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否
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いな
ふりがな文庫
“
否
(
いな
)” の例文
悪妻に一般的な型などあるべきものではなく、
否
(
いな
)
、男女関係のすべてに
於
(
おい
)
て型はない。個性と個性の相対的な加減乗除があるだけだ。
悪妻論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
昔年、彼が犯罪界の王としてまた
巴里
(
パリー
)
において最も有名な人物として、彼はしばしば多くの讃辞やまたは謝辞、
否
(
いな
)
恋文さえ受取った。
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
ただ口にいって
而
(
しか
)
して衆人に実行させ、
己
(
おの
)
れもまたこれを実行するという点に於ては先生の右に出ずる者がなかった。
否
(
いな
)
今でもない。
福沢先生の処世主義と我輩の処世主義
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
喜太郎の話は、靜かで整然として、極めて事務的ですが、その話氣の底に、一脈の哀愁の流れて居ることは
否
(
いな
)
む由もなかつたのです。
銭形平次捕物控:198 狼の牙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
通
(
とほ
)
りかゝるホーカイ
節
(
ぶし
)
の男女が二人、「まア
御覧
(
ごらん
)
よ。お月様。」と
云
(
い
)
つて
暫
(
しばら
)
く
立止
(
たちどま
)
つた
後
(
のち
)
、
山谷堀
(
さんやぼり
)
の
岸辺
(
きしべ
)
に
曲
(
まが
)
るが
否
(
いな
)
や
当付
(
あてつけ
)
がましく
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
一、
最初
(
さいしよ
)
の
一瞬間
(
いつしゆんかん
)
に
於
(
おい
)
て
非常
(
ひじよう
)
の
地震
(
ぢしん
)
なるか
否
(
いな
)
かを
判斷
(
はんだん
)
し、
機宜
(
きゞ
)
に
適
(
てき
)
する
目論見
(
もくろみ
)
を
立
(
た
)
てること、
但
(
たゞ
)
しこれには
多少
(
たしよう
)
の
地震知識
(
ぢしんちしき
)
を
要
(
よう
)
す。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
それは、炉の中へ棺を入れるが
否
(
いな
)
や、四方から火が吹き出して、会葬者が待っている間に、見る見る灰になってしまうという話しだ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこへ男の待っている電車が来たと見えて、彼は長い手で鉄の棒を握るや
否
(
いな
)
や
瘠
(
や
)
せた
身体
(
からだ
)
を
体
(
てい
)
よくとまり切らない車台の上に乗せた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼方
(
かなた
)
の
山背
(
やまかげ
)
からぞろ/\と
現
(
あら
)
はれて
來
(
き
)
たが、
我
(
わ
)
が
鐵車
(
てつしや
)
を
見
(
み
)
るや
否
(
いな
)
や
非常
(
ひじやう
)
に
驚愕
(
おどろ
)
いて、
奇聲
(
きせい
)
を
放
(
はな
)
つて、
向
(
むか
)
ふの
深林
(
しんりん
)
の
中
(
なか
)
へと
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
金で
以
(
もっ
)
て、こんな白痴の妻——
否
(
いな
)
弄
(
もてあそ
)
び物に、自分をしようとしたのだと思うと、勝平に対する
憎悪
(
ぞうお
)
が又新しく心の中に蒸し返された。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
すでにこのことは、
梁党
(
りょうとう
)
の下部から中堅にいたるまでの者が、当然のように、心で推していたことであり、ついに宋江も
否
(
いな
)
みかねて
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前者の時には往々
否
(
いな
)
多くの場合に教師はよい加減に
誤間化
(
ごまか
)
して答えようとする傾きがある。これは甚だよくないことはいうまでもない。
研究的態度の養成
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
旨い字か、
否
(
いな
)
、拙い字か、否、ただ、よい字である。よい字というものは、よい人格が生む以外、ほかに生んでくれる母体はない。
覚々斎原叟の書
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
櫻
(
さくら
)
の
樹
(
き
)
の
梢
(
うら
)
を、ぱつと
照
(
て
)
らして、
薄明
(
うすあか
)
るく
掛
(
かゝ
)
るか、と
思
(
おも
)
へば、
颯
(
さつ
)
と
墨
(
すみ
)
のやうに
曇
(
くも
)
つて、
月
(
つき
)
の
面
(
おもて
)
を
遮
(
さへぎ
)
るや
否
(
いな
)
や、むら/\と
亂
(
みだ
)
れて
走
(
はし
)
る……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
かくまで、この子守唄が、
瞑想
(
めいそう
)
に
耽
(
ふけ
)
らせるとしたら、その子守唄には、最も力強い芸術的の魔力があることを
否
(
いな
)
む訳にはゆかない。
単純な詩形を思う
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それはとにかく、ソクラテスの偉大なるところは、徹頭徹尾、思い切って所信を
披瀝
(
ひれき
)
した、その無遠慮な点に存する事を
否
(
いな
)
み
難
(
がた
)
い。
ソクラテス
