“一足:ひとあし” の例文
“一足:ひとあし”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花13
芥川竜之介6
夏目漱石6
泉鏡太郎4
小川未明3
“一足:ひとあし”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)1.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.1%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
と低い四目垣よつめがき一足ひとあし寄ると、ゆっくりと腰をのして、背後うしろへよいとこさとるように伸びた。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
神山進一君は、みんなより一足ひとあしさきに家へ帰りました。進一君は家の中で、あのあやしい人形を見はっている役目です。
魔法人形 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「小林君、ちょっとこの方とホテルへよることにしたからね、きみは荷物をタクシーにのせて、一足ひとあし先に帰ってくれたまえ。」
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そこを出ると、和泉屋は不恰好ぶかっこうな長い二重廻しのそでをヒラヒラさせて、一足ひとあし先にお作の仲間と一緒に帰った。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
一足ひとあし踏込んで切下きりおろすのを、ちゃり/\と二三度合せたが、一足さがって相上段あいじょうだんに成りました。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「や、今お湯、暗いんでちっとも気がつかなかった」と岡田は一足ひとあし後戻りして風呂をのぞき込みながら挨拶あいさつをした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
背負しよふとふと、ひよろ/\、ひよろ/\。……一足ひとあしあるすとまたひよろ/\。……
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あらしはますますつのる一方いっぽうで、子家鴨こあひるにはもう一足ひとあしけそうもなくなりました。
と、とがめた。名をさされたふたりの野武士のぶしは、一足ひとあしでて、咲耶子さくやここまに近よった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
良平は一足ひとあし踏み出したなり、大仰おおぎょうにぐるりと頭を廻すと、前こごみにばたばた駈け戻って来た。
百合 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「僕が紹介してやろう」と一足ひとあし小野さんを横へ退けると、うしろから小さい小夜子が出た。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
代助はみんなから一足ひとあしおくれて、鴨居かもゐうへに両手がとゞく様なのびを一つした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
足下あしもとには、広いしろ玩具おもちゃのように小さくなって、一足ひとあしまたげそうでした。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
と同時に、一足ひとあしおくれて、かけつけた忍剣にんけん鉄杖てつじょうも、風を呼んでうなりはじめた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
亮太郎 一足ひとあしだよ。そこに見えてるぢやないか。あれの一時間は優に汽車の五時間草臥れる。大丈夫か。
村で一番の栗の木(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
けれども一足ひとあし出すが早いか、熱鉄ねってつか何かを踏んだようにたちまちまた後ろへ飛びすさった。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やがてさか下口おりくちて、もう一足ひとあしで、やぶくらがりから茗荷谷みやうがだにようとするとき
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
保吉は大佐よりも一足ひとあしあとに薄暗い廊下ろうかを歩みながら、思わず「おや」と云う声を出した。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
が、まだ一足ひとあしも出さぬうちに彼女の耳にはいったのは戞々かつかつひづめの鳴る音である。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
此処ここからきは行くことはならぬとえば、一足ひとあしでも行かぬ、どんな事があっても。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
何ぞ火急のしらせでもあると見えて、キイキイと書院の廊下の鶯張りを鳴らせ乍ら一足ひとあしが近づいて来ると、はばかり顔に声がのぞいて言った。
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
まないた引摺ひきずっていては一足ひとあしごとにあとしざるようで歯痒はがゆくなる。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
代助は斯う云つて、あによめ縫子ぬひこ蝙蝠傘かはほりがさげて一足ひとあし先へ玄関へた。車はそこに三挺ならんでゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それから一時間ばかり、さらに談じかつ飲み、中倉翁は一足ひとあしお先に、「加と男」閣下はグウグウ卓にもたれて寝てしまったので、自分はホールを出た。
号外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
十九にはなるまい新姐しんぞさきに、一足ひとあしさがつて、櫛卷くしまきにした阿母おふくろがついて、みせはひりかけた。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
成経 (康頼に)わしは苦しい立場ではあるが思いきって一足ひとあし先にみやこへ帰ります。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
それより、一足ひとあしさき小舎こやへもどっていた父親ちちおやは、それをて、
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
