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差
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さし
ふりがな文庫
“
差
(
さし
)” の例文
呆気
(
あっけ
)
に取られて目も放さないで
目詰
(
みつ
)
めて居ると、雪にも
紛
(
まが
)
ふ
頸
(
うなじ
)
を
差
(
さし
)
つけ、くツきりした
髷
(
まげ
)
の根を見せると、
白粉
(
おしろい
)
の
薫
(
かおり
)
、
櫛
(
くし
)
の歯も
透通
(
すきとお
)
つて
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『僕も
酔
(
よひ
)
が
醒
(
さ
)
めかゝつて寒くなつて来た。
静
(
しづ
)
ちやんさへ
差
(
さし
)
つかへ無けれア
彼
(
あ
)
の
角
(
かど
)
の西洋料理へ上がつてゆつくり話しませう。』
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
差
(
さし
)
て送らせける其後
種々
(
しゆ/″\
)
樣々
(
さま/″\
)
吟味有けるに先の申
立
(
たて
)
と相違も無きこと故
是
(
これ
)
より大惡の
本人
(
ほんにん
)
たる重四郎の段右衞門と
愈々
(
いよ/\
)
突合
(
つきあは
)
せ吟味とこそは
極
(
きはま
)
りけれ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
両人は此の
体
(
てい
)
を見てハッとばかりに
恟
(
びっく
)
り致しましたが、逃げることもならず、唯うろ/\して居る所へ、平左衞門は
雪洞
(
ぼんぼり
)
をズッと
差
(
さし
)
つけ、声を
怒
(
いか
)
らし。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
後から
差
(
さし
)
のぞく空善の眼に映ったのは、白々と
晒
(
さらさ
)
れた骸骨——しかもボロボロの着物を着け、刀を抱えて悠然と何やらに
凭
(
もた
)
れて居るではありませんか。
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
手桶
(
ておけ
)
を右の手に
提
(
さ
)
げているので、足の
抜
(
ぬ
)
き
差
(
さし
)
に都合が悪い。
際
(
きわ
)
どく
踏
(
ふ
)
み
応
(
こた
)
える時には、腰から上で調子を取るために、手に持ったものを
放
(
ほう
)
り
出
(
だ
)
したくなる。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
片っぽの土蔵のほんの
差
(
さし
)
かけが、露路口にあって、縄を
収
(
しま
)
う納屋にでもなっていると、その、たった
畳
(
たたみ
)
一畳もない場所を借りうけようと猛烈な運動をする。
旧聞日本橋:21 議事堂炎上
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「祖父江さん、いつもあなたといっしょにいられる、あの立派なご老人はどういうかたなのですか。お
差
(
さし
)
つかえなかったら、われわれにもご紹介ねがいたいですね」
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
戻
(
もど
)
れば
太郎
(
たらう
)
の
母
(
はゝ
)
と
言
(
い
)
はれて
何時
(
いつ
)
/\までも
原田
(
はらだ
)
の
奧樣
(
おくさま
)
、
御兩親
(
ごりようしん
)
に
奏任
(
そうにん
)
の
聟
(
むこ
)
がある
身
(
み
)
と
自慢
(
じまん
)
させ、
私
(
わたし
)
さへ
身
(
み
)
を
節儉
(
つめ
)
れば
時
(
とき
)
たまはお
口
(
くち
)
に
合
(
あ
)
ふ
物
(
もの
)
お
小遣
(
こづか
)
ひも
差
(
さし
)
あげられるに
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
程なく列車が
轟
(
ぐわう
)
と音を立てて松川の鉄橋に
差
(
さし
)
かかると、
窓外
(
そと
)
を眺めて黙つてゐた吉野は
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と、その人の所へ幾度も
差
(
さし
)
つけたので、この者大いに弱ったと云う話がある。武蔵の詳伝はいつか書きたいが、この人の武芸の何処辺まで到っていたかと云うに就て面白い話がある。
巌流島
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
ナポリ、ポンペイ等の記事も同様である。
其
(
それ
)
等の郵便を予自身に郵便局へ
赴
(
