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言
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ごん
ふりがな文庫
“
言
(
ごん
)” の例文
寺にゐた間は平八郎が
殆
(
ほとんど
)
一
言
(
ごん
)
も物を言はなかつた。さて寺を出離れると、平八郎が突然云つた。「さあ、これから大阪に帰るのだ。」
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その悪魔も、この人形たちに刺戟を求めきれなくなり、あの大井瑠美子を恋して一
言
(
ごん
)
のもとに退けられ、遂に殺してしまったのだ。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「…………」万吉は、一
言
(
ごん
)
もなかった。俺はまったく、お綱の心を買いすぎている、と自分でもはっきり気づいている彼であった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今こそ答えまいらすべし、ただ一
言
(
ごん
)
。弁解の言葉連ねたもうな、二郎とてもわれとても
貴嬢
(
きみ
)
が弁解の言葉ききて何の用にかせん。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「だけどお前は怒りつぽいよ、それはお前も一
言
(
ごん
)
もなからう。子供部屋へお歸り——いゝ子だから——そして、そこでしばらくお休み。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
花前は
色
(
いろ
)
も動きはしない。もとより一
言
(
ごん
)
ものをいうのでない。
主人
(
しゅじん
)
や
細君
(
さいくん
)
とはなんらの
交渉
(
こうしょう
)
もないふうで、つぎの黒白まだらの牛にかかった。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
椋島技師は、緊張にこまかくふるえながら、普段から真白い顔色を、一層
蒼白
(
あおじろ
)
くさせて、大臣の一
言
(
ごん
)
一
句
(
く
)
に聞き入っていた。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし今までのよしみに一
言
(
ごん
)
いって置くが、人の耳目は早いものだ、君は目をつけられているぞ、軍人の体面に関するような事をしたもうな。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
何人
(
なんぴと
)
が訊問されるか? どんな一
言
(
ごん
)
が発せられるか? 犯人は女であるというのに、中島せい子以外に何人も連れられて来て
居
(
お
)
らぬではないか。
謎の咬傷
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
チッバ
俺
(
おれ
)
に
附着
(
くッつ
)
いて
來
(
こ
)
う、
彼奴等
(
きゃつら
)
と
談
(
だん
)
じてくれう。……(ベンヺーリオーらに)
諸氏
(
かた/″\
)
、
機嫌
(
きげん
)
よう。一
言
(
ごん
)
申
(
まう
)
したうござる。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
命
(
みこと
)
は
日頃
(
ひごろ
)
の、あの
雄々
(
おお
)
しい
御気性
(
ごきしょう
)
とて「
何
(
な
)
んの
愚
(
おろ
)
かなこと!」とただ一
言
(
ごん
)
に
打
(
う
)
ち
消
(
け
)
して
了
(
しま
)
われましたが、ただいかにしても
打
(
う
)
ち
消
(
け
)
し
得
(
え
)
ないのは
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「
水
(
みづ
)
飮
(
の
)
ませて
見
(
み
)
ろ」
彼
(
かれ
)
は
慌
(
あわ
)
てるといふことを
知
(
し
)
らぬものゝ
如
(
ごと
)
く一
言
(
ごん
)
いつた。おつぎは
直
(
すぐ
)
に
柄杓
(
ひしやく
)
で
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んだ。
與吉
(
よきち
)
は
幾
(
いく
)
らでも
柄
(
え
)
に
縋
(
すが
)
つて
飮
(
の
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
兄は
夫
(
それ
)
っきり、一
言
(
ごん
)
も云わず、
長榻
(
ながいす
)
に体を
埋
(
うず
)
めたままじっと考えに沈みました。私も同じ長榻へ黙って腰を掛けながら、兄の様子を見守りました。
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
奥さんを貰うというような話は今まで一
言
(
ごん
)
も聞かなかったのである。しかしながらどうもこれはそう判断するより外に考えのつけようがなかった。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「仏性の
言
(
ごん
)
をきゝて学者おほく
先尼外道
(
せんにげどう
)
の我のごとく
邪計
(
じゃけ
)
せり。それ人にあはず、自己にあはず、師を見ざるゆゑなり」
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
……私のご挨拶はこれで終りますが、この席を利用して、ちょっと一
言
(
ごん
)
申し述べさせていただきたい事がございます。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ただ一
言
(
ごん
)
申しますることは、どうぞよくよくお目止められ、お耳止められ、お
手拍子
(
てびょうし
)
ごかっさいのご用意を
願
(
ねが
)
っておくことだけでございます。
始
(
はじ
)
まり
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
一
言
(
ごん
)
も
言
(
い
)
はずに
