地主ぢぬし)” の例文
同月どうげつ二十八にちには、幻翁げんおう玄子げんしとの三にん出掛でかけた。今日けふ馬籠方まごめがた街道かいだうひだりまがつた小徑こみち左手ひだりてで、地主ぢぬしことなるのである。
しか方法はうはふもないのでかれ地主ぢぬし哀訴あいそして小作米こさくまい半分はんぶんつぎあきまでしてもらつた。地主ぢぬし東隣ひがしどなり舊主人きうしゆじんであつたのでそれも承諾しようだくされた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それから半年ほどたつたとき、ちの一万二千三百七十五がうの△△債劵さいけん仲買なかがひ人をて、ある田なかの大地主ぢぬしわたつてゐた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
最後に地方の大地主ぢぬしの、一見地味ぢみであつて、其実自分等よりはずつと鞏固の基礎を有してゐる事を述べた。さうして、此比較を論拠として、新たに今度の結婚を成立させやうと力めた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
目鼻めはなだちの何處どこやらが水子みづこにてせたる總領そうりやうによくたりとて、いまはなきひとなる地主ぢぬし内儀つま可愛かあいがられ、はじめはお大盡だいじん旦那だんなたつとびしひとを、父上ちゝうへぶやうにりしは其身そのみ幸福しやわせなれども
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
物語ものがたりければ平右衞門は大に立腹りつぷくし白子屋の者共如何にも不屆なる仕方なれば早々さう/\地主ぢぬしへ申きかせんと夫より彌太郎方へ行き右の仔細しさい話し居る處へ番頭忠八髮結清三郎の兩人入來いりきた彌々いよ/\訴へいづるにより又七を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きさくなる蜜蜂飼養者みつばちかひが赤帯の露西亜の地主ぢぬしに似たる初夏
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
地主ぢぬしはいばつて年貢米ねんぐとる
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
勘次かんじはおしな葬式さうしきむとすぐあたらしいたはられた小作米こさくまい地主ぢぬしはこんでかねばらぬとそれがこゝろくるしめてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うした地主ぢぬしにばかり出會であはしてれば文句もんくいなどたはむれつゝ、其方そのはう發掘はつくつかゝつたが、此所こゝだ三千年せんねんらいのつかぬところであつて、貝層かひそう具合ぐあひ大變たいへんい。
子供はさき地主ぢぬしどんの音頭で
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
白洲しらすへ呼入ければ大岡殿見られて汝ぢは如何なる願ひ有るかわれは大岡越前守なるぞ其方の名は何と申又住居ぢうきよは何處成ぞ申立よと云れしかば城富は喜びたるていにて私し儀は城富と申者長谷川町はせがはちやう地主ぢぬし嘉兵衞かへゑが地面にをり候と申けるに大岡殿して又其方は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自分に土地を所有する力の無いものはひとの土地を借りて作物さくもつ仕付しつけます。そして相應に定められた金錢や又は米や麥の收獲の一部を地主ぢぬしへ納めるのであります。
白瓜と青瓜 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
とはらぬのでかいげるのに邪魔じやまだから、其所そこ退いてれなんて威張ゐばらして、あと地主ぢぬしわかつて、有合ありあはせの駄菓子だぐわしして、機嫌きげんつたことなどである。
隣人りんじんは露西亜の地主ぢぬしのごとく
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
平右衞門へいゑもんきゝそれ相應さうおう相談さうだんなり當人といふは我等われら同町どうちやう地主ぢぬし彌太郎方やたらうかたに勤居らるゝ又七と申者なり隨分ずゐぶん辛抱人しんばうにんにて主人しゆじん彌太郎やたらう事は最早もはや六十にもなれど一人も子なく金ばかり澤山ありて地面ぢめんは十三ヶ所も持居もちをり此人親分おやぶんとなるつもりなれば何事も氣遣きづかひなし先方せんぱう能々よく/\はなせし上明日御返事ごへんじいたすべしとて長兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あま猛烈もうれつてるので、地主ぢぬし感情かんじやうがいして、如何どう中止ちうししてもらひたいと掛合かけあひるのである。
たん地主ぢぬしかへしてしまつたらふたゝ自分じぶんしくなつても容易よういれることが出來できないのをおそれたからである。いまにおつぎを一人前にんまへ仕込しこんでると勘次かんじこゝろおもつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
つてるあなのぞきながら、地主ぢぬし頑固ぐわんこ中止ちうし言張いひはる。したではりながら、談判だんぱんはどうか原田はらださんのはうつてれと取合とりあはぬ。これを露西亞式ろしあしき發掘はつくつつてわらつたのであつた。
發掘はつくつ開始かいしされたが、わるときには何處どこまでもわるいもので、東面とうめん地主ぢぬし西面せいめん地主ぢぬしとは、感情かんじやう衝突しようとつなにつて、西面せいめんはうへ無だんけるとはしからんとかなにとか
一先ひとまづ一どうは、地主ぢぬしの一にんたる秋山廣吉氏あきやまひろきちしたくき、其所そこから徒歩とほで、瓢簟山ひようたんやまつてると、やま周圍しうゐ鐵條網てつでうもうり、警官けいくわん餘名よめい嚴重げんぢゆう警戒けいかいして、徽章きしやうなきもの出入しゆつにふきんじてある。
打石斧だせきふ磨石斧ませきふ石鏃せきぞく把手とつて破片はへん土瓶どびんくち、そんなものは、どのくら數多かずおほ採集さいしふしたかれぬが、發掘はつくつをしてこといので、茶店ちやみせ息子むすこかいして、地主ぢぬし政右衞門まさうゑもんといふひと
幻花子げんくわし種々いろ/\珍品ちんぴんれたことから、地主ぢぬしとの衝突奇談しようとつきだん小作人こさくにんとの大喧嘩おほけんぐわ小南保之助氏こみなみやすのすけし貝塚かひづか奇遇談きぐうだんやら、足立博士あだちはかせ學士時代がくしじだい此所こゝはちされたはなしやら、却々なか/\面白おもしろい。
地主ぢぬし主婦しゆふついいてると、徳利とくりのやうなものことつたといふ。
これに出迎でむかへの村長そんちやう地主ぢぬし有志家等いうしかとう大變たいへん人數にんずである。
もつと奇談きだんとすべきは地主ぢぬし某氏ぼうしときである。