“手柄:てがら” の例文
“手柄:てがら”を含む作品の著者(上位)作品数
野村胡堂8
夏目漱石7
泉鏡花7
楠山正雄6
太宰治3
“手柄:てがら”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)1.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.1%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
そこへおりよく童子どうじめが来合きあわせて、横合よこあいから手柄てがらうばっていったのでございます。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ムーソルグスキーの荒削あらけずりな作品に手を入れて、名作を我らにのこしてくれたのはもう一つの手柄てがらである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
やはり糸の細く目方めかたのかるいのを、織り出すことを手柄てがらとするようになって、今いったマハツブの笑い話などが
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
三度みたび教師となって三度追い出された彼は、追い出されるたびに博士よりも偉大な手柄てがらを立てたつもりでいる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それに、これは一番大事なことでしたが、平次はこの邊で一番、八五郎に素晴らしい手柄てがらを立てさせたかつたのです。
「ここに一つの手柄てがらをきっと立てますゆえ、おやかたの家来のはしになりと、お加えなされてくださりませ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ならば手柄てがらにその白刃しらはをふりかざして、法師のうしろに従うた聖衆しょうじゅの車馬剣戟と力を競うて見るがよいわ。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
頼政よりまさはそののちずっと天子てんしさまにつかえて、度々たびたびいくさにいろいろ手柄てがらをたてました。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それは言ふ迄もなく、手代の才八。土地の御用聞與吉は、飛び付いて自分の手柄てがらにしたことは言ふ迄もありません。
そう云えば彼が突然上京してお兼さんを奪うようにれて行ったのも自分を驚かした目覚めざましい手柄てがらの一つに相違なかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
込み合う雑沓の人々も、角袖かくそで外套がいとう手柄てがらをかけた日本髷にほんまげや下町風の男女が、目立って交っていた。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
うらやましいとはないまでも、結構けつこうだとでもいふことか、手柄てがらだといつてめてくれた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
堅気かたぎの女房も赤い手柄てがらをかける位の年頃としごろのものはお妾に見まがうような身なりをしている。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
殺したところで功名こうみょうにも手柄てがらにもならぬ。のぼりつめた時にも冷静になり得る竜之助、お浜の取乱した姿をにらんでいる。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「さればサ。功名こうみょう手柄てがらをあらわして賞美を得た話は折々あるが、失敗した談はかつて無い。」
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
赤い手柄てがら丸髷まるまげに結つてゐたが、その白い襟脚のあたりが、小刻みにぶる/\震へ戦いてゐた。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
しょっぴいて引っぱたいて、一件のどろを吐かせて、みごとおいらが手柄てがらにするか? 一件とは何だ?
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「何んともハイしんせつに言わっせえて下せえやして、お庇様かげさまで、わし、えれえ手柄てがらして礼を聞いたでござりやすよ。」
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わし、鷲! 竹童というやつが、自由自在につかう飛行の大鷲! おお、そいつを一つ巻きあげて、こんどの手柄てがらとしてかえろう……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弁慶べんけい義経よしつねといっしょに度々たびたびいくさに出て手柄てがらをあらわしました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
鶴見はいっぱしの手柄てがらでもした様子で、言葉を多くして、はずみをつけて、これだけの事を語り続けた。
またこれに類する話であるが、われわれがしばしば出会わすことは自分の勝った手柄てがら自慢話である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
父親のほうはよう見ずにあか手柄てがらをかけたいたての円髷まるまげの一方を見せながら、火鉢ひばちの火を見ていた女が怒りだした。
