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倒
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さかしま
ふりがな文庫
“
倒
(
さかしま
)” の例文
南は山影暗く
倒
(
さかしま
)
に映り北と東の平野は月光蒼茫として
何
(
いづ
)
れか陸、何れか水のけじめさへつかず、小舟は西の方を指して進むのである。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
小草
(
おぐさ
)
が
数本
(
すほん
)
に、その一本を伝わって
倒
(
さかしま
)
に
這降
(
はいお
)
りる蟻に、去年の
枯草
(
かれぐさ
)
のこれが
筐
(
かたみ
)
とも見える
芥
(
あくた
)
一摘
(
ひとつま
)
みほど——これが其時の眼中の小天地さ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
円形の池を大廻りに、
翠
(
みどり
)
の水面に
小波
(
ささなみ
)
立って、
二房
(
ふたふさ
)
三房
(
みふさ
)
、ゆらゆらと藤の
浪
(
なみ
)
、
倒
(
さかしま
)
に
汀
(
みぎわ
)
に映ると見たのが、次第に
近
(
ちかづ
)
くと三人の婦人であった。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
われは毛髮
倒
(
さかしま
)
に
竪
(
た
)
ちて、卓と柩との皆
獨樂
(
こま
)
の如く旋轉するを覺え、身邊忽ち
常闇
(
とこやみ
)
となりて、頭の内には只だ
奇
(
く
)
しく
妙
(
たへ
)
なる音樂の響きを聞きつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
無智無力の小民ら、
戈
(
ほこ
)
を
倒
(
さかしま
)
にすることもなかるべけれども、われわれは客分のことなるゆえ一命を棄つるは過分なりとて逃げ走る者多かるべし。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
身をしゞめ
倒
(
さかしま
)
になりて穴に入り、いれおきたるものをくらひつくし、
出
(
いで
)
んとするに
尾
(
を
)
のすこしいづる
程
(
ほど
)
に作りまうけたる穴なれば、
再
(
ふたゝ
)
びいづる事
叶
(
かな
)
はず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
客なき卓に珈琲
碗
(
わん
)
置いたるを見れば、みな
倒
(
さかしま
)
に伏せて、
糸底
(
いとぞこ
)
の上に砂糖、
幾塊
(
いくかたまり
)
か盛れる小皿載せたるもをかし。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
園ノ西南
厓
(
がい
)
ニ
倚
(
よ
)
ツテコレヲ径ス。眺観
豁如
(
かつじょ
)
タリ。
筑波
(
つくば
)
二荒
(
ふたら
)
ノ諸峰コレヲ
襟帯
(
きんたい
)
ニ
攬
(
と
)
ルベシ。厓下ニ池アリ。
倒
(
さかしま
)
ニ雲天ヲ
涵
(
ひた
)
シ、
芰荷菰葦叢然
(
きかこいそうぜん
)
トシテコレニ植ス。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
どうかして
餘
(
あま
)
りに
後
(
おく
)
れると
空
(
から
)
な
草刈籠
(
くさかりかご
)
を
倒
(
さかしま
)
に
脊負
(
せお
)
つて、
歩
(
ある
)
けばざわ/\と
鳴
(
な
)
る
樣
(
やう
)
に、
大
(
おほ
)
きな
籠
(
かご
)
の
目
(
め
)
へ
楢
(
なら
)
や
雜木
(
ざふき
)
の
枝
(
えだ
)
を
揷
(
さ
)
して
黄昏
(
たそがれ
)
の
庭
(
には
)
に
身
(
み
)
を
運
(
はこ
)
んで
刈積
(
かりつ
)
んだ
青草
(
あをくさ
)
に
近
(
ちか
)
く
籠
(
かご
)
を
卸
(
おろ
)
す。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
口惜さに身を恥ぢて、
倒
(
さかしま
)
に池に身を投じたが、氣の付いた時は目の前に、門附の坊主がゐた。氣高い貴女を見た。貴女は浦安の宮で見た稚兒に寸分違はぬ、水を司る神であつた。
貝殻追放:017 泉鏡花先生と里見弴さん
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
この時敵陣の中央に控えたる定遠艦首の砲台に白煙むらむらと渦まき起こり、三十サンチの両弾丸空中に鳴りをうってわが先鋒隊の左舷の海に落ちたり。黄海の水驚いて
倒
(
さかしま
)
に立ちぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
上三句重く下二句軽く、
瓢
(
ひさご
)
を
倒
(
さかしま
)
にしたるの感あり。ことに第四句力弱し。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
どうして、どうして、決して
端倪
(
たんげい
)
するわけにゆきません。海を
倒
(
さかしま
)
にし、江を翻す弁才があります。丞相の
著
(
あらわ
)
されたかの孟徳新書をたった一度見ただけで、経をよむごとく、
