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然
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しか
ふりがな文庫
“
然
(
しか
)” の例文
戯文戯墨の毒弊は世俗の衆盲を顛堕せしのみかは、作者自身等をも顛堕し去んぬ。
然
(
しか
)
れども其罪は之を独り作者に帰すべきにあらず。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
(七)
舜禹
(
しゆんう
)
の
間
(
あひだ
)
(八)
岳牧
(
がくぼく
)
咸
(
みな
)
薦
(
すす
)
む。
乃
(
すなは
)
ち
之
(
これ
)
を
(九)
位
(
くらゐ
)
に
試
(
こころ
)
み、
職
(
しよく
)
を
典
(
つかさど
)
らしむること
數
(
すう
)
十
年
(
ねん
)
、
(一〇)
功用
(
こうよう
)
既
(
すで
)
に
興
(
おこ
)
り、
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
政
(
まつりごと
)
を
授
(
さづ
)
く。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
然
(
しか
)
りと
雖
(
いえども
)
、本校の恩人大隈公は余を許してその末に加わらしめ、校長・議員・幹事・講師諸君も
亦
(
また
)
、
甚
(
はなは
)
だ余を
擯斥
(
ひんせき
)
せざるものの如し。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
自分も時々こういう傾向を持っている事を自覚して
慚愧
(
ざんき
)
に堪えない事がある。思うにこれは数百年来の境遇が
然
(
しか
)
らしめたのであろう。
沖縄人の最大欠点
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
ファルス精神の
然
(
しか
)
らしめる所であろうと善意に解釈下されば、拙者は感激のあまり
動悸
(
どうき
)
が止まって卒倒するかも知れないのですが——
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
然
(
しか
)
し
斯
(
こ
)
んな卑近な珍本は買っても買わなくてもいいが、どうかすると、河岸の箱にも、途方もない
稀覯
(
きこう
)
書が紛れ込んでいる事がある。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
然
(
しか
)
し甲府へ来て勘定して見ると、金峰山に登れば、帰郷するのに如何しても二日は余分にかかることになる、これは財布が許さない。
金峰山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
然
(
しか
)
るに今よりおよそ三百七十年前、初めて
葡萄牙
(
ポルトガル
)
及び
西班牙
(
スペイン
)
と交通するに至って、欧州文明が多少輸入されることとなったのである。
東西両文明の調和を論じて帝国の将来に及ぶ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
その史料もまた
概
(
おおむ
)
ね追憶によって成ったものであり、
然
(
しか
)
らざるものも事態の本質がさながらにそこに表現せられているとは限らない。
歴史の矛盾性
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
実際多くの場合にこの期待は吾人を欺かず。しかれども予報という事に聯関して重大なる問題はそれが「常に
然
(
しか
)
るか」という事なり。
自然現象の予報
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
然
(
しか
)
もこの教えは、世間道徳の門においても常に
喋々
(
ちょうちょう
)
して人心に浸潤したるものなれば、これを一般の国教というも妨げあることなし。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
然
(
しか
)
し男達が全く彼女からすっかり離れてしまっても彼女は淋しくて堪えられまい。彼女は男達を少し離れた彼女の傍に置きたかった。
決闘場
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
然
(
しか
)
し
崖丈
(
がけだけ
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
です。どんな
事
(
こと
)
があつたつて
壞
(
く
)
えつこはねえんだからと、
恰
(
あたか
)
も
自分
(
じぶん
)
のものを
辯護
(
べんご
)
でもする
樣
(
やう
)
に
力
(
りき
)
んで
歸
(
かへ
)
つて
行
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しか
)
るにイタズラ小僧の茶目の二葉亭は高谷塾に入塾すると不思議に
俄
(
にわか
)
に打って変った謹直家となって
真面目
(
まじめ
)
に勉強するようになった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
こうして一休みしてから、旅館の給仕の求めるままに、
然
(
しか
)
るべく警察へ届けるため、一枚の紙きれに官等や姓名などを書いて渡した。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
予は
謂
(
い
)
えらく、偶然人の秘密を見るは
可
(
よ
)
し。
然
(
しか
)
れども秘密を行う者をして、人目を憚る
行
(
ふるまい
)
を、見られたりと心着かしめんは妙ならず。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
然
(
しか
)
るに曾孫鷲津毅堂の言うところについて見れば、幽林の藩校を去ったのはその督学
細井平洲
(
ほそいへいしゅう
)
と学術を論じて合わなかったがためで
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「つまらないことを云つてゐる。
然
(
しか
)
しそれなら君は何故結婚しないんだ。君の云ふやうだと
夙
