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もら
ふりがな文庫
“
貰
(
もら
)” の例文
しかし、広告会社へ行って、衣裳を借りたり、賃銀を
貰
(
もら
)
ったりしなければならない。ほんとうに消えるなんて、出来っこないことだ。
女妖:01 前篇
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
毎日毎日、母はそうしてつないだ三つか四つの麻糸の
塊
(
たま
)
を
風呂敷
(
ふろしき
)
に包んで、わずかな工賃を
貰
(
もら
)
いに弟を背負っては出かけるのだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
僕は井筒屋の
風呂
(
ふろ
)
を
貰
(
もら
)
っていたが、雨が降ったり、あまり涼しかったりする日は
沸
(
た
)
たないので、自然近処の銭湯に行くことになった。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
蒔絵
(
まきえ
)
の所々禿げた朱塗りの
衣桁
(
いこう
)
に寄りかかって、今しがた婆やに爪を
剪
(
き
)
って
貰
(
もら
)
った指の先きを紅の落ちない様にそっと唇に当て乍ら
かやの生立
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
鬼外にありてかくおびやかす時、お多福内より、福が一しよにもろてやろ、といふ。かくして彼らは餅、米、銭など
貰
(
もら
)
ひ
歩行
(
ある
)
くなり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
そして
父
(
ちち
)
のつもりでは、
私達
(
わたくしたち
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
間
(
あいだ
)
に
男児
(
だんし
)
が
生
(
うま
)
れたら、その
一人
(
ひとり
)
を
大江家
(
おおえけ
)
の
相続者
(
そうぞくしゃ
)
に
貰
(
もら
)
い
受
(
う
)
ける
下心
(
したごころ
)
だったらしいのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
旗男も、姉から防毒面を
貰
(
もら
)
わなかったら、この路傍にころがっている連中と同じように、今ごろは冷たく固くなっていたことだろう。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
親から
貰
(
もら
)
い受けて出て行ったことになっているのは、すなわち蛇神退治の古くからの様式で、猿の方にはむしろ不用なことであった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
兄貴のフェリックスは、バタやジャムをつけたパンを
貰
(
もら
)
うことになっている。それから、にんじんは、なんにもつけないパンである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
營
(
いとな
)
み
七日々々
(
なぬか/\
)
の
追善供養
(
つゐぜんくやう
)
も心の及ぶだけは
勤
(
つと
)
めしが何分男の手一ツで
幼
(
をさな
)
き者の
養育
(
やういく
)
に
當惑
(
たうわく
)
し
晝
(
ひる
)
は漸く
近所
(
きんじよ
)
隣
(
となり
)
に
貰
(
もら
)
ひ
乳
(
ちゝ
)
などし
夜
(
よる
)
は
摺粉
(
すりこ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その室のすみに、ポリモスから
貰
(
もら
)
つたまゝになつてる蝙蝠が、
籠
(
かご
)
にはいつてゐました。
肥
(
ふと
)
つた男はその籠のなかをのぞきこみました。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
この世に
還
(
かえ
)
したいためではなかった。わしの学説の実験に使うためだ。だから、必要になれば、いつでも、おまえの肉体を
貰
(
もら
)
うまでさ
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
できれば開墾場の人たちが当然自分の土地として牧場のほうから
貰
(
もら
)
っていい土地ばかりは開墾場の人たちの手に返してやりたいんだ。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
たいへん
朗
(
ほが
)
らかな、
可愛
(
かわい
)
い娘さん達なので、喜んで、一緒に写真をとったり
名刺
(
めいし
)
を
貰
(
もら
)
ったり、
手振
(
てぶ
)
り身振りで会話をしたりしました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
わざわざ辞職して
貰
(
もら
)
った金は何時の間にかもうなくなっていた。
迂闊
(
うかつ
)
な彼は不思議そうな眼を開いて、索然たる彼の新居を見廻した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「なに
人
(
ひと
)
」とお政は
莞爾
(
にっこり
)
した、何と云ッてもまだおぼだなと云いたそうで。「お前に構ッて
貰
(
もら
)
いたいンで来なさるンじゃ有るまいシ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
麹町
(
こうじまち
)
の番町に住んでいる、或る船の機関長の
家庭
(
うち
)
に
貰
(
もら
)
われて来てから一年ばかり経つと、何となく、あたりまえの児と違って来た。
人の顔
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
子供は物を
貰
(
もら
)
ったよりも、親や先生から褒められることに対して、より以上の悦びを持ったものだし、また持つべきものであると思う。
日本的童話の提唱
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
