位置ゐち)” の例文
しかりしのちの(一人坊主ひとりばうず)は、さきとは正反對せいはんたい位置ゐちちて、乘合のりあひをしてかへりてわれあるがためにふね安全あんぜんなるをたしかめしめぬ。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が、れもれもぢきかれ疲勞つからしてしまふ。かれそこでふとおもいた、自分じぶん位置ゐち安全あんぜんはかるには、女主人をんなあるじ穴藏あなぐらかくれてゐるのが上策じやうさくと。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
外國市場ぐわいこくしぢやうおい他國品たこくひん競爭きやうさう位置ゐちにある場合ばあひ爲替相場かはせさうば下落げらくめに日本品にほんひん競爭きやうさうつておほれることは時々とき/″\經驗けいけんしたところである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
ヂュリ おゝ、𢌞まは夜毎よごと位置ゐちかは不貞節ふていせつつきなんぞを誓言せいごんにおけなさるな。おまへこゝろつきのやうにかはるとわるい。
がらうとする拍子ひやうしに、小六ころくてた下駄げたうへへ、かずにあしせた。こゞんで位置ゐち調とゝのへてゐるところ小六ころくた。臺所だいどころはうで、御米およね
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
玄竹げんちく意氣揚々いきやう/\と、ふねなかへ『多田院御用ただのゐんごよう』の兩掛りようがけをゑて、下男げなん二人ふたりそれを守護しゆごする位置ゐちひざまづいた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
位置ゐちがさういふひやられたやうなかたちつてうへに、生活せいくわつ状態じやうたいから自然しぜんある程度ていどまでは注意ちういかられて日陰ひかげるとひとしいものがあつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
やがては令孃ひめをも幸福かうふく位置ゐちゑて、不名譽ふめいよへしはわけもなきことなり、さて濱千鳥はまちどりふみかよみちはともすがらふでにぎりしが、もとより蓮葉はすはならぬ令孃ひめ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それでも遊撃手シヨルトストツプ位置ゐちたせたら本國ほんごく横濱よこはまのアマチユーア倶樂部くらぶ先生せんせいがたにはけぬつもり御坐ござる。
『もとへ!』とらいのやうなこゑ女王樣ぢよわうさまさけばれました。人々ひと/″\たがひ衝突ぶつかりまはりながら、四方八方しはうはつぱうけめぐりました。しばらくしてみんなが各々おの/\もと位置ゐちにつくや、競技ゲームはじまりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それほど「彼女かのぢよ」は不幸ふかう位置ゐちたせられてゐた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
あかりあかるき無料むれう官宅くわんたくに、奴婢ぬひをさへ使つかつてんで、其上そのうへ仕事しごと自分じぶんおもまゝてもないでもんでゐると位置ゐち
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ふねれば、すら/\といでて、けないどころか、もとの位置ゐちへすつともどる……つた諾亜ノアふねごときものであらう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「もうすこうしろはう」と御米およねうつたへるやうにつた。宗助そうすけ御米およねおもところまでには、二も三其所そこ此所こゝ位置ゐちえなければならなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ疾驅しつくしようとして、確乎しつかゑた位置ゐちから一したとき、じやりつとその爪先つまさきつて財布さいふちた。かれかへりみたとき財布さいふは二三うしろ發見はつけんされた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
審問しんもんすゝめることが出來できない』と王樣わうさまきはめて嚴格げんかくこゑで、『陪審官ばいしんくわんのこらずその位置ゐちふくするまでは——のこらず』とすこぶことばつよめて繰返くりかへし、屹然きつとあいちやんのはう御覽ごらんになりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それでも為方しかたがないからまた言葉ことばをかけたがすこしもつうぜず、ばたりといふとわづかくび位置ゐちをかへて今度こんどひだりかたまくらにした、くちいてることもとごとし。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
イワン、デミトリチは昨日きのふおな位置ゐちに、兩手りやうてかしらかゝへて、兩足りやうあしちゞめたまゝよこつてゐて、かほえぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
蕎麥そばかきでもしたらよかつぺつてお内儀かみさんしたつけのよ」卯平うへいもと位置ゐちすわつていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
椅子いすりるとき、身體からだ眞直まつすぐになつたので、視線しせん位置ゐち天井てんじやうから不圖ふと庭先にはさきうつつたら、其所そこにあつたたかさ五しやくもあらうとおほきな鉢栽はちうゑまつ宗助そうすけ這入はいつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
吾輩わがはいにはちやんわかつてる。位置ゐち方角はうがくのこらずつてる、——ゆびさしてへば、土地とちのものはのこらずつてる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なみかさなるやうな、いくつもいくつも、さついて、むら/\と位置ゐちみだして、八方はつぱうたかります。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)