど
)
まで行ったりして、
只今
(
ただいま
)
は低く、只今のはハッキリと聴えたと、幾返りか報告した。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
種彦は依然として両手を
懐中
(
ふところ
)
にこの騒ぎも繁華なお江戸ならでは見られぬものといわぬばかり街の
角
(
かど
)
に立止って眺めていたが
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
角
(
かど
)
のパレエの
大時鐘
(
おほどけい
)
、七時を打つた——
都
(
みやこ
)
の上に、
金無垢
(
きんむく
)
の
湖水
(
こすゐ
)
と見える西の
空
(
そら
)
、雲
重
(
かさな
)
つてどことなく、
雷
(
らい
)
のけしきの東の空。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
彼は近所のあらゆる曲がり
角
(
かど
)
や芝地や、橋のたもとや、大樹のこずえやに一つずつきわめて格好な
妖怪
(
ようかい
)
を創造して配置した。
化け物の進化
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
二人は幾つかの
角
(
かど
)
を曲った
挙句
(
あげく
)
、十字路から一軒置いて——この一軒も人が住んでるんだか住んでいないんだか分らない家——の隣へ入った。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
がんちゃんと
和
(
やわ
)
らげてみたり、がん公と
角
(
かど
)
ばったり、またがんりきと本格に呼びかけたりするので、かなりめまぐろしいが
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
煙草屋
(
たばこや
)
の
角
(
かど
)
に
立
(
た
)
ったまま、
爪
(
つめ
)
を
煮
(
に
)
る
噂
(
うわさ
)
をしていた
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
は、あわてて八五
郎
(
ろう
)
に
目
(
め
)
くばせをすると、
暖簾
(
のれん
)
のかげに
身
(
み
)
を
引
(
ひ
)
いた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
バーゲルス
街
(
ガーデ
)
角
(
かど
)
の時計店ナアゲルで、伯爵夫人イェルヴァが、自分で身分柄にも似ず、縦十
吋
(
インチ
)
幅八
吋
(
インチ
)
くらいの
真鍮
(
しんちゅう
)
の安物の
歌い
(
オルゴール
)
時計を買った。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
弱々しいことや、神経質なことや、たくらみの多いことや、
角
(
かど
)
のあることや、冷いことや、それらは皆健康な状態にあるものとはいえません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
自分達は澤木
梢
(
せう
)
さんと
其
(
その
)
友人の西村さんとに
伴
(
つ
)
れられて
度度
(
たび/″\
)
ポツダム・プラアツの
角
(
かど
)
にあるロステイと云ふ
珈琲店
(
カツフエ
)
へ行つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
彼等
(
かれら
)
は
其
(
そ
)
の
年齡
(
ねんれい
)
に
應
(
おう
)
じて三
人
(
にん
)
五
人
(
にん
)
と
互
(
たがひ
)
に
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
きながら
垣根
(
かきね
)
の
側
(
そば
)
や
辻
(
つじ
)
の
角
(
かど
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
ては
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
した
時
(
とき
)
に
其處
(
そこ
)
ら
此處
(
ここ
)
らと
移
(
うつ
)
つて
歩
(
ある
)
くのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
実
(
げ
)
に直行も気味好からぬ声とは思へり。
小鍋立
(
こなべだて
)
せる
火鉢
(
ひばち
)
の
角
(
かど
)
に
猪口
(
ちよく
)
を
措
(
お
)
き、
燈
(
あかし
)
を
持
(
も
)
て来よと
婢
(
をんな
)
に命じて、玄関に出でけるが、
先
(
ま
)
づ戸の内より
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
まるで大きな
洞
(
うつろ
)
の口のように暗く開いて居るので、其処から引返して、がらんとした
角
(
かど
)
の茶亭の白けた灯を右に見て、高台寺の方へ歩いて行く。
六日月
(新字新仮名)
/
岩本素白
(著)
若旦那樣も私とは
反
(
そり
)
が合はず、殊に御新造樣はやかましい方で、私とお孃さんが、親しく口をきいても目に
角
(
かど
)
を立てます。
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
冗談にしなければ
角
(
かど
)
が立つのよ、栄さんだから云うけれど、あたしさぶちゃんはどうしても好きになれない、お客としてならよろこんでお相手を
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
口にこそ出さなかったが、正香はそれを目に言わせて、その足で堺町通りの
角
(
かど
)
から丸太町を連れと一緒に歩いて行った。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と
溝板
(
みぞいた
)
を鳴らして、この
作爺
(
さくじい
)
さんの家へ駈け込んで来たのは、おもての
角
(
かど
)
に住んでいるこのかいわいの口きき役、例の石屋の金さん、石金さんだ。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
證據にと目に
角
(
かど
)
立
(
たつ
)
れば惣内
膝
(
ひざ
)
立直
(
たてなほ
)
し名主役の惣内を盜人などとは
言語同斷
(
ごんごどうだん
)
なり九助品に依り
筋
(
すぢ
)
に因ては
了簡
(
れうけん
)
成難
(
なりがた
)
しと聞
皆々
(
みな/\
)
四方より九助を取
卷
(
まき
)
たり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
角
(
かど
)
の医者を呼べ。松原だ、誰かを走らせろ。津幡の方は、行先がわかつてたら、呼び返して貰へ。あいつでなけれや、話はわからん。(女中、去る)
医術の進歩
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
一日たったやつは、
瘠
(
や
)
せていて、
角
(
かど
)
ばった
膝
(
ひざ
)
をがくりと突き、すぐ、元気いっぱいに
起
(
た
)
ち上がる。生れたての赤ん坊はねばねばだ。
舐
(
な
)
めてないのだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
会釈をするときに頬に微笑を湛えて脣の
角
(
かど
)
のところに一寸
竪
(
たて
)
の
皺
(
しわ
)
を寄せてもの言うのはモナ・リザを連想せしめた。
ドナウ源流行
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
揉
(
も
)
まれて
出
(
いで
)
し
廓
(
くるわ
)
の
角
(
かど
)
、
向
(
むかう
)
ふより
番頭新造
(
ばんとうしんぞ
)
のお
妻
(
つま
)
と
連
(
つ
)
れ
立
(
だ
)
ちて
話
(
はな
)
しながら
來
(
く
)
るを
見
(
み
)
れば、まがひも
無
(
な
)
き
大黒屋
(
だいこくや
)
の
美登利
(
みどり
)
なれども
誠
(
まこと
)
に
頓馬
(
とんま
)
の
言
(
い
)
ひつる
如
(
ごと
)
く
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
角
(
かど
)
の
麺麭
(
パン
)
屋は面白いほどよく賣れるわね。千圓も資本があればあのくらゐな店は出せるんですつて。私もあゝいふ商賣を初めて見たいと思ふんですがね。
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
“角”の解説
角(つの)とは、動物の主に頭部にある堅く突き出た構造のこと。また、それに似た形状のものを指して角と呼ぶこともある。
(出典:Wikipedia)
角
常用漢字
小2
部首:⾓
7画
“角”を含む語句
小角
角力
一角
角立
四角
角燈
角町
直角
触角
折角
兎角
巌角
角々
鹿角
稜角
真四角
角兵衛獅子
三角形
角度
衝角
...