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鼻唄
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はなうた
ふりがな文庫
“
鼻唄
(
はなうた
)” の例文
すると、なにか
鼻唄
(
はなうた
)
をうたいながら、
小
(
ちい
)
さなくつの
足音
(
あしおと
)
がして、つぎに、ご
門
(
もん
)
の
戸
(
と
)
が
開
(
あ
)
きました。
年
(
とし
)
ちゃんが、
帰
(
かえ
)
ってきたのです。
年ちゃんとハーモニカ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
機械
(
きかい
)
の
轟
(
とどろき
)
、
勞働者
(
ろうどうしや
)
の
鼻唄
(
はなうた
)
、
工場
(
こうば
)
の
前
(
まへ
)
を
通行
(
つうかう
)
する
度
(
たび
)
に、
何時
(
いつ
)
も耳にする響と聲だ。
決
(
けつ
)
して
驚
(
おどろ
)
くこともなければ、
不思議
(
ふしぎ
)
とするにも
足
(
た
)
らぬ。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
一ぱいきげんで、
鼻唄
(
はなうた
)
まじりに帳簿をめくっていた房次は、まだ三十そこそこの若さで、もう頭のまん中がうすくなりかけていた。
風
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
けれども
鼻唄
(
はなうた
)
まじりに
頂上
(
てうじやう
)
を
目指
(
めざ
)
してるラランも、ひとりぼつちになると、やつと
疲
(
つか
)
れが
出
(
で
)
てきた。
鼻唄
(
はなうた
)
もくしゃみになつてしまつた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
都々逸
(
どどいつ
)
の声などがそっちから聞えて、うるさく手が鳴った。誰かが、「ちょッ」と舌うちして、
鼻唄
(
はなうた
)
を
謳
(
うた
)
いながら起って行った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
また、駅馬車の奥に頭を下にして寝そべりながら、
鼻唄
(
はなうた
)
のいろんな端くれを不意に歌い出す馬車屋をも、彼はよく呼びかけた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
日
(
ひ
)
闌
(
た
)
けて
眠
(
ねむ
)
き
合歡
(
ねむ
)
の
花
(
はな
)
の、
其
(
そ
)
の
面影
(
おもかげ
)
も
澄
(
す
)
み
行
(
ゆ
)
けば、
庭
(
には
)
の
石燈籠
(
いしどうろう
)
に
苔
(
こけ
)
やゝ
青
(
あを
)
うして、
野茨
(
のばら
)
に
白
(
しろ
)
き
宵
(
よひ
)
の
月
(
つき
)
、カタ/\と
音信
(
おとづ
)
るゝ
鼻唄
(
はなうた
)
の
蛙
(
かへる
)
もをかし。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『いつもご精が出ます』くらいの
定
(
き
)
まり文句の
挨拶
(
あいさつ
)
をかけられ『どういたしまして』と軽く応えてすぐ
鼻唄
(
はなうた
)
に移る、
昨日
(
きのう
)
も
今日
(
きょう
)
もかくのごとく
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
傑作は
鼻唄
(
はなうた
)
まじりでも
喧噪
(
けんそう
)
の巷に於ても書きうるもの、閑静な部屋でジックリ腰でもすえればそれで傑作が書けるというような考えは悲惨な迷信だ。
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
赫子は、云うだけは云ったが、折角の計劃が無になったいまいましさを紛らす為めか傍若無人にたてつづけの
鼻唄
(
はなうた
)
。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
たまたま、
鼻唄
(
はなうた
)
を歌って通るものに会うと、その声からして死んだものらの腐った肉のにおいが聴かれるようだ。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
ですからお経を読むのじゃない。
鼻唄
(
はなうた
)
なんかうたう
奴
(
者
)
もあればあるいは大いにそのなかでもって
腕角力
(
うでずもう
)
など取って居る奴もある。それはなかなか面白い。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
或
(
あ
)
る年の、四月半ばの或る晴れた日、地主宇沢家の
邸裏
(
やしきうら
)
の畑地へ二十人ばかりの人足が入りこんで、お
喋舌
(
しやべり
)
をしたり
鼻唄
(
はなうた
)
を唄つたりして
賑
(
にぎや
)
かに立働いてゐた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
今までは折々門外の
小路
(
こうじ
)
に聞えた
夜遊
(
よあそび
)
の人の
鼻唄
(
はなうた
)
、遠くの町を流して行く
新内
(
しんない
)
の
連弾
(
つれびき
)
、
枝豆白玉
(
えだまめしらたま
)
の呼声なぞ
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
どこかで、
鼻唄
(
はなうた
)
をうたつてゐる
者
(
もの
)
があります。そうかと
