年若としわか)” の例文
かれは、あのとき、こころうしちかったことも、わすれてしまいました。そして、どうかして、はや年若としわかうしれたいとおもっていました。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
よく年若としわかな夫が自分の若い妻を「うちのばあさん」などと呼ぶ、あれも何となく気取ってるように思われるが、でも人の前で
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
隣家の伏見屋なぞにない古い伝統が年若としわかな半蔵の頭に深く刻みつけられたのは、幼いころから聞いたこの父の炬燵話こたつばなしからで。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ふとお照がもう五つ六つ年若としわかな女であつたなら、そしてあのやうな恐い顔でなかつたならせめて嬉しいであらうなどとこんな事も思ふのであつた。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
『こゝに一人ひとり少女せうぢよあり。』小説せうせつ何時いつでもこんなふうはじまるもので、批評家ひゝやうかこひ小説せうせつにもき/\したとの御注文ごちゆうもんしか年若としわかいおたがひつては
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
而して彼女の家では、父死し、弟は年若としわかではあり、母が是非居てくれと引き止むるを聴かず、彼女は到頭とうとううちを脱け出して信州の彼がもとはしったのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
白い仕事着を着たあご鬚のある、年若としわかな、面長おもながな顔の弟子らしい人と男達の話して居る間に、自分は真中まんなかに置かれた出来上らない大きい女の石膏せきかう像を見て居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
緩々ゆる/\と変ったお方と碁を打つのが何よりのたのしみとは、お年若としわかに似合わぬ御風流なことでござりますな
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
村々の文書では普通には「仁屋」と書き、今日はただ君というほどの意味に濫用らんようせられているというが、本来は新親にいおや、親のまだ年若としわかなものをさしての敬称だったらしい。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
上草履うはざうり爪前つまさきほそ嬝娜たをやかこしけた、年若としわか夫人ふじんが、博多はかた伊達卷だてまきした平常着ふだんぎに、おめしこん雨絣あまがすり羽織はおりばかり、つくろはず、等閑なほざり引被ひつかけた、姿すがたは、敷詰しきつめた絨氈じうたん浮出うきいでたあやもなく
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勿論、その第三者と言う男は、二人よりも年若としわかであったろうし、そして又——
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
何分なにぶんにも年若としわかむすめのこととてはずかしさが先立さきだち、格別かくべつのお取持とりもちもできなかった……。』ひめはあっさりと、ただそれっきりしかおくちにはされませんでしたが、どうやらお二人ふたりあいだつないだ
雇ふより年若としわかなれ共半四郎の方がたしかならんとて右五十兩の金に手紙を添てわたせしかば半四郎は是を請取て懷中くわいちうし急用なればたゞち旅支度たびじたくして出立しゆつたつせんとするを見て親半右衞門兄半作ともに是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
カピューレット長者ちゃうじゃさきに、年若としわか貴公子きこうしパリス(下人げにんにんいて)る。
自然主義しぜんしゆぎ風潮ふうてうたゞよはされた年若としわかい少女が(もつともこの自然主義は、新聞しんぶんの三面記事めんきじ術語化じゆつごくわされたものをしてゐません。その頃の生眞面目きまじめ文壇ぶんだん運動うんどうを言つてゐます。)從來じゆうらい習慣しふくわん束縛そくばく
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
おかるになりしは岩井玉之丞とて田舎芝居の戯子やくしやなるよし、すこぶなり。由良の助になりしは旅中りよちゆう文雅ぶんがもつてしるひとなり、年若としわかなればかゝるたはふれをもなすなるべし。常にはかはりて今の坂東彦三郎にたり。
「なんといっても、まだお年若としわかだからな」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつそにかゝりしうへにてかくもせんとこゝろこたへて妻戀下つまこひしたとばかり當所あてどなしにこゝの裏屋うらやかしこの裏屋うらやさりとてはくもつかむやうなたづねものもおもこゝろがしるべにや松澤まつざはといふかなにらねど老人としより病人びやうにん二人ふたりありて年若としわか車夫しやふいへならば此裏このうら突當つきあたりから三軒目さんげんめ溝板どぶいたはづれしところがそれなりとまでをしへられぬとき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「どうか、あほうどりというをつけておいてください。このとりをあなたにさしあげます。」と、年若としわか子供こどもこたえた。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