彼
(
かれ
)
はニキタの
示
(
しめ
)
した
寐臺
(
ねだい
)
に
移
(
うつ
)
り、ニキタが
立
(
た
)
つて
待
(
ま
)
つてゐるので、
直
(
す
)
ぐに
着
(
き
)
てゐた
服
(
ふく
)
をすツぽりと
脱
(
ぬ
)
ぎ
棄
(
す
)
て、
病院服
(
びやうゐんふく
)
に
着換
(
きか
)
へて
了
(
しま
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
大臣は彼に神経病があるのを罪無きものに思い、彼の地位に動揺を来さないから、彼は一
言
(
ごん
)
も言い出さないのだ。
端午節
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
兄きがその一
言
(
ごん
)
で、何をわたくしに申したのだといふことが、わたくしには直ぐに分かつたからでございます。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
僕のここに言わんとすることは、悪口の目的物となり、すなわち悪口を受けるものの態度について一
言
(
ごん
)
したい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
拙者は、神尾うじが大好きなのじゃ——こう答えたらナ、近江のやつ、二
言
(
ごん
)
もなく、あのドングリ
眼
(
まなこ
)
をパチクリさせて
黙
(
だま
)
りおった。いや、見せたかったよ。貴殿
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いずれも
編笠
(
あみがさ
)
で
深
(
ふか
)
く
顔
(
かお
)
を
隠
(
かく
)
したまま、
眼
(
め
)
をしばたたくのみで、
互
(
たがい
)
に一
言
(
ごん
)
も
発
(
はっ
)
しなかったが、
急
(
きゅう
)
に
何
(
なに
)
か
思
(
おも
)
いだしたのであろう。
羽左衛門
(
うざえもん
)
は、
寂
(
さび
)
しく
眉
(
まゆ
)
をひそめた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
三四郎は忽然として、
後
(
あと
)
を云ふ勇気がなくなつた。無
言
(
ごん
)
の儘二三歩
動
(
うご
)
き
出
(
だ
)
した。女は
縋
(
すが
)
る様に
付
(
つ
)
いて
来
(
き
)
た。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「また、お
目
(
め
)
にかかります。」と、一
言
(
ごん
)
残
(
のこ
)
して、からすとは、
反対
(
はんたい
)
の
方向
(
ほうこう
)
へ
飛
(
と
)
んでいってしまいました。
紅すずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
併し黙つて、魅せられたやうになつて音楽を聴いてゐる女の耳には、公爵の云ふ事は一
言
(
ごん
)
も聞えなかつた。その癖音楽家の目は、女に或る新しい理解を教へてゐる。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
そして、朝霧のかかった谷川の岸に出てそこで
衣
(
ころも
)
を脱いで
行水
(
ぎょうずい
)
をやった。皆黙黙として
何人
(
だれ
)
も一
言
(
ごん
)
を発する者がない。彼も同じように冷たい氷のような行水をした。
仙術修業
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
君が家庭の事情を幸いに、一
言
(
ごん
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
もなく、逃げる様に私の前から
消去
(
きえさ
)
った時、私は数日、飯も食わないで書斎に坐り通していた。そして、私は復讐を誓ったのだ。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
見合せ
誰
(
たれ
)
有
(
あつ
)
て一
言
(
ごん
)
申出る者なく
如何
(
いか
)
にも
尤
(
もつと
)
もの事と思ふ
氣色
(
けしき
)
なり此時
御城代
(
ごじやうだい
)
相摸守殿申さるゝ樣は
成程
(
なるほど
)
段々の御申立
委細
(
ゐさい
)
承知
(
しようち
)
せり併し夫には
慥
(
たしか
)
に
御落胤
(
おらくいん
)
たるの御
證據
(
しようこ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「そうでもありましょうが、織部どのとのはたしあいについて、一
言
(
ごん
)
だけ聞いて頂きたいのです」
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
中村
(
なかむら
)
さんと
唐突
(
だしぬけ
)
に
背中
(
せなか
)
たゝかれてオヤと
振
(
ふ
)
り
返
(
か
)
へれば
束髪
(
そくはつ
)
の一
群
(
むれ
)
何
(
なに
)
と
見
(
み
)
てかおむつましいことゝ
無遠慮
(
ぶゑんりよ
)
の一
言
(
ごん
)
たれが
花
(
はな
)
の
唇
(
くちびる
)
をもれし
詞
(
ことば
)
か
跡
(
あと
)
は
同音
(
どうおん
)
の
笑
(
わら
)
ひ
声
(
ごゑ
)
夜風
(
よかぜ
)
に
残
(
のこ
)
して
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
くを
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お勢が顔を視ている……このままで
阿容々々
(
おめおめ
)
と
退
(
しりぞ
)
くは残念、何か云ッて遣りたい、何かコウ品の
好
(
い
)
い悪口雑言、一
言
(
ごん
)
の
下
(
もと
)
に昇を
気死
(
きし
)
させる程の事を云ッて、アノ
鼻頭
(
はなづら
)
をヒッ
擦
(
こす
)
ッて
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
君の妹さんに何か購ってあげたいと言った私を、一
言
