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倒
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たお
ふりがな文庫
“
倒
(
たお
)” の例文
その
花
(
はな
)
は、のめずり
倒
(
たお
)
れた
老人
(
ろうじん
)
の
死体
(
したい
)
を、
笑
(
わら
)
つて
見
(
み
)
おろしているという
形
(
かたち
)
で、いささか
人
(
ひと
)
をぞつとさせるような
妖気
(
ようき
)
を
漂
(
ただよ
)
わしている。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
ロボはその
喉
(
のど
)
に食いついたなり、身を
沈
(
しず
)
め、うんとふんばると、
牝牛
(
めうし
)
は、角を地についてまっさかさまに大きくとんぼ返りに
倒
(
たお
)
れる。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
油断
(
ゆだん
)
をしているうちに、
達二
(
たつじ
)
はいきなり山男に足を
捉
(
つか
)
まいて
倒
(
たお
)
されました。山男は達二を組み
敷
(
し
)
いて、刀を
取
(
と
)
り上げてしまいました。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
老野武士は短銃を持ったまま、駕籠の屋根から向こうがわへぶっ
倒
(
たお
)
れ、龍太郎のすがたは、
太刀
(
たち
)
を走らせたまま煙の下へよろめいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
酒屋
(
さかや
)
の
小僧
(
こぞう
)
さんは、
勝
(
か
)
った
喜
(
よろこ
)
びもどこへやら、
急
(
きゅう
)
に
顔
(
かお
)
の
色
(
いろ
)
を
変
(
か
)
えて、
倒
(
たお
)
れた
炭屋
(
すみや
)
の
小僧
(
こぞう
)
さんと、こわれた
塀
(
へい
)
とを
見
(
み
)
くらべましたが
日の当たる門
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
動物の群れはぱっとちったが、そのなかの一頭はたおれておきあがり、おきあがってはまた
倒
(
たお
)
れつしている。ふたりは走りよった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
秋には、いつもきこりがやってきて、いちばん大きな木を二、三本、切り
倒
(
たお
)
しました。これは、毎年毎年くり返されることです。
モミの木
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そして二、三
度
(
ど
)
ぐんぐん
押
(
お
)
したと
思
(
おも
)
うと、めりめりとひどい
音
(
おと
)
がして、木は
川
(
かわ
)
の上にどっさりと
倒
(
たお
)
れかかって、りっぱな
橋
(
はし
)
ができました。
金太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
はは、
驚
(
おどろ
)
いているな。おまえはな、さっき店の前に立って、
凧
(
たこ
)
の絵を見ているうちに、ううんといってぶっ
倒
(
たお
)
れてしまったんだ。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
ちゃんと
点
(
つ
)
いていて、エンジンのうえに、長くなって
倒
(
たお
)
れているパイ軍曹とピート一等兵の二人を、気の毒そうに照らしていた。
地底戦車の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
されば
鳥羽
(
とば
)
伏見
(
ふしみ
)
の戦争、
次
(
つい
)
で官軍の東下のごとき、あたかも
攘夷藩
(
じょういはん
)
と攘夷藩との
衝突
(
しょうとつ
)
にして、たとい徳川が
倒
(
たお
)
れて薩長がこれに代わるも
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
瞳
(
ひとみ
)
を
凝
(
こ
)
らしてよく見ると、それが女の
冠
(
かぶ
)
るかつぎであることが
判
(
わか
)
り、それを冠ったまま、
娘
(
むすめ
)
が一人
倒
(
たお
)
れているのが判りました。
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
次の朝ミル爺さんは気がついてみると、海のまん中にある大きな岩の上に
倒
(
たお
)
れていました。そばにいるのは
日頃
(
ひごろ
)
仲のいいコックのジムです。
海からきた卵
(新字新仮名)
/
塚原健二郎
(著)
いきなりその男の
胸倉
(
むなぐら
)
を
掴
(
つか
)
み、右手の
拳
(
こぶし
)
をしたたか
横面
(
よこつら
)
に飛ばした。二つ三つ続け様に
喰
(
くら
)
わしてから手を離すと、相手は意気地なく
倒
(
たお
)
れた。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
宿禰
(
すくね
)
はへんだと思って、
灯
(
ひ
)
をさし上げて見ますと、天皇はもはやいつのまにかお息が絶えて、その場にお
倒
(
たお
)
れになっていらっしゃいました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
痛かったから勘太郎を垣根へ押しつけておいて、
足搦
(
あしがら
)
をかけて向うへ
倒
(
たお
)
してやった。山城屋の地面は菜園より六尺がた低い。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は
苦
(
くる
)
しさに
胸
(
むね
)
の
辺
(
あたり
)
を
掻
(
か
)
き
毟
(
むし
)
り、
病院服
(
びょういんふく
)
も、シャツも、ぴりぴりと
引裂
(
ひきさ
)
くのであったが、やがてそのまま
気絶
(
きぜつ
)
して
寐台
(
ねだい
)
の
上
(
うえ
)
に
倒
(
たお
