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刃
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は
ふりがな文庫
“
刃
(
は
)” の例文
刃
(
は
)
を起してやったものの、このとぎすまされた水兵ナイフを、重態のハルクににぎらせていいものかどうかについて、竹見は迷った。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
武蔵の手には、低く持った
刃
(
は
)
がキラキラと陽の光を
刎
(
は
)
ねている。そして、飛び上がって仆れたなり山添団八はもう起たないのである。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
時分
(
じぶん
)
にはこんな
黒
(
くろ
)
い
色
(
いろ
)
でなく、ぴかぴか
光
(
ひか
)
っていました。そして
刃
(
は
)
もよくついていてうっかりすると、
指
(
ゆび
)
さきを
切
(
き
)
ったのであります。
古いはさみ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いってみれば彼の才能の
刃
(
は
)
ですっぱり切ることのできる種類のものしか切っていないからだということを知っているであろう。
五〇年代の文学とそこにある問題
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
長
(
なが
)
い
形
(
かたち
)
と
横
(
よこ
)
にひらたいものとがありますが、
双方共
(
そうほうとも
)
に
一方
(
いつぽう
)
につまみがあり、
他側
(
たがは
)
は
切
(
き
)
れるほど
鋭
(
するど
)
くはありませんが、
鈍
(
にぶ
)
い
刃
(
は
)
になつてゐます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
▼ もっと見る
刃
(
は
)
鈍
(
にぶ
)
る時は
貯
(
たくは
)
へたる
砥
(
と
)
をもつて
自
(
みづから
)
研
(
と
)
ぐ。此
道具
(
だうぐ
)
も
獣
(
けもの
)
の
皮
(
かは
)
を以て
鞘
(
さや
)
となす。此者ら春にもかぎらず冬より山に入るをりもあり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
父親は剃刀の
刃
(
は
)
をすかして見てから、紙の
端
(
はし
)
を二つに折って切ってみた。が、少し引っかかった。父の顔は
嶮
(
けわ
)
しくなった。
笑われた子
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
きっと、するどい
刃
(
は
)
ものでしょう。刀かもしれません。むかしの長い刀のきっさきで、板をごしごしこすっているのです。
魔法人形
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「下郎め、うぬがために、終生の恥辱をとったぞ」と大喝するなり、手代の真向へ、やツとばかりに竹光の
刃
(
は
)
を立てた。
ボニン島物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
久しぶりに青天を見て、やれ嬉しやと思うまもなく、目がくらんで物の色さえ定かには
眸中
(
ぼうちゅう
)
に写らぬ先に、白き
斧
(
おの
)
の
刃
(
は
)
がひらりと三尺の
空
(
くう
)
を切る。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まだまだあの
女将
(
おかみ
)
はやつてゐる。キリキリと砥石に
一当
(
ひとあて
)
あてて、じつと聴くともなく
刃
(
は
)
を返すとホロリと涙が落ちた。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
されど罪を責むる
言
(
ことば
)
犯せる者の口よりいづれば、我等の
法廷
(
しらす
)
にて、輪はさかさまに
刃
(
は
)
にむかひてめぐる 四〇—四二
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
なにしろ、飲みぐすりが、もろ
刃
(
は
)
のつるぎのようによくきくようにするためにゃ、わたしゃあ、自分の血を、その中へまぜこまなきゃならないんだからね
人魚の姫
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
おじさんとふたりで、仕事場のすみのといしで、かんなの
刃
(
は
)
をといでいました。よく見るときょうは、ちゃんと仕事着をきて、黒い前だれをかけています。
かぶと虫
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
思ひ出すのだ。鋭くて薄くて冬のやうに冷たくてね、触れるとスウッと切れさうな
刃
(
は
)
のやうな神経をね。……
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
命
(
みこと
)
はなおひきつづいて、そのほかさまざまの
荒
(
あら
)
びる神どもをなつけて従わせ、
刃
(
は
)
向かうものをどんどん
攻
(
せ
)
め
亡
(
ほろ
)
ぼして、とうとう天下をお平らげになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
が、もとより年をとった彼が、この侍の相手になるわけはない。まだ
十合
(
じゅうごう
)
と
刃
(
は
)
を合わせないうちに、見る見る、
鉾先
(
ほこさき
)
がしどろになって、次第にあとへ下がってゆく。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
……お姉様あの門は何の門? 両方に
刃
(
は
)
のついてる長い剣が門をしっかりと守っていてよ。お姉様!
