)” の例文
予は信ず、人の衷心、聖の聖なるうちに、神性ありて、これのみく宇宙間に秘める神霊を認識し、これを悟覚するを得るものなりと。
我が教育の欠陥 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
寶鼎はうてい金虎きんこそんし、芝田しでん白鴉はくあやしなふ。一瓢いつぺう造化ざうくわざうし、三尺さんじやく妖邪えうじやり、逡巡しゆんじゆんさけつくることをかいし、また頃刻けいこくはなひらかしむ。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それらにもく通じたので、十七歳で女学校を卒業してからは、語学の家庭教師を勤めて、不足がちな家計を助けたということです。
キュリー夫人 (新字新仮名) / 石原純(著)
ここに於て日本は彼の長を採って我の短を補うたことがく分る。総じて物事は一利一害で、仏教なり儒教なり多少の害を伴っておる。
女子教育の目的 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
板前の家はもと下谷の入谷であったので、その方面へ行った時わざわざ区役所へ立寄って立退たちのき先をきいて見たがくわからなかった。
羊羹 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
お俊はそういう可憐な姿が右と左との手に重りかかっている夜の町へく買いものに出かけた。二人には同じいものを買ってやった。
童話 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
まだ二三日は命がつながれようというもの、それそれ生理せいり心得草こころえぐさに、水さえあらば食物しょくもつなくとも人はく一週間以上くべしとあった。
「凡そ事物の久遠くをんに垂るる者は、(中略)切実のたいあるを要す」(芥舟学画編かいしうがくぐわへん)とは、文芸の上にも確論だと思ふ。(十月六日)
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この頃ヨクという場合にく良の字を書いて平気でいるが、ヨクはんな場合も良の字でよいという訳のものではない位の事は、筆を
「おう、う来てくれやった。さッ、早う。その方でも苦しゅうない。ここへ来て、毒虫に螫された後の、手当をしてくれやいのう」
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
「人間はいくら自分が正直にしていても、ひとはとかくに何のかのと言いたがるもんだからね。これからはく気をつけておくれよ」
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
くこの要求即ち吾人の理想を実現し得た時にはその行為は善として賞讃せられ、これに反した時は悪として非難せられるのである。
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
平生へいぜい私の処にく来るおばばさんがあって、私の母より少し年長のお婆さんで、お八重やえさんと云う人。今でもの人のかおを覚えて居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その頃柳橋やなぎばしに芸者が七人ありまする中で、重立おもだった者が四人、葮町よしちょうの方では二人、あとの八人はい芸者では無かったと申します。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
入れてく混ぜ煮上りたる時他の器へ移して暫らく冷まし白身の泡立てたる物を混ぜ合せて型へ入れ能く冷やして型より抜取るなり。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ヂュリ そのやうなことをそちしたこそくさりをれ! はぢかしゃる身分みぶんかいの、彼方あのかたひたひにははぢなどははづかしがってすわらぬ。
さうしてきまつた理窟りくつ反覆はんぷくしてかせてるうちにはころりとちてしまふといふ呼吸こきふ内儀かみさんはつてるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
丁度私が斯寺このてらかたづいて来た翌々年よく/\とし、和尚さんは西京へ修業に行くことに成ましてね——まあ、若い時にはく物が出来ると言はれて
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
中途ちゆうとからかほした宗助そうすけには、くもせなかつたけれども、講者かうじや能辯のうべんはうで、だまつていてゐるうちに、大變たいへん面白おもしろところがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
アア浦添城址の瓦は口なくしてく七百年前の歴史を語った。私の想像はいよいよ事実となった。あのオモロの文句は生き出した。
土塊石片録 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
シカモ多くは椿岳をく知ってる人たちであったから、今だにその画をも見ずその名をすらも知らないものが決して少なくないだろう。
だから、く/\好きな者になると、真夏でも何でも、小堀を攻めて、鮒を相手に楽んでるです。食べては、かんに限るですが…………。
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
義務徳義を弁ぜざる純樸なる少年の思想が、始めて複雑解し難き社界の秘奥に接する時に、誰れかく厭世思想を胎生せざるを得んや。
厭世詩家と女性 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
(七九)閭巷りよかうひとおこなひてんとほつするものは、(八〇)青雲せいうんくにあらずんば、いづくんぞく(名ヲ)後世こうせいかん
サア、どうぞこの処をく御考え下さいまし。否もう御熟考の時はすでに過ぎ去っております。——私どもは決心せねばなりませぬ。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
自體彼の頭腦の中にはくさツたガスのやうな氣が充滿いつぱいになツてゐて、頭がはなは不透明ふとうめいになツてゐる、彼はく其れを知ツてゐるから
