“猿沢池”の読み方と例文
読み方割合
さるさわのいけ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
なるほどこれは面妖めんような話じゃ。昔はあの猿沢池さるさわのいけにも、竜がんで居ったと見えるな。何、昔もいたかどうか分らぬ。いや、昔は棲んで居ったに相違あるまい。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
奈良は奠都てんと千百年祭で、町は球燈きゅうとう、見せ物、人の顔と声とで一ぱいであった。往年おうねんとまった猿沢池さるさわのいけの三景楼に往ったら、主がかわって、名も新猫館しんねこかんと妙なものにけて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
殊に猿沢池さるさわのいけからかんかん照りの三条通りを春日かすがへ登って行く午後三時の暑さと来ては類がない。坂道は丁度張物板はりものいたを西日に向って立てかけてあるのと同じ角度において太陽に向っているのである。