(
とつ
)
くに結婚してゐて好い筈ぢやないか。」
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
然
(
しか
)
し
是
(
これ
)
は
活
(
い
)
きた
話
(
はなし
)
とか、
交際
(
かうさい
)
とかと
云
(
い
)
ふものとは
又
(
また
)
別
(
べつ
)
で、
餘
(
あま
)
り
適切
(
てきせつ
)
な
例
(
れい
)
では
有
(
あ
)
りませんが、
例
(
たと
)
へば
書物
(
しよもつ
)
はノタで、
談話
(
だんわ
)
は
唱歌
(
しやうか
)
でせう。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
然
(
しか
)
る処母が私の眉間の疵を見まして、日頃
其方
(
そち
)
の身体は母の身体同様に思えと、二の腕に母という字を
入墨
(
いれずみ
)
して、あれ程戒めたのに
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然
(
しか
)
らばその竜宮という新語の採択以前、どういう名をもって海中の世界を呼んでいたろうか。この問題に答えるのはそう困難でない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
然
(
しか
)
るに
予
(
よ
)
は、特殊の
偏光装置
(
へんこうそうち
)
を使って、これを着色して認めることに成功した。その装置については、別項の論文に詳解しておいた。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
見
(
み
)
るに
見兼
(
みか
)
ねて
私
(
わたくし
)
は
産土
(
うぶすな
)
の
神様
(
かみさま
)
に、
氏子
(
うじこ
)
の
一人
(
ひとり
)
が
斯
(
こ
)
んな
事情
(
こと
)
になって
居
(
お
)
りますから、
何
(
ど
)
うぞ
然
(
しか
)
るべく……と、お
願
(
ねが
)
いしてやりました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
然
(
しか
)
もこの小山ほどといふのは、誇張でない、ぎつしりと
隙間
(
すきま
)
のないまでに積まれてゐるので、自分は来る
度毎
(
たびごと
)
に驚き
愕
(
おどろ
)
いたものである。
三年
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
我は
聖光
(
みひかり
)
を
最
(
いと
)
多く受くる天にありて諸〻の物を見たりき、されど
彼處
(
かしこ
)
れて
降
(
くだ
)
る者そを語るすべを知らずまた
然
(
しか
)
するをえざるなり 四—六
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
然
(
しか
)
るにそういう噂が立って約一ヶ月経った時に、小酒井さんが長逝されたのである。変だな——と、私は今も何んだか変に思っている。
前兆?
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
果して
然
(
しか
)
らばこの無題の小説は「縷紅新草」以前のものと見るを至当とすべし。原稿はやや古びたる半紙に筆と墨をもって書かれたり。
遺稿:01 「遺稿」附記
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
然
(
しか
)
し、伸子にして見ると、このどうにもならない窮境を、どうにかして切抜けたいと、そこに
一縷
(
いちる
)
の望みを抱くのにも無理はなかった。
罠に掛った人
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「
然
(
しか
)
しまさか母死すなんて事が冗談に
云
(
い
)
えるもんじゃない、
殊
(
こと
)
に
依
(
よ
)
ると何か変事でも起ったのかも知れない、——
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
行ってみよう」
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
これ勝伯の当時においてもっとも
憂慮
(
ゆうりょ
)
したる点にして、吾人はこれを当時の
記録
(
きろく
)
に
徴
(
ちょう
)
して
実
(
じつ
)
にその憂慮の
然
(
しか
)
るべき
道理
(
どうり
)
を見るなり
云々
(
うんぬん
)
。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
今村の諸君弁護の労を快諾せられぬ、
然
(
しか
)
れ共我等同志が主義主張の故を以て法廷に立つこと、今後必ずしも
稀
(
まれ
)
なりと云ふべからず
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
四十一
年
(
ねん
)
一
月
(
ぐわつ
)
二十一
日
(
にち
)
の
午前
(
ごぜん
)
九
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
、
水谷氏
(
みづたにし
)
と
余
(
よ
)
とは、
大森
(
おほもり
)
の
兒島邸
(
こじまてい
)
を
訪問
(
ほうもん
)
した。
然
(
しか
)
るに
翁
(
おう
)
は、
熱海
(
あたみ
)
の
方
(
はう
)
へ
行
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
られて、
不在
(
ふざん
)
。
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
然
(
しか
)
るに
今日
(
こんにち
)
一
般
(
ぱん
)
にこの
轉倒
(
てんたふ
)
逆列
(
ぎやくれつ
)
を
用
(
もち
)
ゐて
怪
(
あや
)
しまぬのは、
畢竟
(
ひつきやう
)
歐米文明
(
おうべいぶんめい
)
渡來
(
とらい
)
の
際
(
さい
)
、
何事
(
なにごと
)
も
歐米
(
おうべい
)
の
風習
(
ふうしう
)
に
模倣
(
もほう
)
することを
理想
(
りさう
)
とした
時代
(
じだい
)
に
誤まれる姓名の逆列