暗誦
(
そらん
)
じてしまいました。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
銀河
(
ぎんが
)
を
倒
(
さかしま
)
にして
膝
(
ひざ
)
に
及
(
およ
)
ぶ
鬣
(
たてがみ
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
微瀾
(
びらん
)
倒
(
さかしま
)
に浸す
玉浮図
(
ぎょくふと
)
愛卿伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
宙宇に
倒
(
さかしま
)
なり。
熱情的なフーガ
(新字旧仮名)
/
富永太郎
(著)
と
喚
(
わめ
)
くと、
縁
(
ふち
)
を
這𢌞
(
はひまは
)
り/\、
時々
(
とき/″\
)
倒
(
さかしま
)
に、
一寸
(
ちよつと
)
指
(
ゆび
)
の
先
(
さき
)
を
入
(
い
)
れては、ぶる/\と
手
(
て
)
を
震
(
ふる
)
はして
居
(
ゐ
)
た
奴
(
やつこ
)
が、パチヤリと
入
(
はひ
)
つて
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
譬へば
千尋
(
ちひろ
)
の海底に波起りて、
倒
(
さかしま
)
に
雲霄
(
うんせう
)
を
干
(
をか
)
さんとする如し。我筆いかでか此聲を畫くに足らん。あはれ此聲、人の胸より出づとは思はれず。
姑
(
しばら
)
く形あるものに
喩
(
たと
)
へて言はんか。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
好
(
よ
)
し一つ頭を
捻向
(
ねじむ
)
けて
四下
(
そこら
)
の
光景
(
ようす
)
を視てやろう。それには丁度
先刻
(
さっき
)
しがた眼を覚して例の
小草
(
おぐさ
)
を
倒
(
さかしま
)
に
這降
(
はいおり
)
る蟻を視た時、
起揚
(
おきあが
)
ろうとして
仰向
(
あおむけ
)
に
倒
(
こ
)
けて、
伏臥
(
うつぶし
)
にはならなかったから、勝手が
好
(
い
)
い。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
田面
(
たおも
)
に水あふれ、林影
倒
(
さかしま
)
に映れり
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
目の下の崕が
切立
(
きった
)
てだったら、宗吉は、お千さんのその声とともに、
倒
(
さかしま
)
に落ちてその場で五体を
微塵
(
みじん
)
にしたろう。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
可
(
よ
)
からう、
可
(
よ
)
からう、そりやざぶりとぢや。」と
桶
(
をけ
)
を
倒
(
さかしま
)
にして、
小兒
(
こども
)
の
肩
(
かた
)
から
我
(
わ
)
が
背中
(
せなか
)
へ
引
(
ひつ
)
かぶせ
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
手に手に、すくすくと
槍
(
やり
)
を立つ。穂先白く
晃々
(
きらきら
)
として、
氷柱
(
つらら
)
倒
(
さかしま
)
に黒髪を縫う。あるものは燈籠を槍に結ぶ、
灯
(
ともしび
)
の高きはこれなり。あるものは手にし、あるものは腰にす。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ほぼ一町もあるという、森の
彼方
(
かなた
)
にどうどうと響く滝の音は、大河を
倒
(
さかしま
)
に懸けたように聞えて、その毛穴はここに居る身にもぞッと立った。島野は逡巡して立っている。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こゝは
英雄
(
えいゆう
)
の
心事
(
しんじ
)
料
(
はか
)
るべからずであるが、
打
(
ぶち
)
まけられる
湯
(
ゆ
)
の
方
(
はう
)
では、
何
(
なん
)
の
斟酌
(
しんしやく
)
もあるのでないから、
倒
(
さかしま
)
に
湯瀧
(
ゆだき
)
三千丈
(
さんぜんぢやう
)
で、
流場
(
ながしば
)
一面
(
いちめん
)
の
土砂降
(
どしやぶり
)
、
板
(
いた
)
から、ばちや/\と
溌
(
はね
)
が
飛
(
と
)
ぶ。
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
が、
猶
(
なお
)
の事だ。今更ながら、一同の
呆
(
あき
)
れた
処
(
ところ
)
を、
廂
(
ひさし
)
を
跨
(
また
)
いで
倒
(
さかしま
)
に
覗
(
のぞ
)
いて
狙
(
ねら
)
つた愚僧だ。つむじ風を
哄
(
どっ
)
と吹かせ、
白洲
(
しらす
)
の
砂利
(
じゃり
)
をから/\と
掻廻
(
かきまわ
)
いて、パツと一斉に灯を消した。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
裏庭
(
うらには
)
とおもふあたり、
遙
(
はる
)
か
奧
(
おく
)
の
方
(
かた
)
には、
葉
(
は
)
のやゝ
枯
(
か
)
れかゝつた
葡萄棚
(
ぶだうだな
)
が、
影
(