藍瓶 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
お延は昨日に違った下女の判切はっきりした態度を、さも自分の手柄てがらででもあるように感じた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その時は、艶々つやつやした丸髷まげに、浅葱絞あさぎしぼりの手柄てがらをかけていなすった。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たとえば愛国の理想をえがくならば、戦争のとき、馬背ばはいにまたがって功名こうみょう手柄てがらをするをもってただちに理想とは称しがたい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
機会ときにあたれば気は引立ひきたつものなり、元亀げんき天正てんしやうころなれば一国一城のぬしとなる手柄てがらかたからぬが
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
チヨツ(舌打したうち)大きな体躯なりで、きたねえ手のあかを手のひらでぐる/\んで出せばくらゐ手柄てがらになる
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それは、お手柄てがらだ。」と微笑してほめてやって、そっと肩をたたいてやりたく思った。「あわせて三十円じゃないか。ちょっとした旅行ができるね。」
姥捨 (新字新仮名) / 太宰治(著)
支那の荷持にもち野糞のぐそれてると誤解されたって手柄てがらにもならない。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
金内は、おのれの手柄てがら矢鱈やたら吹聴ふいちょうするような軽薄な武士でない。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
いいえ、賞品しょうひんは、野菜やさいつくったひと手柄てがらをほめてあげるので、そのひとには、だれにもわたさないのです。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
後の世の人は、この母上の皇后の、いろんな雄々おおしい大きなお手柄てがらをおほめ申しあげて、お名まえを特に神功皇后じんぐうこうごうとおよび申しております。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
お品さんの手柄てがらにして、石原の利助兄きの顏を立てさせ度かつたのだよ、わかるか
牧民ぼくみんしよくにゐて賢者けんしやれいするとふのが、手柄てがらのやうにおもはれて、りよ滿足まんぞくあたへるのである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
一番槍いちばんやりはお手柄てがらだがゴルキじゃ、と野だがまた生意気を云うと、ゴルキと云うと露西亜ロシアの文学者みたような名だねと赤シャツが洒落しゃれた。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
藤色の手柄てがらをかけた丸髷まるまげ綺麗きれいなで付けている様子。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
(はい、ならば手柄てがらでござんす、さあ、貴僧あなたまゐりませうか。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「宜いとも。二人共恐ろしく口が固いが、石を抱かせる前に口を割らせるのも、せめて錢形の手柄てがらだらう。あとは清吉に頼んで、俺は曉方まで、一と寢入りとやらかすぜ」
親類しんるゐうちで一軒いつけんでもけなかつたのがお手柄てがらだ。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(はい、ならば手柄てがらでござんす、さあ、貴僧あなた参りましょうか。)
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし、手柄てがらだけはどこまでもめておいてやらないと、これから後
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
今年こそ白いのをうんととって来て手柄てがらを立ててやろうと思ったのです。
(新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
折角せっかくの功名手柄てがらも世間の見るところにて光を失わざるを得ず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そうしてかれらは、それを冒険だとも、手柄てがらだとも思っていない。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
笹野新三郎は、この秘藏の御用聞の手柄てがらを期待して居る樣子です。
もう二十歳はたちにもなつて、大丸髷おほまるまげの赤い手柄てがらが可笑しい位なお靜が、平常ふだん可愛がられ過ぎて來たにしても、これは又あまりに他愛たわいがありません。
よめいる事が何故なぜそんなに手柄てがらであろうか、お勢は猫がねずみッた程にも思ッていないのに! それをその娘は、はずかしそうに俯向うつむきは俯向きながら
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
男先生はそれを、じぶんの手柄てがらのように思ってよろこび、
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「いや皆御当人のお好みだから。ぼくの手柄てがらじゃない」
