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八
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や
ふりがな文庫
“
八
(
や
)” の例文
彼
(
か
)
の
八
(
や
)
ツ
山
(
やま
)
の
沖
(
おき
)
に
並
(
なら
)
んで
泛
(
うか
)
ぶ
此
(
これ
)
も無用なる
御台場
(
おだいば
)
と
相俟
(
あひま
)
つて、いかにも
過去
(
すぎさ
)
つた時代の遺物らしく放棄された悲しい
趣
(
おもむき
)
を示してゐる。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ソフアの傍には、
八
(
や
)
つ
手
(
で
)
の鉢植、むかしのままに、ばさと葉をひろげて、乙彦が無心に爪で
千切
(
ちぎ
)
りとつた
痕
(
あと
)
まで、その葉に残つてゐる。
火の鳥
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
またその
身體
(
からだ
)
には
蘿
(
こけ
)
だの
檜
(
ひのき
)
・杉の類が生え、その長さは
谷
(
たに
)
八
(
や
)
つ
峰
(
みね
)
八
(
や
)
つをわたつて、その腹を見ればいつも
血
(
ち
)
が垂れて
爛
(
ただ
)
れております
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
品川
(
しながわ
)
まで来ると、
八
(
や
)
ツ
山下
(
やました
)
の、ちょっと海の見えるところに、掛け茶屋が出ているから、龍造寺主計は、そのまえに立ちどまって
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「馬鹿野郎、思い知ったか」そう捨てぜりふを吐き捨てると
八
(
や
)
ツ
乳
(
ぢ
)
の
草鞋
(
わらじ
)
に砂を蹴って、まっしぐらにどこともなく逃げ去った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
地味な柄の光らぬ
単衣
(
ひとえ
)
物。
黒絽
(
くろろ
)
の帯に、これだけは思い
切
(
きっ
)
て派手な縫い模様。上品でしかも
艶
(
つや
)
やかな
襟
(
えり
)
の好み、
八
(
や
)
つ
口
(
くち
)
の
匂
(
にお
)
い。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
此二上山に
八
(
や
)
ところまで見とどけて、其後久しく、日のみ子さまのおめしの湯水は、代々の中臣自身、此山へ汲みに参ります。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
で、
搦
(
から
)
み
合
(
あ
)
つた
四
(
よ
)
つの
袖
(
そで
)
から、
萌黄
(
もえぎ
)
と
其
(
そ
)
の
紫
(
むらさき
)
とが
彩
(
いろ
)
を
分
(
わ
)
けて、
八
(
や
)
ツにはら/\と
亂
(
みだ
)
れながら、しつとりと
縺
(
もつ
)
れ
合
(
あ
)
つて、
棲
(
つま
)
紅
(
くれなゐ
)
に
亂
(
みだ
)
れし
姿
(
すがた
)
。……
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
國「実にこんなお嬢さまはない、親孝行で、お
父
(
とっ
)
さんのお達者の時分には
八
(
や
)
ツ九ツまで肩を
擦
(
さす
)
ったり足を揉んだりして、実に感心致します」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
八
(
や
)
っちゃんが黒い石も白い石もみんなひとりで両手でとって、
股
(
もも
)
の下に入れてしまおうとするから、僕は怒ってやったんだ。
碁石を呑んだ八っちゃん
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
物理学者が尺度の比較をする時には寒暖計を
八
(
や
)
かましく云っても、天王星やシリアスの位置を帳面につける必要はまだない。
方則について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
朝飯が済でから身仕度するが
凡
(
およ
)
そ二時まで掛ります、大層着物を
被
(
き
)
るのが
八
(
や
)
かましい人で
毎
(
いつ
)
でも婚礼の時かと思うほど
身綺麗
(
みぎれい
)
にして居ました
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ばさっとした
八
(
や
)
ツ
手
(
で
)
の木の上からちらちらと灯が洩れていた。それはお志保の居間の小窓であった。幸いにもカーテンが半ば引かれてあった。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
きみなんか、ワシのゴルゴさんに
八
(
や
)
つ
裂
(
ざ
)
きにされちまうといいや! そんなひげなんか、おくさんに切られちまうといいや!