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
故
(
ことさ
)
らに
迹
(
あと
)
を
滅
(
け
)
さんと、きりこみし人々、皆其刀を
礪
(
と
)
がせし中に、一瀬が刀の
刃
(
は
)
二個処いちじるしくこぼれたるが、臼井が短刀のはのこぼれに
吻合
(
ふんごう
)
したるより
露
(
あら
)
われにき。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
後
(
のち
)
に、一座の女たち——八人居た——楽屋一同、
揃
(
そろ
)
つて、
刃
(
は
)
を磨いた
斧
(
おの
)
の
簪
(
かんざし
)
をさした。が、
夜
(
よる
)
寝
(
ね
)
ると、油、
白粉
(
おしろい
)
の
淵
(
ふち
)
に、
藻
(
も
)
の乱るゝ如く、黒髪を散らして
七転八倒
(
しちてんばっとう
)
する。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
当季
(
たうき
)
斯
(
か
)
やうな
物
(
もの
)
は誠に少なくなりましたがと
云
(
い
)
つて、
服紗
(
ふくさ
)
を
刀柄
(
つか
)
へ
巻
(
ま
)
いて
抜
(
ぬ
)
くんだよ、
先方
(
むかう
)
へ
刃
(
は
)
を
向
(
む
)
けないやうに、
此方
(
こちら
)
へ
刃
(
は
)
を向けて
鋩子先
(
ばうしさき
)
まで
出
(
で
)
た処でチヨンと
鞘
(
さや
)
に
収
(
をさ
)
め
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
伊賀の源三郎に
刃
(
は
)
のたたないことは、誰よりも峰丹波が、いちばんよく知っている。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
見ると東坡巾先生は瓢も玉盃も腰にして
了
(
しま
)
って、
懐中
(
ふところ
)
の紙入から
弾機
(
ばね
)
の無い西洋ナイフのような
総真鍮製
(
そうしんちゅうせい
)
の物を取出して、
刃
(
は
)
を引出して
真直
(
まっすぐ
)
にして少し
戻
(
もど
)
すと
手丈夫
(
てじょうぶ
)
な真鍮の
刀子
(
とうす
)
になった。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
『君の目的に役立つ剣は、わたしの剣のほかにはないのだ、』と彼は言いました、『その
刃
(
は
)
はこの上もなく切れ味がよくて、鉄でも真鍮でも、まるで細い細い小枝を切るように切れてしまう。 ...
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
或
(
ある
)
日
(
ひ
)
彼
(
かれ
)
は
木
(
き
)
の
株
(
かぶ
)
へ
唐鍬
(
たうぐは
)
を
強
(
つよ
)
く
打込
(
うちこ
)
んでぐつとこじ
扛
(
あ
)
げようとした
時
(
とき
)
鍛
(
きた
)
へのいゝ
刃
(
は
)
と
白橿
(
しらかし
)
の
柄
(
え
)
とは
強
(
つよ
)
かつたのでどうもなかつたが、
鐵
(
てつ
)
の
楔
(
くさび
)
で
柄
(
え
)
の
先
(
さき
)
を
締
(
し
)
めた
其
(
そ
)
の
唐鍬
(
たうぐは
)
の四
角
(
かく
)
な
穴
(
あな
)
の
處
(
ところ
)
が
俄
(
にはか
)
に
緩
(
ゆる
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
猫の爪あとは土をかみそりの
刃
(
は
)
のようにほそく切り、あとで土をあてがってなおそうとしても、切れ傷は深くのこった。だから猫が庭に出ると彼は
縁側
(
えんがわ
)
に出て、えたいの判らない言葉で
呶鳴
(
どな
)
った。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ある時はヷレリイ流に使ひたる悟性の
鋭
(
と
)
き
刃
(
は
)
身をきずつけし
和歌でない歌
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
洋傘
(
ようがさ
)
直しはそれを
受
(
う
)
け
取
(
と
)
って
開
(
ひら
)
いて
刃
(
は
)
をよく
改
(
あらた
)
めます。
チュウリップの幻術
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その
中
(
うち
)
に何やらナイフの
刃
(
は
)
に
搦
(
から
)
まるものがあります。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鞘
(
さや
)
が
割
(
わ
)
れて、
刃
(
は
)
が
肉
(
にく
)
を
切
(
き
)
つたといふのであつた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
鍬
(
くわ
)
の
刃
(
は
)
の夕日に光ル
田打
(
たうち
)
かな 嘯風
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
刃
(
は
)
が脳漿を切らないかぎり
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
新
(
あたら
)
しき
刃
(
は
)
の
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
鍔
(
つば
)
から七、八分どころから引き気味に深く割りつけたので、生木を裂く
雷
(
らい
)
のように、刀の
刃
(
は
)
は脳から
肋骨
(
あばら
)
の何枚かまで
徹
(
とお
)
って行った。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「もう、くわの
刃
(
は
)
もへったから、
新
(
あたら
)
しいのを
買
(
か
)
って
帰
(
かえ
)
ろう。」と、
一人
(
ひとり
)