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
否
(
いな
)
、西にあらず、まず東に行かん、まずアメリカに遊ぶべし、それよりイギリスに、その後はかねて久しく望みしフランスイタリアに。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
鍋町
(
なべちやう
)
は
裏
(
うら
)
の
方
(
はう
)
で
御座
(
ござ
)
いますかと
見返
(
みかへ
)
れば
否
(
いな
)
鍋町
(
なべちやう
)
ではなし、
本銀町
(
ほんしろかねちやう
)
なりといふ、
然
(
さ
)
らばとばかり
馳
(
は
)
せ
出
(
いだ
)
す
又
(
また
)
一町
(
いつちやう
)
、
曲
(
まが
)
りませうかと
問
(
と
)
へば
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お蓮様にしたところで、十分この道場には未練があるし、それに、もともと丹波はきらいではないのですから、二言と
否
(
いな
)
は申しません。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼れは此家の瓶の
中
(
うち
)
に若し
彼
(
か
)
の
曲者
(
くせもの
)
が老人の室に投捨て去りし如き青き封蝋の附きたるコロップあるや
否
(
いな
)
を
探究
(
さぐりきわ
)
めんと思えるなり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
彼が今に至ってこの種の語を発するは、彼のために
惜
(
おし
)
むべき至りである。
否
(
いな
)
彼がかかる語を発したというのは
甚
(
はなは
)
だ疑わしきことである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
も
更
(
さら
)
に聞き入ず否々
和主達
(
おまへたち
)
が殺したりと云には非ず御知らせ有しは少しの
災難
(
さいなん
)
手續
(
てつゞ
)
きなれば
止
(
やむ
)
を得ず夫とも
達
(
たつ
)
て止まるを
否
(
いな
)
とならば
繩
(
なは
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼
(
かれ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
燐寸
(
マツチ
)
を
探
(
さが
)
しに
狹
(
せま
)
い
戸口
(
とぐち
)
へ
與吉
(
よきち
)
をやらうとした。
與吉
(
よきち
)
は
甘
(
あま
)
えて
否
(
いな
)
んだ。
彼
(
かれ
)
はどうしても
懶
(
だる
)
い
身體
(
からだ
)
を
運
(
はこ
)
ばねばならなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
乗り移るや
否
(
いな
)
、船頭直に櫓を執り、熟地に向う、漁史膝を抱きて、
四辺
(
しへん
)
を眺めながら、昨日一昨日の漁況は
如何
(
いかが
)
なりしと問えば
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
ここにペテロ、主の「今日にわとり鳴く前に、なんじ
三度
(
みたび
)
われを
否
(
いな
)
まん」と言い給いし
御言
(
みことば
)
を
憶
(
おも
)
いだし、外に出でて
甚
(
いた
)
く泣けり。
雪の上の足跡
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
というぼくの句に、おさわへのぼくの思慕のかげがさしているという人があっても、ぼくは、決して、それを
否
(
いな
)
まないだろう……
三の酉
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
吾々の生前果して能くこの責任を尽し
了
(
おわ
)
りて、第二世の長老を見るべきや
否
(
いな
)
や。之を思えば今日進歩の快楽中、亦
自
(
おのず
)
から無限の苦痛あり。
〔気品の泉源、智徳の模範〕
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「まことにごもっとものお言葉、林蔵身にしみてござります——高萩のに
否
(
いな
)
やありませねば、私よろこんで和解いたしたく——」
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
詩人に交際の
少
(
すくな
)
い、
否
(
いな
)
寧
(
むし
)
ろ交際を避けて居るヌエは
誰
(
たれ
)
とも握手をしなかつた。皆思ひ思ひに好む飲料の
杯
(
さかづき
)
を前に据ゑて雑談に
耽
(
ふけ
)
つて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それ故に果たしてチベット仏教が、真実我が日本国家の仏教と一致して居るや
否
(
いな
)
やを取調べるために私はこの国へ来たのである。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
さてそこで僕は、ホテル住まひの身になれたか? 断じて
否
(
いな
)
。僕が次に居住を指定された場所は、同じ病院内の、なんと産婦人科であつた。
わが心の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「
否
(
いな
)
。
此処
(
ここ
)
には持ち
侍
(
はべ
)
らねど、大王
些
(
ちと
)
の骨を惜まずして、この
雪路
(
ゆきみち
)
を歩みたまはば、僕よき処へ
東道
(
あんない
)
せん。
怎麼
(
いか
)
に」トいへば。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
その優秀な頭脳は各学会に、さまざまのすばらしい研究問題をあたえて、日本
否
(
いな
)
世界の科学界を面目一新させようとしている。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
否
(
いな
)
、見たりといひ会へりといふの言葉は、なほ皮相的、外面的にして
迚
(
とて
)