かげ
)
を
倒
(
さかしま
)
にうつして、
此處
(
こゝ
)
もおなじ
溜池
(
ためいけ
)
で、
門
(
もん
)
のあたりから
間近
(
まぢか
)
な
橋
(
はし
)
へかけて、
透間
(
すきま
)
もなく
亂杭
(
らんぐひ
)
を
打
(
う
)
つて
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
驚いて法師が、笠に手を掛け、振返ると、
亀甲形
(
きっこうがた
)
に空を
劃
(
くぎ
)
った
都会
(
みやこ
)
を装う、
鎧
(
よろい
)
のごとき屋根を貫いて、檜物町の空に
𤏋
(
ぱっ
)
と立つ、偉大なる
彗星
(
ほうきぼし
)
のごとき火の柱が上って、
倒
(
さかしま
)
に
迸
(
ほとばし
)
る。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
高く竜燈の
露
(
あらわ
)
れたよう二上屋の棟に
蒼
(
あお
)
き光の流るるあたり、よし原の電燈の
幽
(
かすか
)
に映ずる空を
籠
(
こ
)
めて、きれぎれに
冴
(
さ
)
ゆる三絃の糸につれて、
高笑
(
たかわらい
)
をする女の声の、
倒
(
さかしま
)
に田町へ崩るるのも
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「動!」と
喚
(
わめ
)
くと、一子時丸の襟首を、長袖のまま
引掴
(
ひッつか
)
み、壇を
倒
(
さかしま
)
に引落し、ずるずると広前を、石の大鉢の
許
(
もと
)
に
掴
(
つか
)
み去って、いきなり衣帯を
剥
(
は
)
いで裸にすると、
天窓
(
あたま
)
から
柄杓
(
ひしゃく
)
で浴びせた。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引断
(
ひっちぎ
)
れたやうに残つて、
袷
(
あわせ
)
はのけざまにずる/\と
畳
(
たたみ
)
の上を
引摺
(
ひきず
)
らるゝ、
腋
(
わき
)
あけのあたり、ちら/\と、
残
(
のこ
)
ンの雪も消え、目も消えて、
裾
(
すそ
)
の端が
飜
(
ひるが
)
へつたと思ふと、
倒
(
さかしま
)
に裏庭へ
引落
(
ひきおと
)
された。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それも可い、無い子だねなら
断念
(
あきら
)
めべいが、
提灯
(
ちょうちん
)
で
火傷
(
やけど
)
をするのを、何で、黙って見てござった。
私
(
わし
)
が
手
(
てん
)
ぼうでせえなくば、おなじ車に
結
(
ゆわ
)
えるちゅうて、こう、けんどんに、
倒
(
さかしま
)
にゃ縛らねえだ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
岩の下を
掻
(
か
)
いくぐって、下の根のうつろを打って、絶えず、
丁々
(
トントン
)
と鼓の音の響いたのが、潮や満ち来る、どッと
烈
(
はげ
)
しく、ざぶり砕けた波がしら、
白滝
(
しらたき
)
を
倒
(
さかしま
)
に、
颯
(
さっ
)
とばかり雪を崩して、浦子の肩から
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
浪は水晶の柱のごとく、
倒
(
さかしま
)
にほとばしって、今つッ立った廉平の頭上を飛んで、空ざまに
攀
(
よ
)
ずること十丈、親仁の手許の磨ぎ汁を
一洗滌
(
ひとあらい
)
、白き
牡丹
(
ぼたん
)
の散るごとく、
巌角
(
いわかど
)
に飜って、
海面
(
うなづら
)
へざっと引く。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遥か奥の
方
(
かた
)
には、葉のやや枯れかかった
葡萄棚
(
ぶどうだな
)
が、影を
倒
(
さかしま
)
にうつして、
此処
(
ここ
)
もおなじ
溜池
(
ためいけ
)
で、門のあたりから間近な橋へかけて、
透間
(
すきま
)
もなく
乱杭
(
らんぐい
)
を打って、
数限
(
かずかぎり
)
もない材木を水のままに
浸
(
ひた
)
してあるが
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
言下に、床板を跳ね、その穴より
黒潮騎士
(
こくちょうきし
)
、
大錨
(
おおいかり
)
をかついで
顕
(
あらわ
)
る。騎士二三、続いて飛出づ。美女を引立て、一の騎士が
倒
(
さかしま
)
に押立てたる錨に
縛
(
いまし
)
む。錨の
刃越
(
はごし
)
に、黒髪の乱るるを
掻掴
(
かいつか
)
んで、
押仰向
(
おしあおむ
)
かす。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(細く丈長き
鉄
(
くろがね
)
の
錨
(
いかり
)
を
倒
(
さかしま
)
にして携えたる
杖
(
つえ
)
を、
軽
(
かろ
)
く突直す。)
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“倒”の意味
《名詞》
(さか)逆であること。
(出典:Wiktionary)
倒
常用漢字
中学
部首:⼈
10画
“倒”を含む語句
顛倒
打倒
転倒
七顛八倒
横倒
轉倒
蹴倒
面倒臭
卒倒
行倒
突倒
面倒
引倒
酔倒
壓倒
擲倒
罵倒
昏倒
前倒
撲倒
...