“柴:しば” の例文
“柴:しば”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治8
泉鏡花6
柳田国男5
太宰治3
野村胡堂2
“柴:しば”を含む作品のジャンル比率
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 社会・家庭生活の習俗13.3%
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 風俗習慣・民俗学・民族学8.7%
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 年中行事・祭礼7.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
ふびんや少女おとめの、あばら屋といえば天井もかるべく、屋根裏はしばく煙りに塗られてあやしげに黒く光り
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
遠くで、しば小屋の中にうとうとしてる収穫の番人らが、眼覚めざめてることを盗人に知らせんがため、時々小銃を打っていた。
「見せばやなわれを思わむ友もがないそのとまやのしばいおりを」——これが御形見おかたみに頂いた歌です。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
(俊寛)いとど思いの深くなれば、かくぞ思いつづけける。「見せばやな我を思わぬ友もがな磯のとまやのしばいおりを。」同上
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
白石文集、ことに「折焚おりたしば」からの綿密な書きぬきを対照しながら、清逸はほとんど寒さも忘れはてて筆を走らせた。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
山から谷にかけて、雪がまっ白に降りうずんだなかから、しばをたくけむりがほそぼそとあがっていました。
浦島太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
婆さんはそれを見ると機嫌きげんをなほして、いつものとほりしばを刈つて、たばねてやつてから言ひました。
豆小僧の冒険 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
かねあれどもかず、きやうあれどもそうなく、しばあれどもひとず、師走しはすまちはしりけむ。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「それから、しばまるけるんだつて、それから、根つ子掘りだつて、みんな、まるで爺さん一人の受持ちみてえにして頼んでゐたもんでねえか。」
野の哄笑 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
そこで良寛さんは手紙を書いて、ちやうどしばを刈つてふもとへおりてゆく百姓に持つていつて貰つた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
のがれ来て身をおくやまのしばの戸に月と心をあわせてぞすむ」と云う北山宮の御歌は、まさかあそこでおみになったとは考えられない。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
河尻肥前守が、叱咤しったした。山門の下にはしばまき、焼き草が積みあげられた。織田九郎次は、馬をび下りて、ためらう兵を叱った。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
庭づたいに、築山の裏を這って、じめじめした北の隅までゆくと、庭番の者が、日頃に枯れ枝を払ってたばねては積んでおいたしばの囲いがあった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……炭団たどん埋火うずみびほだしばいて煙は揚げずとも、大切な事である。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
村に吊鐘つりがねが一つほしいと考へついたのは、奥山へしばを刈にいつた村の百姓でありました。
鳥右ヱ門諸国をめぐる (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
竹藪の近くに、木の葉やしばを積み上げて、それを燃やし、その火の中に卵を一つずつ投げ入れた。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
この版画の油絵はたしかに一つの天啓、未知の世界から使者として一人の田舎少年いなかしょうねんしばの戸ぼそにおとずれたようなものであったらしい。
青衣童女像 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
かねて買ってあったしばを、この家のめぐりへはこび出してくれ、わしも手伝うから」
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
近所で時々煙の立つのを、これが海人あまの塩を焼く煙なのであろうと源氏は長い間思っていたが、それは山荘の後ろの山でしばべている煙であった。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
是には如何に貧しい者でも野山に入って、自由に持ってこられるしば枯枝かれえだが、水の彼方かなたの国だけでそれほどにも貴重であったというところに
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
がらがらと音をさせて、しばを積んだ車も通った。その音は寂しい林の中に響き渡った。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
小高いしばの一むらある中から、御様子をうかごうて帰ろうとなされました。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
まだたもとに残っているというので、出させて見るにみなしばの葉であった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あるじはしば折りくすべ、自在鍵じざいかぎひくくすべらし、
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
和尚さんは小僧に枯枝やしばを持つて来させると、それを炉にどんどんくべた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
道すがら枝折しおり々々としばはわが身見棄みすてて帰る子のため
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しばはまたおとしてぜぬ、えあがるほのほのわかさ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その字片を〓の形に積んだしばの下に置いて、それに火を点じ、白夜珠吠陀シュクラ・ヤジュル・ヴェーダの呪文オムギァナウエイソワを唱えると
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
おけの水をしばに浸して公平に日本国中に雨をまくのが役であった。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ぐわらぐわらと鳴子や鈴が烈しく鳴った。水際みずぎわどてのうえには、ほとんどいばらのようにしのしばを結いかけ、それへ縦横に縄が渡してあったからである。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不二ヶ嶺はこごし裾廻の群山むらやましば山くらしいまだ夜明けず