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
一体の有様が三宝山とく似ている。絶頂から東に向って二町ばかり下った後再び二町許上ると、三角点より三、四十米低い峰に出る。
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
『それはわかつてる、大方おほかたかはづむしぐらゐのものだらう』とつて家鴨あひるは『しかし、ぼくくのは大僧正だいそうじよううしたとふのだ?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
家庭の教育は知らず知らずの間に施されるもので、必ずしも親が教へようと思はない事でも、子供はく親の真似をして居る事が多い。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
内儀もひどく心を痛められる際と云い三時からは又裁判所の呼出しにも応ぜねば成らぬ事だからう少しは休息なさらねばく有る
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「そりゃあの時には厭な感じも起ッたけれども、く交際して見ればそんなに貴君のお言いなさるように破廉耻はれんちの人じゃ有りませんワ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そのうえ済州さいしゅうの地方、この人あって、童歌の清きを失わず、またく、読書ふみよむの声を野に保つ……とまでめそやされているほどだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三輛の馬車は相隔つる一町ばかり、余の馬車は殿しんがりに居たので前に進む馬車の一高一低、凸凹でこぼこ多き道を走つて行く様がく見える。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
彼はあわてて紙幣束を懐中にじ込んだ。持ちつけない額なので、く目算は出来なかったが少くとも五百円はあるらしかった。
罠に掛った人 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
お国なまりのこととて、くは聞き取れませんが、おいどんが、どうとか、西郷従道侯の物語りに、御成街道から進撃した由を承りました。
松王二度目の出よりは脇師の腹ありてよし。すべてのこなし方く本文の意にかなひ、人形流の悪騒ぎなくして、後人の模範となすに足る。
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
「亀と兎の競争の話」はこの物語に出た諸話の中もっとも名高い物で根気く辛抱して励めば非常の困難をもしのいで事業を成就し得る事を
とお母さんがたしなめた。芳夫さんはさと惣領息子そうりょうむすこだ。学生時代から家へはくやって来るので、殊に遠慮のない間柄になっている。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
う言やマア、さうですがね、しかしくまア、軍人などで芸妓げいしや落籍ひかせるの、妾にするのツて、お金があつたもンですねエ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
蒲「儲けづくであるから何でも可いけれど、しかし思切つた事を始めましたね。君の性質でくこの家業が出来ると思つて感服しましたよ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かくの如き人にしてかくの如き事をす、不思議なるが如しといえども、かくの如き人たるが故に、くかくの如きことを為し得るなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
また女の作家がこういう態度で物を書けば、几帳きちょうを撤して女の真面目しんめんぼくを出すのですから、女の美も醜もく男の方に解る事になりましょう。
産屋物語 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
道法とはいはく聖法なり。言ふこころは、聖法をくすといへども、亦俗法の中に凡夫の事を現じて、機にしたがひて物を化するを乃ち真宴と名づく。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
五月七日の払暁、越前少将忠直の家臣、吉田修理亮しゅりのすけ光重はく河内の地に通じたるを以て、先陣として二千余騎を率い大和川へ差かかった。
真田幸村 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
畢竟ひっきょう両者おのおの理あり、各非理ひりありて、争鬩そうげいすなわち起り、各じょうなく、各真情ありて、戦闘則ち生ぜるもの、今に於てたれく其の是非を判せんや。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
『東備郡村誌』によれば、岡山市外の円城村に老狸あり、人に化けて民間に往来し、く人の言語を学んでしばしば附近の古城の話をした。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
買ひて歸りがけすぐ笠原粂之進かさはらくめのしんかたへ行き夜前やぜんの火付は原町の煙草屋喜八と云ふ者なり今朝こんてう私し煙草をかひ候時かれが布子のしまたれば心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
近角常観という坊さんが(禅)「一心正念にして直に来れ。我く汝を護らん。べて水火の二河に堕せんことを畏れざれ」
まづ書物しよもつへば一をしへたところは二をしへない、熟讀じゆくどくさせてて、どうしてもわからなかつたならば、ときをしへやう。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
中央ちうあうおよび地方ちはう財政ざいせい整理緊縮せいりきんしゆく國債こくさい整理せいり國民こくみん消費節約せうひせつやくとが相俟あひまつて其效果そのかうくわもつと國際貸借こくさいたいしやくうへあらはれたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)