)
れてしまった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
雨風にさらされ、黒くなった小さな板屋根の下に、やはり黒っぽくよごれた小さな
位牌
(
いはい
)
が一つ、まるで横になって
寝
(
ね
)
ているように
倒
(
たお
)
れていた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
怒
(
いか
)
りにふるえる声がした。
警官
(
けいかん
)
のひとりが、くるいまわる手斧を、火かき棒でたたき落とした。もう一人の警官は見えない足で、け
倒
(
たお
)
された。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
ところで、みんなは、さしあたり、ほかに、くろうもくったくもありませんでしたから、まっさきにおなかがすいて、
倒
(
たお
)
れそうにおもいました。
眠る森のお姫さま
(新字新仮名)
/
シャルル・ペロー
(著)
そのリズムに乗ってしまえばしめたもので、カタンと足で蹴り身体を
倒
(
たお
)
した
瞬間
(
しゅんかん
)
、もう上半身は起き上がり、スウッと身体は前に出てゆきます。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
松男君
(
まつおくん
)
が
比良夫君
(
ひらおくん
)
に
引
(
ひ
)
っ
組
(
く
)
んだ。そして
足掛
(
あしか
)
けで
倒
(
たお
)
そうとしたが、
比良夫君
(
ひらおくん
)
は
相撲
(
すもう
)
の
選手
(
せんしゅ
)
だから、
逆
(
ぎゃく
)
に
腰
(
こし
)
をひねって
松男君
(
まつおくん
)
を
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
してしまった。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
それは、きのどくに、怪獣が半分死にかけて、夜、草原の上に、あえぎあえぎ
倒
(
たお
)
れている夢でした。むすめは、涙にひたりながら目をさましました。
ラ・ベルとラ・ベート(美し姫と怪獣)
(新字新仮名)
/
ガブリエル=シュザンヌ・バルボ・ド・ヴィルヌーヴ
(著)
八月の末で
馬鹿
(
ばか
)
に蒸し暑い東京の町を駆けずり廻り、月末にはまだ二三日
間
(
ま
)
があるというのを拝み
倒
(
たお
)
して三百円ほど集ったその足で、
熱海
(
あたみ
)
へ行った。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
危険なる場合には基に達する二間ばかり前より身を
倒
(
たお
)
して
辷
(
すべ
)
りこむこともあるべし。この他特別なる場合における規定は一々これを列挙せざるべし。
ベースボール
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
ほうり出された大きなカンバスは、しかしひとりでにふんわりとなりながら、草の上へ
倒
(
たお
)
れて行った。それを見ると、私は彼女のそばへ
駈
(
か
)
けつけた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
わたしは両足が地面に届いた
拍子
(
ひょうし
)
に、はずみがあんまり強すぎたので、体を支えきれなかった。わたしはどさりと
倒
(
たお
)
れて、一瞬間、気が遠くなった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
そしてとうとう、
踊
(
おど
)
りのさいちゅうに、コスモは力がつきてぱったり
倒
(
たお
)
れてしまいました。
同時
(
どうじ
)
に、コスマのマンドリンも、ぷつりと糸が切れました。
活人形
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
この男は村一番の
強者
(
つわもの
)
で、ある時村の一番強い牛と
喧嘩
(
けんか
)
をして、その牛の角をへし
折
(
お
)
り、あばら
骨
(
ぼね
)
を
蹴破
(
けやぶ
)
って
見事
(
みごと
)
に
倒
(
たお
)
してしまったことのある男であった。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
蝦夷松
(
えぞまつ
)
や
椴松
(
とどまつ
)
、昔此辺の
帝王
(
ていおう
)
であったろうと思わるゝ大木
倒
(
たお
)
れて朽ち、朽ちた其木の
屍
(
かばね
)
から
実生
(
みしょう
)
の
若木
(
わかぎ
)
が
矗々
(
すくすく
)
と伸びて、若木其ものが
径
(
けい
)
一尺に
余
(
あま
)
るのがある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
けれど、行くほど森は、ふかくばかりなって来て、ここらでたれか助けに来てくれなかったら、ふたりはこれなりよわりきって、
倒
(
たお
)
れるほかないところでした。
ヘンゼルとグレーテル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
猛然
(
もうぜん
)
立ちあがった糟谷はわが子を足もとへ
引
(
ひ
)
き
倒
(
たお
)
し、ところきらわずげんこつを打ちおろした。芳輔はほとんど
他人
(
たにん
)
とけんかするごとき
語気
(
ごき
)
と
態度
(
たいど
)
で
反抗
(
はんこう
)
した。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「なんて
血
(
ち
)
のめぐりが
悪
(
わる
)
く
出来
(
でき
)
てるんだ。——
浜村屋
(
はまむらや
)
の
太夫
(
たゆう
)
が、
舞台
(
ぶたい
)
で
踊
(
おど
)
ってたまま
倒
(
たお
)
れちゃったんだ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そりゃよい
気持
(
きもち
)
は
致
(
いた
)
しませぬ。しかし
伐
(
き
)
られるものを、
私達
(
わたくしたち
)
の
力
(
ちから
)
で
何
(
ど
)
うすることもできませぬ。すぐあきらめて、