天保
(
てんぽう
)
頃の江戸の
分限者
(
ぶげんしゃ
)
の番附では、西の大関に据えられている、千万長者の家へ
貰
(
もら
)
われて行ったのですが、それは今で云う政略結婚で
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
運転手に
睨
(
にら
)
まれ、もじもじ恥にふるえながら目的地のアルジに車代を
払
(
はら
)
って
貰
(
もら
)
う、人生至るところただもう卑屈ならざるを得ない。
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そら、ばけ物はチブスになって死ぬだらう。そこで僕は出て来て杏のお姫様を連れてお城に帰るんだ。そしてお姫様を
貰
(
もら
)
ふんだよ。
いてふの実
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
まあ、立派な学者になって、「
文章博士
(
もんじょうはかせ
)
」の肩書でも
貰
(
もら
)
ってくれれば、お父さんはそれだけでも大手を振って自慢が出来るからな。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
その仕事で金が
貰
(
もら
)
えるのは、六ヵ月位あとのことだから、それまでの食いつなぎのために、彼は広島の兄に借金を申込むつもりにした。
永遠のみどり
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
もし夜中に何か彼女にして
貰
(
もら
)
いたいことがあったら、彼の部屋と彼女の部屋との間の仕切りをノックするようにと言い残して行く。
旅の絵
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
をとつひの夜平山が来て、
用人
(
ようにん
)
野々村次平に取り次いで
貰
(
もら
)
つて、
所謂
(
いはゆる
)
一大事の
訴
(
うつたへ
)
をした時、跡部は急に思案して、
突飛
(
とつぴ
)
な手段を取つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
この
氷滑
(
こほりすべ
)
りが
雪
(
ゆき
)
の
日
(
ひ
)
の
樂
(
たのし
)
みの一つで、
父
(
とう
)
さんも
爺
(
ぢい
)
やに
造
(
つく
)
つて
貰
(
もら
)
つた
鳶口
(
とびぐち
)
を
持出
(
もちだ
)
しては
近所
(
きんじよ
)
の
子供
(
こども
)
と一
緒
(
しよ
)
に
雪
(
ゆき
)
の
降
(
ふ
)
る
中
(
なか
)
で
遊
(
あそ
)
びました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「人に驚かして
貰
(
もら
)
えばしゃっくりが止るそうだが、何も平気で居て牛肉が
喰
(
く
)
えるのに好んで
喫驚
(
びっくり
)
したいというのも
物数奇
(
ものずき
)
だねハハハハ」
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
僕は時々陶器
蒐集家
(
しゅうしゅうか
)
として著名な或る友人を訪れ、様々の陶器をみせて
貰
(
もら
)
うのだが、僕はそれらを比較し鑑賞する。必ず比較するのだ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
何の目的も無く生まれたからツて………何さ、
生
(
う
)
むで
貰
(
もら
)
ツたからと謂ツて、其れが
必
(
かなら
)
ずしも俺の
尊嚴
(
そんげん
)
に
泥
(
どろ
)
を塗るといふ
譯
(
わけ
)
ではあるまい。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
やがて銀子は親爺の両手に抱かれ、二階の四畳に寝かされたが、翌朝目がさめても、座敷を
貰
(
もら
)
った後のことは、何一つ覚えがなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
破談になった数日後にその
刺繍
(
ぬい
)
が出来たので、贈らないのも却って変であると考え、井谷を通じて先方へ届けるようにして
貰
(
もら
)
った。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そのあげくが和作はやはり
此
(
こ
)
の寄宿学校で
独逸
(
ドイツ
)
語の授業のほかに、少年寮の図書係といふ
呑気
(
のんき
)
な役目を世話して
貰
(
もら
)
ふ事になつたのである。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
明日
(
あす
)
の競技につかう銃はここへ
貰
(
もら
)
ってきてあるから、これから
諸君
(
しょくん
)
とともに、この銃の研究にゆきたいと思う。いっしょにきてくれないか
国際射的大競技
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それがお清という娘で、
貰
(
もら
)
い
娘
(
こ
)
のお安と
姉妹
(
きょうだい
)
のように育てていたが、そうなると人情で生みの子が可愛い、貰い娘が邪魔になる。
半七捕物帳:16 津の国屋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
俄盲目
(
にはかめくら
)
で
感
(
かん
)
が
悪
(
わ
)
るいけれども、
貰
(
もら
)
つた
手拭
(
てぬぐひ
)
で
傷
(
きず
)
を
二重
(
ふたへ
)
ばかり
巻
(
ま
)
いて、ギユツと
堅
(
かた
)
く
緊
(
し
)
めますと、
薬
(
くすり
)
の
効能
(
かうのう
)
か
疼痛
(
いたみ
)
がバツタリ止まりました。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
父は痰持であつたから、
水飴
(
みづあめ
)
だの
生薑
(
しやうが
)
の
砂糖漬
(
さたうづけ
)
などを買つてしまつて置いた。水飴は隣の宝泉寺からよく
貰
(
もら
)
