奧樣おくさま)” の例文
新字:奥様
昨日きのふあさ千葉ちばわたしびまして、奧樣おくさまこの四五にちすぐれやう見上みあげられる、うぞあそばしてかと如何いかにも心配しんぱいらしくまをしますので
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けれど賓人まれびとよ、わたくしはよくぞんじてります、今夜こんや弦月丸げんげつまるとかで御出發ごしゆつぱつになつては、奧樣おくさまも、日出雄樣ひでをさまも、けつして御無事ごぶじではみませんよ。
さて奧樣おくさま目當めあてにいたしてまゐつたは小家こいへせがれ武生たけふ勞働はたらきつてり、留守るすやまぬしのやうな、ぢいばゞ二人ふたりぐらし、此處こゝにおとまりとなさいまし、たゝいてあけさせませう。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
勝手かつてではきよものきざおとがする。みづをざあとながしへけるおとがする。「奧樣おくさまこれ何方どちらうつします」とこゑがする。「ねえさん、ランプのしんはさみはどこにあるんですか」と小六ころくこゑがする。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
亞尼アンニー! おまへことはよくわかつたよ、その忠實ちうじつなるこゝろをば御主人樣ごしゆじんさま奧樣おくさまもどんなにかおよろこびだらう、けれど——。』と彼女かのぢよかほなが
千葉ちば貴孃あなたいてりますと言上ごんじようすれば、おゝ可愛かわいをとこ奧樣おくさま御贔負ごひゐきまさりて、おこゝろづけのほどいままでよりはいとゞしうりぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
言問こととひ曲角まがりかどで、天道てんだうか、また一組ひとくみこれまた念入ねんいりな、旦那樣だんなさま洋服やうふく高帽子たかばうしで、して若樣わかさまをおあそばし、奧樣おくさま深張ふかばり蝙蝠傘かうもりがさすまして押並おしならあとから、はれやれおひとがついてぶらなり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
千葉家ちばけふて大黒柱だいこくばしら異状いじやうつては立直たてなほしが出來できぬ、さうではいかと奧樣おくさまくらべてへば、はッ、はッ、とこたへてことばかりき。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あゝ、不吉ふきつうへにも不吉ふきつ賓人まれびとよ、わたくしこゝろ千分せんぶんいちでもおさつしになつたら、どうか奧樣おくさま日出雄樣ひでをさまたすけるとおもつて、今夜こんや御出帆ごしゆつぱんをおください。
奧樣おくさまわし刺殺さしころして、お心懸こゝろがかりのないやうにねがひまする。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ねんばかりまへにうせたる先妻せんさいはらにぬひとばれて、いま奧樣おくさまにはまゝなるあり、桂次けいじがはじめてときは十四か三か、唐人髷とうじんまげあかれかけて
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もし奧樣おくさま
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
みんなわたし恩人おんじんといふてい、いまこのやうに女中ぢよちゆうばかりあつまつて、此方こち奧樣おくさまぐらゐひとづかひのかたいとうそにもよろこんだくちをきかれるは
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
奧樣おくさまのお出來できなされたところたり、ぴつたりと御出おいでのとまつたところたり、まだ/\一層もつとかなしいゆめ枕紙まくらかみがびつしよりにつたこともござんす
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だまつてては際限さいげんもなくつのつてれはれはくせつて仕舞しまひます、だい一は婢女をんなどもの手前てまへ奧樣おくさま威光ゐくわうげて、すゑには御前おまへことものもなく
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
上杉うえすぎといふ苗字めうじをばいことにして大名だいめう分家ぶんけかせる見得みえぼうのうへなし、下女げじよには奧樣おくさまといはせ、着物きものすそのながいをいて、ようをすればかたがはるといふ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れともそのやうな奧樣おくさまあつかひむしかで矢張やは傳法肌でんぽうはだの三じやくおびるかなとへば、どうで其處そこらがおちでござりましよ、此方こちらおもふやうなは先樣さきさまいやなり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もどれば太郎たらうはゝはれて何時いつ/\までも原田はらだ奧樣おくさま御兩親ごりようしん奏任そうにんむこがある自慢じまんさせ、わたしさへ節儉つめればときたまはおくちもの小遣こづかひもさしあげられるに
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御同僚ごどうりよう奧樣おくさまがたのやうにおはなのおちやの、うたのとならてたこともなければ其御話そのおはなしの相手あいて出來できませぬけれど、出來できずは人知ひとしれずならはせてくださつてもむべきはづ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さりながらお寫眞しやしんあらば一まい形見かたみいたゞきたし此次このつぎ出京しゆつけうするころにははや立派りつぱ奧樣おくさまかもれず、それでもまたつてたまはるかとかほをのぞけば、ひざして正体せうたいもなし
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一日お目おめにかゝらねばこひしいほどなれど、奧樣おくさまにとふてくだされたらうでござんしよか、たれるはいやなり他處よそながらはしたはしゝ、一トくちはれたら浮氣者うわきものでござんせう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
良人をつとたうと奧樣おくさま出來できなさらうと此約束このやくそくやぶるまいとふていたを、れがのやうにやさしからうと、有難ありがたことふてれやうと、わたし良人をつと吉岡よしをかさんのほかにはいものを
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひと奧樣おくさまたまわたしにはお兄樣にいさまとお前樣まへさまばかりがたよりなれど、れよりもわたしはお前樣まへさまきにて、何卒どうぞいつまでもいまとほ御一處ごいつしよりたければ、成長おほきくなりておやしき出來できとき
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)