(
ごん
)
のもとに断った萩原は佐藤にはあよしよしと妹さんをよめにやったことは、何と言っても私へのあつかいは、あまりに
酷
(
ひ
)
どすぎていた。
わが愛する詩人の伝記(三):――萩原朔太郎――
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
和尚様、五百両と申しましたところで、当山におかせられましては何のお役にも立ちますまいが、私にとりましては聊か身分に過ぎた寄進かと存じまする。就きましては何か一
言
(
ごん
)
の御挨拶を
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「なに、魔法使いくらいに負けるものか」と王は一
言
(
ごん
)
に
退
(
しりぞ
)
けました。
夢の卵
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
明晩(すなわちその夜)のお招きにも出席しかねる、と
剣
(
けん
)
もほろろに書き連ねて、
追伸
(
ついしん
)
に、先日あなたから一
言
(
ごん
)
の紹介もなく訪問してきた
素性
(
すじょう
)
の知れぬ青年の持参した金はいらないからお返しする。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
母「いや
喫
(
た
)
べんと云ったら二
言
(
ごん
)
とは申しません」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然し松田からは一
言
(
ごん
)
の返事もない。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「男子の一
言
(
ごん
)
金鉄
(
きんてつ
)
のごとし」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「しゃ
言
(
ごん
)
」
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
おれは今夜から当分の間、影を消すかも知れないが、それについて一
言
(
ごん
)
断っておくことは、あのばてれん口書でお前も承知の夜光の短刀だ。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
元來
(
ぐわんらい
)
閭
(
りよ
)
は
科擧
(
くわきよ
)
に
應
(
おう
)
ずるために、
經書
(
けいしよ
)
を
讀
(
よ
)
んで、五
言
(
ごん
)
の
詩
(
し
)
を
作
(
つく
)
ることを
習
(
なら
)
つたばかりで、
佛典
(
ぶつてん
)
を
讀
(
よ
)
んだこともなく、
老子
(
らうし
)
を
研究
(
けんきう
)
したこともない。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「うむ、
困
(
こま
)
つたなあ」
卯平
(
うへい
)
は
深
(
ふか
)
い
皺
(
しわ
)
を
蹙
(
しが
)
めていつた。さうして
後
(
あと
)
は一
言
(
ごん
)
もいはない。お
品
(
しな
)
の
病状
(
びやうじやう
)
は
段々
(
だん/\
)
險惡
(
けんあく
)
に
陷
(
おちい
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
これは近藤といって岡本がこの部屋に入って来て
後
(
のち
)
も一
言
(
ごん
)
を発しないで、
唯
(
た
)
だウイスキーと
首引
(
くびっぴき
)
をしていた背の高い、一癖あるべき
顔構
(
つらがまえ
)
をした男である。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
一
言
(
ごん
)
も
言
(
い
)
わずに
彼
(
かれ
)
はニキタの
示
(
しめ
)
した
寐台
(
ねだい
)
に
移
(
うつ
)
り、ニキタが
立
(
た
)
って
待
(
ま
)
っているので、
直
(
す
)
ぐに
着
(
き
)
ていた
服
(
ふく
)
をすッぽりと
脱
(
ぬ
)
ぎ
棄
(
す
)
て、
病院服
(
びょういんふく
)
に
着換
(
きか
)
えてしまった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
と一
言
(
ごん
)
した。してみると、他人が彼の醜きを
譏
(
そし
)
るのを気にしていたと思われると
説
(
と
)
いた人の論を聞いた。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
くもは、わがままかってに、
私
(
わたし
)
の
内側
(
うちがわ
)
にも、また
外側
(
そとがわ
)
にも
網
(
あみ
)
を
張
(
は
)
りました。もとより
私
(
わたし
)
に、一
言
(
ごん
)
の
断
(
ことわ
)
りもいたしません。それほど、みんなは
私
(
わたし
)
をばかにしたのです。
煙突と柳
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
最後に一
言
(
ごん
)
。あさ子の父丹七は、あさ子の葬式をすました翌日、
飄然
(
ひょうぜん
)
として出発したまま、その後帰って来ないので、人々は、今でもその生死を知らないのである。
血の盃
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
わたしは親方が犬の
口輪
(
くちわ
)
を買うかと思っていたけれども、かれはまるでそんな様子はなかった。その
晩
(
ばん
)
は巡査とけんかをしたことについては一
言
(
ごん
)
の話もなしに
過
(
す
)
ぎた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
二人とも何か考へ込んでゐたので、十五分間程一
言
(
ごん
)
も物を言はずにゐた。突然ドユパンが云つた。
病院横町の殺人犯
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“言”を含む語句
戯言
言出
無言
言語
祝言
囈言
虚言
宣言
言葉
伝言
言上
嘘言
寡言
狂言
方言
言付
言伝
譫言
言問
言立
...