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化
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ば
ふりがな文庫
“
化
(
ば
)” の例文
やがて大きなつめでひっかくような
音
(
おと
)
がすると
思
(
おも
)
うと、はじめ
真
(
ま
)
っ
黒
(
くろ
)
な
雲
(
くも
)
と
思
(
おも
)
われていたものが
急
(
きゅう
)
に
恐
(
おそ
)
ろしい
化
(
ば
)
けものの
形
(
かたち
)
になって
鵺
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
處
(
ところ
)
で——
番町
(
ばんちやう
)
も
下六
(
しもろく
)
の
此邊
(
このへん
)
だからと
云
(
い
)
つて、
石
(
いし
)
の
海月
(
くらげ
)
が
踊
(
をど
)
り
出
(
だ
)
したやうな、
石燈籠
(
いしどうろう
)
の
化
(
ば
)
けたやうな
小旦那
(
こだんな
)
たちが
皆無
(
かいむ
)
だと
思
(
おも
)
はれない。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
したか
知
(
し
)
らないが、かわいそうに……。だけど、ほうたいだらけのまっ
白
(
しろ
)
なあの
顔
(
かお
)
には、ぞっとするわ。まるで
化
(
ば
)
けものみたいだもの
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
年老いた父が今
麦稈
(
むぎわら
)
帽子を
釘
(
くぎ
)
にひっかけている。十月になっても被りつづけている麦稈帽子、それは狐が
化
(
ば
)
けたような色をしている。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
狸の
化
(
ば
)
け
損
(
そこ
)
ねと言つてるんだよ。つまり君自身では一ぱし化けおほせた積りだらうが、世間の眼からは尻つ尾が見えるといふんだね。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
この利慾のふかい武士へ、
伊那丸
(
いなまる
)
という
餌
(
えさ
)
をもって
釣
(
つ
)
りにきたのは、いうまでもなく、武士に
化
(
ば
)
けているが、
八幡船
(
ばはんせん
)
の
龍巻
(
たつまき
)
であった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どんな
化
(
ば
)
け物でもすぐに正体を現わしてすくんでしまい、どんなものでも人の思うままになるという、世界に二つとない宝でした。
夢の卵
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「それや、いざつていう時は、
化
(
ば
)
けるわよ。なんて、戯談なんか言つてる場合じやないのよ。重大問題の相談にのつていたゞきたいの」
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
その
中
(
なか
)
の
一人
(
ひとり
)
が、ほんとうの
人間
(
にんげん
)
で、
一人
(
ひとり
)
が、
魔物
(
まもの
)
の
化
(
ば
)
けたのだ。それはいくら
親
(
おや
)
兄弟
(
きょうだい
)
でも、
見分
(
みわ
)
けがつかないという
話
(
はなし
)
だ……。
草原の夢
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
毛皮服のミアルカ、
格子縞
(
チェック
)
のマルゲリット。そして彼女
等
(
ら
)
はリゼットを見るや「おや!」と
云
(
い
)
った。「
化
(
ば
)
けたね。」とも云った。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかしこの女が墓の前に延び上がった時は墓よりも落ちついていた。
銀杏
(
いちょう
)
の
黄葉
(
こうよう
)
は
淋
(
さみ
)
しい。まして
化
(
ば
)
けるとあるからなお
淋
(
さみ
)
しい。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それも一人や二人じゃアねえ、数十人の女にだ! ただの女じゃアなさそうだ、
烏
(
からす
)
のお
化
(
ば
)
け、
蝙蝠
(
こうもり
)
のお化け! と云ったような女だなあ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし
近頃
(
ちかごろ
)
ではもうそんな
拙
(
へた
)
な
真似
(
まね
)
はいたしません。
天狗
(
てんぐ
)
がどんな
立派
(
りっぱ
)
な
姿
(
すがた
)
に
化
(
ば
)
けていても、すぐその
正体
(
しょうたい
)
を
看破
(
かんぱ
)
して
了
(
しま
)
います。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
敬二は、まるで狐に
化
(
ば
)
かされたような気もちになって、掘りあらされた
空地
(
あきち
)
の草原をあちこちとキョロキョロと
眺
(
なが
)
めわたした。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
猫
(
ねこ
)
が
死人
(
しにん
)
を
越
(
こ
)
えて
渡
(
わた
)
ると
化
(
ば
)
けるといつて
杼
(
ひ
)
は
猫
(
ねこ
)
の
防禦
(
ばうぎよ
)
であつた。
杼
(
ひ
)
を
乘
(
の
)
せて
置
(
お
)
けば
猫
(
ねこ
)
は
渡
(
わた
)
らないと
信
(
しん
)
ぜられて
居
(
ゐ
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
もし、こゝに、おせいさんのお
化
(
ば
)
けが出て来たら、私云つてやる。一生、富岡さんとは別れてはやらないつて云つてやる……
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