木
(
き
)
が
倒
(
たお
)
れる
瞬間
(
しゅんかん
)
にそこを
立
(
た
)
ちのいて
了
(
しま
)
います……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ハハア、ブルのやつ、ぼくが日本人だから、すこしはこわがってるんかな? と、そう思いながら、ぼくはジョージの
倒
(
たお
)
れてるところへいって、だきおこしてやった。
小指一本の大試合
(新字新仮名)
/
山中峯太郎
(著)
二度、三度、ドシンドシンと、ぶっつかっているうちに、ギギギ……と音がして、ちょうつがいがはずれ、ドアが
斜
(
なな
)
め向こうに
倒
(
たお
)
れて、人のはいる
隙間
(
すきま
)
ができました。
電人M
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わが輩の
倒
(
たお
)
るるのを予期して、かえって事あることを心ひそかに喜んでいるであろうとか、某は初めのうちは大いにわが輩に注意を加えて手出しをしないように
勧
(
すす
)
めたが
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ある松はうつ向きに
捩
(
ね
)
じ
伏
(
ふ
)
せられ、起き上ろうとすればいやでも地上を
這
(
は
)
うような形のままで、勢いをためされていた、しかもある松はいきなり
倒
(
たお
)
れかかるような位置をつづけ
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それからがくがくして
歩行
(
ある
)
くのが少し
難渋
(
なんじゅう
)
になったけれども、ここで
倒
(
たお
)
れては
温気
(
うんき
)
で
蒸殺
(
むしころ
)
されるばかりじゃと、我身で我身を
激
(
はげ
)
まして首筋を取って引立てるようにして峠の方へ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ああ
如何
(
いか
)
にすべきや、
誰
(
たれ
)
かこの声に抗するものあらんや、しからば
倒
(
たお
)
るるとも正義を守れとの
謂
(
いい
)
か、ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
これはペツテンコオフエルが
疫癘学
(
えきれいがく
)
、コツホが
細菌学
(
さいきんがく
)
を
倒
(
たお
)
すに足りぬべし。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そうして、剣を引くと、「卑弥呼、卑弥呼。」と呼びながら、部屋の中を馳け廻り、
布被
(
ぬのぶすま
)
を引き開けた。玉簾を跳ね上げた。庭園へ飛び下りて、
萩
(
はぎ
)
の
葉叢
(
はむら
)
を
薙
(
な
)
ぎ
倒
(
たお
)
しつつ広場の方へ馳けて来た。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
正三君はあやうく
倒
(
たお
)
れるところをよろめいて、やもりのように小使い
部屋
(
べや
)
の側面にへたばりついた。堀口生は投げそこねたとみると、こぶしを固めて突きにきた。活動で見おぼえた
拳闘
(
けんとう
)
の応用だ。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「やるか。ではお
互
(
たが
)
いが
打
(
う
)
ち
倒
(
たお
)
されて
眠
(
ねむ
)
ってしまうまでやろう。」
柔道と拳闘の転がり試合
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
後
(
うしろ
)
から
欺
(
だま
)
し
討
(
う
)
ちに×
(2)
り
倒
(
たお
)
された
一九三二・二・二六:―白テロに斃た××聯隊の革命的兵士に―
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
私たちはすぐ
得物
(
えもの
)
をふりあげて近寄りざま、ブランカをなぐりつけた。ブランカは力がつきて最後の悲鳴をあげてぐたりと横に
倒
(
たお
)
れた。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
にわかにくっきり白いその
羽根
(
はね
)
は前の方へ
倒
(
たお
)
れるようになり、インデアンはぴたっと立ちどまって、すばやく
弓
(
ゆみ
)
を空にひきました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ごろんと、一人がもンどり打って、庄次郎の髪が
逆
(
さか
)
さに立った。そして、脚を持たれた男と同体に庄次郎も鳥居の下へ横ざまに
倒
(
たお
)
れた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのうちにだんだんお
酒
(
さけ
)
のききめが
現
(
あらわ
)
れてきて、
酒呑童子
(
しゅてんどうじ
)
はじめ
鬼
(
おに
)
どもは、みんなごろごろ
酔
(
よ
)
い
倒
(
たお
)
れて、
正体
(
しょうたい
)
がなくなってしまいました。
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
やっと
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けました。百
姓
(
しょう
)
は
驚
(
おどろ
)
きました。
小
(
ちい
)
さな、
川
(
かわ
)
の
中
(
なか
)
に
体
(
からだ
)
が
半分
(
はんぶん
)
落
(
お
)
ちて、
自分
(
じぶん
)
は
道
(
みち
)
でもないところに
倒
(
たお
)
れていたからです。
百姓の夢
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“倒”の意味
《名詞》
(さか)逆であること。
(出典:Wiktionary)
倒
常用漢字
中学
部首:⼈
10画
“倒”を含む語句
顛倒
打倒
転倒
七顛八倒
横倒
轉倒
蹴倒
面倒臭
卒倒
行倒
突倒
面倒
引倒
酔倒
壓倒
擲倒
罵倒
昏倒
前倒
撲倒
...