思
(
おも
)
ふと「
誰
(
だれ
)
なの、そこでしくしく
泣
(
な
)
いてゐるのは」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
横になると
新内
(
しんない
)
の
明烏
(
あけがらす
)
をところまんだら
摘
(
つま
)
んで
鼻唄
(
はなうた
)
にしているうちに、グウグウと寝込んでしまいました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いい
機嫌
(
きげん
)
になって
鼻唄
(
はなうた
)
か何かで湯へ出かけると、じき湯屋の
上
(
かみ
)
さんが飛んで来て、お前さんとこの
阿父
(
おとっ
)
さんがこれこれだと言うから、びっくらして行って見ると
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
若いくせに早くから二人も子供を
産
(
う
)
んだ男がいて、よく街の
銭湯
(
せんとう
)
で会うと、やっと二つか三つになった赤ん坊を流し場にならべ、楽しそうに
鼻唄
(
はなうた
)
をうたいながら
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
大人
(
おとな
)
三人前
(
さんにんまへ
)
を
一手
(
いつて
)
に
引
(
ひき
)
うけて
鼻唄
(
はなうた
)
交
(
まじ
)
り
遣
(
や
)
つて
退
(
の
)
ける
腕
(
うで
)
を
見
(
み
)
るもの、
流石
(
さすが
)
に
眼鏡
(
めがね
)
と
亡
(
な
)
き
老婆
(
ひと
)
をほめける。
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ヤーシャ おい、
誰
(
だれ
)
か来るぜ。(トランクのそばを、さも忙しそうに立ち回り、小声で
鼻唄
(
はなうた
)
をうたう)
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「ぢや、麓の村まで、ひとはしり行つて来るでの、あんたは
鼻唄
(
はなうた
)
でも、うたつて待つてゐておくれ。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
御者
(
ぎよしや
)
の
鼻唄
(
はなうた
)
も
暫
(
し
)
ばし
途断
(
とぎ
)
れて、馬の
脊
(
せ
)
に鳴る
革鞭
(
むち
)
の響、身に
浸
(
し
)
みぬ、吉田行なる
後
(
うしろ
)
なる車に、先きの程より対座の客の
面
(
おもて
)
、其の
容体
(
ようだい
)
、
訝
(
いぶか
)
しげに
眺
(
なが
)
め入りたる白髪の老翁
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
酒がすっかりなくなると、栄子はさばさばしたようすで、
鼻唄
(
はなうた
)
をうたいながら帰っていった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
頼
(
たの
)
み外へ
遣置
(
やりおき
)
急立
(
せきたつ
)
心
(
こゝろ
)
を
鎭
(
しづ
)
めて
覗見
(
のぞきみ
)
るに
平
(
へい
)
四郎は
夜具
(
やぐ
)
に
凭
(
もた
)
れて
鼻唄
(
はなうた
)
を
唄
(
うた
)
ひ居るにぞ
能
(
よく
)
御出
(
おいで
)
なんしたと
屏風
(
びやうぶ
)
の中に
入
(
いり
)
主
(
ぬし
)
に御聞申事が
有
(
ある
)
と
布團
(
ふとん
)
の上へ
上
(
あが
)
りけれども
何
(
なん
)
の氣も
付
(
つか
)
ぬ
處
(
ところ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかるに実際は
平坦
(
へいたん
)
な道を、荷物もなく折々休みながら、
鼻唄
(
はなうた
)
うたって通ったに過ぎぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
聞えないかの低い声で
鼻唄
(
はなうた
)
をうたいながら歩いている源吉爺さんを
先達
(
せんだつ
)
にして、トヨは毎日の道順にしたがい、
軒
(
のき
)
の傾いた商家がたち並んでいる広い村道から、
埃
(
ほこり
)
っぽい
田圃径
(
たんぼみち
)
へと通り抜けてゆく。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
眉山は最早のんきに
鼻唄
(
はなうた
)
を歌う春木町時代の眉山ではなかった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と
鼻唄
(
はなうた
)
をうたって聞かせた。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
平気
(
へいき
)
で、どんなところでも、
鼻唄
(
はなうた
)
をうたって
歩
(
ある
)
けるようにならんければ、一
人
(
にん
)
まえとはいえない。」と、
親方
(
おやかた
)
は、
笑
(
わら
)
いました。
僕はこれからだ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こんな
鼻唄
(
はなうた
)
をうたいながら、お父様はこの頃、何を思ったかおまえの美術学校時代の
壊
(
こわ
)
れた絵の具箱を肩に
担
(
かつ
)
いでときどき晴れた野原へ写生に出かける。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
牛乳がわきかけた時、女は髪を直した上に
