監督かんとく)” の例文
星野ほしのは、それをちらっと見て、ベンチへ行った。キャプテンの喜多きたと、監督かんとくをしている大学生の別府べっぷさんが、かれを待っていた。
星野くんの二塁打 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
おばあさんは、二ほんのついているおおきな大根だいこんかかえて、ちょうど、あかはたを、監督かんとくっている電車でんしゃ交叉点こうさてんほうへとあるいていきました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
で、みなさまのしんずる、しんじないはしばらくべつとして、もうすこわたくしがそのとき監督かんとくのおじいさんからきかされたところを物語ものがたらせていただきます。——
これはひどい。一体どうしたのです。ははあ、フクジロもタンイチもしばられたな。その事ならなあに私はただこうやって監督かんとくに云いつかって車を
「レエスに負けたって仕方がねエよ。だけど負けたのははずかしいねエ」とかなんとか同じ文句を繰返くりかえしているうち、監督かんとくのHさんからかたたたかれ
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
ある日、梅田新道うめだしんみちにある柳吉の店の前を通り掛ると、厚子あつしを着た柳吉が丁稚でっち相手に地方送りの荷造りを監督かんとくしていた。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
つけてあげますから、当人にはなにも知らないように、お医者さまと監督かんとくの先生に、ことさら注意をするようにお頼みしておきますから、安心なさい
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
さっそくに許可がおりたので、金箱引揚の事務を監督かんとくするため、翌、慶長十八年の春までフェイフォに滞在した。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
もし昭青年がちょっとでも言葉にまったら、いたく打ちのめし、引きくくって女と一緒に寺門監督かんとくの上司へ突出つきだそうと、手ぐすね引いてめつけています。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
勘次かんじ監督かんとくつぼみ成長せいちやうとゞめるひやゝかな空氣くうきで、さうしてこれねらふものを防遏ばうあつする堅固けんご牆壁しやうへきである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
学校の生徒は八百人もあるのだから、体操の教師が隊伍たいごを整えて、一組一組の間を少しずつ明けて、それへ職員が一人か二人ふたりずつ監督かんとくとして割り仕掛しかけである。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
坪井博士つぼゐはかせは、正午過しやうごすぎ、用事ようじため歸京ききやうされたので、あと大野助手おほのぢよしゆ主任しゆにん監督かんとくしてると、午後ごご時頃じごろいたつて、船町倉次郎ふなまちくらじらう受持うけもち山麓さんろくから、多數たすう圓石まるいし發見はつけんした。
そこで監督かんとくは、美しいコロンビーナと陽気なアルレッキーノが出なくても見物人を失望させないように、何かほんとうに愉快なものを上演しなければなりませんでした。
この男は兵隊あがりで生徒監督かんとくをもって自ら任じている。堀口生はすぐに逃げていってしまった。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
明治めいぢ三十七ねん戰爭せんさうおこるや、又一またいち召集せうしふせられ、ゆゑかはりてこのきた留守るす監督かんとくすることとなれり。わが牧塲ぼくぢやう事業じげふやうやそのちよきしものにて、創業さうげふ困難こんなんくはふるに交通かうつう不便ふべんあり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
イバンスは総指揮そうしきとなって工事を監督かんとくし、例の工学博士バクスターは副監督となった。富士男、ゴルドンら一同は、いっさいその命令に服して、ひとりとして不服をいうものはない。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
何か民さんにさせる仕事はないかと、彼は彼の庭をぐるぐる見廻みまわしたが、植木も石も入れる余地もなく、職人をつかって重い石の据附すえつけ監督かんとくをする気なぞ、もう頭のどこにもなかった。
生涯の垣根 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
しか伸一先生しんいちせんせい老先生らうせんせいうるはしき性情せいじやうけてさらにこれをあたらしくみがげた人物じんぶつとして此小學校このせうがくかう監督かんとく我々われ/\第二だいに權藏ごんざうとなつて教導けうだうされたのです。權藏ごんざうこゝろざしもつと完全くわんぜん成就じやうじゆされました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ハープをひきひき役者たちの監督かんとくをしながら、わたしはときどき子どものほうを見た。かれはわたしたちの演技えんぎにひじょうなゆかいを感じているらしく見えたが、からだを少しも動かさなかった。
