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掌
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たなそこ
ふりがな文庫
“
掌
(
たなそこ
)” の例文
此君
(
このきみ
)
にして
此臣
(
このしん
)
あり、
十萬石
(
じふまんごく
)
の
政治
(
せいぢ
)
を
掌
(
たなそこ
)
に
握
(
にぎ
)
りて
富國強兵
(
ふこくきやうへい
)
の
基
(
もと
)
を
開
(
ひら
)
きし、
恩田杢
(
おんだもく
)
は、
幸豐公
(
ゆきとよぎみ
)
の
活眼
(
くわつがん
)
にて、
擢出
(
ぬきんで
)
られし
人
(
ひと
)
にぞありける。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そう言う男の子の
掌
(
たなそこ
)
を見ると、キラリと小粒が一つ、お静の繁代は、半十郎に追われると知って、里の子に違った道を教えさしたのでしょう。
江戸の火術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一切の
味
(
あぢはひ
)
は水を
藉
(
か
)
らざれば其の味を発する能はず。人若し口の渇くこと甚しくして舌の
燥
(
かわ
)
くこと急なれば、熊の
掌
(
たなそこ
)
も魚の
腴
(
あぶらみ
)
も、それ何かあらん。
水
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
ところが
彼
(
か
)
れは、
町奉行
(
まちぶぎやう
)
といふ
重
(
おも
)
い
役目
(
やくめ
)
を
承
(
うけたまは
)
つて、
多
(
おほ
)
くの
人々
(
ひと/″\
)
の
生殺與奪
(
せいさつよだつ
)
の
權
(
けん
)
を、
其
(
そ
)
の
細
(
ほそ
)
い
手
(
て
)
の
掌
(
たなそこ
)
に
握
(
にぎ
)
るやうになると
忽
(
たちま
)
ち一
轉
(
てん
)
して、
彼
(
か
)
れの
思想
(
しさう
)
は
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
中臣の遠祖が、
天
(
あめ
)
ノ二上に求めた天ノ
八井
(
やゐ
)
の水は、峰を流れ降つて、此岩にあたつて
激
(
たぎ
)
ち流れる川なのであらう。姫は瀬音のする方に向いて
掌
(
たなそこ
)
を合せた。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
▼ もっと見る
片手を男の肩に置いて、片手で男の髪をまさぐるのが癖であつた。足を横に投出して、片手でヒタヒタと乳の
辺
(
あたり
)
を叩くのも癖であつた。人を打つ
掌
(
たなそこ
)
は痛かつた。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
櫛
(
くし
)
をしまいて、紙に手をふきふき、鏡台の前に立ちし千鶴子は、小さき箱の
蓋
(
ふた
)
を開きて、
掌
(
たなそこ
)
に載せつつ
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
されば
女人
(
によにん
)
の御身として、かかる
濁世末代
(
ぢよくせいまつだい
)
に、法華經を供養しましませば、
梵王
(
ぼんわう
)
も
天眼
(
てんがん
)
を以て御覽じ、
帝釋
(
たいしやく
)
は
掌
(
たなそこ
)
を合せてをがませたまひ、
地神
(
ちしん
)
は
御足
(
みあし
)
をいただきて
喜
(
よろこ
)
び
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
忽ちにして歌ふこと一句、忽にして又
奏
(
かな
)
づること一節。農夫どもは
掌
(
たなそこ
)
打ち鳴しつ。母上は立ちとまり給ひぬ。この時童の歌ひたる歌こそは、いたく我心を動かしつれ。あはれ此歌よ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
権作爺
(
ごんさくおやぢ
)
は
幾度
(
いくたび
)
も何か言はんと欲して
遂
(
つひ
)
に言ふこと
能
(
あた
)
はざりき、粟野の
方
(
かた
)
へ雪踏み分けて坂路を
辿
(
たど
)
る篠田の黒影見えずなる迄、月にすかして見送りぬ、涙に
霞
(
かす
)
む老眼、硬き
掌
(
たなそこ
)
に押し
拭
(
ぬぐ
)
ひつつ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
黒の
十徳
(
じっとく
)
に、
黄八丈
(
きはちじょう
)
の着付け、紫
綸子
(
りんず
)
の厚い
褥
(
しとね
)
の上に坐って、
左手
(
ゆんで
)
の
掌
(
たなそこ
)
に、処女の血のように真赤に透き通る、
径
(
わたり
)
五分程の、
燦
(
きら
)
めく
珠玉
(
たま
)
を乗せて、明るい灯火にかざすように、ためつ、すがめつ