つて来たやうである。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
今じゃもう月末になっても
貰
(
もら
)
う分が一文も残っていない、それに下宿の払いも二月ばかりたまっているし、そんなことも言った。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
聞いて私は同氏のお娘御に火を起して
貰
(
もら
)
って大きな火鉢の中へその網を入れて燃し掛けますとその傍に居る人々は皆驚いてしまったです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
右
(
みぎ
)
の
車麩
(
くるまぶ
)
のあるのを
見
(
み
)
つけて、おかみさんと
馴染
(
なじみ
)
だから、
家内
(
かない
)
が
頼
(
たの
)
んで、
一
(
ひと
)
かゞり
無理
(
むり
)
に
讓
(
ゆづ
)
つて
貰
(
もら
)
つたので——
少々
(
せう/\
)
おかゝを
驕
(
おご
)
つて
煮
(
に
)
た。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
カダル
孫
(
マゴ
)
にも
嫁
(
よめ
)
にも皆死なれデ、村役場ガラ
米
(
コメコ
)
だの
錢
(
ジエンコ
)
だの
貰
(
もら
)
て、
厩
(
ムマヤ
)
よりも
又
(
マダ
)
汚
(
きたね
)
エ
小舍
(
コヤコ
)
サ
這入
(
ハエ
)
テセ、
乞食
(
ホエド
)
して暮らす
風
(
ふ
)
ア
眼
(
マナグ
)
サ
見
(
メ
)
デ來るデバ。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
翌日
(
よくじつ
)
は
別當
(
べつたう
)
の
好意
(
かうい
)
で、
玄竹
(
げんちく
)
は
藥箱
(
くすりばこ
)
を
葵
(
あふひ
)
の
紋
(
もん
)
の
附
(
つ
)
いた
兩掛
(
りやうが
)
けに
納
(
をさ
)
め、『
多田院御用
(
ただのゐんごよう
)
』の
札
(
ふだ
)
を、
兩掛
(
りやうがけ
)
けの
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
の
蓋
(
ふた
)
に
立
(
た
)
てて
貰
(
もら
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
それから
乾菓子
(
ひぐわし
)
を
食
(
た
)
べました。
大
(
おほ
)
きな
鳥
(
とり
)
は
其味
(
そのあぢ
)
が
解
(
わか
)
らないと
云
(
い
)
つて
訴
(
こぼ
)
す、
小
(
ちひ
)
さな
鳥
(
とり
)
は
哽
(
む
)
せて
背中
(
せなか
)
を
叩
(
たゝ
)
いて
貰
(
もら
)
う、それは/\
大騷
(
おほさわ
)
ぎでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
家
(
うち
)
を
出
(
で
)
るほどなら
此樣
(
こん
)
な
貧乏世帶
(
びんぼうしよたい
)
の
苦勞
(
くろう
)
をば
忍
(
しの
)
んでは
居
(
ゐ
)
ませぬと
泣
(
な
)
くに
貧乏世帶
(
びんぼうしよたい
)
に
飽
(
あ
)
きがきたなら
勝手
(
かつて
)
に
何處
(
どこ
)
なり
行
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
はう
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
男は
烈
(
はげ
)
しく女の詞を遮った。「どうぞもう黙っていて
貰
(
もら
)
いたい。さっき云った時が来るまでは、何を言うのも無駄だからなあ。」
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
自己
(
おの
)
が
小鬢
(
こびん
)
の後れ毛上げても、ええ
焦
(
じ
)
れったいと罪のなき髪を
掻
(
か
)
きむしり、一文
貰
(
もら
)
いに乞食が来ても甲張り声に
酷
(
むご
)
く
謝絶
(
ことわ
)
りなどしけるが
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「あれサ、あたしゃ御新さんを
唆
(
け
)
しかけていたんだよ。ねえ御新さん、久しぶりですもの。しっかり可愛がってお
貰
(
もら
)
いなさいよ」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「別に
御馳走
(
ごちそう
)
と云つては無いけれど、
松茸
(
まつだけ
)
の
極新
(
ごくあたらし
)
いのと、製造元から
貰
(
もら
)
つた
黒麦酒
(
くろビイル
)
が有るからね、
鶏
(
とり
)
でも買つて、
寛
(
ゆつく
)
り話さうぢやないか」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
モー一つは結婚問題、即ちこれは僕の方から
兼
(
か
)
ねて子爵へ申出して承諾を得ている事だが、あの玉江嬢を君に
貰
(
もら
)
ってくれ給えというのだ。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「お目見得以下でも以上でも殿に尽くす道は皆一つだ。これからも充分心を配って裏切り者の動静を
窃
(
こっそ
)
り探って
貰
(
もら
)
いたいものだ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
戴きましょうだが、毎月その扶持米を
精
(
しら
)
げて
貰
(
もら
)
いたい。モ一つ
序
(
つい
)
でにその米を
飯
(
めし
)
か粥に
焚
(
たい
)
て貰いたい。イヤ毎月と云わずに毎日
貰
(
もら
)
いたい。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
貰
漢検準1級
部首:⾙
12画
“貰”を含む語句
乳貰
御貰
銭貰
貰人
貰物
文貰
物貰
貰受
焼米貰
貰下
貰乳
火貰
貰子
貰引
貰手
貰水
貰泣
口貰