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
お前がやれ量炭も買えんだのッて
八
(
や
)
か
間
(
ま
)
しく言うから
昨夜
(
ゆうべ
)
金公の家へ
往
(
い
)
って借りようとして
無
(
ない
)
ってやがる。それから直ぐ初公の
家
(
とこ
)
へ往ったのだ。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
途で一人の老婆が麺麭の実の頭に穴を
穿
(
うが
)
ち、
八
(
や
)
つ
手
(
で
)
に似た麺麭の葉を
漏斗
(
じょうご
)
代りに
其処
(
そこ
)
へ突込み、上からコプラの白い汁を絞って流し込んでいた。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「ちょうどなんだな。裏と表と反対の方角に発達する訳になるな。これからの人間は生きながら
八
(
や
)
つ
裂
(
ざき
)
の刑を受けるようなものだ。苦しいだろう」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
庭はとてもせまい。さるすべりと
八
(
や
)
ツ
手
(
で
)
と、つげの木が四、五本
植
(
うわ
)
って、離れの塀ぎわには
竜
(
りゅう
)
のひげが植えてあった。
貸家探し
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
八
(
や
)
ツ
橋
(
はし
)
流を預っている彼女の、含蓄のある真伎倆を、も一度
昂揚
(
こうよう
)
させるために、よい作を選み、彼女の弾箏五十年の祝賀にそなえたいと思ううちに
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それから二日ばかり
経
(
た
)
つて日比野の母親から、お
八
(
や
)
つを差上げ
度
(
た
)
いからお涌に遊びに来るやうにと招きがあつた。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
亭のあるところまで行きつかないうちに力が抜けてしまい、どんと尻餅をついてそのままと相成ったのが、入口から入ったすぐのところの
八
(
や
)
つ
手
(
で
)
の葉かげ。
暗号の役割:烏啼天駆シリーズ・4
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
暗い外で客と話している
俥夫
(
しゃふ
)
の大きな声がした。間もなく、
門口
(
かどぐち
)
の
八
(
や
)
つ
手
(
で
)
の葉が
俥
(
くるま
)
の
幌
(
ほろ
)
で揺り動かされた。俥夫の持った
舵棒
(
かじぼう
)
が玄関の石の上へ降ろされた。
赤い着物
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
翌
(
あく
)
る
日
(
ひ
)
も
漸
(
やうや
)
う
巳
(
み
)
の
下刻
(
げこく
)
になつて、ちやんと
共揃
(
ともぞろ
)
ひをした
武士
(
ぶし
)
が
改
(
あらた
)
めて
愚老
(
ぐらう
)
を
迎
(
むか
)
へに
見
(
み
)
えましたが、
美濃守樣
(
みののかみさま
)
はもう
前
(
まへ
)
の
日
(
ひ
)
の
八
(
や
)
つ
頃
(
ごろ
)
に
御臨終
(
ごりんじう
)
でござりまして。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
たまたま下の洗面所に顔でも洗いにゆくと、目に入るものは、赤錆いろの鉄分の強い坪ばかりの池の水と、
萎
(
な
)
えきって生色のない
八
(
や
)
つ
手
(
で
)
の一、二本である。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
石田氏はタジタジになり、坐りなおしてお辞儀をすると、太田夫人は
八
(
や
)
つ
手
(
で
)
の葉のような大きな手を振って
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
門の
際
(
きわ
)
には高い
八
(
や
)
つ
手
(
で
)
が
栽
(
う
)
えてあって、その葉かげに腰を
屈
(
かが
)
めておてつが毎朝入口を
掃
(
は
)
いているのを見た。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もし
階數
(
かいすう
)
が
七
(
なゝ
)
つ
八
(
や
)
つ、
高
(
たか
)
さが
百尺
(
ひやくしやく
)
程度
(
ていど
)
のものならば、
二階
(
にかい
)
三階
(
さんがい
)
或
(
あるひ
)
は
四階建
(
しかいだて
)
に
傷
(
いた
)
みが
最
(
もつと
)
も
著
(
いちじる
)
しいようである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
八犬伝の全体の女主人公になっておられる
伏姫
(
ふせひめ
)
様が夫と立てておられる
八
(
や
)
つ
房
(
ふさ
)
という犬に身を触れずにみごもられた……というお話の処まで読んでしまいました。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「いいえ! たとえこの身が
八
(
や
)
ツ
裂
(
ざ
)
きになりましょうとも退きませぬ! 道へお集りのみなさまもきいて下さいまし! このご前は、この嘘つきのご前さまは——」
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ああ、その片輪の一人ですね。さっき
髯
(
ひげ
)
の生えた
盲
(
めくら
)
が一人、泥だらけの
八
(
や
)
つ
頭
(
がしら
)
を
撫
(
な
)
でまわしながら
不思議な島
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
小言
(
こごと
)
の
一
(
ひと
)
つも
言
(
い
)
はれましやうなら
火
(
ひ
)
のやうに
成
(
な
)
つて
腹
(
はら
)
だゝしく、
言葉返
(
ことばがへ
)
しはつひしか
爲
(
し
)
ませんかつたけれど、
物
(
もの
)
を
言
(
い
)
はず
物
(
もの
)
を
喰
(
た
)
べず、
隨分
(
ずゐぶん
)
婢女
(
をんな
)
どもには
八
(
や
)
つ
當
(
