心安こゝろやす)” の例文
ほんに兩爲りやうだめ御座ござんすほどにと戯言じようだんまじり何時いつとなく心安こゝろやすく、おきやうさんおきやうさんとて入浸いりびたるを職人しよくにんども挑發からかひては帶屋おびや大將たいしやうのあちらこちら
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こゝに一だい事件じけん出來しゆつたいした、それはほかでもない、丁度ちやうどこのふね米國ベイこく拳鬪けんとう達人たつじんとかいふをとこ乘合のりあはせてつたが、このうわさみゝにして先生せんせい心安こゝろやすからず
始めけるが又隣座敷となりざしきに是も江の島へ參詣さんけいと見えて藝妓二三人を引連ひきつれ陽氣やうきに酒をのみたるに重四郎が同道どうだうしたる者皆々心安こゝろやすていにて彼是聲など懸合ふゆゑ樣子やうす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
詩や小説にいた代助には、それが却つて面白かつた。けれども一旦くちしてからは、矢っ張り詩や小説と同じ様に、二人ふたりはすぐ心安こゝろやすくなつて仕舞つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
僕は、僕の三番目の一等年下の妹として、心安こゝろやすく自然にあなたを受け入れることが出來ると思ひますよ。
いた留桶とめをけを置いて洗つてゐる年輩ねんぱいの人が、御近辺ごきんぺんのお心安こゝろやすかたと見えて言葉をかけ、甲
年始まはり (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「アラ、みつちやん」とびかけられ、おどろいて振返ふりかへつてると、小岩こいは私娼窟ししやうくつにゐたころ姉妹きやうだいのやうに心安こゝろやすくしてゐた蝶子てふこといふをんな、もとは浅草あさくさ街娼がいしやうをしてゐたこともあるといふをんななので、わけはなして
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
いつは退いてくれるかと、老人夫婦は客の様子をうかゞつてゐるが、平八郎は落ち着き払つてゐる。心安こゝろやすい人が来ては奥の間へ通ることもあるので、襖一重ふすまひとへの先にお尋者たづねものを置くのが心配に堪へない。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
以前いぜんかはらず心安こゝろやすくなつた、おびめたので
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひとあれほどにてひとせいをば名告なのらずともとそしりしもありけれど、心安こゝろやすこゝろざすみちはしつて、うちかへりみるやましさのきは、これみな養父やうふ賜物たまものぞかし
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そればかりか、かたせなも、こしまはりも、心安こゝろやすいて、如何いかにもらく調子てうしれてゐることいた。かれはたゞ仰向あふむいて天井てんじやうからさがつてゐる瓦斯ガスくわんながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あやしふねつひ弦月丸げんげつまる雁行がんかうになつた。船橋せんけう船長せんちやう右顧左顧うこさこしきりに心安こゝろやすからずえた。
父は番頭となし娘のお竹はお菊と相應さうおう年恰好としかつかうなれば腰元こしもとにして召仕めしつかひけるが此者子供の時より吉三郎とも心安こゝろやすくお菊と云號いひなづけのことも知り居けるにぞ吉三郎が臺所だいどころより來りけるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今歳ことしのなつの避暑へきしよには伊香保いかほかんか磯部いそべにせんか、ひとおほからんはわびしかるべし、うしながら引入ひきいれる中川なかゞはのやどり手近てぢかくして心安こゝろやすところなからずやと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
偖又其頃そのころ兩換町に島屋しまや治兵衞とて兩替屋ありけるが肥前屋ひぜんや小兵衞は此家へ度々たび/\兩換の事にて行店の者にも心安こゝろやすく成てとくと樣子を窺ふに概略勝手もわかりしかば是ぞよからんと思ひ仁左衞門へ島屋の事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
醫者いしや心安こゝろやすきをまねいへぼく太吉たきちといふがりてこゝろまかせの養生やうじやう一月ひとつきおなところすまへば物殘ものゝこらずいやになりて、次第しだいやまひのつのることおそろしきほどすさまじきことあり。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
嬉しきは月の夜の客人まらうど、つねは疎々うと/\しくなどある人の心安こゝろやすげによりたる、男にてもうれしきを、ましてをんなともにさる人あらば如何いかばかり嬉しからん、みづからいづるにかたからばふみにてもおこせかし
月の夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
諸慾しよよくくほどまゐりますから、それは/\不足ふそくだらけで、それにわたし生意氣なまいきですものだからつひ/\心安こゝろやすだてに旦那だんなさまがそとあそばすことにまでくちして、うも貴郎あなたわたしにかくしだてあそばして
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
心安こゝろやすきまゝの駄々だゞゆるして可愛かわいさはなほ日頃ひごろまさるべし。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もこがすなる勿体もつたいなけれど何事なにごとまれお腹立はらだちて足踏あしぶみふつになさらずはれもらにまゐるまじねがふもつらけれど火水ひみづほどなかわろくならばなか/\に心安こゝろやすかるべしよし今日けふよりはおにもかゝらじものもいはじおさはらばそれが本望ほんまうぞとてひざにつきつめし曲尺ものさしゆるめるとともとなりこゑ
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
また場所ばしよそれつじそれところ待給まちたまかならずよとちぎりてわかれし其夜そのよのことるべきならねば心安こゝろやすけれど心安こゝろやすからぬは松澤まつざはいま境涯きやうがいあらましはさつしてもたものゝそれほどまでとはおもひもらざりしが其御難儀そのごなんぎたれがせしわざならず勿躰もつたいなけれどおやうらみなりかれぬまでもいさめてんかいなちゝ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこねもして愛想あいそづかしのたねにもならばはぬにまさらさぞかしきみさまこそ無情つれなしともおもこゝろに二不孝ふかうらねど父樣とゝさまはゝさまなんおほせらるゝとも他處よそほかの良人をつともつべき八重やへ一生いつしやう良人をつとたずとふものからとはおのづかことなりて關係かゝはることなく心安こゝろやすかるべし浦山うらやましやと浦山うらやまるゝわれ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)