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
横顔で莞爾にっこりしたようで、唇が動いたが、そのまま艶々つやつやとした円髷まるまげの、手柄てがらの浅黄を薄く、すんなりとした頸脚えりあしで、うつむいたのがうなずいた返事らしい。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし山形君は、えらい手柄てがらを立てました。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今まで勘太郎をはずかしめた村中の人たちは、これを見て勘太郎の前にみんな両手をついてあやまり、勘太郎のえら手柄てがらをほめた。そして勘太郎を一番強い偉いものとしてあがめたてまつった。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
天子てんしさまはたいそう頼政よりまさ手柄てがらをおほめになって、獅子王ししおうというりっぱなつるぎに、おうわぎ一重ひとかさえて、頼政よりまさにおやりになりました。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
但し戦陣の功名は、その場でそれを目撃していた證人を必要とするのであるが、此の場合の法師丸は、手柄てがらを立てるのが目的でなく、たゞあの女が鼻の缺けた首を眺めてほゝえむ光景を見れば済むのである。
「むろんゆるしはしますまいが、それをいま荒らだてて言ったところで、しようのないことです、いずれ次郎さんにはそれをつぐなうだけの手柄てがらはさせますから、それまではどうか秘密にしてあげてください」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
死後しご幾年いくねんかをへて、それがはじめて舊石器時代きゆうせつきじだいであることにきまり、今更いまさらサウツオラの手柄てがら人々ひと/″\みとめるようになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
手柄てがらてずになりょうか、
夜の進軍らっぱ (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれども、脊恰好せいかっこうから、形容なりかたち生際はえぎわの少し乱れた処、色白な容色きりょうよしで、浅葱あさぎ手柄てがらが、いかにも似合う細君だが、この女もまた不思議に浅葱の手柄で。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「え!」百助は不服なつらをおさえつけて、「そいつをとやこういうわけじゃありませんが、どうでもおかみへ訴えなけりゃならねえことがあるんで、わっしは、そいつを旦那の手柄てがらにさせてえと思いましてね」
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父は左衞門茂頼もちよりとて、よはひ古稀こきに餘れる老武者おいむしやにて、壯年の頃より數ヶ所の戰場にて類稀たぐひまれなる手柄てがらを顯はししが、今は年老たれば其子の行末を頼りに殘年を樂みける。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
浦島子の物語は、恐らく神代の海神宮古伝ののこんの形であろうから、これだけは別にまた考えてみるとして、この他に田道間守たじまもりの家の由緒でも秦河勝はたかわかつ手柄てがらに帰した虫の神の出処でも
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
たか大家たいかと云はれてたさに無暗むやみ原稿紙げんかうしきちらしては屑屋くづや忠義ちうぎつくすを手柄てがらとは心得こころえるお目出めでたき商売しやうばいなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
なん手柄てがらにもならない
解嘲 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そしてそれからはおにが出て人をさらう心配しんぱいがなくなりましたから、京都きょうとの人たちはたいそうよろこんで、いつまでも頼光らいこうや四天王てんのうたちの手柄てがらかたつたえました。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「まあ、不思議ふしぎなこともあるものだね。だがわたしのそだてた子がそんなえらい手柄てがらをしたかとおもうと、わたしまでうれしいとおもうよ。ついでにそのおにうでというのをたいものだね。」
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そのうち、野だが出て来て、いや昨日はお手柄てがらで、——名誉めいよのご負傷でげすか、と送別会の時になぐった返報と心得たのか、いやにひやかしたから、余計な事を言わずに絵筆でもめていろと云ってやった。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
どうかかえ出して、どう利用したかに至るまでを、自分の手柄てがらのなるべく重く響くように、詳しく述べたかったのであるが、会うやいなや四時と五時とのいきさつでやられた上に、勝手に見張りの時間を延ばした源因になる例の女が
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