もこの刹那の意識を描尽するに足らず、其は神我の融会也、合一也
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
たといそのような執拗さが当時の女(
否
(
いな
)
総じて当時の貴族)に珍しいものであったにしても、それは女らしいという特徴を失うものでない。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
斬口でその斬った人の手腕がわかる、
否
(
いな
)
、手腕のみではない、それが何流の剣道に出でてどの程度まで行った人だということもわかるはず。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
款待
(
かんたい
)
の厚薄によって
武塔
(
むとう
)
天神に賞罰せられた話、世
降
(
くだ
)
っては弘法大師が来って水を求めた時、悪い
姥
(
うば
)
はこれを
否
(
いな
)
んで罰せられ
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
墓標は動かず、物いわねど、
花筒
(
はなづつ
)
の草葉にそよぐ夕風の声、
否
(
いな
)
とわが耳に
囁
(
ささや
)
くように聞ゆ。これあるいは父の声にあらずや。
父の墓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
八重山の人が平家の子孫だとすれば、彼らは系図の上から沖縄本島の人よりも、
一入
(
ひとしお
)
日本民族に近い親類
否
(
いな
)
純粋なる大和民族という事になる。
土塊石片録
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
汝の知らんと欲するは、
果
(
はた
)
されざりし誓ひをば人他の
務
(
つとめ
)
によりて
償
(
つぐの
)
ひ、魂をして
論爭
(
あらそひ
)
を
免
(
まぬが
)
れしむるをうるや
否
(
いな
)
やといふ事是なり。 一三—一五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
それが自分の好物であるか
否
(
いな
)
かをたしかめた上で、始めて跳び上るのであるが、それでも頭上一尺ぐらいの低さにしなければ
駄目
(
だめ
)
なのである。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
さう——私はそれを忘れはしない。そしてあなたも
否
(
いな
)
む筈はない。その言葉はあなたの口からはつきりと聞えた。はつきりと、
優
(
やさ
)
しく聞えた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、
山頂
(
さんてう
)
の
凸起
(
とつき
)
する
地點
(
ちてん
)
に
調査
(
てうさ
)
を
試
(
こゝろ
)
み、
果
(
はた
)
して
古墳
(
こふん
)
であるか
否
(
いな
)
かを
確
(
たしか
)
める
必用
(
ひつよう
)
を
生
(
しやう
)
じたので、
地主側
(
ぢぬしがは
)
の
請願
(
せいぐわん
)
もあり
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
否
(
いな
)
、一
代
(
だい
)
のうちでも、
家
(
いへ
)
に
死者
(
ししや
)
が
出來
(
でき
)
れば、その
家
(
いへ
)
は
汚
(
けが
)
れたものと
考
(
かんが
)
へ、
屍
(
しかばね
)
を
放棄
(
はうき
)
して、
別
(
べつ
)
に
新
(
あたら
)
しい
家
(
いへ
)
を
作
(
つく
)
つたのである。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
彼は涙ぐみて身をふるはせたり。その見上げたる
目
(
まみ
)
には、人に
否
(
いな
)
とはいはせぬ媚態あり。この目の働きは知りてするにや、又自らは知らぬにや。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
私たちふたりの馬はその恐ろしさに、あたかも化石したように立ちすくんだ。土や石の落ちる物音が鎮まるや
否
(
いな
)
や、わたしの連れはつぶやいた。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
『
否
(
いな
)
!』と強く自ら答へて見た。自分は仮にも
其麽
(
そんな
)
事を考へる様な境遇ぢやない、
両親
(
ふたおや
)
はなく、一人ある兄も
手頼
(
たより
)
にならず、又成らうともせぬ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
折柄
(
おりから
)
梯子段を
踏轟
(
ふみとどろ
)
かして昇が上ッて来た。ジロリと
両人
(
ふたり
)
の
光景
(
ようす
)
を見るや
否
(
いな
)
や、忽ちウッと身を反らして、さも
業山
(
ぎょうさん
)
そうに
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
日本は
愚
(
おろ
)
か、支那でも、西洋でも、
否
(
いな
)
、世界
開闢
(
かいびゃく
)
以来、
未
(
いま
)
だ
曾
(
かつ
)
て
何人
(
なんぴと
)
によっても試みられなかったであろうと、僕は
大
(
おおい
)
に得意を感ぜざるを得ない。
恋愛曲線
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
ナポレオン伝が何百冊と出ていて、それを読むものが何千万人とあったけれど、果して第二のナポレオンが現れたか? 一人でも現れたか?
否
(
いな
)
。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
“否”の意味
《名詞》
(ヒ)反対。拒否。辞退。
(いな)そうでないこと。
《感動詞》
(いな、いや)いいえ。そうではない。
(出典:Wiktionary)
否
常用漢字
小6
部首:⼝
7画
“否”を含む語句
否々
実否
諾否
否定
否応
良否
否諾
臧否
嫌否
安否
賛否
成否
否應
佳否
否認
實否
拒否
在否
運否天賦
適否
...