半日はんにち)” の例文
綾羅錦繍りょうらきんしゅう触るるもの皆色を変ず。粒化りゅうかして魚目に擬し、陶壺中とうこちゅう鉛封えんぷうす。酒中しゅちゅう神効しんこうあり。一りゅうの用、めい半日はんにちを出でず。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
人形にんぎょうは、くずかごのなかにいれられて、半日はんにちほどそのかごのなかにいました。もう、ここでは、いままで毎日まいにちのように時計とけいることもできません。
風の寒い世の中へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
半日はんにち散策さんさく神祇しんぎあり、釋教しやくけうあり、こひあり、無常むじやうあり、けいあり、ひとあり、したがうてまたじやうあり、ぜにすくなきをいかにせむ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
休むにしても今日けふ半日はんにち、これから午後の三時までをどうして何処どこに消費しやうかとふ問題の解決にめられた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
れはういふ子細しさいでとちゝはゝ詰寄つめよつてとひかゝるにいままではだまつてましたれどわたしうち夫婦めをとさしむかひを半日はんにちくださつたら大底たいてい御解おわかりになりませう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つぎ日曜にちえうになると、宗助そうすけれいとほり一しうに一ぺん樂寐らくねむさぼつたため、午前ひるまへ半日はんにちをとう/\くうつぶして仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おしやれな娘兎むすめうさぎのこととて、でかけるまでには谿川たにがはりてかほをながめたり、からだぢうを一ぽんぽん綺麗きれいくさでつけたり、やゝ半日はんにちもかかりました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
小田原をだはらからさきれい人車鐵道じんしやてつだうぼくは一ときはや湯原ゆがはらきたいのできな小田原をだはら半日はんにちおくるほどのたのしみすてて、電車でんしやからりて晝飯ちうじきをはるや人車じんしやつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
勘次かんじよるついてそのつぎにはつかれた身體からだ仕事しごとた。かれ半日はんにちでも無駄むだめしふことをおそれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わず半里はんりか一となりのむらくのにさえ、やれ従者ともだ、輿物のりものだ、御召換おめしがえだ……、半日はんにちもかかって大騒おおさわぎをせねばならぬような、あんな面倒臭めんどうくさ現世げんせ生活せいかつおくりながら
あさ半日はんにちをアトリエにこもつたをつとには二人ふたり子供こども快活くわいくわつ笑聲わらひごゑててゐた長女ちやうぢよ夏繪なつゑと四つになる長男ちやうなん敏樹としきと、子供こどもきのをつと氣持きもちよく仕事しごとはこんだあとでひどく上機嫌じやうきげんだつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
若旦那わかだんな。あっしゃァなるほど、おせんの相手あいてが、どこのだれだかっちゃいませんが、そんなこたァろうとおもや、半日はんにちとかからねえでも、ちゃァんときとめてめえりやす。それよりも若旦那わかだんな
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
半日はんにちつひやす身分の女とても
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「どこにも、あんなずるいやつがいるんだな。」と、年雄としおおもいました。かれは、半日はんにち散歩さんぽで、おもいがけない、いろいろのことを経験けいけんしたのであります。
丘の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ながれは其麼どんなやまひにでもよくきます、わたし苦労くらうをいたしましてほねかはばかりにからだれましても半日はんにち彼処あすこにつかつてりますと、水々みづ/\しくなるのでございますよ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけ御米およねとはなか夫婦ふうふちがひなかつた。一所いつしよになつてから今日こんにちまでねんほどなが月日つきひをまだ半日はんにち氣不味きまづくらしたことはなかつた。言逆いさかひかほあからめつたためしなほなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此身このみ遊藝ゆうげい手藝學校しゆげいがくかうにもかよはせられて、そのほうはこゝろのまゝ、半日はんにちあね部屋へや半日はんにちまちあそんでくは三味さみ太皷たいこにあけむらさきのなりかたち、はじめ藤色絞ふぢいろしぼりの半襟はんゑりあはせにかけてるきしに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「それは、こっちがいいさ。半日はんにち汽車きしゃれば、こうも気候きこうが、ちがうものかとおどろくよ。」
かたい大きな手 (新字新仮名) / 小川未明(著)
えりからの前垂まへだれ幅廣はゞびろやつを、遣放やりぱなしに尻下しりさがりにめた、あとのめりに日和下駄ひよりげた土間どま突立つツたち、あたらしいのをあてがつても半日はんにち駈破かけやぶる、つぎだらけの紺足袋こんたびひざツきり草色くさいろよれ/\の股引もゝひき
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうして明日あしたからまたれいによつてれいごとく、せつせとはたらかなくてはならない身體からだだとかんがへると、今日けふ半日はんにち生活せいくわつきふをしくなつて、のこ六日半むいかはん非精神的ひせいしんてき行動かうどうが、如何いかにもつまらなくかんぜられた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
れも蒲團ふとんかぶつて半日はんにちればけろ/\とするやまひだから子細しさいはなしさと元氣げんきよく呵々から/\わらふに、亥之ゐのさんがえませぬが今晩こんばん何處どちらへかまゐりましたか、かわらず勉強べんきよう御座ござんすかとへば
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一昨年いつさくねんときは、翌日よくじつ半日はんにち、いや、午後ごご時頃じごろまで、ようもないのに、女中ぢよちうたちのかげあやし氣勢けはひのするのがおもられるまで、腕組うでぐみが、肘枕ひぢまくらで、やがて、夜具やぐ引被ひつかぶつてまでおもひ、なや
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)