されば竹にさへづ舌切雀したきりすゞめ、月に住むうさぎ手柄てがらいづれかはなしもれざらむ、力をも入れずしておとがひのかけがねをはづさせ、高き華魁おいらんの顔をやはらぐるもこれなり。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
わかい漁師は、赤い手柄てがらをかけた女房を引っ抱えるようにして裏口に出たが、白いきばき出して飛びかかって来た怒濤どとうき込まれて、今度気がいた時には、一人になって流れ往く松の枝にかきついていた。
月光の下 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
これなどはただ自分の名をいろいろと小札こふだに印刷して、それをできるだけ多くの堂宮どうみやの戸や柱にはってあるくだけで、刷毛はけのついた継竿つぎざおなどを用意して、手のとどかぬような高いところにはり付けるのを手柄てがらにしていた。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
継子さん、あなた知ってて。女の眼は自分に一番縁故の近いものに出会った時、始めてよく働らく事ができるのだという事を。眼が一秒で十年以上の手柄てがらをするのは、その時に限るのよ。しかもそんな場合は誰だって生涯しょうがいにそうたんとありゃしないわ。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今頃島原の殘黨ざんたうが、二人や三人ヨボヨボになつて江戸に居ることを詮索せんさくしたところで、何の足しになりませう。それより大事なことをお耳に入れて置きますが、河井龍之介を捕へた手柄てがらは、この平次ではなくて、ガラツ八の野郎で御座いますよ。
「武蔵が無用の出しゃばりして、そなたの手柄てがらを殿に御披露したのが、わるかった。わけもない人魚の論などはじめて、あたら男を死なせねばならぬ。ゆるせ金内、来世は武士に生れぬ事じゃのう。」顔をそむけて立ち上り、「留守は心配ないぞ。」と強く言って広間から退出した。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
いねたばかつぐんだつて、わしくちしちやはねえが、ちやんとつてんでがすから、さうつちやなんだが其麽そんなことするもなあ、きまつたやうなもんですかんね」被害者ひがいしやさら手柄てがらでもしたやうにいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
太郎たらうは、エソップのなかの、或時あるときライオンが一疋いつぴきねづみつたら、ねづみが「おぢさんわたいのやうないさなものをいぢめたつてあなたの手柄てがらにもなりますまい」つてつたらライオンは「ハヽヽヽなるほどさうだ」つてゆるしてやつた。
「それでもばしてからしちながれだなんち味噌みそたるつたな、麩味噌ふすまみそ佳味うまかねえがいまぢやそんでもおつけへるこたへんのよ」卯平うへい自分じぶん手柄てがらでもかたるやうないひかたであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
トヾの結局つまり博物館はくぶつくわん乾物ひもの標本へうほんのこすかなくば路頭ろとういぬはらこやすが学者がくしやとしての功名こうみやう手柄てがらなりと愚痴ぐちこぼ似而非えせナツシユは勿論もちろん白痴こけのドンづまりなれど
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
天子てんしさまはたいそう阿倍あべ童子どうじ手柄てがらをおほめになって、ちょうど三がつ清明せいめい季節きせつなので、名前なまえ阿倍あべ清明せいめいとおつけになり、五くらいさずけて、陰陽頭おんみょうのかみというやくにおとりたてになりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
田村麻呂たむらまろはそののち鈴鹿山すずかやまおに退治たいじしたり、藤原仲成ふじわらのなかなりというものの謀反むほんたいらげたり、いろいろの手柄てがらてて、日本一にほんいち将軍しょうぐんとあがめられましたが、五十四のとし病気びょうきくなりました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「ちっとも怒る事は、ありません。面白いじゃないか。まだ、のつづきもあるようです。ポローニヤスの花嫁は、お手柄てがらでした。もっと強く抱いて、といきをつめて哀願するところもよかったし、あたしは、だめだわと言って、がくりと項垂うなだれるところなど、実に乙女の感じが出ていました。うまいものですね。」
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
「お前がそう言うなら、この二人と仲直りをさしてやってもいい。けれども、それには何か手柄てがらをしなければいけない。三日の間猶予ゆうよをしてやるから、そのうちによいことをして私の家へ来なさい。そしたら、この二人と仲直りをさしてあげよう。もし約束を違えたら、村中の者でたぬき狩りをするから、よく覚えていなさい」
狸のお祭り (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
僕は、このとしになって、やっと、世の中に悪人というものが本当にいるのを発見した。手柄てがらにもなるまい。あたりまえの発見だ。僕は、よっぽど頭が悪い。おめでたい。いまごろ、やっと、そんな当然の事を発見して、おどろいている始末なのだから、たいしたものだよ。底の知れない、めでたい野郎だ。ゆうべの朗読劇は、あれは、もともと叔父さんとポローニヤスと、ひそかに、しめし合せてはじめた事だ。それは、たしかだ。間違っていたら、このをくり抜いて差し上げてもよい。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)