あやかりものだよ、——
化
(
ば
)
け
序
(
ついで
)
にもう少しその儘にしてゐてくれ。眞物の聟は陽が暮れると直ぐ此處に來て居るが、
肝腎
(
かんじん
)
の嫁の支度が出來ない。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ベルを押して案内を
乞
(
こ
)
うと、エデスが玄関に出て来た。四人の警官は、ガス会社の定期検査人に
化
(
ば
)
けていたので、わけなく家内へはいり込んだ。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
この話は、たちまち幾百里の
山河
(
さんが
)
を隔てた、
京畿
(
けいき
)
の地まで
喧伝
(
けんでん
)
された。それから
山城
(
やましろ
)
の貉が
化
(
ば
)
ける。
近江
(
おうみ
)
の貉が化ける。
貉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
途中の暗い横丁から
化
(
ば
)
けてでてやるぞと言ってやりたかったが、主人を初め、まだ熱心な相手が残ってるので話の調子はさほど折れもしなかった。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
クリストフが
挨拶
(
あいさつ
)
をしてる鳥に
拳固
(
げんこ
)
をさしつけ、この馬鹿者を、この腹声の
化
(
ば
)
け物を、もって行っちまえと怒鳴ってるのを見た時、彼は生涯初めて
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかし、四十面相が制服警官に
化
(
ば
)
けて、逃げだしたなんて、まさか気がつくまい。四十面相はアドバルーンにのって、空をとんでいるはずじゃないか。
怪奇四十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
米友は不自由な足ながら
傘
(
からかさ
)
のお
化
(
ば
)
けのように後ろへ飛んで返って、以前の一間に置いてあった槍を手に取りました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
どうやら巧く
化
(
ば
)
け終せそうだわい。そう調子をはずしたこともなかったようだ。私には役者の才能があるらしい。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
一頭の牛から十五斤も二十斤もヒレ肉を出すような牛屋がありましたらばそれは必らず外の肉を
交
(
ま
)
ぜるので今のようにレブロースが
化
(
ば
)
ける事もありましょう。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
彼の「花」の観念の
曖昧
(
あいまい
)
さに
就
(
つ
)
いて頭を悩ます現代の美学者の方が、
化
(
ば
)
かされているに過ぎない」(当麻)
教祖の文学:――小林秀雄論――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
我子の
容
(
かたち
)
に
化
(
ば
)
けし惡魔とより外は見えざるぞ、それにても見事其處に居直りて、齋藤左衞門茂頼が一子ぞと言ひ得るか、ならば御先祖の御名立派に申して見よ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「このいのししに
化
(
ば
)
けて出たのは、まさか山の神ではあるまい。神の
召使
(
めしつかい
)
の者であろう。こんなやつは今殺さなくとも、かえりにしとめてやればたくさんである」
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「われわれは最近思いもつかないことに出逢ったよ。ロンドンのまんなかに
化
(
ば
)
け
物
(
もの
)
屋敷を見つけたぜ」
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
呆
(
あき
)
れるじゃないの。文化ってどんな事なの?
文
(
ぶん
)
のお
化
(
ば
)
けと書いてあるわね。どうして日本のひとたちは、こんなに誰もかれも指導者になるのが好きなのでしょう。
冬の花火
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
何でも東京へ来てからは若い奥さんか何かに
化
(
ば
)
けて、乳母車を押しながら逃げまわっていたらしいんですが、そのうちにその筋の手がだんだん詰って来たもんだから
童貞
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
唐人の
化
(
ば
)
けの皮を一目で引ん
剥
(
む
)
いだ、御眼力、お若えが恐れ
入谷
(
いりや
)
の
鬼子母神
(
きしぼじん
)
……へっへっへっなんでごわす? ま、そのお話てえのをザッと伺おうじゃアげえせんか
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
奈良は
奠都
(
てんと
)
千百年祭で、町は
球燈
(
きゅうとう
)
、見せ物、人の顔と声とで一ぱいであった。
往年
(
おうねん
)
泊
(
とま
)
った
猿沢池
(
さるさわのいけ
)
の三景楼に往ったら、主が
変
(
かわ
)
って、名も
新猫館
(
しんねこかん
)
と妙なものに
化
(
ば
)
けて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
月夜になるとな、蟹は馬鹿じゃせに、わがの
影法師
(
かげぼうし
)
をお
化
(
ば
)
けかと思ってびっくりして、やせるんじゃ。やみ夜になると、影法師がうつらんさかい、安心してみがつくんじゃど。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
非人
(
ひにん
)
が
来
(
き
)
て、
死者
(
ししゃ
)
の
手
(
て
)
や、
足
(
あし
)
を
捉
(
とら
)
えて
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
に
引込
(
ひきこ
)
