書生しよせい)” の例文
しるべの燈火ともしびかげゆれて、廊下らうかやみおそろしきをれし我家わがやなにともおもはず、侍女こしもと下婢はしたゆめ最中たゞなかおくさま書生しよせい部屋へやへとおはしぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
主人しゆじん書生しよせいかれいぬ病氣びやうき病院びやうゐん這入はいる一ヶげつまへとかに、徴兵檢査ちようへいけんさ合格がふかくして入營にふえいしたぎりいまでは一人ひとりもゐないのださうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
玄関番げんくわんばん書生しよせい不作法ぶさはふ取扱とりあつかひけると、其処そこ主人迄しゆじんまでがいやになる。著米ちやくべい早々さう/\始末しまつは、すくなからず僕等ぼくら不快ふくわいあたへた。(四月三日)
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
上京じやうきやうして、はじめの歸省きせいで、それが病氣びやうきのためであつた。其頃そのころ學生がくせい肺病はいびやうむすめてた。書生しよせい脚氣かつけ年増としまにもかない。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
へいかしこまりました、書生しよせいさんのお世辞せじだよ、エヽ此手このてでは如何いかゞでげせう。ギイツと機械をねぢるとなかから世辞せじが出た。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
天地間てんちかん最早もはや小山某こやまなにがしといふかきの書生しよせいなくなる! とぼくおもつたときおもはずあしとゞめた。あたまうへ眞黒まつくろしげつたえだからみづがぼた/\ちる、墓穴はかあなのやうな溪底たにそこではみづげきしてながれるおとすごひゞく。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
……うち二三年にさんねんあそんでた、書生しよせいさんの質實じみくちから、しか實驗談じつけんだんかされたのである。が、いさゝたくみぎるとおもつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れよりおこりし生道心なまだうしんなどならば、かへすがへすあさましきことなり、だい一は不憫ふびんのことなり、中々なか/\高尚けだかこヽろもちそこねて、魔道まだう落入おちいるは我々われ/\書生しよせいうへにもあるを
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「うん、おもつてつてよう」とこたへた。小六ころく坂井さかゐ好意かういで、其所そこ書生しよせいんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
アーぼくはね開成学校かいせいがくこう書生しよせいぢやがね、朋友ほういうどもすゝめにればうもきみ世辞せじうて不可いかぬ、世辞せじうたらからうちうから、ナニ書生輩しよせいはい世辞せじらぬことではないかとまうしたら
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
よし一時いちじ陸奧みちのく名取川なとりがはきよからぬながしてもし、はゞかりのなか打割うちわりてれば、天縁てんえんれにつて此處こヽはこびしかもれず、いまこそ一寒いつかん書生しよせいもなけれど
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うです、わたしところ書生しよせいこしちや、すこしは社會教育しやくわいけういくになるかもれない」とつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
夫人ふじん居室ゐまあたる、あまくしてつやつぽく、いろい、からきりはないたまどしたに、一人ひとりかげあたゝかくたゝずんだ、少年せうねん書生しよせい姿すがたがある。ひと形容けいようにしてれいなり、といてある。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此身このみ雲井くもゐとりがひ自由じゆうなる書生しよせい境界けうがいいましばしはあそばるゝこゝろなりしを、きの故郷ふるさとよりの便たよりにいはく、大旦那おほだんなさまこと其後そのご容躰ようだいさしたること御座ござなく候へども
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
驚破すは秋草あきぐさに、あやかしのついてさふらふぞ、と身構みがまへしたるほどこそあれ、安下宿やすげしゆくむすめ書生しよせいとして、出來合できあひらしき夫婦ふうふきたりしが、當歳たうさいばかりの嬰兒あかんぼを、をとこが、小手こてのやうにしろシヤツをよろへる
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
書生しよせい千葉ちばいとゞしうおそりて、これはうも、これはとかしらげるばかり、故郷こきやうりしときあねなるひとはゝかはりて可愛かわゆがりてれたりし、其折そのをり其頃そのころありさまをおもおこして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
むやうに、門外もんそとやなぎくゞつて、格子戸かうしどまへうめのぞくと、二疊にでふ一人ひとりつくゑひかへてた書生しよせいて、はじめてつた、春葉しゆんえふである。十七だから、ひげなんかやさない、五分刈ごぶがりながかほで、仰向あふむいた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かげにまわりてはうち書生しよせいがと安々やす/\こなされて、御玄關番おげんくわんばん同樣どうやうにいはれること馬鹿ばからしさの頂上てうじようなれば、これのみにてもりつかれぬ價値ねうちはたしかなるに、しかも此家このやたちはなれにくゝ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ぱなしの書生しよせいさんの部屋へやだから、ぐにあつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よくれでさむいのう、お節介せつかいなれどわたしがおこしてりませう、炭取すみとり此處こゝへとおつしやるに、書生しよせいはおそれりて、何時いつ無精ぶせういたしまする、申譯まうしわけことでと有難ありがたいを迷惑めいわくらしう
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
書生しよせいさん、東京とうきやうれてつて——」
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)