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安下宿
私の
知りあひに、
御旅館とは
表看板、
實は
安下宿に
居るのがあるが、
秋のながあめ、
陽氣は
惡し、いやな
病氣が
流行ると
言ふのに、
膳に
小鰯の
燒いたのや、
生のまゝの
豆府をつける。
驚破秋草に、あやかしのついて
候ぞ、と
身構したるほどこそあれ、
安下宿の
娘と
書生として、
出來合らしき
夫婦の
來りしが、
當歳ばかりの
嬰兒を、
男が、
小手のやうに
白シヤツを
鎧へる
手に
安下宿の
菜に
此の
一品にぶつかると