んでしまうのだ、うッふ! だが
何
(
なん
)
でもない……その
換
(
かわ
)
り
俺
(
おれ
)
は
彼
(
あ
)
の
世
(
よ
)
から
化
(
ば
)
けて
来
(
き
)
て、ここらの
奴等
(
やつら
)
を
片端
(
かたッぱし
)
から
嚇
(
おど
)
してくれる
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
また
赤
(
あか
)
い
簪
(
かんざし
)
のふさは、ゆら/\とゆれるたんびに
草原
(
くさはら
)
へおちては
狐扇
(
きつねあふぎ
)
の
花
(
はな
)
に
化
(
ば
)
けた。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
さういふ
優
(
やさ
)
しげなことを耳にきいてゐるので、狐が
化
(
ば
)
かすと馬糞を御馳走だといつて食べさせたり、こやし溜へお湯だといつて入れるのといふ、汚い方のことなどは笑つてしまつて
春宵戯語
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「なんだい、えらい噂つて。まさか夜中に
化
(
ば
)
けて出るといふのでも無いだらう。」
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
幼児が『お
化
(
ば
)
けえ』と言って声を細くし、両の掌を眼の上へあげると、大人が『怖い怖い』と、眼を掌で塞ぐ体を、幾度も執拗に強いるのと同じことを、将軍は登城のたびに繰り返した。
『七面鳥』と『忘れ褌』
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
たとえばね。あの窓の鉄棒を抜きとるにしたって、なにもそんなお
化
(
ば
)
けじみた力がなくたって、よくある手だが、まず二本の鉄棒に
手拭
(
てぬぐい
)
かなんかを、輪のように廻してしっかり縛るんだ。
幽霊妻
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
化物的神佛
(
ばけものてきしんぶつ
)
の
實例
(
じつれい
)
は、
印度
(
いんど
)
、
支那
(
しな
)
、
埃及方面
(
えじぷとはうめん
)
に
極
(
きは
)
めて
多
(
おほ
)
い。
釋迦
(
しやか
)
が
既
(
すで
)
にお
化
(
ば
)
けである。卅二
相
(
さう
)
を
其儘
(
そのまゝ
)
現
(
あら
)
はしたら
恐
(
おそ
)
ろしい
化物
(
ばけもの
)
が
出來
(
でき
)
るに
違
(
ちが
)
ひない。
印度教
(
いんどけう
)
のシヴアも
隨分
(
ずゐぶん
)
恐
(
おそろ
)
しい
神
(
かみ
)
である。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
彼
(
か
)
の
女
(
じょ
)
は活発な足どりで、つかつかと舞台の前面に歩み出で、しなやかな
襟頸
(
えりくび
)
から肩の筋肉を、
蛇
(
へび
)
に
化
(
ば
)
けようとする人間のように、妙にくるくると波打たせながら、怪しい
嬌態
(
しな
)
を作って
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
化粧という字は、
化
(
ば
)
け
粧
(
よそお
)
うと書くが、全くもって化けさせる。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「
若輩者
(
じゃくはいもの
)
、
狸
(
たぬき
)
にでも
化
(
ば
)
かされたか」
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
みんなタコのお
化
(
ば
)
けのやうだ
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
化
(
ば
)
けてひよつこり
町
(
まち
)
に
出
(
で
)
て
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
早起
(
はやお
)
きの
女中
(
ぢよちう
)
がざぶ/\、さら/\と、
早
(
はや
)
、その
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
をはく。……
化
(
ば
)
けさうな
古箒
(
ふるばうき
)
も、
唯
(
と
)
見
(
み
)
ると
銀杏
(
いてふ
)
の
簪
(
かんざし
)
をさした
細腰
(
さいえう
)
の
風情
(
ふぜい
)
がある。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
見
(
み
)
るとそれは
思
(
おも
)
いもつかない、大きな
茶
(
ちゃ
)
がまに
手足
(
てあし
)
の
生
(
は
)
えた
化
(
ば
)
け
物
(
もの
)
でしたから、
見物
(
けんぶつ
)
はみんな「あっ。」と
言
(
い
)
って目をまるくしました。
文福茶がま
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
やがて
正気
(
しょうき
)
に
復
(
かえ
)
ってから、これはきっと神様が意見をして下さるのか、それとも
狐
(
きつね
)
か
狸
(
たぬき
)
に
化
(
ば
)
かされたのか、どちらかだろうと思いました。
泥坊
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
しかし公卿理想にしろ、武士の戦争目的にしろ、あんな大量の血をながして、こんな
化
(
ば
)
け
菌
(
きのこ
)
を
巷
(
ちまた
)
に見る気でなかったのはもとよりだろう。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“化”の解説
化(か)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
化
常用漢字
小3
部首:⼔
4画
“化”を含む語句
化粧
変化
道化
變化
教化
化物
孵化
所化
文化
道化師
消化
薄化粧
造化
化学
勧化
化膿
化生
化鳥
道化役
化転
...