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す
ふりがな文庫
“
直
(
す
)” の例文
それが「吾がやどに生ふる」というからには、吾が家の庭の中かもしくは
直
(
す
)
ぐその居周りかに野生せる普通の草でなければならない。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
出
(
で
)
て
來
(
こ
)
られる
都合
(
つがふ
)
ならば
又
(
また
)
今
(
いま
)
までのやうにお
世話
(
せわ
)
に
成
(
な
)
りに
來
(
き
)
まする、
成
(
な
)
るべくは
鳥渡
(
ちよつと
)
たち
歸
(
かへ
)
りに
直
(
す
)
ぐも
出京
(
しゆつけう
)
したきものと
輕
(
かる
)
くいへば
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しかしそんなことよりも見も知らぬ人のまえでこんな
工合
(
ぐあい
)
に気やすくうたい出してうたうと
直
(
す
)
ぐにその
謡
(
うた
)
っているものの世界へ
己
(
おの
)
れを
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
些細
(
ささい
)
のことで
燥
(
はしゃ
)
いだり、又逆に
直
(
す
)
ぐ
不貞腐
(
ふてく
)
された。こういう
性質
(
たち
)
のものは、とうてい我々のような仕事をやって行くことは出来ない。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
物質上の生活などは、いくら金をかけても、
直
(
す
)
ぐ尽きるのだ。金で、自由になる芸妓などを、
弄
(
もてあそ
)
んでいて、よく飽きないものですね。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
新しい肉と古い肉とを一緒に置いてはいけません。一方が腐り始めると
直
(
す
)
ぐ一方の新しい方へ伝染します。牛肉ばかりでありません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「あたしゃ
気
(
き
)
が
短
(
みじか
)
いから、どこへ
行
(
ゆ
)
くにしても、とても
歩
(
ある
)
いちゃ
行
(
い
)
かれない。千
吉
(
きち
)
つぁん、
直
(
す
)
ぐに
駕籠
(
かご
)
を
呼
(
よ
)
んでもらおうじゃないか」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
侍「これ
吉次
(
きちじ
)
、少々明神下に買物があるから、遅くなるかも知れんから先へ帰って、旦那様は
後
(
あと
)
から
直
(
す
)
ぐに帰ると
御新造
(
ごしんぞ
)
にそう云え」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まだ書かなくちゃ成りませんけれど、お父さんがいつも
直
(
す
)
ぐそこの御座敷にばかりいらっしゃるんですもの。気が気じゃありません。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
其
(
その
)
晩は場末の安宿に泊り翌日父は私をY中学の入学式につれて行き、そして我子を寄宿舎に
托
(
たく
)
して置くと、
直
(
す
)
ぐ村へ帰つて行つた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
それは今自分がそのために薬を買いに行った、病床にある娘であったので、不思議に思ったが、若者は我を忘れて
直
(
す
)
ぐ声をかけた。
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
名刺を通して、「
先刻
(
さっき
)
電話をかけた、関東新報の記者ですが——」と言うと、老人の江藤が出て来て、
直
(
す
)
ぐ応接間へ通してくれました。
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
でも使い過ぎたり思い違いで云い過ぎたりしたと
分
(
わか
)
れば「気の毒しました。」「すまなかった。」は
直
(
す
)
ぐわたくしの口から出ます。
家庭愛増進術:――型でなしに
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ぐづ/\してゐるうち、大川を渡つた悪魔が
直
(
す
)
ぐ追ひついて、もう二足三足で、
襟
(
えり
)
がみをつかまうとするまでに近く、迫りました。
豆小僧の冒険
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
けれども私にはいつも直径三尺位にしか想えなかった。自分が動くと物の影も動くので、自分の姿が映ったものと
直
(
す
)
ぐ判断される。
山の魅力
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
それは
直
(
す
)
ぐに現代の機械工業や軍需工業の方面に、急には役に立たないところの或る別のものになると考える方が本当に近いであろう。
語呂の論理
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
粗
(
ざつ
)
と
水
(
みづ
)
に
漬
(
つ
)
けて、ぐいと
絞
(
しぼ
)
つて、
醤油
(
しやうゆ
)
で
掻𢌞
(
かきまは
)
せば
直
(
す
)
ぐに
食
(
た
)
べられる。……
私
(
わたし
)
たち
小學校
(
せうがくかう
)
へ
通
(
かよ
)
ふ
時分
(
じぶん
)
に、
辨當
(
べんたう
)
の
菜
(
さい
)
が、よく
此
(
これ
)
だつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「大変でございます。金杉病院から電話で、奥様が自動車で怪我をなすったから、
直
(
す
)
ぐ病院へおいでを願いたいという事でございます」
