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陽氣
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やうき
宗助は
二人を
七條迄見送つて、
汽車が
出る
迄室の
中へ
這入つて、わざと
陽氣な
話をした。プラツトフオームへ
下りた
時、
窓の
内から
ピータ
樂人さん、おゝ、
樂人さん、「
心の
慰め、
心の
慰め」。
乃公を
陽氣にさせてくれる
氣なら、
頼む、
聽かせてくれ、
例の「
心の
慰め」を。
陽氣の
加減か、よひまどひをして、
直き
町内の
大銀杏、ポプラの
古樹などで
鳴く
事があると、
梟だよ、あゝ
可恐い。
始めけるが又
隣座敷に是も江の島へ
參詣と見えて藝妓二三人を
引連陽氣に酒を
呑居たるに重四郎が
同道したる者皆々
心安き
體にて彼是聲など懸合ふ
故樣子を
然し
彼をして
露西亞に
住はしめたならば、
彼必ず十二
月所ではない、三
月の
陽氣に
成つても、
室の
内に
籠つてゐたがるでせう。
寒氣の
爲に
體も
何も
屈曲つて
了ふでせう。
春の
野路をガタ
馬車が
走る、
野は
菜の
花が
咲き
亂れて
居る、フワリ/\と
生温い
風が
吹ゐて
花の
香が
狹い
窓から
人の
面を
掠める、
此時御者が
陽氣な
調子で
喇叭を
吹きたてる。
酒が
其處に
火を
點じた。
庭の四
本の
青竹に
長つた
繩の
赤や
青や
黄の
刻んだ
注連がひら/\と
動きながら
老人等と
一つに
私語くやうに
見えた。
日は
陽氣な
庭へ一
杯に
暖かな
光を
投た。
第三の
化物は
本體が
動物で、
其目的によつて
惡戯の
爲と、
復仇の
爲とに
分つ、
惡戯の
方は
如何にも
無邪氣で、
狐、
狸の
惡戯は
何時でも
人の
笑ひの
種となり、
如何にも
陽氣で
滑稽的である。
「
何金があるばかりぢやない。
一つは
子供が
多いからさ。
子供さへあれば、
大抵貧乏な
家でも
陽氣になるものだ」と
御米を
覺した。
どつと
陽氣に騷ぎ
手輕く
遊で立出つゝ別れ/\に歸りけり偖も小夜衣は
今日※らずも千太郎の相方に出しより何となく其人の
慕はるゝまゝ如何にもして彼の
客人を
ロミオ (從者にむかひ)
俺には
炬火を
與れ。
氣の
輕い
陽氣な
手合は、
舞踏靴の
踵で
澤山無感覺な
燈心草を
擽ったがよい。
俺は、
祖父の
訓言通り、
蝋燭持をして
高見の
見物。
……
思ひ
出す
事がある。
淺草田原町の
裏長屋に
轉がつて
居た
時、
春寒い
頃……
足袋がない。……
最も
寒中もなかつたらしいが、
何うも
陽氣に
向つて、
何分か
色氣づいたと
見える。
差し
向き
不用のものを
廉價に
買つて
置く
便宜を
有してゐる
事などに
移つて、
仕舞に
其家庭の
如何にも
陽氣で、
賑やかな
模樣に
落ちて
行つた。
始め若い者女子迄七八人
近付に
成んと
惣纒頭を
打江戸町一丁目
玉屋内初瀬留と云ふ
娼妓を
揚程なく
妓樓へ
伴はれ
陽氣に
酒宴も
濟み
床へ入りしが六之助は夫より
前初瀬留を
私の
知りあひに、
御旅館とは
表看板、
實は
安下宿に
居るのがあるが、
秋のながあめ、
陽氣は
惡し、いやな
病氣が
流行ると
言ふのに、
膳に
小鰯の
燒いたのや、
生のまゝの
豆府をつける。
はて、
靜かに、
若し……(從者を顧みて)もそっと
燭火を
持て、
燭火を!……(又チッバルトに對ひ)どうしたものぢゃ!
是非とも
靜かにして
貰はう。……(
來賓に
對ひ)
陽氣に/\!
此の
陽氣で、
障子を
開放した
中には、
毛氈も
見えれば、
緞通も
見える。
屏風、
繪屏風、
衣桁、
衝立——お
輕が
下りさうな
階子もある。
手拭、
浴衣を
欄干に
掛けたは、
湯治場のお
定まり。
蒸暑かつたり、
涼し
過ぎたり、
不順な
陽氣が、
昨日も
今日もじと/\と
降りくらす
霖雨に、
時々野分がどつと
添つて、あらしのやうな
夜など
續いたのが、
急に
朗かに
晴れ
渡つた
朝であつた。
旅は
此だから
可い——
陽氣も
好と、
私は
熟として
立つて
視て
居た。