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
卵探すと
掌
(
たなそこ
)
を
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
女は、帯にも
突込
(
つっこ
)
まず、一枚
掌
(
たなそこ
)
に入れたまま、黙って、一帆に
擦違
(
すれちが
)
って、角の
擬宝珠
(
ぎぼしゅ
)
を廻って、本堂正面の階段の方へ見えなくなる。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中臣・藤原の遠祖が、
天二上
(
あめのふたかみ
)
に求めた
天八井
(
あめのやい
)
の水を集めて、峰を流れ降り、岩にあたって
漲
(
みなぎ
)
り
激
(
たぎ
)
つ川なのであろう。瀬音のする方に向いて、姫は、
掌
(
たなそこ
)
を合せた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
ウム、如何にも、いやしくも将門、
刹帝利
(
さつていり
)
の
苗裔
(
べうえい
)
三世の末葉である、事を
挙
(
あ
)
ぐるもいはれ無しとはいふ可からず、いで先づ
掌
(
たなそこ
)
に八箇国を握つて腰に万民を附けん、と大きく出た。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
よるべなき
孤
(
みなしご
)
なりし
生立
(
おひたち
)
より、羅馬にてアヌンチヤタと相識り、友なりけるベルナルドオを傷けて、拿破里に逃れ去りし慘劇まで、涙と共に語り出でしに、可憐なるマリアの
掌
(
たなそこ
)
を組合せて
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
国境の山、赤く、黄に、
峰岳
(
みねたけ
)
を重ねて
爛
(
ただ
)
れた奥に、白蓮の花、玉の
掌
(
たなそこ
)
ほどに白く
聳
(
そび
)
えたのは、
四時
(
しじ
)
に雪を頂いて幾万年の
白山
(
はくさん
)
じゃ。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
姫は身を
屈
(
こゞ
)
めて、白玉を拾ふ。拾うても/\、玉は皆
掌
(
たなそこ
)
に置くと、粉の如く砕けて、吹きつける風に散る。其でも、玉を拾ひ続ける。玉は
水隠
(
みがく
)
れて見えぬ様になつて行く。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
国境の山、赤く、黄に、
峰
(
みね
)
嶽
(
たけ
)
を重ねて
爛
(
ただ
)
れた奥に、
白蓮
(
びゃくれん
)
の花、玉の
掌
(
たなそこ
)
ほどに白く
聳
(
そび
)
えたのは、
四時
(
しじ
)
に雪を頂いて
幾万年
(
いくまんねん
)
の
白山
(
はくさん
)
ぢや。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
姫は身を
屈
(
こご
)
めて、白玉を拾う。拾うても拾うても、玉は皆、
掌
(
たなそこ
)
に置くと、粉の如く砕けて、吹きつける風に散る。其でも、玉を拾い続ける。玉は
水隠
(
みがく
)
れて、見えぬ様になって行く。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
長刀
(
なぎなた
)
は
朽縁
(
くちえん
)
に倒れた。その刃の
平
(
ひら
)
に、雪の
掌
(
たなそこ
)
を置くばかり、たよたよと
崩折
(
くずお
)
れて、顔に片袖を
蔽
(
おお
)
うて泣いた。身の果と言う……身の果か。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さそくに後を
犇
(
ひし
)
と閉め、立花は
掌
(
たなそこ
)
に据えて、
瞳
(
ひとみ
)
を寄せると、軽く
捻
(
ひね
)
った
懐紙
(
ふところがみ
)
、
二隅
(
ふたすみ
)
へはたりと解けて、三ツ
美
(
うつくし
)
く包んだのは、菓子である。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
左手
(
ゆんで
)
の
肱
(
ひじ
)
を
鍵形
(
かぎなり
)
に曲げて、
衝
(
つ
)
と目よりも高く
差上
(
さしあ
)
げた、
掌
(
たなそこ
)
に、細長い、青い、小さな
瓶
(
びん
)
あり、捧げて、
俯向
(
うつむ
)
いて、
額
(
ひたい
)
に
押当
(
おしあ
)
て
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
榎の葉蔭に、手の青い脈を流れて、すぐ
咽喉
(
のど
)
へ通りそうに見えたが、
掬
(
く
)
もうとすると、
掌
(
たなそこ
)
が薄く、玉の
数珠
(
じゅず
)
のように、
雫
(
しずく
)
が切れて皆
溢
(
こぼ
)
れる。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
滝太郎は左右を
眗
(
みまわ
)
し、今度は
憚
(
はばか