おもむ
)
いて
差
(
さし
)
立てなかつたのが過失であつた。
人気
(
にんき
)
の
悪
(
わ
)
るいナポリの宿の
下部
(
ギヤルソン
)
に托した
為
(
た
)
めに故意に
紛失
(
ふんじつ
)
されたのであつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ガッシリとしてきた手を
差
(
さし
)
のべることなく
父母達の家
(新字新仮名)
/
今野大力
(著)
弟は、本を
差
(
さし
)
あげて楽隊の真似をした。
眠い一日
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
お誓は榎の根に、今度は
吻
(
ほっ
)
として憩った、それと
差
(
さし
)
むかいに、小県は、より低い処に腰を置いて、片足を前に、くつろぐ
状
(
さま
)
して
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
拝見
(
はいけん
)
だけ
仰
(
おほ
)
せ
付
(
つ
)
けられて
下
(
くだ
)
さいましと
云
(
い
)
つて、
先
(
まづ
)
頭
(
かしら
)
から
先
(
さき
)
へ
眼
(
め
)
を
附
(
つ
)
け、それから
縁
(
ふち
)
を見て、
目貫
(
めぬき
)
から
何
(
ど
)
うも誠にお
差
(
さし
)
ごろに、
定
(
さだ
)
めし
御中身
(
おなかみ
)
は
結構
(
けつこう
)
な事でございませう
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
見しが
慥
(
たしか
)
に三五郎奴成らんと三人
等
(
ひと
)
しく此方の
土手
(
どて
)
へ
駈
(
かけ
)
よりて見れば二三町
隔
(
へだて
)
て西の村を
差
(
さし
)
て
迯行
(
にげゆく
)
者あり掃部は彌々
彼奴
(
あいつ
)
に相違無し
是々
(
これ/\
)
藤兵衞
飛脚
(
ひきやく
)
を立て
家
(
うち
)
へ此ことを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
これが
妾
(
めかけ
)
手
(
て
)
かけに
出
(
だ
)
したのではなし
正當
(
しようたう
)
にも
正當
(
しようとう
)
にも
百
(
ひやく
)
まんだら
頼
(
たの
)
みによこして
貰
(
もら
)
つて
行
(
い
)
つた
嫁
(
よめ
)
の
親
(
おや
)
、
大威張
(
おほゐばり
)
に
出這入
(
ではいり
)
しても
差
(
さし
)
つかへは
無
(
な
)
けれど、
彼方
(
あちら
)
が
立派
(
りつぱ
)
にやつて
居
(
ゐ
)
るに
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しかし、
其
(
そ
)
の
當時
(
たうじ
)
、
風
(
かぜ
)
は
荒
(
あら
)
かつたが、
眞南
(
まみなみ
)
から
吹
(
ふ
)
いたので、
聊
(
いさゝ
)
か
身
(
み
)
がつてのやうではあるけれども、
町内
(
ちやうない
)
は
風上
(
かざかみ
)
だ。
差
(
さし
)
あたり、
火
(
ひ
)
に
襲
(
おそ
)
はるゝ
懼
(
おそれ
)
はない。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前
(
ぜん
)
申し上げます通り
阿古屋
(
あこや
)
の
琴責
(
ことぜめ
)
の様な姿で
簪
(
かんざし
)
を後光の様に
差
(
さし
)
かざして
居
(
い
)
るから年を取って居ても若く見えます。ずいと出まして、御奉行の方を
斜
(
はす
)
に向いて坐って居ります。
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
紙に包みて
差
(
さし
)
出しければ長庵は
押戻
(
おしもど
)
し
否々
(
いや/\
)
夫
(
それ
)
は思ひも寄ぬ事なり
豫
(
かね
)
て我が言たる通り
工面
(
くめん
)
さへ出來る事なれば何であの
孝行
(
かうかう
)
な娘の身を
浮川竹
(
うきかはたけ
)
に沈むる
周旋
(
せわ
)
を我しやう他人がましき事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
稚兒
(
おさなご
)
が
母
(
はゝ
)
よぶ
樣
(
やう
)
に
差
(
さし
)
まねぎつ、
坐敷
(
ざしき
)
にも
入
(
い
)
らではるかに
待
(
ま
)
てば、
松野
(
まつの
)
は
徐
(
おもか
)
ろに
歩
(
あゆ
)
みを
進
(
すゝ
)
めて、
早
(
はや
)
く
竹椽
(
ちくえん
)
のもとに
一揖
(
いつしふ
)
するを、
糸子
(
いとこ
)
かるく
受
(
う
)
けて
莞爾
(
にこやか
)
に、
花莚
(
はなむしろ