だがたいていけりがついたから、おれは少しばかり手回りの荷物だけ持って一足ひとあし先にここに越して来たのだ。……もうこれでええや。気がすっぱりしたわ。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
二人は電車の出る所まで歩いて行った。あいにく近路ちかみちを取ったので、嫂の薄い下駄げた白足袋しろたび一足ひとあしごとに砂の中にもぐった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「だいぶ話が長くなりそうだから、僕は一足ひとあし先へ失敬しよう、——おい姉さん会計だ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「もう一足ひとあしあるけません。ああ、のどがかわく。みずみたい。」
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ともかく、その棹のさきへきたらば、またそのさきへ一足ひとあしでも進んでゆくことだ。
吾が愛誦句 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
一足ひとあしもりはひればはげしくたゝ太鼓たいこおと
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
僕は電車の動きはじめる拍子ひやうしに、鴛鴦の一足ひとあしよろめいたのを見ると、忽ち如何いかなる紳士しんしよりも慇懃いんぎんに鴛鴦へ席をゆづつた。
鷺と鴛鴦 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
兼太郎は狭い路地口ろじぐちから一足ひとあし外へ踏み出すと、別にこれと見処もないこの通をばいつもながらいかにもあかるく広々した処のように感じるのであった。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そしてそのまままた少しお歩きになりましたが、まもなくひどくつかれておしまいになったので、とうとうつえにすがって一足ひとあし一足ひとあしお進みになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「おたもとすがりませいでは、一足ひとあし歩行あるかれませぬ。」
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
(どうして、わが身は、この山のほかへは一足ひとあしも出て行けないのか)
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれ一足ひとあし先なるかた悠々ゆうゆうづくろひす。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
家内と乳呑児ちのみごとを置いて一足ひとあし先に妻籠の方へ帰って行った。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
最初の一足ひとあしで十マイル、それですねの半分どころの深さでした。
そして、くらくなると、もう一足ひとあしあるけなかったのです。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「狭いんで驚いちゃ、シキへは一足ひとあしだってめっこはねえ。おかのように地面はねえとこだくらいは、どんな頓珍漢とんちんかんだって知ってるはずだ」
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わずか一足ひとあし違いで、トムは既に樹根きのねに倒れていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
帰らるゝなら帰つて見ろと、女どもが云つた呪詛まじないのやうなことばすごし、一足ひとあしむねを離れるが最後、岸破がばと野が落ちての底へ沈まうも知れずと
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
花を取りに里から日帰ひがえりをするという、ねえさんと一所いっしょくんだ、急に日が暮れて闇になろうとも思われないが、全くこれぎりで、一足ひとあしずつ出さえすりゃ
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かど一足ひとあし出て、外の風にあたると、一町も千里もおんなじだと氣が輕くなつてしまふのにと、いふと、おつくうがるしやうなのを知つてゐるものは手を叩いて笑つた。
あるとき (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
「町のそとへ一足ひとあし出ると、見渡す限りの野菜畑ですね。」
不思議な島 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
一足ひとあし二足ふたあし歩いて見ると、これはまたどうでしょう! 彼はクイックシルヴァやニンフ達の頭よりも高く、ぽんと跳び上ってしまって、再び下りて来るのに大変骨が折れました。
というのは、お糸が長唄ながうたの稽古帰りに毎朝用もないのにきっと立寄って見る、それをば長吉は必ず待っている様子でその時間ごろには一足ひとあしだって窓のそばを去らない。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
れたら、どうなるのだろうとおもうと、もう一足ひとあしあるになれなかったけれど、みちがわからないのですこともできなかったのであります。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
咸臨丸かんりんまるは、万延まんえんがん(一八六〇)ねんがつ十九にち使節しせつたちをのせたふねよりも一足ひとあしさきに浦賀うらが船出ふなでしました。
菊江はその路に一足ひとあしやってから後の方を揮返った。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一足ひとあし縁へ出て見ると、東南の空は今真闇である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
としみじみおっしゃいました。燕はなんでいまさら王子をふりすてて行かれましょう。たとえこごえ死にに死にはするともここ一足ひとあしも動きませんと殊勝しゅしょうな事を申しましたが、王子は、
燕と王子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「どうか静にして、お二人とも横になっておってくださいませ、刃物もさっき海の中へ捨てましたから、たとえあがって来てもまちがいはありませんが、舟へは一足ひとあしもあげさせないようにします」
参宮がえり (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彼は、この家から外へ、一足ひとあしも出ていなかった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伝吉は思わず一足ひとあしすさった。いつか彼の構えた刀はぶるぶる切先きっさきふるわしていた。浄観はその容子ようすを見やったなり、歯の抜けた口をあからさまにもう一度こうつけ加えた。
