野郎やらう)” の例文
野郎やらうこんなせはしいときころがりみやがつてくたばるつもりでもあんべえ」と卯平うへい平生へいぜいになくんなことをいつた。勘次かんじあとひといた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
藤本ふぢもと來年らいねん學校がくかう卒業そつげうしてからくのだといたが、うして其樣そんなはやつたらう、爲樣しやうのない野郎やらうだと舌打したうちしながら
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこで、とかく弱蟲よわむし女子をなごばかりが玩弄かまはれまするとけつかる。いや、おれは、野郎やらうをばはふし、女郎めらうをば制裁かまはう。
「えゝ物數奇ものずきぎますね、蒙古刀もうこたうは」とこたへた。「ところおとゝ野郎やらうそんな玩具おもちやつてては、兄貴あにき籠絡ろうらくするつもりだからこまりものぢやありませんか」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
くだいてへば、夜逃よにげ得手えてでも、朝旅あさたび出來できない野郎やらうである。あけがた三時さんじきて、たきたての御飯ごはん掻込かつこんで、四時よじ東京驛とうきやうえきなどとはおもひもらない。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其上そのうへはらつとぐに、野郎やらう大馬鹿おほばか惡體あくたいはじまるので、是等これら大地主おほぢぬしくせであるが、あま感心かんしんしたふうではい、とドクトルもおもふたのであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「おや、こいつはもう咲いてゐらあ。この………なんと云つたつけ、団扇うちはの画の中にゐる花の野郎やらうは。」
O君の新秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
野郎やらうおれいまげたお賽錢さいせんめアがツて、ふてやつだ。ぶンなぐるからおもへツ』とよばはる。
野郎やらうがついたな、鉄砲てつぱう射殺ぶちころしてしまふ。これを聞いていよ/\おどろゆきなかげたがあとからおくまは火縄筒ひなはづゝを持つて追つて来ます。旅の人はうしろをふり向くとチラ/\火が見える。
打ても差止さしとめおかねば町法が立ざるなりとはげしき言葉に彌々いよ/\恐れ昨夜ゆうべは昨夜女郎にふられ今朝は今朝とて此災難斯までうんわるくなる者か夫に付てもきち野郎やらうは昨夜も一人持囃もてはやされ今朝も先へ拔て歸り仕合者しあはせものよとつぶやき/\自身番屋へ上りこみ檢使けんし出張でばる
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「なあにたえしたこつちやねえが、盲目めくら野郎やらうよめ世話せわされるもんだからどうしたもんだんべかとおもつてよ」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
乙樂人 はッつけ野郎やらうめ!……さ、おくて、會葬者くわいさうじゃるまでってゐて食事もてなしにありつかう。
田越たごえ蘆間あしまほしそら池田いけださと小雨こさめほたる、いづれも名所めいしよかぞへなん。さかな小鰺こあぢもつとし、野郎やらうくちよりをかしいが、南瓜かぼちやあぢ拔群ばつぐんなり近頃ちかごろ土地とち名物めいぶつ浪子饅頭なみこまんぢうふものあり。
松翠深く蒼浪遥けき逗子より (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
彼奴あいついて口惜くやしがつた、れはいてさへ口惜くやしい、おまへかほ長吉ちようきち草履ざうりげたとふではいか、野郎やらう亂暴らんぼうにもほどがある、だけれど美登利みどりさん堪忍かんにんしておれよ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
畜生ちきしやうだからあゝだ野郎やらうは、畜生ちきしやうとおんなじだから」ぢいさんはちひさなあたまうるほひをまたすつと手拭てぬぐひでふいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
やがて着流きなが懷手ふところでにて、つめたさうな縁側えんがは立顯たちあらはれ、莞爾につことしていはく、何處どこへ。あゝ北八きたはち野郎やらうとそこいらまで。まあ、おはひり。いづれ、とつてわかれ、大乘寺だいじようじさかのぼり、駒込こまごめづ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かまことはない呼出よびだしており、わたしのなぞといつたら野郎やらうから心替こゝろがはりがしてかほてさへすのだから仕方しかたがない、どうであきらもの別口べつくちへかゝるのだがおまへのはれとはちが
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なんと、おらがいてつたうまさしつたらう、それで、孤家ひとつやさつしやる山路やまみち富山とやま反魂丹売はんごんたんうりはしつたといふではないか、それさつせい、助倍すけべい野郎やらうとううまになつて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おもて鹽物しほものやが野郎やらうと一しよに、しゞみしてはあしおよぶだけかつまわり、野郎やらうが八せんうれば十せんあきなひひはかならずある、一つは天道てんたうさまがやつこ孝行かう/\見徹みとほしてか、なりかくなり藥代くすりだいは三がはたら
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
りながら、りながら、同一おなじ子持こもちでこれがまた野郎やらうひざにぞいたりける。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
長吉ちやうきち野郎やらう片腕かたうでがなくなるものふに、何故なぜどうして片腕かたうでがなくなるのだ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何の用意もなくおいしよ、よし来たと身がるに敷居を飛こゆる時、この二タまた野郎やらう覚悟をしろ、横町のつらよごしめただは置かぬ、誰れだと思ふ長吉だなまふざけた真似をして後悔するなと頬骨ほうぼねうち
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
驢馬ろばかはりはおもしろい。うだ。野郎やらうむぎくか。」
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此樣こん野郎やらう糸織いとおりぞろへをかぶつたところがをかしくもいけれどもとさびしさうな笑顏ゑがほをすれば、そんならきつちやんおまへ出世しゆつせときわたしにもしておれか、其約束そのやくそくめてきたいねと微笑ほゝゑんでへば
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「や、くらはすのはめろ、つゑよごれる、野郎やらうふんどし薄汚うすぎたない。」
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)