忠平どんも未だ年若としわかではあるし、他に兄弟もなく、さぞと察する、斯うして一つ屋敷内やしきうちに居るから、恥入ることだろうと思う、実に気の毒だが、の道ばかりは別だからのう
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
女は甲州の釜無川かまなしがわの西に当る、ある村の豪家のむすめであった。家では銀行などもやって居た。親類内しんるいうちに嫁に往ったが、弟が年若としわかなので、父は彼女夫妻を呼んでうちの後見をさした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「よくよく末子さんも、あの洋服がいやになったと見えますよ。もしかしたら、屑屋くずやに売ってくれてもいいなんて……」これほどの移りやすさが年若としわかな娘の内に潜んでいようとは
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一年ひととせ、比野大納言、まだお年若としわかで、京都御名代ごみょうだいとして、日光の社参しゃさんくだられたを饗応きょうおうして、帰洛きらくを品川へ送るのに、資治やすはる卿の装束しょうぞくが、藤色ふじいろなる水干すいかんすそき、群鵆むらちどりを白く染出そめいだせる浮紋うきもん
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
如何いか年若としわかなればとて盜賊よばはりは何事ぞ是にはたしかな證據でも有ての事か是サ組頭默言だまつて御座つてはすみますまいとたけり立れば組頭の周藏傳兵衞もあきれ居しが漸々進み出コレ藤八殿餘りおほきな聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おかるになりしは岩井玉之丞とて田舎芝居の戯子やくしやなるよし、すこぶなり。由良の助になりしは旅中りよちゆう文雅ぶんがもつてしるひとなり、年若としわかなればかゝるたはふれをもなすなるべし。常にはかはりて今の坂東彦三郎にたり。
カピ長 年若としわかのロミオではないか?
「なにがそんなにはいっているのか。」と、きいたのです。すると、その年若としわか兵士へいしは、一つ、一つしてせて
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
年若としわかい駅員が
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
盡しけれ共其しるしなくつひに享保元年八月十八日歸らぬ旅におもむきけりよつて女房おもせは深くなげきしが今更せんなきことと村中の者共打よりて成田村なる九品寺くほんじ葬送さうそうなし一ぺんけふりとしてあと懇切ねんごろとふらひたり此おもせはいたつ貞節者ていせつものにて男まさりなりければ未だ年若としわかなれども家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もっとうつくしく、もっときれいに、もっとめずらしいものばかりでかざられているばかりでなく、三にんむすめらのほかに、見慣みなれない年若としわか紳士しんしが四、五にんもいました。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこで、四にんは、たびたのであります。そして、ゆくさきざきでいろいろのげいをしてみました。四にん年若としわかおんなたちは、いずれもうつくしいかおで、人々ひとびとをうっとりとさせました。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれあにや、いもうとや、また、カフェーのおかみさんたちは、みんな年若としわかくしてんだ、かれをかわいそうにおもいました。かれからだくろはこなかれて、墓地ぼちへはこんでほうむったのであります。
銀のつえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
からすは、ついにうしをおだてそこないました。そしてや、はたけうえんできますと、今度こんどは一ぴきのうま並木なみきにつながれていました。そのうませいたかい、まだ年若としわか赤毛あかげうまであります。
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
いまは、陛下へいか幸福こうふくであらせられますが、今後こんご幾年いくねんかののちに、つよいものがてきて天下てんかるのでございます。それがあのほしあらわれています。おもうに、そのものはまだ年若としわかく、子供こどもであります。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まだ年若としわかいに
あかい雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まだ年若としわかいに
あかい雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)