そこへ、監督かんとく別府べっぷさんがすがたをあらわした。選手せんしゅたちは、別府べっぷさんのまわりに集まって、めいめい、ぼうしをぬいで、あいさつをした。
星野くんの二塁打 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
今度こんどは、二人ふたりも、三にんも、しろ着物きものおとこたものがあるのです。」と、監督かんとくあたまをかしげながらこたえました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ネルチンスキイというのは一船おくれて日本に遠征えんせいに来るはず芬蘭フィンランドの陸上選手監督かんとくで、一足先きに事務上の連絡旁々れんらくかたがたこの船に乗った、中年の好紳士こうしんしです。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
「そうですか。いや、さよなら」大学士だいがくしは、またいそがしそうに、あちこち歩きまわって監督かんとくをはじめました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
うしておつぎもいつかくちのばつたのである。それでも到底たうてい青年せいねんがおつぎとあひせつするのは勘次かんじ監督かんとくもと白晝はくちう往來わうらいで一べつしてちがその瞬間しゆんかんかぎられてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
私達わたくしたちは三じゃくほどへだてて、みぎひだりならんでいる、切株きりかぶこしをおろしました。そこは監督かんとく神様達かみさまたちもおをきかせて、あちらをいて、素知そしらぬかおをしてられました。
学監の安斉あんざい先生は別の机にじん取って、若様がたの勉強ぶりを拝見しているが、実は先生の監督かんとくもかねている。家庭教師は元来やりにくいものである。教室で教える時のように
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
つまり、わたしと同じ国の人で、旅まわりの芝居しばい監督かんとくだったのです。この人は、一座のものを、いつもみんな、引きつれていました。それは、大きなはこの中にはいっていました。
それをるとどくになりましたから、かれは、ごくすこしばかりのすな監督人かんとくにんからだにまきかけました。と、監督かんとくは、たちまちのあいだ眠気ねむけをもよおし
眠い町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
だが、野球の試合しあいで、監督かんとく命令めいれいにそむくことはできない。星野ほしのは、別府べっぷさんの作戦さくせんどおり、バントで岩田いわたを二るいへ送るつもりでバッターボックスにはいった。
星野くんの二塁打 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
しかはる季節きせつ地上ちじやう草木さうもくつた時、どれほどしろしもむすんでも草木さうもく活力くわつりよくうごいてまぬごとく、おつぎのこゝろ外部ぐわいぶからくはへる監督かんとくもつうばることは出來できない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おう簡単かんたん挨拶あいさつませてから、わたくし早速さっそくみぎ監督かんとくのおじいさんにはなしかけました。——
「そうですか。いや、さよなら。」大学士は、またいそがしそうに、あちこち歩きまわって監督かんとくをはじめました。二人は、その白い岩の上を、一生けん命汽車におくれないように走りました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
この男は物事を深く感じもしましたし、感激かんげきをもって芸術を愛しもしました。けれども、芸術のほうではこの男を愛してくれませんでした。——舞台監督かんとくの鳴らすベルが鳴りひびきました。
小さいくちをとがらせ、「うち、つまらんわア、もう男のひとと、遊んではいけない言うて、監督かんとくさんから説教されたわ。おんなじ船に乗ってて、口いてもいかん、なんて、阿呆あほらしいわ」
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
すこしはなれて、監督かんとくらしい役人やくにんが、茶色ちゃいろ帽子ぼうしかぶり、ゲートルをいて、さくらしたって見守みまもっていたのです。
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いったい、どうしたことかな?」と、大臣だいじんまゆのあたりをしかめて、おそばのものにたずねました。おそばのものは、さっそく、汽車きしゃ監督かんとくんで、子細しさいをさらにたずねたのであります。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まきすみや、石炭せきたん生産地せいさんちから直接ちょくせつ輸入ゆにゅうして、そのおろしや、小売こうりをしているので、あるときは、えき到着とうちゃくした荷物にもつろしを監督かんとくしたり、またリヤカーにんで、小売こうさきはこぶこともあれば
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
監督かんとく恐縮きょうしゅくして、いまあった事実じじつこたえました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)