)
の
半
(
なかば
)
を
分
(
わ
)
けつゝ
團扇
(
うちわ
)
を
取
(
と
)
つて
風
(
かぜ
)
を
送
(
おく
)
れば
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
差
(
さし
)
のばしたまう白く細き手の、その姉上の姿ながら、
室
(
へや
)
の片隅の暗きあたり
鮮麗
(
あざやか
)
にフト在るを、見返せば、月の影窓より漏れて、青き一条の光、畳の上に
映
(
さ
)
したるなり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
龜藏は
逆筋斗
(
さかとんぼう
)
を打って
溝
(
どぶ
)
の縁へ投げ付けられるを、左の
方
(
ほう
)
から時藏相助が打ってかゝるを、孝助はヒラリと
体
(
からだ
)
を
引外
(
ひきはず
)
し、腰に
差
(
さし
)
たる真鍮巻の木刀で相助の尻の
辺
(
あたり
)
をドンと
打
(
ぶ
)
つ。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お
目
(
め
)
に
懸
(
かゝ
)
らでは
戻
(
もど
)
らるゝことかはさるにても
此病人
(
このびやうにん
)
のうへに
此
(
この
)
お
生計
(
くらし
)
右
(
みぎ
)
も
左
(
ひだり
)
もお
身
(
み
)
一
(
ひと
)
つに
降
(
ふ
)
りかゝる
芳
(
よし
)
さまが
御心配
(
ごしんぱい
)
は
嘸
(
さぞ
)
なるべし
尋常
(
つねなみ
)
ならば
御兩親
(
ごりやうしん
)
の
見取
(
みと
)
り
看護
(
かんご
)
もすべき
身
(
み
)
が
餘所
(
よそ
)
に
見聞
(
みき
)
く
苦
(
くる
)
しさよと
沸
(
わ
)
き
返
(
かへ
)
る
涙
(
なみだ
)
胸
(
むね
)
に
呑
(
の
)
みて
差
(
さし
)
のぞかんとする
二枚戸
(
にまいど
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その茶の
室
(
ま
)
の長火鉢を
挟
(
はさ
)
んで、
差
(
さし
)
むかいに年寄りが二人いた。ああ、まだ達者だと見える。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私のようなお多福でも
亭主
(
ていし
)
が有りますもの、お前さんのような粋なお侍と
差
(
さし
)
でお酒なんかを飲むと、
親指
(
これ
)
が
嫉妬
(
やきもち
)
を焼いて腹を立ちますよ、お前さんがもっと男が悪ければ
宜
(
い
)
いけれども
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
台所に
踞
(
しゃが
)
んだまま、女房の、
藍微塵
(
あいみじん
)
の
太織紬
(
ふとおりつむぎ
)
、ちと古びたが
黒繻子
(
くろじゅす
)
の襟のかかったこざっぱりした
半纏
(
はんてん
)
の下から、秋日和で紙の明るい上框の障子、今閉めたのを、
及腰
(
およびごし
)
で
差
(
さし
)
のぞき
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
着物はなし六百文の銭は
差
(
さし
)
が切れ、
彼処此処
(
あちらこちら
)
へ散乱致して居りますのを拾い集めて漸く四百
幾文
(
いくら
)
、五百に足りない銭を、これでも命の綱と思い、ずぶ濡れになって前橋の手前まで来ると
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
独語
(
ひとりごと
)
を云いながら、腰を
掛
(
かけ
)
るものがないから、
河岸
(
かし
)
に並んで居ります、蔵の
差
(
さし
)
かけの下で、横鼻緒をたって居りますと、ぴゅーと吹掛けて来る
雪風
(
ゆきかぜ
)
に、肌が
裂
(
き
)
れるばかり、
慄
(
ふる
)
いあがる
折
(
おり
)
から
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
座蒲団
(
ざぶとん
)
差
(
さし
)
よせたれば、高津とならびて、しおしおと座につきぬ。
誓之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こう、按摩さん、舞台の
差
(
さし
)
は
堪忍
(
かに
)
してくんな。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“差”の意味
《名詞》
(サ)ある数から他の数を引いた残りの数。
(サ)違い。隔たり。
(出典:Wiktionary)
差
常用漢字
小4
部首:⼯
10画
“差”を含む語句
差別
差向
差違
差置
差添
差支
脇差
差出
差掛
差異
差上
差遣
差込
差詰
無差別
差入
眼差
差俯向
参差
差閊
...