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
貧弱な船に刈ったしばを積んで川のあちらこちらを行く者もあった。
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
お絹はしばを折りくべて、それを火箸ひばしで掻き立てながら、
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
君の御前を退て和ならず山に分け入りぬれば、自ら世をのがると人はいふめれど、物うき山のすまひしばいほりの風のみあれて、かけひならでは露おとなふものもなし……(中略)
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
にくべたしばがひら/\と炎先ほさきてたので
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けれども豆和尚さんは、ちつとも気がつかないでゐましたが、或日あるひふと納屋を見ると、しばで一ぱいになつてゐますから、大変驚いて豆小僧に、これは一たいどうしたわけだとききました。
豆小僧の冒険 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
大島の女の子なども、わたしの行って見たころには、学校へ来るのに本の包みまで頭にのせ、またわずかずつのしばまぐさまでささげていたが、親が教えるのは水汲みがしゅであったとみえて
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「寮の裏口からいきなり植木屋の庭へはいれるんだ。しばかなめで一パイだから、此處まで駈け拔けて來ても、庭やあづちのあたりから見えねえ、曲者は此道を通つて來てお駒を口説いたのさ」
しかも我々の耳をそばだたしめたのは、それから五分か、十分くらいも曲が進んだ頃、またもや嵐のような喚声と叫喚の中に、しばにでも火をつけたように、パチパチと何か燃え上がるような音がしました。
棚田裁判長の怪死 (新字新仮名) / 橘外男(著)
玉枝は立上がりました。が、この時はもう、先刻宇古木兵馬が、離屋の八方に積んで置いたわらしばや、存分な燃え草に放つた火が、四方の窓、壁を燃え拔いて、二人の身邊にメラメラと迫るのです。
たきぎしばなど積みあげてあるそのかげ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しばの戸や蕎麦そばぬすまれて歌をよむ 邦
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
と、一ト枝のしばを折って火にくべ足した。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文覚は、炉へしばを折りくべていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山の近きしばの戸は
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しばをおろしな。」
雪に埋れた話 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
こつさいりんしんかとてしばをかつぎて、あねさんかぶりにしたる村里むらざと女房にようばうむすめの、あさまちづるさまは、きやう花賣はなうり風情ふぜいなるべし。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
——既に、草刈り、しば刈りの女なら知らぬこと、髪、化粧けわいし、色香いろかかたちづくった町の女が、御堂みどう、拝殿とも言わず、このきざはし端近はしぢかく、小春こはる日南ひなたでもある事か。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また川向うの斎藤だって、いまこそあんな大地主で威張りかえっているけれども、三代前には、川に流れているしばを拾い、それを削ってくしを作り、川からとった雑魚ざこをその串にさして焼いて、一文とか二文とかで売ってもうけたものなんだ。
親友交歓 (新字新仮名) / 太宰治(著)
その言葉に従いぜんを支度してヤマハハに食わせ、その間に家を遁げ出したるに、ヤマハハは飯を食い終りて娘を追い来たり、おいおいにそのあいだ近く今にもせなに手のるるばかりになりし時、山のかげにてしばを苅る翁に逢う。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
滋賀県方言集には坂田東浅井の二郡で春祭礼をオコナイ、伊香ではオコナイまたはオトウというのが神事のこととあるのみで、期日も行事も記してないが、栗太郎勝部神社のオコナイは火祭で、大松明おおたいまつしばに用いるはんの木が乏しくなったので
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
邪慳じゃけんに払い退けて、きっとにらんで見せると、そのままがっくりとこうべを垂れた、すべての光景は行燈あんどうの火もかすかまぼろしのように見えたが、炉にくべたしばがひらひらと炎先ほさきを立てたので、婦人おんなはつと走って入る。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
われ戦わぬこと百数十日、天あめを注がぬこと月余。いまや機は熟し、天の利、地の利、人の利ことごとく我にあり矣。——まず朱然しゅぜんは、かやしばの類を船手に積み、江上に出て風を待て、おそらくは明日のうまの刻を過ぎる頃から東南の風が波浪を捲くだろう。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、そうした表面的なうごきの陰には、例の黄蓋こうがいが、かねての計画どおり、二十余艘の兵船快舟を用意して、内に乾し草枯れしばを満載し、硫黄いおう焔硝えんしょうを下にかくし、それを青布の幕ですっかりおおって、水上の進退に馴れた精兵三百余を各船にわかち載せ、
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういう話が二カ所にも残っており、さらに今一つは山奥の岩のかげに、小さな洞穴があいているのを見て、こういう穴にはよく悪いものが入っていることがある、ふさいでおいた方がよいと思って、しばの一束をもってその穴にせんをすると、栓にはならずに穴の中へ入ってしまった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
羽柴秀長、藤堂高虎とうどうたかとら、細川藤孝ふじたかの援軍などが、一丸になって、河中の船団をつつみ、小舟から投げしば投げ松明たいまつなどで、彼の主船を焼き沈め、乗員三百余人の毛利兵を殲滅せんめつしてしまった上、その主将鹿野元忠しかのもとただの首をあげて、城中へ、
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
などと、議論は意外のところまで発展して、そうしてその小男は声を放って泣いて、泣きながら家へ帰り、あくる朝は未明に起きしば刈りなわない草鞋わらじを作り両親の手助けをして、あっぱれ孝子のほまれを得て、時頼公に召出され、めでたく家運隆昌に向ったという、これは後の話。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
その石がね、池のまんなかにあると言ったでしょう、だからその石の上へ乗るときはしばの浮橋を渡ってゆくんですと——ほらお池のふちなどによく水草が生えているだろう、ああいう柴草がそこのお池の岸に、いっぱいに水の上までって繁っていて、ひとりでに浮橋になっているんだそうですよ。
不思議な国の話 (新字新仮名) / 室生犀星(著)