着換きか)” の例文
かれ生活せいくわつかくごとくにしていた。あさは八き、ふく着換きかへてちやみ、れから書齋しよさいはひるか、あるひ病院びやうゐんくかである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
温泉をんせんかうとして、菊屋きくや廣袖どてら着換きかへるにけても、途中とちう胴震どうぶるひのまらなかつたまで、かれすくなからずおびやかされたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私は寝間着のまま一度庭のなかへ出てみたが、それから再び部屋に帰り、そしてフラノの散歩服に着換きかえながら、早朝の戸外へと出て行った。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
宗助そうすけ一人ひとり着物きもの着換きかえたが、てた洋服やうふくも、人手ひとでりずに自分じぶんたゝんで、押入おしいれ仕舞しまつた。それから火鉢ひばちいで、かす用意よういをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「いえ、一昨日の晩歸つて來た時、あんまりひどい樣子をしてゐるので、着換きかへさせました」
衣装いしょうがせて、襦袢じゅばんがせて、屏風びょうぶのかげへ這入はいったおせんは、素速すばやくおのが着物きもの着換きかえた。と、このとき格子戸こうしどそとからっていたように、おとここえおおきくきこえた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
私は乳母が衣服きもの着換きかえさせようとするのも聞かず、人々の声する方に馳け付けたが、上框あがりがまち懐手ふところでして後向うしろむきに立って居られる母親の姿を見ると、私は何がなしに悲しい、嬉しい気がして
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
この役者達は、普通の服裝に着換きかへるのに大分間をとつて、再び食堂に這入つて來た。ロチスター氏は、イングラム孃の手をとつて、連れて這入つて來た。彼女は、彼の演技えんぎめてゐた。
そしてまた自分がこの人の家内かないであり、半身であると無意識的に感じると同時に、が身が夫の身のまわりにいてまわって夫をあつかい、衣類を着換きかえさせてやったり、を定めさせてやったり
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かれ生活せいかつはかくのごとくにしていた。あさは八き、ふく着換きかえてちゃみ、それから書斎しょさいはいるか、あるい病院びょういんくかである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
寝る時、着換きかへて、とつて、むすめ浴衣ゆかたと、あか扱帯しごきをくれたけれども、角兵衛獅子かくべえじし母衣ほろではなし、母様おっかさんのいひつけ通り、帯をめたまゝで横になつた。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
芭蕉布ばしょうふふすまを開けると、押入の上段は夜具、下には柳行李やなぎこうりが見える。小野さんは行李の上に畳んである背広せびろを出して手早く着換きかえ終る。帽子は壁にぬしを待つ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
母は縁側に出ている私を見ると、着物を手ばやく着換きかえさせ、「あぶないから、あんまり水のそばに行くんじゃないよ」と言ったきりで、すぐ又向うへ行って、忙しそうに皆を指図さしずしていた。
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「着物を着換きかへなくてはいけませんの?」
「寢間着に着換きかへた樣子もない」
ごんはずにかれはニキタのしめした寐臺ねだいうつり、ニキタがつてつてゐるので、ぐにてゐたふくをすツぽりとて、病院服びやうゐんふく着換きかへてしまつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
内へ帰ると早速、夕餉ゆうげすまし、一寸ちょいと着換きかへ、糸、犬、いかり、などを書いた、読本どくほんを一冊、草紙そうしのやうに引提ひっさげて、母様おっかさんに、帯の結目むすびめトンたたかれると、すぐ戸外おもてへ。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
びんつたまゝつてへや四隅よすみつて、そこに一二滴づゝりかけた。斯様かやうきようじたあと白地しろぢ浴衣ゆかた着換きかえて、あたらしい小掻巻かいまきしたやすらかな手足てあしよこたへた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ごんわずにかれはニキタのしめした寐台ねだいうつり、ニキタがってっているので、ぐにていたふくをすッぽりとて、病院服びょういんふく着換きかえてしまった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かみつたらうし衣服きもの着換きかへたらうし、なにかと支度したくをしたらうし、手荷てにもつをんで、くるまでこゝへけつけて、のりおくれて、あめなかかへるのをおもふとあはれである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
着物きものでも着換きかへて、此方こつちから平岡ひらをか宿やどたづね様かと思つてゐる所へ、折よく先方むかふからつてた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それから約四十分程して、老人は着物きもの着換きかえて、はかま穿いて、くるまつて、何処どこかへつた。代助も玄関迄送つて出たが、又引き返して客間きやくまの戸を開けてなか這入はいつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
二人はもう持参の浴衣に着換きかえていて、おきまりの伊達巻だてまきで、湯殿へります、一人が市松で一人が独鈷とっこ……それもい、……姉の方の脱いだ明石あかしが、沖合の白波に向いた欄干てすり
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
アンドレイ、エヒミチはハヾトフが自分じぶん散歩さんぽさそつて氣晴きばらしせやうとふのか、あるひまた自分じぶん那樣仕事そんなしごとさづけやうとつもりなのかとかんがへて、かくふく着換きかへてともとほりたのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
お辻がぜんを下げる内に、母親は次の仏間ぶつま着換きかへる様子、其処そこ箪笥たんすやら、鏡台やら。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
御米およねあるき/\、着物きもの着換きかえるとき箪笥たんすけたら、おもはず一番目ばんめ抽出ひきだしそこ仕舞しまつてあつた、あたらしい位牌ゐはいれたことおもひつゞけて、とう/\ある易者えきしやもんくゞつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
アンドレイ、エヒミチはハバトフが自分じぶん散歩さんぽさそって気晴きばらしをさせようとうのか、あるいはまた自分じぶんにそんな仕事しごとさずけようとつもりなのかとかんがえて、とにかくふく着換きかえてともとおりたのである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
のりあたらしい浴衣ゆかた着換きかへて——くだん胴震どうぶるひをしながら——廊下らうかた。が、する/\とむかうへ、帳場ちやうばはうへ、はるかけて女中ぢよちうながら、かれ欄干てすりつて猶豫ためらつたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
洋服やうふく着換きかえるとき
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とこの八じょうで応じたのは三十ばかりの品のいい男で、こんの勝った糸織いとおり大名縞だいみょうじまあわせに、浴衣ゆかたかさねたは、今しがた湯から上ったので、それなりではちとうすら寒し、着換きかえるも面倒めんどうなりで
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とき御新姐ごしんぞみじか時分じぶんことえん端近はしぢかて、御前ごぜん誕生日たんじやうびにはをつと着換きかへてようとふ、紋服もんぷくを、またうでもない、しつけのいと一筋ひとすぢ間違まちがはぬやう、箪笥たんすからして、とほして
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
き、しまくと、元船もとぶね乘棄のりすてて、魔國まこくとこゝを覺悟かくごして、死裝束しにしやうぞくに、かみ撫着なでつけ、衣類いるゐ着換きかへ、羽織はおりて、ひもむすんで、てん/″\が一腰ひとこしづゝたしなみの脇差わきざしをさして上陸あがつたけれど
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とき御新造ごしんぞみじか時分じぶんことえん端近はしぢかて、御前ごぜん誕生日たんじやうびには着換きかへてようとふ、紋服もんぷくを、またうでもない、しつけのいと一筋ひとすぢ間違まちがひのないやうに、箪笥たんすからして、とほして
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
元船もとぶね乗棄のりすてて、魔国まこくとこゝを覚悟して、死装束しにしょうぞくに、髪を撫着なでつけ、衣類を着換きかへ、羽織を着て、ひもを結んで、てん/″\が一腰ひとこしづゝたしなみの脇差わきざしをさして上陸あがつたけれど、うえかつゑた上、毒に当つて
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)