あた
)
りもして
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
品川へ
用達
(
ようた
)
しに往って、わたしは
尾張町
(
おわりちょう
)
にいたのですよ、親方の用事で五時
比
(
ごろ
)
から往ったのですが、
八
(
や
)
つ
山
(
やま
)
の飲み屋で一ぱいやってるうちに、遅くなって、いっそ遊んで、朝
雪の夜の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
少し
低声
(
こごえ
)
になった真似をして、「帳場が、また悪く
八
(
や
)
ヶ間敷
(
まし
)
いんですから、私なんか全く困るんですよ。……時々斯うして、お客様に、女中がお気の毒な目をお掛け申して。」
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
おまえは、なにかまぼろしを見て、そうしていたのじゃろうが、いつまでも、そうしていたら、平家の
亡者
(
もうじゃ
)
の中へひきこまれ、ついには
八
(
や
)
つざきにされてしまうところじゃった。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
それから十一日には二度目の霜が降った。四度目の霜である十二月
朔日
(
ついたち
)
は雪のようであった。そしてその七日八日九日は三朝続いたひどい霜で、
八
(
や
)
ツ
手
(
で
)
や、つわぶきの葉が
萎
(
な
)
えた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
近い所は、起きぬけに
朝飯前
(
あさめしまえ
)
の朝作り、遠い畑へはお春っ子が片手に大きな
薬鑵
(
やかん
)
、片手に茶受の里芋か餅かを入れた風呂敷包を重そうに
提
(
さ
)
げ、小さな体を
歪
(
ゆが
)
めてお
八
(
や
)
つを持て行く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
一
(
ひ
)
い、
二
(
ふ
)
う、
三
(
み
)
い、
四
(
よ
)
お、
五
(
い
)
つ、
六
(
む
)
う、
七
(
なな
)
、
八
(
や
)
あ、
九
(
ここ
)
、
十
(
とを
)
、十一、十二……十三……
落葉日記(三場)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
それから、ここへぐるりとかきをこしらえて、そのかきへ、
八
(
や
)
ところに門をあけよ。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
東京の町を歩くのに、小母さまは、いつも我知らず右手を
八
(
や
)
ツ
口
(
くち
)
から入れて
懐手
(
ふところで
)
をしてお歩きになる。ころんだらおきられなくてあぶないから手をお出しなさいませ、やかましく私が云う。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
特別な賢婦人ならイザ知らず、若い女の心は道理よりも感情に傾きやすいから感情を以て
良人
(
おっと
)
を択んだら十人が九人まで大間違を起します。
旨
(
うま
)
く
中
(
あた
)
ってもいわゆる
八
(
や
)
ツ
中
(
あた
)
りの
僥倖
(
ぎょうこう
)
に過ぎません。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
将軍家はお
八
(
や
)
つの菓子を貰ひ損ねた子供のやうに、
態
(
わざ
)
と
外
(
そ
)
つ
方
(
ぽう
)
を向いた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
君の崇拝する篠田先生も紡績女工の夜業などには、
大分
(
だいぶ
)
八
(
や
)
ヶ
間敷
(
ましく
)
鋭鋒
(
えいほう
)
を向けられるが、新聞配達の夜業はドウしたもんだイ、
他
(
ひと
)
の目に
在
(
あ
)
る塵を
算
(
かぞ
)
へて
己
(
おのれ
)
の目に在る
梁木
(
うつばり
)
を
御存
(
ごぞんじ
)
ないのか、矢ツ張り
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
ことごとく四十
八
(
や
)
渓
(
たに
)
を越えぬまに寂しくなりぬ千山の路
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ただのお
八
(
や
)
つやお十時の間食を意味するのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
浅間
八
(
や
)
ツ(嶽)左右に高く秋の立つ
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
わが生きて返れるは
纔
(
わずか
)
に
八
(
や
)
たびのみ
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「
八
(
や
)
いばに掛けて」八人。
猿飛佐助
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
八
(
や
)
たび歌よみに与ふる書
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ソファの傍には、
八
(
や
)
つ
手
(
で
)
の鉢植、むかしのままに、ばさと葉をひろげて、乙彦が無心に爪で
千切
(
ちぎ
)
りとった
痕
(
あと
)
まで、その葉に残っている。
火の鳥
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼
(
か
)
の
八
(
や
)
ツ
山
(
やま
)
の
沖
(
おき
)
に並んで泛ぶこれも無用なる
御台場
(
おだいば
)
と
相俟
(
あいま
)
って、いかにも過去った時代の遺物らしく放棄された悲しい趣を示している。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“八”の意味
《数詞》
八(はち)
二の三乗、即ちやっつを表す数。七の次で九の一つ前。8。
(出典:Wiktionary)
八
常用漢字
小1
部首:⼋
2画
“八”を含む語句
七八
八歳
八月
七顛八倒
八卦
尺八
七八歳
八幡
八百万
四方八方
八方
八尾
八間
八頭
忘八
八百屋
八重
黄八丈
十八番
八朔
...