)
らず、袂から出して、
掌
(
たなそこ
)
に据えたのは、
薔薇
(
ばら
)
の
薫
(
かおり
)
の
蝦茶
(
えびちゃ
)
のリボン、勇美子が
下髪
(
さげがみ
)
を留めていたその飾である。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鼻の筋通りたれば、額より口の
辺
(
あたり
)
まで、顔は一面の鼻にして、痩せたる
頬
(
ほお
)
は無きが如く、もし
掌
(
たなそこ
)
を以て鼻を
蔽
(
おお
)
えば、乞食僧の顔は隠れ去るなり。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渠がかくのごとくなす時は、二厘三厘思い思いに、その
掌
(
たなそこ
)
に投げ遣るべき金沢市中の
通者
(
とおりもの
)
となりおれる
僥倖
(
ぎょうこう
)
なる
漢
(
おのこ
)
なりき。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遊好
(
あそびずき
)
の若様は時間に関らず、横町で糸を切って、勇美子の
頭飾
(
かみかざり
)
をどうして取ったか、人知れず
掌
(
たなそこ
)
に
弄
(
もてあそ
)
んだ上に、またここへ来てその姿を
顕
(
あらわ
)
した。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
巻莨
(
まきたばこ
)
の手を控へ
掌
(
たなそこ
)
に葉を撫して、
何
(
なん
)
ぞ主人のむくつけき、何ぞ此の花のしをらしきと。主人大いに恐縮して仮名の名を聞けば氏も知らずと言はる。
草あやめ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一散
(
いっさん
)
に
遁
(
に
)
げもならず、
立停
(
たちど
)
まった
渠
(
かれ
)
は、馬の尾に油を塗って置いて、
鷲掴
(
わしづか
)
みの
掌
(
たなそこ
)
を
辷
(
すべ
)
り抜けなんだを
口惜
(
くちおし
)
く思ったろう。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(腰を
屈
(
かが
)
めつつ、
圧
(
おさ
)
うるがごとく
掌
(
たなそこ
)
を挙げて制す)何とも相済まぬ儀じゃ。海の
住居
(
すまい
)
の
難有
(
ありがた
)
さに
馴
(
な
)
れて、
蔭日向
(
かげひなた
)
、雲の
往来
(
ゆきき
)
に、
潮
(
うしお
)
の色の変ると同様。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
むむ、
何
(
なん
)
しろ一番
糺明
(
ただし
)
て見ようと、
掌
(
たなそこ
)
を高く打鳴らせば、ややありて得三の面前に平伏したるは、当家に飼殺しの飯炊にて、お録といえる老婆なり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
立
(
たち
)
あがりてゆくてを見れば、左右より小枝を組みてあわいも
透
(
す
)
かで躑躅咲きたり。日影ひとしお赤うなりまさりたるに、手を見たれば
掌
(
たなそこ
)
に照りそいぬ。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
立
(
たち
)
あがりてゆくてを見れば、左右より小枝を組みてあはひも
透
(
す
)
かで
躑躅
(
つつじ
)
咲きたり。日影ひとしほ
赤
(
あこ
)
うなりまさりたるに、手を見たれば
掌
(
たなそこ
)
に照りそひぬ。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
時に、
妙法蓮華経薬草諭品
(
みょうほうれんげきょうやくそうゆほん
)
、
第五偈
(
だいごげ
)
の
半
(
なかば
)
を開いたのを左の
掌
(
たなそこ
)
に
捧
(
ささ
)
げていたが、
右手
(
めて
)
に
支
(
つ
)
いた
力杖
(
ステッキ
)
を小脇に
掻上
(
かいあ
)
げ
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わが指のさき少しく灰にまみれたれば、小親手首を持添えて、
掌
(
たなそこ
)
をかえしてじっと見つ。下着の袖口
引出
(
ひきいだ
)
して払い去るとて、はらはらと涙をぞ落したる。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手毬を取って、
美女
(
たおやめ
)
は、
掌
(
たなそこ
)
の白きが中に、魔界はしかりや、紅梅の大いなる
莟
(
つぼみ
)
と
掻撫
(
かいな
)
でながら、
袂
(
たもと
)
のさきを
白歯
(
しらは
)
で含むと、ふりが、はらりと
襷
(
たすき
)
にかかる。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俯向
(
うつむ
)
きざま
掌
(
たなそこ
)
に
掬
(
すく
)
いてのみぬ。清涼
掬
(
きく
)
すべし、この水の味はわれ心得たり。