の百
姓
(
しょう
)
は、
店
(
みせ
)
さきに
並
(
ねら
)
べられたくわを
見
(
み
)
ていいました。
おじいさんとくわ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
例
(
たと
)
へば
平
(
ひら
)
たく
刃
(
は
)
が
兩方
(
りようほう
)
から
磨
(
みが
)
き
出
(
だ
)
してゐる
石斧
(
せきふ
)
、あるひは
長
(
なが
)
い
槍
(
やり
)
、あるひは
庖丁
(
ほうちよう
)
といつたふうに、
使用
(
しよう
)
に
便利
(
べんり
)
な
種々
(
しゆ/″\
)
の
形
(
かたち
)
が
出來
(
でき
)
たのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
彼は胸がごそりと落ち込むように
俄
(
にわか
)
に冷たい死を感じた。彼は一刀の
刃
(
は
)
のように躍り上ると、その羅卒の腕の間へ身をぶち当てた。彼は倒れた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
私はそれに思い及んだ時、ヒヤリと自分の背骨に
斧
(
おの
)
の
刃
(
は
)
がささった様な痛みを感じました。彼等は一体何を
以
(
もっ
)
てそれを切断したのでありましょう。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
幅の
厚
(
あつ
)
い西洋
髪剃
(
かみそり
)
で、
顎
(
あご
)
と頬を
剃
(
そ
)
る
段
(
だん
)
になつて、其
鋭
(
する
)
どい
刃
(
は
)
が、
鏡
(
かゞみ
)
の
裏
(
うら
)
で
閃
(
ひらめ
)
く色が、一種むづ
痒
(
がゆ
)
い様な気持を
起
(
おこ
)
さした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
掘
(
ほ
)
るには木にて
作
(
つく
)
りたる
鋤
(
すき
)
を
用
(
もち
)
ふ、
里言
(
りげん
)
にこすきといふ、
則
(
すなはち
)
木鋤
(
こすき
)
也。
椈
(
ぶな
)
といふ木をもつて作る、
木質
(
きのしやう
)
軽強
(
ねばく
)
して
折
(
をる
)
る事なく
且
(
かつ
)
軽
(
かろ
)
し、
形
(
かたち
)
は鋤に
似
(
に
)
て
刃
(
は
)
広
(
ひろ
)
し。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
大正元年八月二十六日午後四時過ぎ、俺は今染々とした気持で西洋剃刀の
刃
(
は
)
を開く。庭には赤い鶏頭が咲いてゐる。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
後方
(
うしろ
)
に一の鬼ありて、我等憂ひの路をめぐりはつればこの群の中なるものを再び悉く劒の
刃
(
は
)
にかけ 三七—
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
Qのからだはかみそりの
刃
(
は
)
のようにするどいので、お三根ののどにふれると、さっと
頸動脈
(
けいどうみゃく
)
を切ってしまったのだ。思いがけなく、Qは人間の死ぬところを見て興奮した。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
御名方神
(
みなかたのかみ
)
がおやとおどろいているまに、その手はまたひょいと
剣
(
つるぎ
)
の
刃
(
は
)
になってしまいました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
笛を切つたら、すぐ死ねるだらうと思つたが息がそこから漏れるだけで死ねない。深く/\と思つて、力一ぱい押し込むと、横へすべつてしまつた。
刃
(
は
)
は
飜
(
こぼ
)
れはしなかつたやうだ。
高瀬舟
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
翌晩
(
あくるばん
)
、
夜更
(
よふ
)
けて私を起しますから、
素
(
もと
)
よりこっちも目を開けて待った
処
(
ところ
)
、直ぐに
支度
(
したく
)
をして、その時、帯をきりりと
〆
(
し
)
めた、
引掛
(
ひっかけ
)
に、
先刻
(
さっき
)
言いましたね、
刃
(
は
)
を
手拭
(
てぬぐい
)
でくるくると巻いた鎌一
挺
(
ちょう
)
。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これより先、伊賀の若殿に
刃
(
は
)
向かう者は、一人しかない。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「あいつに馳け向っては無理もない。
稀代
(
きたい
)
な
刃
(
は
)
がね
鞭
(
むち
)
の使い手だ。だがさ、なんだッてまた、そんな無謀な深入りをしなすッたのか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
したがって
刃
(
は
)
も薄かった。けれども鞘の
格好
(
かっこう
)
はあたかも六角の
樫
(
かし
)
の棒のように厚かった。よく見ると、
柄
(
つか
)
の
後
(
うしろ
)
に細い棒が二本並んで差さっていた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
細い四角の西洋砥石に油をかけ、ぴつたりと
刃
(
は
)
を当てると、何とも云へぬ手あたりが軟かな哀傷の辷りを続ける。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“刃”の解説
刃(は、やいば、en: blade)とは、対象を切断あるいは切削する機械要素または構造のことである。
(出典:Wikipedia)
刃
常用漢字
中学
部首:⼑
3画
“刃”を含む語句
刃物
両刃
白刃
刃傷
刃向
刃傷沙汰
焼刃
自刃
直刃
出刃庖丁
薄刃
利刃
刃交
氷刃
刃渡
刃尖
鋭刃
刃影
円刃刀
刃鳴
...