淺草あさくさ)” の例文
新字:浅草
いとはず出歩行であるくのみかむすめくまにも衣類いるゐの流行物櫛笄くしかうがひ贅澤ぜいたくづくめに着餝きかざらせ上野うへの淺草あさくさ隅田すみだはな兩國川りやうこくがは夕涼ゆふすゞみ或は芝居しばゐかはと上なきおごり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つい、となり十四五人じふしごにんの、ほとん十二三人じふにさんにん婦人ふじん一家いつかは、淺草あさくさからはれ、はれて、こゝにいきいたさうである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
僧 今日は朝から湯島ゆしま神田かんだ下谷したや淺草あさくさの檀家を七八軒、それからくるわを五六軒まはつて來ましたが、なか/\暑いことでござつた。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
大きな金持のところへはいつては、百兩二百兩といふ金をふんだくる。中には鐵砲をかついではいる者もあるといふ風で、深川ふかがは木場きば淺草あさくさ藏前くらまへで、非常に恐れた。
兵馬倥偬の人 (旧字旧仮名) / 塚原渋柿園塚原蓼洲(著)
こないだの關東かんとう大震災だいしんさいのときには、淺草あさくさ觀音かんのんのおどううらのいてふの片側かたがは半分はんぶんけても、半分はんぶん枝葉えだはのためにがおどうえうつるのをふせぎました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
火事かじところもありいくさところもあり、ぼく大變たいへんきなれば、姉樣ねえさま御覽ごらんにならば吃度きつときならん、大姉樣おほねえさま上野うへののも淺草あさくさのも方々はう/″\のを幾度いくどしに、中姉樣ちうねえさま一度いちどれてかぬは意地いぢわるではきか
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うで玉子買ひたる歌をおもふとき淺草あさくさ夜空よぞら目にうかび來る
斎藤茂吉の死を悲しむ (旧字旧仮名) / 吉井勇(著)
見たる事有やたゞし知らぬかと申されければ其百兩は存じ居候私し淺草あさくさに於て小間物の拂ひ入札仕にふさつゝかまつり私し札に落候故十兩手附を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
東京とうきやうへば淺草あさくさのやうなところだと、かねいて大須おほす觀音くわんおんまうでて、表門おもてもんからかへればいのを、風俗ふうぞく視察しさつのためだ、とうらへまはつたのが過失あやまちで。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
綾衣 今鳴つたのは淺草あさくさの暮六つ……。おふくろさん、行水のお湯は沸きましたか。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
あゝ此行このかう氷川ひかはみやはいするより、谷中やなかぎ、根岸ねぎし歩行あるき、土手どてより今戸いまどで、向島むかうじまいたり、淺草あさくさかへる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其方儀主人しゆじん庄三郎養子又七つま熊と密通致し其上そのうへとほ油町あぶらちやう伊勢屋三郎兵衞方にて夜盜やたう相働あひはたらき金五百兩ぬすみ取り候段重々ぢゆう/\不屆ふとゞきつき町中まちぢう引廻ひきまはしの上淺草あさくさに於て獄門ごくもん申付くる
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もう一人ひとりつれは、南榎町みなみえのきちやう淺草あさくさから引越ひつこしたまんちやんで、二人ふたり番町ばんちやうから歩行あるいて、その榎町えのきちやうつて連立つれだつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ると……見渡みわたすと……東南とうなんに、しば品川しながはあたりとおもふあたりから、きた千住せんぢう淺草あさくさおもふあたりまで、大都だいと三面さんめんつゝんで、一面いちめんてんである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
次手ついでだからはなさう。これつゐをなすのは淺草あさくさまんちやんである。おきやうさんが、圓髷まるまげあねさんかぶりで、三歳みツつのあかちやんをじふ背中せなか引背負ひつしよひ、たびはだし。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十分間じつぷんかん七十五輌しちじふごりやうあへ大音寺前だいおんじまへばかりとははない。馬道うまみちくるままつた。淺草あさくさはうくはしことは、久保田くぼたさん(まんちやん)にくがい。……やま本郷臺ほんがうだい
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
半出來はんでき藝妓げいしや——淺草あさくさのなにがしとふだてた——活人形いきにんぎやうをのぞくところを、唐突だしぬけに、くわら/\、くわら、とかへる高笑たかわらひをされたのである。よしよしそれも面白おもしろい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自動車じどうしや相乘あひのりして、堂々だう/\と、淺草あさくさ上野うへの銀座ぎんざばす、當今たうこん貴婦人きふじん紳士しんしいへども、これをたら一驚いつきやうきつするであらう。たれ口癖くちぐせことだが、じつ時代じだい推移すゐいである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……おもことがある。淺草あさくさ田原町たはらまち裏長屋うらながやころがつてとき春寒はるさむころ……足袋たびがない。……もつと寒中かんちうもなかつたらしいが、うも陽氣やうきむかつて、何分なにぶん色氣いろけづいたとえる。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……ぜんうちにゐてまはりをはたらいてくれた淺草あさくさ婿むこ裁縫屋したてやなどは、土地とち淺草あさくさ丸燒まるやけにされて、女房にようばうには風呂敷ふろしきみづびたしにしてかみにかぶせ、おんぶした嬰兒あかんぼには
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
印半纏しるしばんてん一枚いちまいされて、いさゝかもめげないで、自若じじやくとしてむねをたゝいてるのに、なほまんちやんがある。久保田くぼたさんは、まるけのしかも二度目にどめだ。さすがに淺草あさくさにいさんである。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
旦那だんな相乘あひのりまゐりませう、とをりよく來懸きかゝつた二人乘ににんのりふやうにして二人ふたり乘込のりこみ、淺草あさくさまでいそいでくんな。やす料理屋れうりや縁起えんぎなほしに一杯いつぱいむ。此處こゝ電燈でんとうがついて夕飯ゆふめししたゝめ、やゝ人心地ひとごこちになる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
淺草あさくさ一女いちぢよとして、——うちぢやあ、うどんのたまをかつて、油揚あぶらげねぎきざんで、一所いつしよにぐら/\て、ふツ/\とふいてべます、あついところがいゝのです。——なにかくさう、わたしこれには岡惚をかぼれをした。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)