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
その意地の悪い、衆を頼むまなざしを、隣人は
直
(
す
)
ぐに感じてしまった。帽子をとっただけで、頭も下げずに、一隅に坐して黙した。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
然
(
しか
)
し
今更
(
いまさら
)
、
何
(
なん
)
とか
斯
(
か
)
とか
長文句
(
ながもんく
)
の
手紙
(
てがみ
)
も
書
(
か
)
けないものだから、『
承諾
(
しようだく
)
、
直
(
す
)
ぐ
來
(
こ
)
い』と
書
(
か
)
いた
電報
(
でんぱう
)
の
樣
(
やう
)
な
葉書
(
はがき
)
を
出
(
だ
)
したんだ、さうだ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
私
(
わたくし
)
は
元來
(
ぐわんらい
)
膝栗毛的
(
ひざくりげてき
)
の
旅行
(
りよかう
)
であるから、
何
(
なに
)
も
面倒
(
めんだう
)
はない、
手提革包
(
てさげかばん
)
一個
(
ひとつ
)
を
船室
(
キヤビン
)
の
中
(
なか
)
へ
投込
(
なげこ
)
んだまゝ
直
(
す
)
ぐ
春枝夫人等
(
はるえふじんら
)
の
船室
(
キヤビン
)
へ
訪
(
おと
)
づれた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
僕は山口で
直
(
す
)
ぐ死んで了おうかと思いました。
彼
(
あ
)
の時、実に彼の時、僕が思い
切
(
きっ
)
て自殺して了ったら、
寧
(
むし
)
ろ僕は
幸
(
さいわい
)
であったのです。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
夫人は「岸までは
猶更
(
なほさら
)
遠い。少し
御
(
お
)
待ちなさい、ロダンの馬車に馬を附けさせて送らせませう」と云つて
直
(
す
)
ぐ
馭者
(
ぎよしや
)
を呼んで命ぜられた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
天神様の境内は
大層
(
たいそう
)
な人出でした。
飴屋
(
あめや
)
が出ています。つぼ焼屋が出ています。切傷の
直
(
す
)
ぐ
癒
(
なお
)
る
膏薬
(
こうやく
)
を売っている店があります。
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
私共の家は動物園の
直
(
す
)
ぐ隣りの
杜
(
もり
)
の中にございまして、その失踪しました十月三十日の朝八時半に父はいつものように出て行ったのです。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
直
(
す
)
ぐ無電で横浜の本部へ報告しろ、領海附近に漂流船あり、救護のため進路を変更す、と云うんだ、流血船の事には触れるな」
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
然
(
しか
)
しその
時
(
とき
)
の
周圍
(
しうゐ
)
の
事情
(
じじやう
)
は、
病人
(
びやうにん
)
をK
氏
(
し
)
の
家
(
うち
)
に
臥
(
ね
)
かして
置
(
お
)
く
事
(
こと
)
を
許
(
ゆる
)
さないので、
直
(
す
)
ぐに
何處
(
どこ
)
へか
入院
(
にふゐん
)
させなければならなかつた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
行きたいが今夜はすでに切符が買ってあるので
直
(
す
)
ぐまえの大劇場へまわる。出しものはプロコウヒフの作曲「
三つの蜜柑への恋
(
リュボウビ・ク・トリオム・アペルシイナム
)
」
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
『
梅子
(
うめこ
)
さん!
梅子
(
うめこ
)
さん!
直
(
す
)
ぐに
手套
(
てぶくろ
)
を
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
て
頂戴
(
てうだい
)
!』と
云
(
い
)
ふ
聲
(
こゑ
)
がして、
軈
(
やが
)
てパタ/\と
梯子段
(
はしごだん
)
を
上
(
のぼ
)
る
小
(
ちひ
)
さな
跫音
(
あしおと
)
がしました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「主事!」とふたたび邦夷は阿賀妻に呼びかけた、「
直
(
す
)
ぐに、その——判官どのとやらに乞うてみようではないか、早いがよい」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
おつぎは
勘次
(
かんじ
)
の
居
(
ゐ
)
ない
時
(
とき
)
は
牝鷄
(
めんどり
)
が
消魂
(
けたゝま
)
しく
鳴
(
な
)
いて
出
(
で
)
れば
直
(
す
)
ぐに
塒
(
とや
)
を
覗
(
のぞ
)
いて
暖
(
あたゝ
)
かい
卵
(
たまご
)
の
一
(
ひと
)
つを
採
(
と
)
つて
卯平
(
うへい
)
の
筵
(
むしろ
)
へ
轉
(
ころ
)
がしてやることもあつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼が注進の模様は、見るべき待人を伴ひ帰れるならんをと、
直
(
す
)
ぐに起ちて
表階子
(
おもてはしご
)
の
辺
(
あたり
)
に行く時、既に
晩
(
おそ
)
し
両箇
(
ふたり
)
の人影は
欄
(
てすり
)
の上に
顕
(
あらは
)
れたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その侍は胆力が
据
(
すわ
)
っていたので、別に驚きもせずに、おかしなものが出たな、と、平気な顔をしていると、その顔は
直
(
す
)
ぐ消えて無くなった。
通魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
宗助は郵便を持ったまま、座敷から
直
(
す
)
ぐ玄関に出た。細君は夫の足音を聞いて始めて、座を立ったが、これは茶の間の
縁伝
(
えんづた
)
いに玄関に出た。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あたしの祖母が、あたしの遊びに抜けだしたのを
厳探中
(
げんたんちゅう
)
、その子たちの仲間の一人にお小遣いをくれると、あたしは
直
(
す
)
ぐにつかまえられた。
旧聞日本橋:02 町の構成
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
『家が戀しくなつたんだな。……これから
直
(
す
)
ぐ歸へれば、
夜半
(
よなか
)
までには着くよ。……
阿母
(
おつか
)
さんの顏も見られるし。お
聟
(
むこ
)
さんの顏もね。……』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「私はあなたのいゝ子ぢやありません。私は寢ることなんか出來ません。
直
(
す
)
ぐに學校へやつて下さい。私はこんな所に居るのはいやです。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
この辺の雀は勝手がちがうためか、時には実に無法な巣の作り方をする。
雨樋
(
あまどい
)
の受口に
藁
(
わら
)
などを運んで来て、雨が降るたびに
直
(
す
)
ぐに流れる。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
直
(
す
)
ぐにお前を
捕
(
つか
)
まえて、誰とも云わず先生の前に連れて行て、先生に裁判して
貰
(
もら
)
うが
宜
(
よろ
)
しいか。心得て居ろと
酷
(
ひど
)
く
懲
(
こら
)
しめて
遣
(
やっ
)
た事があった。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
真っ
直
(
す
)
ぐなことばかり云うからである。世の中の事々は——わけて
政治
(
まつりごと
)
などに
携
(
たずさ
)
われば、重盛がいうようなわけにはゆかない。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
岩場の様子についてまったく知る所のなかった私たちは、その豪壮な岩壁を見ると
直
(
す
)
ぐに、道から近くの所へ天幕を張った。
一ノ倉沢正面の登攀
(新字新仮名)
/
小川登喜男
(著)
明治十一年のこと、当時私は
未
(
ま
)
だ
廿五
(
にじゅうご
)
歳の青年であったが、
東京
(
とうきょう
)
へ上京して四年後で、
芝
(
しば
)
の
花園橋
(
はなぞのばし
)
の
直
(
す
)
ぐ近所の
鈴木
(
すずき
)
某氏の門弟であった頃だ。
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
それから少し
蜘蹰
(
ちちゅう
)
していると、あれは
意久地
(
いくじ
)
がないといい、たまたま少しやり損なうと
直
(
す
)
ぐにこれを責める。なかなかむずかしいものである。
政治趣味の涵養
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「でもこうして町を歩いていると、蒸暑いといっても
好
(
い
)
い位だ。行って
直
(
す
)
ぐ帰ったって好い。一しょに行こうじゃないか。」
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
所が龕の
直
(
す
)
ぐ前には長楕円形の金魚鉢があったので、スパイダーは
先
(
ま
)
ずこの鉢を除けてからでなければ彫像に手を触れることは出来なかった。
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『あの晩工場から暗くなってから帰って来た主人は、御飯を食べると急な
夜業
(
やぎょう
)
があるからと言って
直
(
す
)
ぐに出て
行
(
ゆ
)
きました。』
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
私は満
三歳
(
みつつ
)
になつて
直
(
す
)
ぐ学校へ
遣
(
や
)
られました。ですから遊びの方に心を引かれることが多くて、字を習ふ方のことを情けなく思つて居ました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取って、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ。自分は
直
(
す
)
ぐに死を
想
(
おも
)
うた。
山月記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「しかし、誰か一人や二人、この近所に居ないものかな。俺は
直
(
す
)
ぐ前線へ帰らなけりゃならないんだが、その前に是非会い
度
(
た
)
い人があるんだ」
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
兄は、用事があるので、今日は
悠
(
ゆつ
)
くりしてゐないで
直
(
す
)
ぐ帰宅するのだと告げた。帰る途中の円通寺といふ寺まで実枝も同道するのだと云つた。
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
“直”の意味
《名詞》
(じき)
(じか)
(あたい/あたえ 歴史的仮名遣い:あたひ/あたへ)古代日本において、県主等に与えられた姓。
(すぐ)将棋の棋譜での用語で、駒をまっすぐ前に進めること。
《形容動詞》
(じき)短い期間のうちに、すぐにと言うわけではないが、そうなるまでに大きな変化はなく。
(出典:Wiktionary)
直
常用漢字
小2
部首:⽬
8画
“直”を含む語句
正直
直接
直下
素直
真直
直道
直立
驀直
強直
直衣
眞直
立直
硬直
直角
御直
直後
直面
宿直
直々
直截
...