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
即ち一日に五十六銭の利あり。
然
(
しか
)
れども瓦斯の使用は軽便と清潔と人の手数とを省く点において費用の減少よりもなお
大
(
おおい
)
なる利益あり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
右は大家の事をいふ、
小家
(
しょうか
)
の貧しきは掘夫をやとふべきも
費
(
ついえ
)
あれば男女をいはず一家雪をほる。
吾
(
わが
)
里にかぎらず雪ふかき処は皆
然
(
しか
)
なり。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
我らの
衷心
(
ちゅうしん
)
が
然
(
しか
)
囁くのだ。しかしながらその愉快は必ずや我らが汗もて血もて涙をもて
贖
(
あがな
)
わねばならぬ。収穫は短く、準備は長い。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
共に結構であり、両者は
然
(
しか
)
く両立すべからざる性質のものでなくて、むしろ双方共に行われた方が現在の社会において婦人の地位を
平塚・山川・山田三女史に答う
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
特務曹長「
然
(
しか
)
るに私共は
未
(
いま
)
だ不幸にしてその機会を得ず
充分
(
じゅうぶん
)
適格に閣下の勲章を拝見するの光栄を所有しなかったのであります。」
饑餓陣営:一幕
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
然
(
しか
)
のみならず、かの輩は吾邦人のうちなる多人數の作る如き罪をば作らざるやうにおもはる。母上の問はおほよそ此の如くなりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
然
(
しか
)
るに南蛮宗は一切の
施物
(
せもつ
)
を受けず、
却
(
かえ
)
つて
之
(
これ
)
を
施
(
ほどこ
)
して
下民
(
げみん
)
……いや人民の甘心を買ひ、わが一党の邪魔をすること
尤
(
もっと
)
も奇怪なり。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
然
(
しか
)
しすぐそれはガラスの外へ、アルプスの氷山のようにモリモリとむくれ上ってくる波に隠されてしまう。寒々とした深い谷が出来る。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
しかし今はまだ戦闘の発端です。三年を出でずして、それは十字架上の敗死となって、
然
(
しか
)
り敗北の勝利となって終わったのであります。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
然
(
しか
)
し
今更
(
いまさら
)
、
何
(
なん
)
とか
斯
(
か
)
とか
長文句
(
ながもんく
)
の
手紙
(
てがみ
)
も
書
(
か
)
けないものだから、『
承諾
(
しようだく
)
、
直
(
す
)
ぐ
來
(
こ
)
い』と
書
(
か
)
いた
電報
(
でんぱう
)
の
樣
(
やう
)
な
葉書
(
はがき
)
を
出
(
だ
)
したんだ、さうだ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
右
(
みぎ
)
の
中
(
うち
)
、
説明
(
せつめい
)
を
略
(
りやく
)
してもよいものがある。
然
(
しか
)
しながら、
一應
(
いさおう
)
はざつとした
註釋
(
ちゆうしやく
)
を
加
(
く
)
はへることにする。
以下
(
いか
)
項
(
こう
)
を
追
(
お
)
うて
進
(
すゝ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
去年
(
こぞ
)
英吉利人一族を率ゐて国に帰りし後は、
然
(
しか
)
るべき家に奉公せばやとおもひしが、身元
善
(
よ
)
からねば、ところの貴族などには使はれず。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
世にも人にも知られたる
然
(
しか
)
るべき人の娘を
嫁子
(
よめご
)
にもなし、
其方
(
そち
)
が出世をも心安うせんと、日頃より心を用ゆる父を其方は何と見つるぞ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
然
(
しか
)
り。そこには一の明白な相違がある。即ち主観主義の芸術では、観照が観照として独立せず、いつも主観の感情と結びついてる。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
子澄が曰く、
然
(
しか
)
らず、燕は
予
(
あらかじ
)
め備うること久しければ、
卒
(
にわか
)
に図り難し。
宜
(
よろ
)
しく先ず
周
(
しゅう
)
を取り、燕の
手足
(
しゅそく
)
を
剪
(
き
)
り、
而
(
しこう
)
して後燕図るべしと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
然
(
しか
)
るも
我國
(
わがくに
)
の
財源
(
ざいげん
)
には
限
(
かぎり
)
あり、
兵船
(
へいせん
)
の
増加
(
ぞうか
)
にも
限度
(
げんど
)
あり、
國
(
くに
)
を
思
(
おも
)
ふの
士
(
し
)
は
日夜
(
にちや
)
此事
(
このこと
)
に
憂慮
(
ゆうりよ
)
し、
絶
(
た
)
えず
此點
(
このてん
)
に
向
(
むか
)
つて
策
(
さく
)
を
講
(
こう
)
じて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
なう、さうだらう、
然
(
しか
)
しこれは
理窟
(
りくつ
)
で、お前も不服かも知れん。不服と思ふから私も頼むのだ。お前に
頼
(
たのみ
)
が有ると言うたのはこの事だ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“然”を含む語句
全然
偶然
自然
悄然
判然
寂然
悠然
憫然
宛然
凝然
勃然
悚然
嫣然
公然
確然
突然
飄然
整然
歴然
茫然
...