伝吉の敵打ち (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あの様子では一足ひとあしだつて歩けたものぢやない。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)
みちに曲折の難はあったにせよ、一足ひとあしの無駄も踏まずに、自然昨夜ゆうべの風呂場へ下りられた時、彼の腹には、夜来の自分を我ながら馬鹿馬鹿しいと思う心がさらに新らしくいて出た。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
旅館は出たがどこに行こうというあてもなかった葉子はうつむいて紅葉坂もみじざかをおりながら、さしもしないパラソルの石突きで霜解しもどけけになった土を一足ひとあし一足突きさして歩いて行った。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
来年らいねんはるまではいてやるぞ。だが、今夜こんやこの野原のはらでふたりがこごにをしてしまえば、それまでだ。おれは、もう、もう一足ひとあしあるけない。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ええ何か、」と訓導は一足ひとあし退く。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伯母は臺所に何か働いて居つたので、自分が『何處の女客ぞ』と怪しみ乍ら取次に出ると、『腹が減つて腹が減つて一足ひとあしあるかれなエハンテ、何卒どうかなにか……』と、いきなり手を延べた。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
武士は不思議に思って一足ひとあしすさった。
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
政雄はそう云って女に云いよる糸口を作ろうとした。と、女は鳥居の方へ一足ひとあし折れながらり返った。細面ほそおもての女の顔には大きな長い舌がだらりと垂れていた。政雄はわっと叫んで逃げ出した。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
まづをとこ一足ひとあしきに出發しゆつぱつして先方せんぱう都合つがふとゝのへ、それから電報でんぱうつて彼女かのぢよ子供こどもぶといふ手筈てはずであつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
通抜とほりぬけらるゝ事を表示へうしするやうなものだと言つた人があるが僕も先刻せんこく余儀よぎなき用事で或抜裏あるぬけうら一足ひとあし這入はいるとすぐにめうなる二つの声を聞いた亭主ていしいわ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
時はもう明末にかかり、万事不束ふつつかで、人も満足なものもなかったので、一厨役いちちゅうやくの少し麁鹵そろなものにその鼎を蔵した管龠かんやくを扱わせたので、その男があやまってその贋鼎の一足ひとあしを折ってしまった。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
けると六丁目ろくちやうめ里見氏宅さとみしたくで、はあ、とうけて、婀娜あだ返事へんじが——幹事かんじ支度したくがありますから、時間じかんはやく、一足ひとあしさきへ——とふのであつた。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ずいぶん一生懸命いっしょうけんめいけたのですけれど、山姥やまうばあしちいさな女の子がかなうはずはありませんから、ずんずんいつかれて、もう一足ひとあし山姥やまうばかたをつかまれそうになりました。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
けれどなにしろくたびれきって一足ひとあしあるけない上に、おなかがすききっているものですから、もうおにでもものでもかまわない、とにかくやすませてもらおうとおもって、そのいえをとんとんたたきました。
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ふのは、おいと長唄ながうた稽古けいこ帰りに毎朝まいあさ用もないのに屹度きつと立寄たちよつて見る、れをば長吉ちやうきちは必ず待つてゐる様子やうすの時間ごろには一足ひとあしだつて窓のそばを去らない。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ねぎ小川をがはながれ、とばかりにてにはならざりしが、あゝ、もうちつとでおもふこといはぬははらふくるゝわざよといへば、いま一足ひとあしはやかりせば、さゝゆき賣切うりきれにてはらふくれぬことよといふ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
丁度ちょうど上方辺かみがたへん大地震おおじしんのとき、私は先生家の息子に漢書の素読そどくをしてやった跡で、表の井戸端で水をんで、大きな荷桶にないかついで一足ひとあし跡出ふみだすその途端にガタ/″\と動揺ゆれて足がすべり、誠に危ない事がありました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
よこしまな心があつて、ためにはばかられたのではないが、一足ひとあしづゝ、みし/\ぎち/\と響く……あらしふき添ふえんの音は、かか山家やまがに、おのれと成つて、歯をいて、人をおどすが如く思はれたので、忍んでそっ抜足ぬきあしで渡つた。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と飛込んで切込むのを丁と受け、引く所を附け入って来るから、一足ひとあし二足ふたあし後へ下るとそば粘土ねばつちに片足踏みかけたから危ういかな仰向あおむけにお繼が粘土の上へ倒れる所を、得たりと又市が振冠ふりかぶって一打ひとうちに切ろうとする時大勢の見物の顔色がんしょくが変って、
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
足を勞さないで、居ながらに風景を貪るくせからなのか、それとも、空ばかり眺めくらしてゐた太古たいこの、前生人ぜんしやうびとからの遺傳か、それこそ一足ひとあしから千里せんりも飛ぶやうな空想が、私にはなかなか役にたつ遺産で、私の心を、えん行者ぎやうじやのやうに、雲にして飛ばしてくれる。
あるとき (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
『あツ、』とさけんで、背後うしろから飛蒐とびかゝつたが、一足ひとあしところとゞきさうにつても、うしてもおよばぬ……うしいそぐともなく、うごかない朧夜おぼろよ自然おのづからときうつるやうに悠々いう/\とのさばりく。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)