遊山
(
ゆさん
)
の折々かの山寺の井戸の水試みたるに、わが家のそれと
異
(
ことな
)
らずよく似たり。
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
美女
(
たおやめ
)
はその顔を
差覗
(
さしのぞ
)
く
風情
(
ふぜい
)
して、
瞳
(
ひとみ
)
を斜めに
衝
(
つ
)
と流しながら、
華奢
(
きゃしゃ
)
な
掌
(
たなそこ
)
を
軽
(
かろ
)
く頬に当てると、
紅
(
くれない
)
がひらりと
搦
(
から
)
む、
腕
(
かいな
)
の雪を払う音、さらさらと
衣摺
(
きぬず
)
れして
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
はた
袈裟
(
けさ
)
に
蔦
(
つた
)
かづらを
掛
(
か
)
けて、
鉢
(
はち
)
に
月影
(
つきかげ
)
の
粥
(
かゆ
)
を
受
(
う
)
け、
掌
(
たなそこ
)
に
霧
(
きり
)
を
結
(
むす
)
んで、
寂然
(
じやくぜん
)
として
起
(
た
)
ち、また
趺坐
(
ふざ
)
なされた。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お妻は懐紙の坊さん(その
言
(
ことば
)
に従う)を一人、指につまんでいった。あと連は、
掌
(
たなそこ
)
の中に、こそこそ縮まる。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かくして少年ははた
掌
(
たなそこ
)
を
拍
(
う
)
って
塵
(
ちり
)
を払ったが、吐息を
吐
(
つ
)
いて、さすがに心
弛
(
ゆる
)
み、力落ちて、よろよろと僵れようとして、息も
絶々
(
たえだえ
)
なお雪を見て、眉を
顰
(
ひそ
)
めて
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
歩を
攀
(
よ
)
ずる足のそれよりも重かりしよ。掻い
撫
(
な
)
ずる
掌
(
たなそこ
)
を、吸い取るばかり、袖、
袂
(
たもと
)
、
太
(
いた
)
く夜露に濡れたり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
情人
(
いいひと
)
らしく扱われたような気がして? そんな負惜みをお言いなさんなよ。」軽く
卓子台
(
ちゃぶだい
)
を
掌
(
たなそこ
)
で当てて
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一度でも忘れると、
掌
(
たなそこ
)
をめぐらさず、田地田畠、陸は水になる、沼になる、
淵
(
ふち
)
になる。幾万、何千の人の
生命
(
いのち
)
——それを思うと死ぬるも死切れぬと、
呻吟
(
うめ
)
いて
掻
(
もが
)
く。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人が
掌
(
たなそこ
)
左右より、ミリヤアドの胸おさえたり。また一しきり、また一しきり大空をめぐる風の音。
誓之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
高津の手なる桃色の絹の
手巾
(
ハンケチ
)
は、はらりと
掌
(
たなそこ
)
に広がりて、
軽
(
かろ
)
くミリヤアドの目のあたり
拭
(
ぬぐ
)
いたり。
誓之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あきなひに出づる時、継母の心なく
嘗
(
かつ
)
て炭を挽きしまゝなる鋸を持たせしなれば、さは雪の色づくを、少年は然りとも知らで、削り落し払ふまゝに、雪の量は
掌
(
たなそこ
)
に小さくなりぬ。
紫陽花
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
出家は、
真直
(
まっす
)
ぐに
御廚子
(
みずし
)
の前、かさかさと
袈裟
(
けさ
)
をずらして、
袂
(
たもと
)
からマッチを出すと、
伸上
(
のびあが
)
って
御蝋
(
おろう
)
を点じ、
額
(
ひたい
)
に
掌
(
たなそこ
)
を合わせたが、
引返
(
ひきかえ
)
してもう一枚、
彳
(
たたず
)
んだ人の前の戸を開けた。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ソッと抜くと、
掌
(
たなそこ
)
に軽くのる。私の名に、もし松があらば、げにそのままの
刺青
(
いれずみ
)
である。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“掌”の意味
《名詞》
(てのひら、たなごころ)手首より先、手の物を掴むときに物と接する面。
(出典:Wiktionary)
掌
常用漢字
中学
部首:⼿
12画
“掌”を含む語句
掌中
合掌
両掌
掌上
職掌
仙人掌
掌握
手掌
鞅掌
熊掌
車掌
掌面
右掌
職掌柄
掌底
掌大
仏掌藷
掌裡
孤掌
平掌
...