襟白粉
(
えりおしろい
)
までつけ、
鼻唄
(
はなうた
)
を
唱
(
うた
)
いながら上って来て鏡台の前に坐り
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と
泣
(
な
)
くのが、
身體
(
からだ
)
が
縁側
(
えんがは
)
へ
橋
(
はし
)
に
反
(
そ
)
つて、
其
(
そ
)
のまゝ
納戸
(
なんど
)
の
絲車
(
いとぐるま
)
の
上
(
うへ
)
へ、
眞綿
(
まわた
)
を
挫
(
ひしや
)
いだやうに
捻倒
(
ねぢたふ
)
されたのを、
松原
(
まつばら
)
から
伸上
(
のびあが
)
つて、
菜畠越
(
なばたけごし
)
に、
遠
(
とほ
)
くで
見
(
み
)
て、
舌
(
した
)
を
吐
(
は
)
いて、
霞
(
かすみ
)
がくれの
鼻唄
(
はなうた
)
で
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
棄てくさったような
鼻唄
(
はなうた
)
や笑い声が聞えて、誰も傍へ寄りつくものがなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お兼はもういちど夜の約束をし、
鼻唄
(
はなうた
)
をうたいながら去っていった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
心無くして興に乗る歌だから、
鼻唄
(
はなうた
)
といったようなものでしょう。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
鼻唄
(
はなうた
)
をうたう。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
町
(
まち
)
の
問屋
(
とんや
)
や、
工場
(
こうじょう
)
や、
会社
(
かいしゃ
)
などでは、
目
(
め
)
まぐるしく、
人
(
ひと
)
たちが
働
(
はたら
)
いている
間
(
あいだ
)
に
彼
(
かれ
)
は、
鼻唄
(
はなうた
)
をうたいながら、さも
楽
(
たの
)
しそうに、
美人
(
びじん
)
の
姿
(
すがた
)
を
描
(
か
)
いていました。
生きている看板
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
年頃の若者になつても、
鼻唄
(
はなうた
)
一つうたふでもなく、嫌味な教会通ひの若者となりもしない、
何処
(
どこ
)
から得たか
西行
(
さいぎょう
)
の
山家集
(
さんかしゅう
)
と、三木
露風
(
ろふう
)
の詩集を持つて居た。
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
盆栽
(
ぼんさい
)
を
並
(
なら
)
べた窓の
外
(
そと
)
の
往来
(
わうらい
)
には
簾越
(
すだれご
)
しに
下駄
(
げた
)
の音
職人
(
しよくにん
)
の
鼻唄
(
はなうた
)
人の
話声
(
はなしごゑ
)
がにぎやかに
聞
(
きこ
)
え出す。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
渠は直ちに
踵
(
きびす
)
を
回
(
めぐ
)
らして、
鼻唄
(
はなうた
)
まじりに行き過ぎぬ。欣弥は何思いけん
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
明日
(
あす
)
もまた
天気
(
てんき
)
とみえて
雪
(
ゆき
)
の
上
(
うえ
)
はもはや
幾分
(
いくぶん
)
か
堅
(
かた
)
くなって
凍
(
こお
)
っています。その
上
(
うえ
)
を
彼
(
かれ
)
は、さくりさくりと
朝
(
あさ
)
きたときの
路
(
みち
)
を
歩
(
ある
)
いて、
鼻唄
(
はなうた
)
をうたってきました。
おおかみと人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
盆栽
(
ぼんさい
)
を並べた窓の外の往来には
簾越
(
すだれご
)
しに
下駄
(
げた
)
の音
職人
(
しょくにん
)
の
鼻唄
(
はなうた
)
人の話声がにぎやかに聞え出す。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
君江は
半
(
なかば
)
眼
(
め
)
をつぶってサムライ日本何とやらと、
鼻唄
(
はなうた
)
をうたうのを、川島はじっと聞き入りながら、突然何か決心したらしく、
手酌
(
てじゃく
)
で一杯、ぐっとウイスキーを飲み干した。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
葉桜
(
はざくら
)
の上に輝きそめた
夕月
(
ゆふづき
)
の光がいかにも
凉
(
すゞ
)
しい。
滑
(
なめらか
)
な満潮の水は「お前どこ
行
(
ゆ
)
く」と
流行唄
(
はやりうた
)
にもあるやうにいかにも
投遣
(
なげや
)
つた
風
(
ふう
)
に
心持
(
こゝろもち
)
よく流れてゐる。
宗匠
(
そうしやう
)
は目をつぶつて
独
(
ひとり
)
で
鼻唄
(
はなうた
)
をうたつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鼻
常用漢字
小3
部首:⿐
14画
唄
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
“鼻”で始まる語句
鼻
鼻緒
鼻汁
鼻頭
鼻面
鼻梁
鼻息
鼻孔
鼻腔
鼻糞